三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

地域型住宅のデザイン

2012年10月29日 05時35分49秒 | Weblog


地域型住宅、という言葉は
北海道や東北にいるとサッパリなじみがなく、
あんまり実感をもった響きがなかったのが実際です。
この地域型住宅というのは、国交省やロビー関係では
かなり20年前くらいから、そのコンセプトが語られ続けてきたとか。
ただし、一般的にはまず一顧だにされなかったのではなかったか。
ところがそういう状況が、東日本大震災以降
被災地の住宅関係機関との話し合いのプロセスを経て、
論議が「地域型住宅」という方向に国策として舵が切られてきた。
理念としては、被災地の住宅復興も見据えれば、
地域の作り手の協業化は避けて通ることが出来ない。
地産地消の大きな方向も実現できる、ということのようです。
そういった経緯はまぁ、受け入れ可能だし、賛同もできる。
しかし、どうもこの「地域型」という考え方自体、
東京や、中央による押しつけの雰囲気が抜けないと思う。
この政策推進に当たって、地域の工務店の立場からの意見を
ヒアリングしたときに、当の工務店側から、
「わたしたちの地域では、ユーザーは東京に建てられている住宅デザインを
求められているのが実態だ。」
「地域型なんて、地域では誰もそんなものを望んでいない」
「たぶん東京の人が地方に行って、この地方に似合う家を見たい、という
観光気分的エゴを押しつけているのではないか」
というような意見が出たと言うことです。
まことに正鵠を穿った意見で、思わず膝を打たされた次第。
ただし、「東京の家を求めている・・・」というのは
いかにもさみしい(笑)。できれば寒冷地・北海道の家を、
というようになって貰いたいものだと思うのですが(笑)、
まぁ、ユーザーの多数意見というのはそういうものでしょう。

そういった少数意見は、しかし、ガス抜き的に扱われ、
写真のような、真壁で白い塗り壁と規格的な形状の屋根を持った
「地域型住宅」のデザイン的な画一化が進んでいるのではないか。
端正で、つつましやかで正直そうな外観デザインであって、
反対したい、というのではないけれど、
さて日本中、同じような「地域型住宅」になっていくのは、
それはそれでどうであるのか。
どうもわたしにも、よくはわからない。
こういったデザイン形状を持って、日本の民家と方向付けすべきなのか
どうもそのような「なんとない雰囲気」が見えていて、
多少、疑念のようなものが湧いてきている次第なのです。
みなさんはどうお考えでしょうか?

さて、本日は仙台へ移動であります。
大急ぎで、飛行機に間に合わせなければ・・・。ではでは。
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