長岡京エイリアン

日記に…なるかしらん

こんなん聴いてますけど~ そうだいラジオ事情

2012年01月20日 22時46分32秒 | すきなひとたち
 雨、降ったねぇ~!! どうもこんばんは、水もしたたるそうだいです。
 東京では雪が降っていたようなんですけど、千葉は大粒の雨ときどきみぞれ?みたいな感じだったでしょうか。まぁどっちにしろ寒かった寒かった!


 いや~、ついに届いてしまいました、「パソコン回収のための『エコゆうパック伝票』」が。
 これでいよいよ、10年以上連れ添ってきたこの「ウィンドウズMe 」搭載のデスクトップちゃんともお別れとなるわけでございます。確か、大学時代の2001年12月23日に購入したんでしたっけ。
 あの時は、デスクトップパソコンがそんなにデカいものだとも思ってなかったんでねぇ。ムリして自転車の荷台にズドンと乗っけて、1駅はなれたアパートまでひいていったんでしたっけ。「家に持っていく」という行為だったのに、なぜか頭の中で真逆の『ドナドナ』がリフレインで流れていたものです。あんなに重いものだったとは……

 パソコン会社さんのホームページの説明によると、回収までに1ヶ月以上はかかりそうな気配があったのですが、リサイクル費用の支払伝票と今回の伝票が意外と早く届いたので、結局は昨年末に申し込みをして1月中での回収ということになりました。思ったよりも早くてよかったよかった。

 最終的にはこの伝票をはっつけたデスクトップを近所の郵便局に運んでいってお別れということになりますので、ほんとうのさよならは来週月曜以降ですね。

 このMe ちゃんには本当にお世話になりましたよ……

 まぁ、ニコニコ動画とかgoogle MAP は観られないし、検索したページが開けないというのも日常茶飯事だったわけですが、今となってはすべてがいい思い出だわ。

 この『長岡京エイリアン』での、「ざっくりすぎるアイドルグループ史」最大の激戦「AKB48の章」の、あらかた打ち終わった段階での夜明けのフリーズ。あれ、きいたぜ……

 比較するのもおこがましいのですが、かの大作家・与謝野晶子は、自身の『源氏物語 全訳』が自宅の焼失によって残らず失われてしまったのちも、失意に暮れる暇も惜しんで敢然と再度の全訳に取り組み、あらためてそれを完成させたという。

 「不屈の精神をもってふたたび立ちあがること」のすばらしさを私に教えてくれたMe ちゃん。今まで本当にありがとう!


 とは言いつつも、私のふとんのわきにはかれこれ1ヶ月近く、起動を今か今かと待ちわびている新型ノートパソコンが……

 これでDVD が観られるようになる! ウッヒョヒョ~!!

 デスクトップへの哀惜の念もそっちのけで、「なっにかっらみっよおっかなぁ~☆」と、2年ちかくホコリをかぶっている自分のDVD 棚をニヤニヤしながら見つめている私。嗚呼、逃れようのないヒューマンビーイングのあさはかさよ。

 DVD といえば、私が観られない状況になっているあいだに、近所のレンタルショップがつぶれちゃったのよねぇ。でっかい大学が近くにあるから繁盛してないことはないと思ってたんですけど、そうでもなかったみたい。
 昨今はやっぱり、ツタヤみたいな大型チェーンでないと、かの業界も厳しいんでしょうか。いろいろ借りようと思ってたんで残念だなぁ。


《これだけは言っておきたいハプニング》
 あの、こんな内容をつづっていたので、「まさか、まさか……」とは思っていたのですが、ここまでの文章を打ち終えた段階で、やぁっぱりこのMe ちゃんがフリーズしました!!
 みなさん、やっぱり機械にも確実に「ゴースト(心)」というものは存在します。私は今回あらためて、「10年もつきあえばパソコンも多少は『つくも神』っぽくなってくる。」という事実を再認識しました。
 たかがパソコンと言わず、使っている以上は大切に気づかってふれあっていきましょうね!
 ……ここで最後の打ち直しをすることになろうとは……ごめんねごめんね~!!


 さて、そんなこんなで近々DVD も観られるしインターネット環境も良くなることとなった私なのですが、それでも依然として観られない状況になっているのがTV なんだなぁ。

 というか、私としましては、TV を「観られない」というよりは「観ない」という方向にますますかたむいていくようになりました。
 まぁ、大河ドラマとか、同じNHK で今やってる、私の大好きな小説家・辻村深月先生の原作ドラマ『本日は大安なり』とか、日本テレビの深夜ドラマ『数学女子学園』とか、うわさに聞いて観たくてしょうがないものもあるにはあるんですが、そのためにテレビジョンを1台買っちゃうのも、今さら、ねぇ。
 それに、最近のテレビは上に「ふくすけ人形」とか「マトリョーシカ」を置くスペースがないんでしょ? 情緒がないなぁ~。そんな殺風景なものはちょっといらないかな。

 パソコンが新しくなったのでTV チューナーを買うという選択肢もできましたが、まだまだNHK に受信料の支払いを申し込むことにはなりそうにありませんね。なんかおもしろい番組ってなぁ~い?

 あと、私がTV を観ない理由には「ひかれる番組が少ない」ということの他に、もっと大きなパーセンテージを占めるものとして、


ラジオが十二分におもしろい!!


 ということがあるんですよね。これはもう、言うまでもありません。

 私自身は、まず中学~高校時代に地元・山形で勉強がてらにラジオを聴いていた経験があったのですが、大学時代はほぼまるまる視聴せず。
 で、卒業付近に先輩がおもしろいおもしろいとおっしゃっていたTBS ラジオの人気番組『コサキン DE ワァ~オ!』を聴きはじめたあたりから熱がまたじょじょに復活してきて、2年前からの脱TV 生活によって人生最大のラジオ全盛時代が開幕してしまったというあんばいです。


 特に意味はないんですが、これも10年くらいたって見なおしてみたらけっこう味わい深い記録になるかも知れませんので、2011年に私が基本的に聴いていたラジオ番組の一覧をまとめてみました。
 こういうことができるのが個人ブログの楽しさなのよねぇ~。


そうだいラジオ手帖

月曜から金曜
8時30分~13時
『大沢悠里のゆうゆうワイド』(TBS ラジオ 954キロヘルツ)
 パーソナリティ …… 大沢 悠里
 アダルトな雰囲気むんむん! 魅惑のアシスタント陣
 月曜 …… 西村知江子
 火曜 …… 佐田玲子(さだまさしの御令妹)
 水曜 …… 見城美枝子教授
 木曜 …… 陣内貴美子
 金曜 …… お色気さこみちよ

『ゆうゆうワイド』殿堂の名物コーナー
・10時30分~11時
 『毒蝮三太夫のミュージックプレゼント』
  パーソナリティ …… 毒蝮 三太夫
・11時35~45分
 『永六輔の誰かとどこかで』
  パーソナリティ …… 永 六輔
  アシスタント  …… 遠藤 泰子
・12時20~30分
 『小沢昭一の小沢昭一的こころ』
  パーソナリティ …… 小沢 昭一

15時30分~18時
『荒川強啓 デイ・キャッチ!』(TBS ラジオ 954キロヘルツ)
 パーソナリティ …… 荒川 強啓
 アシスタント  …… 杉浦 舞

22時~深夜1時
『ニュース探究ラジオ Dig(ディグ)』(TBS ラジオ 954キロヘルツ)
 曜日がわりパーソナリティ
 月曜 …… 外山惠理・カンニング竹山
 火曜 …… 外山惠理・神保哲生
 水曜 …… 外山惠理・荻上チキ
 木曜 …… 江藤愛・藤木TDC
 金曜 …… 江藤愛・大根仁

