建築というのは、人によって概念範囲に違いがある。
わたしは先日の秋田でのパワポでもまとめてみたけれど、
やはり人類史と建築という意味では、
洞窟住居、もしくは植物を簡易に組み上げた「小屋」が原初のモノと考えた。
そこから最初期の「定住」がはじまったときに、
はじめて「竪穴」として地面を掘ってより安定的な熱環境を得た住居に至った。
おおまかにはそういった理解を持っていた。
そんな意識にまったく違う概念を持って迫ってきたのが、
きのうの堀部安嗣講演でした。
「原初的なひとの居場所」という概念。
言われてみればまことに原初的で、腑に落ちることこの上ない。
人という寸法サイズとか、他との距離感の感覚、
密集度の頃合いとか、いごこちの組成分析みたいな、
そういった概念として、この建築家は総体把握しているのだと気付かされた。
「空間」というコトバ通りの意味合いで、建築概念が理解出来る。
やはり木陰であるとか、木漏れ日、風のここちよさとか、
そういった感受するすべてが、建築という営為の初源だと。
堀部さんの住宅の設計概念の根源的な部分がみえたと思われた。
かれの建てる住宅は、新築であっても懐かしい建物になっている。
そういった結果は、このような動機から生み出されてきているのだという気付き。
そこに生物存在としての人間がいて、そのいごこちを最大化させていくことが
建築の最大の目的であるという考えですね。
このような設計姿勢にとって、
高断熱高気密との出会いは最上の技術資産とみえるのだろうと。
里山住宅博での新住協メンバーとの出会いから、
堀部さんの設計は大きな翼を得たように飛躍を始めたとされていた。
北海道の建築関係者にとって、こういった考え方を持つ「内地」建築家は
ようやくにしてあらわれた「協同者」と呼ぶにふさわしい。
きょうは午前中から南幌きた住まいるモデルハウス群に
鎌田先生と堀部さんがふたりで見学される予定。
北海道の作り手たちと、どんな出会いになっていくのか、
強い興味を持って取材してきたいと思います。