きのうは旭川に久しぶりに「宿泊」いたしました。
本当はやや郊外、高砂台というところのホテルでの会合だったので、
そっちの方が便利なんですが、
電話がかかってきて会合参加決定前にホテルが満室になったということ。
で、やむなく会合と宴会のみホテルに通うことにして、宿泊は市内中心部のホテル。
そこで、前から気になっている旭川駅の工事進捗状況を見て参りました。
建築家・内藤廣さん設計になる駅舎で、公共交通機関として
運転を切らさずに工事を続けなければならないという難工事。
でもようやく全景が見えてきておりまして、
なかなかにいい。
これは、かなり感じのいい建築が北海道に誕生しそうでワクワクしています。
建物は大きくは3層構造になっていて、
1階はエントランス施設群、2階が移動方向の振り替え交通路
それから上がって、ガラスと木で被覆されたボックスを出ての3階にプラットホーム。
写真は、そのプラットホームの屋根を支える「柱」の様子です。
この鉄骨フレームで組み上げられた「列柱」構造がそのままデザインになっていて
外気に接し内部を貫通させながら、屋根だけがあるという駅舎の主体部分。
あたりまえですが、風洞効果もあるだろうし、
積雪荷重の問題もあるだろうし、地震耐力の問題もあるでしょう。
それに冬期にはマイナス30℃以上の寒冷条件にも構造として耐えていく必要もある。
旭川という北海道でももっとも厳しい自然気候条件のなかで
しかも交通機関として、当然外と中との結節点を建築として表現する必要がある。
その「外と中」はガラスボックスによって、区切られているワケです。
ガラスボックスから2階、1階と移ろいゆく内部は
人肌に似た木質が表されていて、暖色系の色使いもあって、
北国の駅舎として、気持ちがいい演出がされている。
そして、市街地側ではない忠別川に面している「南口」側は、
そのまま自然公園的な表情を見せてくれている。
日本の駅舎の中でも稀有なような敷地条件のなかで、
それを活かしきっていると思います。
たぶん、完成したら、日本の最北地域の玄関口として、
その自然がおおらかに人々を迎え入れる、あるいはブリザードで歓待する、
そんな光景が目に浮かんでくるようで、楽しい。
いい駅を設計していただけたなぁと、うれしく思っています。
まだまだ北口側の市街地域との連結、
バスなどのローカルな公共交通との連結ゾーンの工事が継続していて、
全貌がハッキリとしてくるのは、もう少し時間がかかるようです。
叩かれ続けている積雪寒冷地の交通企業、JR北海道ですが、
この駅舎の工事完成の頃には、ぜひ企業としても課題を克服して
がんばって行ってほしいものだと念願しています。