深夜0時50分~1時
『サンドウィッチマンの10分もらえたぜ!』(TBS ラジオ 954キロヘルツ)
 パーソナリティ …… サンドウィッチマン

深夜1~3時
『JUNK 』(TBS ラジオ 954キロヘルツ)
もはや中毒! ハズレなしの豪華パーソナリティ陣
月曜
『伊集院光 深夜の馬鹿力』
火曜
『爆笑問題カーボーイ』
水曜
『山里亮太の不毛な議論』
木曜
『おぎやはぎのメガネびいき』
金曜
『バナナマンのバナナムーンGOLD 』


月曜・水曜から金曜
13時~15時30分
『小島慶子 キラ☆キラ』(TBS ラジオ 954キロヘルツ)
 パーソナリティ …… 小島 慶子
 信頼のブランド! 充実アシスタント陣
 月曜 …… ビビる大木
 水曜 …… ライムスター宇多丸
 木曜 …… ピエール瀧
 金曜 …… 水道橋博士


月曜
18時~18時30分
『パックンマックン・海保知里の英語にThank you!』(TBS ラジオ 954キロヘルツ)
 パーソナリティ …… パックンマックン
 アシスタント  …… 海保 知里


土曜
8時30分~13時
『土曜ワイドラジオTOKYO 永六輔その新世界』(TBS ラジオ 954キロヘルツ)
 パーソナリティ …… 永 六輔
 アシスタント  …… 外山 惠理

13~15時
『久米宏 ラジオなんですけど』(TBS ラジオ 954キロヘルツ)
 パーソナリティ …… 久米 宏
 アシスタント  …… 堀井 美香

15~17時
『サタデー大人天国! 宮川賢のパカパカ行進曲!!』(TBS ラジオ 954キロヘルツ)
 パーソナリティ …… 宮川 賢(まさる)

21時30分~深夜0時30分
『ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル』(TBS ラジオ 954キロヘルツ)
 パーソナリティ …… ライムスター宇多丸

深夜0時30分~1時
『夢☆夢 Engine!』(TBS ラジオ 954キロヘルツ)
 パーソナリティ …… 松尾 貴史
 アシスタント  …… 岡村 仁美

深夜1時~早朝5時
『ROCKETMAN SHOW』(J-WAVE ラジオ 81.3メガヘルツ)
 パーソナリティ …… ロケットマン(ふかわ りょう)
 アシスタント  …… 平松 政俊


日曜
10~12時
『安住紳一郎の日曜天国』(TBS ラジオ 954キロヘルツ)
 パーソナリティ …… 安住 紳一郎
 アシスタント  …… 中澤 有美子

12時30分~13時
『千葉ドリーム! もぎたてラジオ』(TBS ラジオ 954キロヘルツ)
 パーソナリティ …… 森田 健作
 アシスタント  …… 山田 愛里

13~17時
『爆笑問題の日曜サンデー』(TBS ラジオ 954キロヘルツ)
 パーソナリティ …… 爆笑問題
 合いの手がおもしろいんだよなぁ~ 部員にいてほしいアシスタント陣
 月第1・2週   …… 江藤 愛
 月第3・4週   …… 竹内 香苗
 月第5週     …… 外山 惠理

18時~18時30分
『村上ゆきのスローリビング』(TBS ラジオ 954キロヘルツ)
 パーソナリティ …… 村上 ゆき

22時30分~23時
『今晩は 吉永小百合です』(TBS ラジオ 954キロヘルツ)
 パーソナリティ …… 吉永 小百合

深夜0時~0時30分
『林原めぐみの Tokyo Boogie Night 』(TBS ラジオ 954キロヘルツ)
 パーソナリティ …… 林原 めぐみ

深夜0時30分~1時
『高見沢俊彦のロックばん』(TBS ラジオ 954キロヘルツ)
 パーソナリティ …… THE ALFEE 高見沢 俊彦


 ざっとこんなラインナップですね。
 いや~、自分でびっくり。たった「2局」の番組しか聴いてません。あとはたま~にNHK-FM を聴いているくらいでしょうか。
 24番組中、23がTBS ラジオですって奥さん! そんなに強い思い入れがあるわけではないのですが、なんとなく満足しちゃうんだよなぁ~。

 もちろん、いちおう働かせていただいている身なので、上にあげた番組の全てを毎回かならずチェックしているというわけではないのですが(ポッドキャストは使わずに基本的にリアルタイムで聴きます)、それでも『JUNK』と『ROCKETMAN SHOW』は一応すべて聴いているでしょうか。何年間も聴いているというわけではないんですけど。『ROCKETMAN SHOW』なんて、聴きはじめたのは親しい人からすすめられたのがきっかけで去年の秋からですからね! それまでは「超短波放送はいけすかない」という差別意識が少なからずあったのですが、見事にうち砕かれました。シャカの植松さんはおもしろいなぁ。
 実は『ROCKETMAN SHOW』のウラにあたるTBS ラジオの『JUNKサタデー エレ片のコント太郎』(パーソナリティはエレキコミックとラーメンズの片桐仁)も大好きだったんですが……エレ片さん、ごめんなさい!

 ラジオ番組を楽しんでいてつくづく思うのはやっぱりパーソナリティの「声」の重要度の高さで、たとえばTV も動画もチェックできない私は林原めぐみさんの仕事のエピソードなんかさっぱりわからないのですが、それでもなんとなく聴いてしまう「声の魅力」があるんですよねぇ。極端な話、内容はおもしろくてもつまんなくてもどっちでもいいという。現時点での『JUNK』パーソナリティは、全員おもしろい上に自身のリズムもできあがっているからみんな聴いちゃうんだよなぁ。私は現時点では『おぎやはぎのメガネびいき』の升田尚宏アナウンサーがいちばん大好きです。


 「好き」というんなら、私としてはこの4名の女性の声が「すてき四天王」にあげられます。

1位 村上ゆき(『村上ゆきのスローリビング』)
2位 堀井美香(『久米宏 ラジオなんですけど』『高見沢俊彦のロックばん』)
3位 杉浦舞(『荒川強啓 デイ・キャッチ!』)
   ※時折みせる荒川さん以上のしっかり感がすばらしい
4位 竹内香苗(『爆笑問題の日曜サンデー』)
   ※時折、太田さんに乗っかって陰から田中さんに投げつけるS発言がたまらない


 村上さんの、この上なく水彩画的なあわーい声がもうほんっとに大好き!! 弱いんですよねぇ~、こういう声のひとに。


 でも、いろいろ聴いていますが、そろそろまったく別の局の番組も開拓してみたくなってきましたねぇ。やっぱりいっちゃう、『オールナイトニッポン』?
 なんか、おもしろいおすすめの番組ってありませんかねぇ?


 そうだ、せっかくラジオ番組の話をやったんだし、次回は昔に地元で聴いていたラジオ番組の記憶でも、思い出せるかぎり復元してみましょうかね。

 なつかしいな~、背伸びして聴いてたっけなぁ、FM のキムタク~!!
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美は乱調にあり  今だからこそ久住小春・驚異のこはるんランド 脱出口

2012年01月18日 23時43分26秒 | すきなひとたち
 どもども、こんばんは~い。そうだいでございますよっと。
 いや~、ここ数日はあったかくなる気配もあんまりないしインフルエンザもはやってるらしいしで、まだまだ気をゆるめられない真冬が続いておりますなぁ~。


 あの~、まぁ前回までなんやかやと「月島きらり starring 久住小春」という恐るべきアイドルに感服した次第をつづってきたわけなのですが。

 やっぱり、「歌手の魅力」はその「歌」そのものを聴いていただけないとわからない部分も大きいと思うんです。なんで、いくらこの『長岡京エイリアン』でつたない文章を使ってそのスゴさを説明しようとしても、おのずと限界が見えてきてしまうのが非常に私は無念なんですね。

