三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

都市型RC連棟住宅

2007年05月06日 05時49分16秒 | 住宅取材&ウラ話
わが家の近くに建てられた珍しい「連棟」スタイルの住宅です。
「連棟」って、前にもこのブログで触れましたが、
欧米ではよく見かける住宅です。
あれだけ、個人主義の伝統が根強い文化社会だけれど、
同時に、地域コミュニティというような考え方も成熟していて、
「個」と「共」の関係についての文化ルールがしっかりしているのですね。
一方、日本でも伝統的な「町家」スタイルの居住形式がかつて存在し、
現在もそうした基本的な街割りの中で多くの住宅が存在しています。
しかし、新設の住宅ということで考えると、
なかなか、権利関係についての考え方が難しい、こういう住宅は建てられにくい。

この住宅では、ごく近かったということもあって、その経緯を把握しています。
まず、大きな広めの戸建て住宅の持ち主が亡くなられ、
その跡地が、小規模なデベロッパーに再利用されることになった。
その会社は、ローコストのRC住宅で売り出している会社で、
小さな敷地に分割して、土地価格を抑えたうえで、
同時期に、間取りやプランなどもほぼ同一の企画型住宅として販売した。
さらに、建築工事としても連棟住宅とし、一気に着工~完成させることで、
コストダウンを計ることが出来る。
こうすることで、便利のいい敷地でありながら、
比較的求めやすい単価に抑えることができる、というメリットがあるのですね。
最近は、こういうスタイルの家づくりをさらに発展させたような、
コーポラティブというスタイルを取り入れた住宅も徐々にできてきています。

まぁ、マンション並みの価格で、戸建て住宅、
それも、この住宅群のように駐車スペースが2台分確保できるのです。
ただ、こういうコンセプト、ユーザーに理解してもらうまでには
若干、時間がかかったようで、
「現地販売説明会」が、何回か行われていました。
たぶん、都合1年以上時間がかかったのではないかなと思います。
ということで、完成し、なんとか販売はできたようなんですが、
さて、最初に書いたようなこと、
これから、住むみなさんにとって、未体験なことが始まるわけですね。
「地域コミュニティ」の創成、というようなことです。
欧米の、地域コミュニティと個人主義の折り合いの歴史的文化に対して、
戦後以降の無原則に近い個人主義、という今日の、日本の状況、
そのなかでどっぷりと育った世代が、
こういう地域コミュニティを安定的に作り出せるのか?
経緯を知っていて、また、そう大きな利害関係もない、
しかし、隣人ではある存在として、
ちょっと、興味津々、という感じで見ている、という次第なんです。
みなさん、どう思われますでしょうか?
コメント
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