長岡京エイリアン

日記に…なるかしらん

新春・大河ドラマ対決!!  『平清盛』 VS 『新 平家物語』 下調べのムニエル編

2012年01月10日 12時07分14秒 | 日本史みたいな
 おぶぉあ~、つかれた! どうもこんにちは、そうだいです。

 今回の内容はもう、タイトルを見ていただいたとおり!!
 んもォオ~大変だったよ。いや、ただ調べただけなんですけど。

 要するに、同じ時代、同じ主人公をあつかった NHK大河ドラマどうしの、40年の時を超えた対決というわけ!
 いよいよ始まった『平清盛』のほうは、まだまだ全キャスティングが発表されている段階ではないのですが、いちおうざーっと重要そうな歴史上の人物たちを演じる、演じた俳優さんたちをならべてみました。

 やると思ったでしょ~? やるんです!! やらいでかやらいでかの『長岡京エイリアン』なんです!

 演じておられる俳優さんがたのカッコ内の年齢は、放送された時期のものとなっておりますよ。

 そりではそりでは、ズラズラッといってみましょ~。
 カウントしてないけど言ってみたいから、カウントぉ~、ダウン!!


第10作『新 平家物語』(1972年 原作・吉川 英治)
     VS
第51作『平清盛』(2012年 原作・藤本 有紀)


主人公・平 清盛(1118~81年)
 仲代 達矢(39歳) VS 松山 ケンイチ(26歳)

清盛の妻・平 時子(1126~85年)
 中村 玉緒(32歳) VS 深田 恭子(29歳)

清盛の父・平 忠盛(ただもり 1096~1153年)
 十七世 中村 勘三郎(言うまでもなく現在の勘三郎の父 62歳) VS 中井 貴一(50歳)

清盛の義弟(時子の実弟)・平 時忠(1130~89年)
 山崎 努(35歳) VS 森田 剛(32歳)
 ※『新 平家物語』では、時忠の少年時代役を現在の 二世 中村 梅雀(16歳)が演じていた

清盛のライヴァル・源 義朝(1123~60年)
 木村 功(48歳) VS 玉木 宏(32歳)

義朝の三男・源 頼朝(1147~99年)
 高橋 幸治(36歳) VS 岡田 将生(まさき 22歳)

頼朝の正妻・北条 政子(1157~1225年)
 栗原 小巻(26歳) VS 杏(25歳)

頼朝の弟・源義経の母・常盤御前(ときわごぜん 1138~?年)
※常盤御前は源頼朝の実母ではない
 若尾 文子(38歳) VS 武井 咲(えみ 18歳)

天皇家のドン・白河法皇(1053~1129年)
※「平清盛は白河法皇の隠し子である。」という噂は当時から有名だった
 滝沢 修(65歳) VS 伊東 四朗(74歳)

白河法皇のひ孫(実は白河法皇のじかの子)・崇徳上皇(1119~64年)
 田村 正和(28歳) VS 井浦 新(旧・ARATA 37歳)

崇徳上皇の弟(こちらは白河法皇の本当のひ孫)・後白河法皇(1127~92年)
 滝沢 修(二役) VS 松田 翔太(26歳)

後白河法皇の腹心・高階 信西(しんぜい 1106~60年)
 小沢 栄太郎(62歳) VS 阿部 サダヲ(41歳)

藤原摂関家(貴族勢力)のドン・藤原 忠実(ただざね 1078~1162年)
 森 雅之(61歳) VS 國村 隼(くにむら じゅん 56歳)

忠実の長男・藤原 忠通(ただみち 1097~1164年)
 原 保美(57歳) VS 堀部 圭亮(けいすけ 45歳)

忠実の次男・藤原 頼長(1120~56年)
 成田 三樹夫(37歳) VS 山本 耕史(35歳)

さすらいの天才歌人・西行法師(俗名・佐藤 義清 1118~90年)
 蜷川 幸雄(36歳) VS 藤木 直人(39歳)
 ※蜷川は当時すでに演出家としての活動を開始していたが、1970年代は俳優としても多くの作品に出演していた



おまけ対決!! まだキャスティングが発表されていないのでちょっと昔のやつと

第10作『新 平家物語』(1972年 原作・吉川 英治)
     VS
第44作『義経』(2005年 原作・宮尾 登美子)