 ただ、私が少なくとも、これらの2枚の CDアルバムを聴いてみて、楽曲のリズムや歌詞を通じてわかる音楽プロデューサーの才覚や、ぶっ飛んだ内容の歌をかわいく唄う久住さんの歌唱「だけ」によって感動したのではないということだけはよく覚えておきたいんです。
 つまり、確かに前回にあげたようなとてつもない歌の数々、それらが作られたということ自体もすごいはすごいのですが、最終的にいちばん感動したのは、そういった海のものとも異次元世界のものともつかない難曲たちを、まさに「これ、わたしの歌~!!」と喜々として自分のものにしようとして、しかも見事にそれをやりおおせてしまった久住さんの小細工を弄しない正面突破の姿勢なんですね。歌のうまさや演技力ではない、身体の芯からくる「真摯さ」と「強さ」にうをを!と感動してしまったわけなんです、あたしゃ。


 前回にもふれましたが、言わずと知れたハロー!プロジェクトの天才プロデューサー・つんく♂さんは、この「月島きらり」としての久住さんの楽曲のプロデュースはいっさいおこなっていません。
 月島きらりの楽曲に関してはっきりした「チーフプロデューサー」はいないらしいのですが、『きらりん☆レボリューション』のテーマソングに使用されていたような主要な楽曲は、前回に名前のあがった作詞家の方々と、迫茂樹(『バラライカ』)、吉田勝弥(『Loveだよ☆ダーリン』『恋の魔法はハビビのビ!』)、他には『おどるポンポコリン』の織田哲郎、フレンチ・キスの『カッコ悪い I love you!』の黒須克彦、『ハレ晴レユカイ』の田代智一といった複数のアーティストの作曲で制作されていました。

 つまりは、いろんな楽曲はあるものの一貫した「方向性」や「世界観」が通底していたモーニング娘。の諸作と違って、月島きらりの作品にはある程度の「作品ごとの顔の違い」ができていたわけなのですが、正調のアニメ主題歌といい実験テイストむんむんのアルバム収録曲といい、すべての楽曲をひとつにまとめあげていたのは、これはもう、どうしようもなく個性的な久住小春「その人」だったといってよいでしょう。ここがガッチリしてるんだよなぁ。

 なんと言ったらわかりやすいのか難しいのですが、久住小春という歌手の魅力は、「音程のぶれ」というプロの歌手にあるまじきウィークポイントを、むしろドレスのフリフリのような「装飾」のごとく楽曲全体にあしらうという、そのコペルニクス的転換にあるといってよろしいでしょう。
 比較がわかりやすいのでまたここでも引っぱり出してきてしまうのですが、高橋愛さんのスタイルが「ゴシック」だとするのならば、久住さんのスタイルはこれ「バロック」! 崩してナンボ、カジュアルでナンボというわけなのです。

 最初に久住さんの楽曲を聴いた時、私はビックリして誰か雰囲気の似た歌手はいないものか……と考えてみたのですが、しいて言えば「歌手」じゃなくて「ラジオパーソナリティ」をやっている時の中島みゆきさんと、『ねらいうち』などのソウルフルな楽曲を熱唱している時の山本リンダさんを連想しました。
 要するに、声のふれ幅や高低のぶれが尋常じゃなくぐわんぐわんしているので決して「聴きやすい歌声」ではないのですが、なにかしらうまさじゃないところで人の耳を引きつける「熱」があるんですね。


 前回に紹介した楽曲のように、アルバムの中にはそ~と~ふざけた内容の歌詞もあって、たとえば『はなをぷーん』で引用した、

「あと何分? あと1分! はなをぷーん!」

 というくだりは、なんと「歌い手が歌唱中に曲の残り時間を確認する」という、およそプロの歌手にはあるまじき態度が明確に作品に投影された古今未曽有の衝撃的瞬間です。疲れたロックバンドか!?

 いくら「ぷん」で韻をふんでいるからとはいえ、こんな歌を生半可な歌手が唄ってしまったら「ふざけんな!」となってしまうわけなのですが、これを久住さんが心から楽しんで唄ってるから、なぜか何回も飽きずに聴けてしまう名曲になっちゃうんですよねぇ。みなさんもヒマがあったらぜひとも聴いていただきたい!

 また、どなたがキャスティングされたのかはわからないのですが、この『はなをぷーん』を歌唱しているアイドルデュオ「きら☆ぴか」で、久住さんの相方をつとめている℃-uteの萩原舞さんの歌声がいいんだなぁ!
 この萩原さんの、当時若干11歳とはとても信じられない落ち着いてクールな声が久住さんの熱さと好対照でいいコンビネーションなんですよ。藤本美貴さんの歌唱法に通じる「裏声のさし込み方」がミョ~におとなっぽくて、調べてみるまでは萩原さんが久住さんの4歳も年下だったとは思いもよりませんでしたよ。


 ここまでの文章をたどってみると、私は「ヘタでもアツいからいい」という見方で久住さんのことをほめているような感じなんですが、ことはそう簡単でもない。
 昨今の「アイドルブーム」と呼ばれる活況の中で、歌のうまさでない部分でがんばるグループの姿は多く見受けられるのですが、そのいつわりのない努力に感心はするものの、私自身は「アツさでなんとかしようとする」というか、「若くてかわいいんだからカンベンして!」という言い訳が見え隠れしているようでいまひとつついていけません。そういったあたりと久住さんとの間には大きなへだたりがあるんだなぁ。


 私はどちらかというと、当時の久住さんの「アツさ」よりも、「アツさを選択した迷いのなさ」が好きなんですね。

 前回のラストで、私は「高橋愛さんは柳生新陰流で久住さんは薩摩示現流」と言いましたが、これはつまり、攻防を理論的に分析して有利に導こうとする正調のプロフェッショナルにたいして、とにかく乾坤一擲、自分が反撃されて手傷を負うリスクをしょってでも、絶叫とともに相手の間合いに飛びこんで渾身の一撃で勝ちをつかむことに命を賭ける示現流に、久住さんのスタイルを観た気がしたからなのです。

 あの時、モーニング娘。にいて少なからぬ苦労を体験した久住さんだからこそ到達できた、迷いの消え去った驚異の新天地・こはるんランド。

 久住さん、またソロやってくんないかなぁ。「ドリームモーニング娘。の最年少」という認識にとどまるにはあまりにももったいない大器です!

 今年でやっと20歳。百花繚乱の春はこれからだよ~☆彡
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美は乱調にあり  今だからこそ久住小春・驚異のこはるんランド 本館

2012年01月16日 14時15分06秒 | すきなひとたち
 がみぇんばぁ~。どうもこんにちはっ、そうだいでございます。

 もうどんどん進めていっちゃいましょう! いざ、空前絶後の一大眩惑パノラマ「こはるんランド」の驚愕の全貌へ。


『☆☆☆(みつぼし)』(2007年2月)
『きらりん☆ランド』(2007年12月)
 どちらも、月島きらり starring 久住小春(モーニング娘。)


 だいたい、久住小春さんが当時在籍していたモーニング娘。の中でどういった味わい深いポジションに位置していたのかはすでにふれました。

 その久住さんが演じているというアーティスト名「月島きらり」とはいったい何者なのかといいますと、これは当時の人気少女マンガ・アニメ『きらりん☆レボリューション』の主人公の名前でした。

 『きらりん☆レボリューション』は2004~09年に小学館の月刊少女マンガ雑誌『ちゃお』で連載されていた大人気タイトルで、作者は中原杏(なかはら あん)。
 この作品はマンガのみの時期から高い人気を集めて連載を延長していき、さらに2006年4月から、テレビ東京の毎週金曜夕方6時枠でアニメ放送が開始されたことによって人気はさらに爆発しました(マンガ連載もアニメ放送も2009年まで)。

 で! このアニメ版『きらりん☆レボリューション』で主人公の月島きらりを演じていたのが、声優初挑戦にして初主演の久住小春さんだったというわけなのです。大抜擢!

 『きらりん☆レボリューション』のおおまかなストーリーは、人気男性アイドルグループのメンバーに恋をしたフツーの中学生きらりが、その子にアタックするためにみずからアイドルの道をめざすというもの。
 まぁ……初動の動機はどうしようもなく不純ですが、結果的にお話の中では多くの人々を熱狂させる日本一のアイドルになっていたのですから良しとしましょう。

 アニメが放送されていたのは2006~09年ということで、この時期にはすでに同じ少女向けのお化けコンテンツ『プリキュアシリーズ』(テレビ朝日で毎週日曜朝放送)が2004年から始まっていたのですが、『きらりん☆レボリューション』は小学生女子を主なターゲットとしたサクセスストーリー、『プリキュアシリーズ』は幼稚園児などの未就学女児をターゲットとした変身魔法少女もの(マンガ化などの出版媒体は講談社)ということで、きっちりすみわけができていたんですねぇ~。うまいもんだなぁ。


 さて、久住さんが主演して「放送期間丸3年」というロングランヒットアニメとなった『きらりん☆レボリューション』は、本物の現役人気アイドルが架空のアイドルの音楽活動も実際につとめるということで、かなり本格的に「アイドル・月島きらり」の新曲が制作されていくこととなりました。
 ついでに言うと、久住さんと直接の関連はありませんが、このアニメ『きらりん☆レボリューション』の音響監督をつとめていたのは、声優としていわずと知れた絶大な人気をほこるあの千葉繁さんでした。キャー! しげるー!!

 その結果、『きらりん☆レボリューション』はアニメ作品によくある「BGM 集」や「オリジナルドラマ集」とはまったく異なる、「テーマ曲集」をかねた純粋な「月島きらりの音楽オリジナルアルバム」が3枚もリリースされる活況を呈するようになったのです(ベストアルバムも出ている)。
 つまり、私のようにアニメ本編の知識や記憶にうとい人間でも、単純にこのCD だけを楽しむことは十二分にできるというわけなんですね。予備知識はいっさいいりません!

 今回、私が手に入れた2枚のアルバムは月島きらりとしての1st・2ndアルバムにあたるもので、アニメ放送の後期に制作された月島きらり、ならびに彼女の参加している3人組アイドルユニット「MilkyWay(ミルキーウェイ)」の楽曲は収録されていないのですが(1年後の2008年12月にリリースされた3rdアルバム『きらりと冬』に収録)、この2枚で魅惑のこはるんランドはじゅうぶんに堪能できました。おなかいっぱい!!
 ちなみに、アニメ『きらりん☆レボリューション』の最後のオープニング曲『タンタカターン!』とエンディング曲を作曲していたのは、現在あの「ももいろクローバーZ」のプロデューサーとしてつとに有名な前山田健一さんでした。ま、それは収録されてないんですけどね!


 本物のアイドルである久住さんが、役柄の「ふだんの声」だけでなく「架空のアイドル活動としての歌唱」も演じるという八面六臂の大活躍をサポートするかのように、この作品では彼女を取りまく他の女性アイドルの役も久住さんと同じハロー!プロジェクトに所属するアイドルが演じることが多く、月島きらりが中心となった編成として、

アイドルデュオ「きら☆ぴか」 …… 久住小春と℃-uteの萩原舞(久住の4歳年下で結成当時は11歳!)
・作品の中で2007年7月に結成

アイドルユニット「MilkyWay 」 …… 久住小春とハロプロエッグ(当時)の北原沙弥香(14歳)と吉川友(きっかわ ゆう 15歳)
・作品の中で2008年4月に結成
・2012年1月現在、北原は声優、吉川はソロアイドルとして活動しており、吉川の2ndシングル『ハピラピ Sunrise 』(2011年10月 つんく♂プロデュースではない)は自身最高のオリコンチャート4位を記録している

 といったかたちで、久住さんの後輩にあたる面々が活躍していました。
 萩原舞さんの所属しているアイドルグループ「℃-ute(きゅーと)」は、きら☆ぴかの結成された同じ年の春にメジャーデビューを果たしたばかりでしたが、インディーズとしてすでに2005年から活動を開始しており、『きらりん☆レボリューション』でも、声優としての出演の他にエンディングに℃-uteのインディーズ曲が採用されていたりしていました。それ……「インディーズ」?

 余談ですが、ここでの「モーニング娘。のメンバーが、ゲスト程度でなく本格的にアニメ声優としての主演に挑戦する。」という企画は、『きらりん☆レボリューション』に続いて、同じテレビ東京の毎週日曜午前9時30分枠で放送されていたサンリオ原作の『おねがい♪マイメロディ きららっ☆』での田中れいな(2008~09年)と、それに続く『ジュエルペット』での亀井絵里(2009~10年)の2作がありますが、これらでのオープニング・エンディング曲は、ハロー!プロジェクトとは特に関連のないアーティストが担当しており、純粋に田中さんとカメさんが主演をつとめているのみの関わりとなっています。まぁ、どちらも役柄が「普通の女の子」なので、作品内でオリジナル楽曲を唄う必要がありませんでしたから。
 でも、せっかくモーニング娘。のメンバーを起用しているんですから、こっちも主人公が自分でつくった歌を唐突に唄いだすようなスッ頓狂アニメにしてくれる気概がほしかったなぁ!


 話を「久住小春さんのソロ活動」という点に戻しますと、モーニング娘。在籍中に「ソロ楽曲中心のアルバムを3枚もリリースする」という規模の活動をおこなっていたメンバーは、2011年までの時点では後にも先にもこの久住さんただ1人です。

 一般的に、「ソロ歌手活動をしていたモーニング娘。メンバー」としては初代リーダーだった中澤裕子や、安倍なつみ、後藤真希、5代リーダーの藤本美貴といった名前があがりますが、中澤さんはグループ在籍中は演歌歌手としての活動だったために世間への影響は限定的で、なっち・ごっちんのエースペアは在籍中にアルバムはリリースしておらず、藤本さんも「ソロアイドルとして活躍したのちにグループに加入した」ということであって、在籍中にはソロ活動を停止していました。

 つまり、この「月島きらり」としての久住さんのソロ活動はそ~と~に前代未聞なこころみだったというわけなんですな。
 そして、それはアニメの中だけでなく現実の世界でも大当たりし、発表するソロシングルはオリコンチャート10位圏内の常連で「最高2位」という、母体のモーニング娘。の人気にも匹敵するような記録をおさめることとなったのです。

 高橋時代のモーニング娘。と久住さんのソロ活動は、とても同じ人物がそこにいたとは思えない味わいの違いを見せており、そのどちらもがヒットチャートをにぎわせていたというこの奇跡……久住さんはやっぱりタダモンじゃない!!


 さぁ、それでは潜入してみましょう。そんな輝かしい実績をきざむ久住小春、その魅力の本質がかいま見える、めくるめく驚異のこはるんランドへ……


オンナのコは いつだって 夢見る乙女なの
ピュアピュアな心で 恋して 愛して S! O! S!O!S!!
バラライカ バララライカ バラ ライラ カイカイ この想いは止められない
もっと乙女ちっくパワー きらりんりん ちょっと危険なカ・ン・ジ

 作詞・BULGE(バルジ 作詞作曲ユニット) 2代目オープニングテーマ『バラライカ』より


パスタみたいにまかれた~い! あなたの腕にからまるアタシ
チョリソみたいに辛口~?   子どもあつかいするならキライ
パスタみたいにまかれた~い! あなたのことがグルグルまわる
パスタみたいにまかれた~い! 好きなときだけ食べないでダーリン☆

 作詞・BOUNCEBACK(バウンスバック 作詞作曲ユニット) 『☆☆☆』収録曲『Spaghetti 』より


YOU KNOW WHAT I WANT NOW
キミキミ ニコニコ おなかはペコペコ 子猫の顔してニャ~ンコ
起きるの ムリムリ ごはんをモリモリ 子猫にかこつけニャ~ン
明るいプラン 明日への希望 起きたら食べて さぁ 残さずに!
スキ! キライ? ダメ・ダメ・ダメ・ダメ・ダーリン!!