源頼朝の弟・源 義経(1159~89年)
 志垣 太郎(20歳) VS 滝沢 秀明(22歳)

義経の腹心・武蔵坊 弁慶(?~1189年)
 佐藤 允(まさる 37歳) VS 松平 健(51歳)

平清盛の長男・平 重盛(1138~79年)
 原田 大二郎(27歳) VS 勝村 政信(41歳)

清盛の三男・平 宗盛(むねもり 1147~85年)
 勝呂 誉(すぐろ ほまれ 31歳) VS 鶴見 辰吾(40歳)

清盛の四男・平 知盛(とももり 1152~85年)
 松山 省二(せいじ 現・政路 24歳) VS 阿部 寛(40歳)

清盛の三女・平 徳子(とくこ 1155~1214年)
 佐久間 良子(32歳) VS 中越 典子(25歳)

北条政子の父で源頼朝のしゅうと・北条 時政(1138~1215年)
 加東 大介(60歳) VS 小林 稔侍(ねんじ 61歳)

頼朝のライヴァル・木曽 義仲(1154~84年)
 林 与一(29歳) VS 小沢 征悦(ゆきよし 30歳)

摂津系源氏(義朝や頼朝とは別系)の棟梁・源 頼政(1104~80年)
※頼政は、近衛天皇の時代(1142~55年)に都に現れた謎の怪物「ヌエ」を退治したという伝説がある
 芦田 伸介(54歳) VS 丹波 哲郎(82歳)

奥州藤原氏(東北地方の独立勢力)の当主・藤原 秀衡(ひでひら 1122~87年)
 加藤 嘉(よし 59歳) VS 高橋 英樹(60歳)


 その他、『義経』のおもなキャスティングはこんな感じでした。

 ヒロイン・静御前 …… 石原 さとみ(18歳)
 源頼朝      …… 中井 貴一(43歳)
 平清盛      …… 渡 哲也(63歳)
 平時子      …… 松坂 慶子(52歳)
 後白河法皇    …… 平 幹二朗(71歳)



さらなるおまけ
『平清盛』とカブる時代をあつかった NHK大河ドラマ作品とおもな俳優陣

第4作『源義経』(1966年 原作・村上元三)
 主人公・源義経  …… 四世 尾上 菊之助(現・七世 尾上 菊五郎 23歳)
 ヒロイン・静御前 …… 藤 純子(現・富司 純子 20歳)
 源頼朝       …… 芥川 比呂志(45歳)
 平清盛       …… 辰巳 柳太郎(60歳)
※主演の尾上と藤が交際を開始して1972年に結婚するきっかけとなった作品でもある

第17作『草燃える』(1979年 原作・永井路子)
※2011年までに放送された平安末期~鎌倉初期を舞台とした大河ドラマの中では、平均視聴率が最も高かった(26.3%)
 主人公・源頼朝   …… 石坂 浩二(37歳)
 ヒロイン・北条政子 …… 岩下 志麻(38歳)
 源義経        …… 国広 富之(25歳)
 平清盛        …… 金子 信雄(55歳)

第32作『炎立つ』(1993年7月~94年3月 原作・高橋克彦)
※主人公は東北地方の独立勢力・奥州藤原氏の歴代当主となっている
 藤原 秀衡 …… 渡瀬 恒彦(49歳)
 源義経    …… 野村 宏伸(28歳)
 源頼朝    …… 長塚 京三(48歳)
 常盤御前  …… 松田 美由紀(31歳)
 後白河法皇 …… 中尾 彬(50歳)


※大河ドラマ中、最も古い時代を舞台にしているのは第14作『風と雲と虹と』(1976年 原作・海音寺潮五郎)で、主人公は関東地方の地方貴族・平将門(903?~940年 平氏だが清盛の直系の先祖ではない)


 そんじゃま、詳しいあれこれは、まったじっかい~。
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2012年最初の映画はあえてこれだ  『源氏物語 千年の謎』 ぞ之帖