 作詞・すやまちえこ  4代目エンディングテーマ『Loveだよ☆ダーリン』より


いろぱにぽぺと ぱまやらわー
「○」をつけたら あら不思議
いろぱにぽぺと ぱまやらわー
なんでも楽しく見えてくる
気になるあの子は ピロシくん
やさしくぽぽえみかけましょう
ハエはやだけど パエならオッケー!
パパとママは いいぷうぷ~

 作詞・YumYum  『きらりん☆ランド』収録曲『こんにちぱ』より


歌がヘタって言ったでしょ!
そんなあんたの はなをぷーん!
Aカップ?って聞いたでしょ!
そんなあんたの はなをぷーん!
まーる さんかく ながしかく
呼吸をするため 穴ふたつ
なんこつ ふにふに ふーにふにー
あなたとわたしは ピロロンピー
ハナは流れてピロロンピー
あと何分? あと1分! はなをぷーん!!

 作詞・YumYum  4代目オープニング曲『はなをぷーん』より


早く早く お願い愛して恋してスキして なんちゃって! ダーリン
愛をこめて ハビビのビ 恋の魔法 アイアイアイアイアイ
ジリリで目覚めた青空に オハヨな太陽ピカピカリン
会いたいキモチを飛ばしたら 全速力でドキュン
あぁ ビバビバよ 毎日って ステキねって ありり?
もう ノリノリよ 朝も昼も夜も 夢をのせて
キラリキラリキラララッキキ スキキラリン
ララリラリリ 唄って クルクルリンのリン
ふーわりふーわり 咲いてく 花びらに
ココロが染まってしまって うるる

 作詞・すやまちえこ  5代目エンディングテーマ『恋の魔法はハビビのビ!』より



 どうですか、みなさん!! スゲくね!?
 あの、気分がすぐれなくなった方はすぐに手をあげてください! この速度とバランス感はちょっとやそっとで馴れるモンじゃありませんから。

 私、子どもの頃によく、学校のトイレにまつわる怪談で「赤い紙を選んだら血だらけになる、青い紙を選んだら全身の血を抜かれて真っ青になる、黄色い紙を選んだら狂気の世界につれて行かれる。」っていうのを聞いたおぼえがあるんですが……

 たぶんその「狂気の世界」は、この「こはるんランド」に酷似したものなんじゃないだろうか。


 も~すごいでしょ!? 同時期のモーニング娘。のリアル恋愛路線とのギャップ!
 一連の「月島きらり楽曲」は、つんく♂さんがまったくタッチしていない作詞・作曲陣によってプロデュースされているのでテイストが異なっているのは当然なのですが、この「2極」を軽々と行き来していた久住さんのポテンシャルの底なしさたるや、推してしるべしでしょう。


 ただ、私がもっとも声を大にして言いたいのは、上のような楽曲の歌詞のぶっ飛び感ではなく、その尋常でないグルーヴとテンションになんなく乗っかり、非現実的で超常識的な「月島きらりの世界」を、これ以上ないくらいにナチュラルに「久住小春の世界」に吸収しきってしまっていた久住さんの「歌唱力」のすばらしさなのです。

 前回、確かに私は、久住さんにある歌唱力の難点や演技力の足りなさを指摘しました。

 しかし!! 「いい歌」というものは、必ずしも「正確な音程」や「破綻のまったくない演技力」のみから生まれるのではない。

 要は、敵であるのかも知れない無数の群衆の面前で、堂々と「わたしの歌」を唄いあげる、その「度胸」!!
 久住さんは、とにかくその「ものおじしない堂々たる根性」によって、モーニング娘。での場とは比較にならない「自由感」を月島きらりとしての活動で獲得することとなったのです。


音程が狂ってる? 演技力がない? そんなことはいいからさ、みんなが楽しんでくれたらい~いのっ☆


 すばらしい。この「腹のくくり方」は、まさしく本物の戦争をくぐり抜けた軍人の哲学です。勝てばいい! 戦国時代初期の名将・朝倉宗滴教景の格言を思い出すなぁ。

 字数がかさんできたので、久住さんの歌唱力の真のスゴさについては、また次回に持ち越しちゃいますが、簡単にわかりやすくたとえてしまいますと、


高橋愛さんの歌の魅力は「柳生新陰流」

久住小春さんの歌の魅力は「薩摩示現流」


 って感じなんですけど……

 えっ? ますますわかんなくなっちゃったって!? ゆるしてモナム~ル☆彡
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美は乱調にあり  今だからこそ久住小春・驚異のこはるんランド 入場口

2012年01月14日 14時13分14秒 | すきなひとたち
 がんばれ受験生!! どうもこんにちは、そうだいでございま~す。
 いっつも、センター試験当日は「曇天の厳寒のなか……」って印象が強かったんですけど、今年はまぁ、寒いは寒いものの、日もさしていいお天気になっておりますね。

 思い出せば、私の体験したセンター試験の日もそうとう厳しい天気で、山形だったから当然のように雪は降るし地面はアイスバーンになってるしでねぇ。もうツルッツル。
 みんな、転ばないようにスローで歩いてましたね~。当日に転んじゃったらシャレになんないから。
 そんな中でも転んじゃった人は、「2回やれば無効だ!」と叫んでもう1回わざと転んでました。
 周囲にとってはどう見ても首をかしげざるを得ない理論でも、言った本人が心の底からアツく信じているのならば、それは間違いなく「真理」になるのです。そんなことを強く感じた高校3年生の冬でした。


 受験生であれ誰であれ、最近はもうほんとに寒い日が続いちゃってね~。晴れてたって気温がなかなか高くならないんだからしょうがねぇ。
 空気の乾燥もけっこうなもんですからね。いろんな面で、春を待たなきゃいけない時期の今は、心も体も元気にやってかなきゃいかんわけです。

 こういうときには、やっぱり「いい音楽」を聴いて過ごしたいもんですよね!
 ということで、私は最近はこの2枚の CDアルバムをかなりの頻度で聴いています。


『☆☆☆(みつぼし)』(2007年2月)
『きらりん☆ランド』(2007年12月)
 どちらも、月島きらり starring 久住小春(モーニング娘。)


 これねぇ……かなり! いいんですよねぇ。単純に聴いてて心の温度が上がります。おもしろい!

 どっちも2007年のアルバムで、それぞれ CDのオビにはこんなことが書かれています。


『☆☆☆』
・テレビ東京系アニメ『きらりん☆レボリューション』主題歌『恋☆カナ』『バラライカ』を含む全10曲収録! みんな聞いてね!!

『きらりん☆ランド』
・テレビ東京系アニメ『きらりん☆レボリューション』主題歌『ハッピー☆彡』『チャンス!』を含む全11曲を収録!! みんな聞いてね!!


 いや~……そんなに2回も「みんな聞いてね!!」って言われちゃったら、そりゃあ買って聴かざるをえないだろう。お店でこれらのアルバムを発見した時、私の中に買うか買わないかの迷いはありませんでした。あと、レジにいた店員さんも「わかってくれそうな雰囲気」の男だったから。


 ところで、去年の春から夏にかけて、この『長岡京エイリアン』で『ざっくりすぎるアイドルグループ史』をやった時から、私の中で「久住小春(くすみ こはる)」という人物の存在は大いなるミッシング・リンクとなってわだかまっていました。

 なんてったって、久住さんにかんして知らないことが多すぎた!!


 最近になってやっと「モーニング娘。」に関心を持つようになってしまった私なんですから、久住さんの存在もまったく知るよしもなかったものの、それはだいたい、かつて私が TVに出てくるアイドルらへんに興味を持たなくなった「5期メンバー」以降のみなさんも同じこと。高橋愛さんの存在さえ知らなかったのよ……

 ただ、去年の一連の調べものでいろ~んな楽曲やバラエティ番組の企画を観ているうちに、多くのモーニング娘。5期以降のメンバーの輝ける個性や歌声の特徴をだいたい把握することはできるようになってきました。みなさん強烈な色を持っているアイドルなんですからね!
 また、実際に秋の日本武道館コンサートで最新「10期メンバー合格者」のお披露目をまのあたりにすることもできたし、その場での現役のモーニング娘。メンバーである「5・6・8・9期メンバー」もしかと確認することができたわけです。

 ……ん? 「5・6・8・9・10期」が現役?

 そ~オなんです。くだんの久住さんが該当する「7期メンバー」は、現在のモーニング娘。には在籍しておりません。
 っていうかぁ~! モーニング娘。の第7期メンバーは久住小春さんただ1名なのです。


 久住小春さんが、モーニング娘。新メンバーオーディションの結果、21600名もの応募者の中から1人だけの合格者として選び出されたのは2005年5月のこと。
 実はモーニング娘。の新メンバーとしては、2004年に開催したオーディションが「該当者なし」となっていたため、2003年の「第6期」3名いらい2年ぶりの待望の加入となりました。
 久住さんはなんと12歳の若さでのアイドルデビューで、そのころのモーニング娘。はリーダーが第4代吉澤ひとみ体制になったばかり。久住さんと入れ違いで、吉澤リーダーと同じ4期メンバーの石川梨華さんが卒業していました。

 その後、久住さんは2009年12月の卒業までに「4年半」モーニング娘。に在籍して活躍し、はなやかな吉澤リーダー時代、ちょっとだけの藤本リーダー時代、そしていぶし銀の高橋リーダー時代という激動の娘。史を「エース格」として駆け抜けていったのです。

 それなのに!! そ・れ・な・の・に~、特に「歌手グループ」としてのモーニング娘。の中で、な~ぜか久住さんの存在感はうすかったような気がするんです。

 どうしてなのかって言いますと、それはやっぱ……久住さんの「歌声」というか「声質」というか「個性」に、なかなか御しがたい(ぎょしがたい)ものがあったのではないかと。


 そう、ここ!! この、「御しがたい」という表現を私はおしたいんですね。「ヘタ」とか「音痴」とか「あわない」といった言い方で片付けられるほど久住さんはこぢんまりした存在ではないのです。
 御しがたい……当時のモーニング娘。の選んだ路線では、久住さんがその輝かしい個性をいかんなく発揮してアイドル街道を思うさま疾走することは難しかったのではなかろうかと。

 信号や曲がり道の多い日本の街道でアメ車を運転しても、アメ車の「ほんとうの良さ」を味わうことはできないという……万物にはすべからくそれぞれの「適性」というものがある。

 モーニング娘。というグループの中では、公式に「リーダー」という立場は決まっているのですが、人気者というか、グループのセンターに位置することの多い「エース」というポジションははっきりと決まっているわけではありません。

 決まってはいないのですが、「ただ1人の合格者」という意味では久住さんの先をいく存在だった、現在のモーニング娘。というアイドルグループができあがるための「最大のハプニング因子」となった「マッキングゴールド」こと第3期メンバー・後藤真希が、2002年9月に在籍3年で早々に卒業してソロ活動に専念。そして、1997年の結成時から一貫してグループの顔となっていた「なっち」こと安倍なつみが、2004年1月についに卒業。

 こういったかたちで、一般的に「モーニング娘。のエース」といえばすぐに名前のあがるこのお2人がグループを去って以降、そのあとを継いだのは第5期メンバーにして2007年6月~2011年9月の長きにわたって「モーニング娘。第6代リーダー」の立場を守り抜いた高橋愛さんでした。

 いうまでもなく、モーニング娘。のエースは確定していない上に「1人じゃなきゃいけない」というルールもないので、その時期その時期の各媒体の見方によって、高橋さん以外にも石川梨華、藤本美貴(第5代リーダー)、そして現在も在籍している田中れいなさんといった面々がエースと呼ばれることもあり、先ほども言ったようにその中に久住さんも入っていたわけなのですが、こと「歌手グループ」としてのモーニング娘。にとって、高橋愛さんほど「エースにふさわしいエース」はいなかったと言ってよろしいでしょう。

 高橋さんの参加している時代のモーニング娘。の楽曲を1曲でも聴いていただければわかるかと思うのですが、歌手としての高橋さんの能力と存在感はハンパありません。
 まぁ~、筋金どころかバリバリ鉄筋・鉄骨入りの信頼感なんですね。音程の安定感、呼吸の取り方、声の迫力、顔の表情……すべてがうますぎる!
 その魅力は、まさしく王道をゆく「揺るぎない正調の安心感」。そこから伝わってくるメッセージは聴く者の心にストレートにつきささってきます。

 そして、歌のひとふしひとふしにこめる情念というか、演技力もとてつもないものがあったため、特に高橋さんがリーダーとなって以降のモーニング娘。は、非常にアダルトな歌詞世界が積極的に展開される作品が増えていくようになったのです。
 アダルトというのは決して「歌詞がエロい」というわけではないのですが、

『女に幸あれ』(34th シングル)、『リゾナントブルー』(36th )、『泣いちゃうかも』(38th )、『なんちゃって恋愛』(40th )

 といった名曲の数々は、「失恋」「別れ話をきりだしたい」「恋愛を楽しめない」「人を愛することがこわい」などという、およそワーキャー言われる大人気アイドルグループが唄いあげるようには思えないテーマを掘りさげたものが多く、そんな中でも究極と言える、2009年5月リリースの39th シングル『しょうがない夢追い人』が、モーニング娘。にとっての最後のオリコンチャート1位獲得作品になっている(2011年12月までの時点)とは、ねぇ。
 こんな深すぎる内容の歌が、一時的にせよ「いちばんヒットしている楽曲」になっていた当時の日本って……そんなに暗い世情だったのでしょうか。

 ともあれ、こういった「アイドルぎりぎり」のラインを堂々と走り抜くことができた「高橋時代」のモーニング娘。の実力は非常に充実したものがあったわけなのですが、そのさなかにメンバーとして所属していた久住さんが、「ただ1人の7期メン」でありながらもいまひとつ目立つことができなかったのは、やはりその本質と当時のグループの「アダルト路線」とのあいだに浅からぬ「溝」があったからなのではないかと。

 高橋愛という「希代の才能」と比較するだけ酷な話なのですが、久住さんの歌声には、「歌詞の人格になりきってうまく演じきる」という点で、上のような数々の曲の中に入りきれない「演技力のなさ」があったのです。そして、そこを自由自在に行き来してグループの中心になることのできた「名女優」こそが高橋さんだったと。
 音程が安定しないという問題もあったのでしょうが、「楽曲以外での立ちまわりを上達させる」という方向もあったものの、そっちのほうは、同じように音程の安定しなかった道重さゆみさんがすでにそのポジションを確立しており、はなやかな顔立ちや長身だったがために「所在のなさ」もよけいに目立ってしまっていた久住さんのグループ内での存在意義はじょじょに「悲しみトワイライト」となっていったというわけなのです。うまくねぇ~!


 しかし、ここまではモーニング娘。の中での久住さんについて感じたあれこれだったのですが、それでも私の中には消え去らない疑問があったのです。

 かりにも、オーディションで「2年間の歳月」をかけた末に選ばれることとなった、数万人の中のたった1人の合格者なんです……

 そこには必ず、経験はともなっていなくとも多くのプロの厳しい眼をして「おおっ、これは……!」と認めさせた原石の輝きがあったはず。
 そんな久住さんが「パッとしませんでした~。」でちゃっちゃと消えていくわけがない。

 彼女にはなにかある。当時のモーニング娘。では発揮できなかったなにかがあるはずなんだ!!


 そう確信したものの、具体的な「それ」がなんなのかをつかめないまま無為の時を過ごしていた私に、明快に「これだよ~☆彡」と回答を与えてくれたものこそが!! 今回の2枚のアルバムだったのです。

 これは驚きました……これが久住小春! こここそが彼女の真の独擅場!! まさにユートピア、桃源郷、天竺、エル・ドラドオ、驚異の「こはるんランド」だったのだッッ!!

 いや~、聴く直前までは「子ども向けアニメの主題歌なんでしょ~? しょせんはアイドルの片手間程度なのかもしれんなぁ。」といった一抹の不安もぬぐえなかったのですが……

 とんでもない!! ここでのキャラクター「月島きらり」としての久住さんの歌手活動は、グループでは見られることのほとんどなかった久住小春の輝きをいかんなく発揮させた、彼女にとってのかけがえのないキャリアだったのです。


 ちょっと話をとばして2012年現在のことに触れてしまいますと、言うまでもなく、久住さんは「ドリームモーニング娘。」10名の中の最年少メンバーとして活躍しており、そのために、

「先輩がまだモーニング娘。の中にいる(6期の2人)のに、それより先にドリームモーニング娘。にいっちゃった人。」

 として、昨年末以来の、ごく一部の人々のあいだでの無益ないさかいのやり玉に久住さんがあげられることも多いようです。

 そういったニュースを知るにつけ、「久住さんは10名前後のグループの中にいるべき人材ではないのでは……」と思っちゃうんだなぁ。
 ソロか、最大でも「3人組のリーダー」といった立場が最高なんじゃないかと。

 言ってみれば、久住さんはまさしく「奔馬(ほんば)」! 自分の思うさまに、おもむくままに走る姿こそが人々に元気や笑い、そして感動をあたえる最大の武器となるお人なのです。
 『三国志』でいえば「呂布奉先」、『信長の野望』でいえば「前田慶次」!!

 頭の良さや立ちまわりのたくみさで天下を取る曹操孟徳や徳川家康とはちょっと戦っているフィールドが違うんだな~。


 っつうことで! 前置きが長くなってしまったので、「こはるんランド」驚天動地のきらりん☆曼陀羅の詳細については、また次回のココロだ~い。

 いや~。本当に買って良かった。
 私、言うまでもなくアニメの『きらりん☆レボリューション』は1秒1コマも観ていないんですけど、もし! もし将来的に私に娘ができたとしたら、だんっぜんこの2枚のアルバムを聴かせて育てたい。

 久住さんの私の中でのイメージカラーは間違いなく「ピンク」なのですが、それは一見、人工的で攻撃的なショッキングピンクのようでありながら、実は非常に自然であたたかみのある、内面からかもしだされる「桃のほのかなピンク」だったんですなぁ。

 いい娘さんなんだよぉ~オイ!!
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新春・大河ドラマ対決!!  『平清盛』 VS 『新 平家物語』 がんばってちょーだい編

2012年01月12日 15時22分07秒 | 日本史みたいな
 キンッキンの寒さでございますねェ~! どうもこんにちは、そうだいです、ハイ。
 昨日も千葉は日中は多少晴れていたんですが、日が暮れる直前からにわかに雲がかきくもり、最終的に夜には雨ときどき雪という酷寒ぶりになってしまいました。今日もどこまでいっちゃうんでしょうか……たまんないなぁ。


 「雲行きがあやしい」というポイントで思いっきり強引にくっつけちゃうのが、前回に引き続いてのこの話題です。
 えっ? くっついてない? 強引すぎ? なにを今さら……これが『長岡京エイリアン』なのですよ。


NHK大河ドラマ『平清盛』歴代ワースト3位で発進 平均世帯視聴率17.3%
           (msn 産経ニュース 2012年1月10日の記事より)

 8日から放送が始まったNHK大河ドラマ『平清盛』の初回の番組平均世帯視聴率が17.3% だったことが10日、ビデオリサーチの調べでわかった。
 前作の『江 姫たちの戦国』の初回21.7% を下回り、2006年の『功名が辻』(初回19.8% 、最終的な平均視聴率は20.9% )以来、6年ぶりの20%割れ。1963年の大河ドラマ開始以来、歴代ワースト3位の発進となった。


 こんなニュースがきちゃったんで、この際だからとことん調べてみましょう。

 『平清盛』をふくめて51作ある大河ドラマのうち、初回視聴率が20% をわりこんでしまった作品は全部で8作ありまして、上にタイトルの出た2作品の他には、

『春の坂道』(1971年 主人公は柳生宗矩)・『花の乱』(1994年 主人公は日野富子)・『北条時宗』(2001年)

 といった面々が名を連ねております。う~ん、みなさん当然ながら日本史にその名を残す超有名人であらせられるわけなのですが、ドラマの主人公としては確かに……アレかな!!

 そして、気になる歴代初回視聴率ワーストランキングで、今年の『平清盛』をこえているという不名誉な記録を保持しているのはこちらの2作品!

ワースト2位 …… 『花神』(かしん 1977年 主人公は大村益次郎) 初回視聴率16.5%・平均視聴率19.0%
ワースト1位 …… 『春日局』(かすがのつぼね 1989年) 初回視聴率14.3%・平均視聴率32.4%

 意外ですかね? そうなんですよ。「初回」に限っては『春日局』がワーストを記録しているのです。

 でも、よくご覧ください。『春日局』は最終的には平均30% を超える大ヒットを果たしていたのです。
 じゃあ、なんで初回だけ記録的に低いのか? まるで「なにかの事情」があったとしか思えない悲劇的なスタートですよねぇ。

 ……あ、わかりました? ご名答! 実は『春日局』の始まった1989年1月といえば、激動の時代に幕を閉じる「昭和天皇の崩御」が日本全体の空気を重く包み込んでいた時期だったのです。

 崩御そのものは1989年1月7日のことでしたが、昭和天皇は前年の1988年9月から入院して危篤状態になられていたようです。
 『春日局』の初回は、歴代大河ドラマの中でもかなり珍しい「元旦」1月1日のバタバタのさなかでの放送となりご覧の結果となったわけです。なぜそんなに大急ぎのスタートとなったのか……その「1週後」あたりがXデーになるとNHK も察知していたのでしょうか。

 まさに、「本物の歴史的事象」が「つくりものの歴史劇」を軽く押しのけてしまった、その証拠こそがこの『春日局』の「初回視聴率14.3%」だったというわけなのです。重いですね~!

 さてみなさん。ここまでのところでは、初回視聴率20% 割れを記録した作品のタイトルは「7つ」しかあがっていませんね。
 8つあるうちの「残る1つ」はなんなのかと言いますと、ハイこれなんです!

『新 平家物語』 初回視聴率17.3% (平均視聴率は21.4% )

 ええ~っ!? 『平清盛』とおんなじ!!
 うむむ、恐るべし平家一門。滅亡から800年以上をへた今でも、こんな形でミラクルを起こすパワーを残しているというのか……地味すぎだけど。

 ということは、『平清盛』も回をおうごとにズンズン視聴率を上げていって、最終的には平均視聴率21.4% を記録してくれるのでありましょうか。
 天下の大河ドラマも、ここ2年間は「平均20% 台」をのがしていますからねぇ(最後は2009年の『天地人』)。がんばってもらいたいっすね!

 ちなみに、源平合戦をあつかった最近の作品『義経』(2005年)はというと、初回視聴率が24.2% で最終的な平均視聴率は19.4% でした。まずは、ここ超えていこ~。


 始まったばかりの『平清盛』をのぞく「初回20% 割れ」7作品のうち、それを挽回して「平均視聴率」が20% を超えたのは4作品。けっこうまき返してるじゃないですか。

 だが、しかし。

 平均視聴率が20% 台に乗らなかった3作品の内には、51作品のうちの最低平均視聴率「14.1% 」を記録してしまった『花の乱』があることも非常に気になります……
 『平清盛』に「応仁大乱」レベルの大カタストロフィが起きないことをせつに願うばかりです。

 でも、私個人は『花の乱』大好きでしたよ、マジで!?
 だってよォ、なんてったっておめぇ、『花の乱』は原作小説のないオリジナル脚本作品で、それを手がけたのはなにを隠そう、去年ついに M78星雲にもひとしい天界の住人となられた市川森一さんだったんだぜ!? 市川先生が既存の原作小説を脚本化した大河ドラマは他にもいくつかありますが、100% 市川ブランドの大河はこの『花の乱』だけ!
 しかも『花の乱』は、1993~94年の「2年間に3本の大河ドラマを制作する」という NHKの不思議な実験の最終作となってしまったために、前代未聞の「4月放送スタート」という初体験をしてしまうこととなり、ここが人間の習慣の恐ろしいところで、

「ええ~? 春から新しい大河ぁ?」

 という少なからぬ違和感を与えるものとなってしまったようなのです。『花の乱』はのっけから周囲の空気がアウェーだったんです!


 と、まぁ、ここまでさんっざん「視聴率がどうこう」いうお話に花が咲いてしまったのですが、ちょっと一言。


大河ドラマの質の善し悪しと視聴率はあんまり関係ない!!


 自分で自分のちゃぶ台をひっくり返してしまいましたが、私は本当にそう思うんですよ。

 たしかに「視聴率がいいものは大衆に迎合していてウソばっかり!」とか「悪いものは批判をあびるくらいの有意義なチャレンジをしたからだ!」という見方もあるとは思うのですが、私個人は、視聴率の善し悪しには作品の内容以上にもっと大きな要因があると思うんだなぁ。
 それは、


知ってる人がいっぱい出てるかあんまり出てないか。


 やっぱり単純にこっちのほうが大きくないですか?

 まぁ、今年の『平清盛』に関しては初回から「画面がきたない」「いや、それは作品の味わいだろう」という議論がなされているようなのですが、そういったことよりも、それ以前にキャスティング表を眺めたときに、

「え、平忠盛とか鳥羽上皇とか藤原忠実とか……だれ?」

 というとっつきにくさがまず最初に目立っちゃうんじゃないかと。ましてや、「平時子」とか「祇園女御」といった女優さんの演じる歴史上の人物のことを「あぁ~、ハイハイ。」とすぐにイメージできる人なんか、そう多くはないでしょう。


 ここが『平清盛』のきびしいところなんですよね……ほぼ同じ時代をあつかっていても、『義経』とか『草燃える』みたいに「ほんの1~2世代」くだるだけで、超有名人物や超有名バトルシーンのオンパレードになるのにねぇ。

 でも無論、そんなことは知った上での制作であるわけで、そこを役者さんの力で乗り越えてこその『平清盛』なんだ! 初回の視聴率なんか気にするない!!


 ということでくわだてたのが、前回の「ドキ☆ドキ☆ 新旧役者さん合戦」だったというわけなのです。

 上のようなアウェー事情のために、そうとう気合いの入った実力派の顔ぶれが集結した感のある今年の『平清盛』。
 少なくとも序盤のキャスティングを見るかぎりは、「格闘家が見た目だけで武将にキャスティングされている。」「超有名ダンスポップグループの人気メンバーが見た目だけで主人公の2番目の夫にキャスティングされている。」といったチャラッチャラしたお遊びの雰囲気はみじんも感じられません。お笑い系出身の人は確かにいますけど、総じて超硬派!

 そして、その事情は対する『新 平家物語』にもけっこう似たものがあり、「大河ドラマ通算10作目!」という節目の作品となった『新 平家物語』は、当時の日本映画界や演劇界を代表する実力派スターたちが大集合する、その時点での「総決算」的な豪華キャスティングが話題となっていたのです。

 あと、もうひとつ忘れてはならない2作の共通点がありまして、それは、

「主人公・平清盛の死後も、物語が平家滅亡まで続く。」

 ということです。作品全体の完成度に関わる大きな問題ですね~!

 『新 平家物語』はタイトルの通り「平家一門の物語」ということで、主人公の仲代清盛はドラマの後半で無念の死去。全52回のうち、最後の「5回ぶん」は清盛不在の源平合戦が繰り広げられていき、原典の『平家物語』と同じく涙、涙の「大原御幸(おおはらみゆき 人の名前じゃないヨ)」シーンで堂々完結となっていました。

 そして、初回をご覧になった方ならご存じのように、『平清盛』もまた、「源平合戦をへて滅亡した平家一門の物語を、歴史の勝者である源頼朝が回想する」という形式で展開されていくようなのです。
 ここでかなり大事なのは頼朝役の語りと演技力であるわけなのですが…… TVが観られない、ゆえに NHKの受信料も払っていない私に発言権がないことは承知の上で言いますけど、そこを20代前半の青年がやるのはそ~と~な冒険よ!?

 これも、おそらくは「平清盛の最期でドラマを締めくくるのはドラマ的にあまりにももったいない」という考慮の末のことなのでしょう。まぁ、やっぱり壇ノ浦までは観たいですよね。


 いや~、どうですか、みなさん。前回にあげた2作品の俳優対決を観て。

 なかなか、「それ以外のキャリアの印象も強く付随している」昭和のみなさんと「これからもキャリアを積み重ねていく」平成のみなさんとをフラットに見るのは難しいことなのですが、主人公の「英雄っぽいのはどっち対決」ももちろんのことながら、


「昭和 VS 平成のかわいい対決」 玉緒 VS フカキョン

「昭和 VS 平成の個性派対決」 小沢栄太郎 VS マルモおじさん

「昭和 VS 平成の薄幸顔対決」 タムラです VS ARATAあらため井浦新


 なんかは見逃せませんね。
 でも、私としてはやっぱり、

「昭和 VS 平成のダーティな腹心対決」 山崎努 VS 森田剛

 が気になるんだよなぁ~!
 そりゃもう、キャリアやインパクトで言ったら山崎さんが圧倒的であるわけなのですが、30の坂を越えて、もはや「アイドルが出てま~す」的な雰囲気はきれいさっぱり消え去ってしまった演技派の GO!森田さんが、これからどういった「平家の栄華の暗部」ともいえる汚れ仕事を一手に引き受けていくのかに注目……したいけど TVが観られない。

 しっかしねぇ~、あんまり歴史的にはパッとしてないかも知れませんが、


「昭和 VS 平成のダメダメ父子対決」
 森雅之・原保美・成田三樹夫 VS 國村隼・堀部圭亮・山本耕史


 はいいねぇ~!! おとこの肉汁がぼたぼたこぼれる味わいがあります。キャー! ミッキー!!

 このへんの、映画『源氏物語 千年の謎』におけるヒガシの子孫とはとても信じられない藤原一族の凋落ぶりはとってもおもしろいのですが、平清盛の一生の中ではほんの前半部分でさっさと退場してしまうのがいかにも惜しいです。


 実は私、「日本のヘンリー8世」とも言える「平安最大の帝王・白河法皇」の呪われた家族たちと藤原一族、そして新興勢力の平氏や源氏といった武士たちとの「下克上」の発端とも言える、

「保元の乱」(ほうげんのらん 1156年7月11日勃発)

 をメインにした時代劇が観たいんだよなぁ~。『平清盛』でもこれからやるわけなんですが、おざなりじゃなくてこ・こ・を!!クライマックスにしたスペクタクルが観たいの。
 だって、親と子が、兄と弟が、主人と家来がバカッと二手に分かれて、いちおう350年以上戦争のなかった京の都を舞台に血みどろの殺しあいを展開してしまうんですよ!? こわいねぇ~。

 保元の乱は、それ自体の戦闘時間は未明から朝方の4時間ほどだったし、規模も「数百人 VS 数百人」という、のちの源平合戦と比べるとささやかなものではあるのですが、平家の栄華、つまりは「武者の世」の直接のきっかけとなったこの戦争の意義は甚大なものがあります。


 できれば、これを中心にした大河ドラマ(主人公は崇徳上皇か藤原頼長)が観たいんですが……平均視聴率は8.2% ぐらいかな。

 んんン~っていうか、『平清盛』、みたいみたいみたいぃイ~!!

 こうして、自分の首を絞めるばかりの企画はおしまいとなるのでありましたァア~ん。
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