2012年01月07日 15時25分19秒 | ふつうじゃない映画
 わお~、今日も乾燥してるぜぇ~!! どうもこんにちは、そうだいでっす。
 ホンットに毎日毎日、判で押したように青空に寒風が吹きわたる好天が続いてねぇ。悪いことじゃないんですけど、くれぐれも火の元と流行り病には気をつけましょう。


 さてさて前回は、私が2012年お初の映画鑑賞に選んだ『源氏物語 千年の謎』(原作・高山由紀子 監督・鶴橋康夫)についてのあれこれを語っていたのですが、特に「不満」の部分が爆発しかけたところで文量が尽きてしまいました。まぁ、前半で関係のない「初もうでサプライズ」を長くやってしまったせいなんですけど。今年もいい年になりそうだわ!

 すでにふれたのは、この『千年の謎』が平安時代の古典文学『源氏物語』をそのまま映像化したというものなのではなく、そこと、その『源氏物語』を執筆する宮廷女官・紫式部のいる現実の世界とが並行して展開されていく、作者の高山由紀子さんオリジナルの作品なのだということでした。そして、本来は1人の小説家の創作したキャラクターにすぎなかったはずの「光源氏」や「おんなたち」が、誰もが予想だにしなかった絶大な影響力をもって現実の世界に浸出していく流れがこの作品の真骨頂であるはずだったのです。

 ところが! この映画はそのへんの「2つの世界」をちゃんと描きわけていないんです。そのせいで、それらが融合しかねない状態になることの恐ろしさからくるスリルがきいてこないのよねェ。 もったいない!

 で、その責任はやはりなんといっても、映画の製作スタッフの「平安時代を2時間ちょい再現させることで手一杯で、作品のおもしろさを尊重して2つの世界を描き分けるまでの余裕がまったくなかった。」という部分が大きいんじゃないかと思うんですけど、それと同じかそれ以上に、

「『源氏物語』の世界の登場人物と、現実の世界の登場人物との違いがまったくわからないキャスティング&演出」

 という問題も実にデカかったんじゃないかと思うんだなぁ、あたしゃ!
 つまり、作品を作る以前での役者さんがたの人選の段階でも、製作中の演技指導でも、「架空」と「現実」の違いを楽しむという冒険がまったくなされていなかったというところこそが、『源氏物語 千年の謎』がいまいち脚本の良さを活かせていない最大の原因だったんじゃないかと。

 ただし、私はこの『千年の謎』に出演した役者さん全員をいちがいにけなすつもりは1ミクロンもありません。むしろ、「素晴らしい!!」とおしみない賞賛を与えたい女優さんもいらっしゃったのです。

 まずはちょっと、この作品に登場した「架空」と「現実」の両面での登場人物と俳優陣をご覧いただきましょう。
 例によって、すてきなレディのみなさんのご年齢をあけすけに記載してしまうことをご容赦ください。
 あと、一覧のうち、左側にあげた平安時代の人物の年齢は「数え年」で、右側にあげた現在ご活躍の俳優陣の年齢は「満年齢」になっています。つまり、両者で「1歳ほどの年齢差(数え年のほうが多い)」があることもご容赦ください。歴史上の人物は誕生日がはっきりしていない方々が多いんです……


『源氏物語』の世界での登場人物

光源氏(17~25歳)             …… 生田 斗真(27歳)
 ※光源氏は50代中盤で天寿を全うする
桐壺更衣(光源氏の生母)          …… 真木 よう子(29歳)
 ※桐壺更衣は光源氏が3歳の時に早世している
藤壺中宮(光源氏のあこがれのひと)    …… 真木 よう子(二役)
 ※光源氏の5歳年上で、義母にあたる
六条御息所(光源氏の愛人)         …… 田中 麗奈(31歳)
 ※光源氏の7歳か17歳年上で、義理の姉にあたる?
葵の上(光源氏の正妻)            …… 多部 未華子(22歳)
 ※のちに光源氏のライヴァルとなる頭中将(とうのちゅうじょう)の妹
夕顔のきみ(光源氏の愛人)          …… 芦名 星(28歳)
 ※光源氏より年上で、頭中将の側室でもある
桐壺の帝(光源氏の父)            …… 榎木 孝明(55歳)
 ※実在した醍醐天皇(だいごてんのう 885~930年)がモデルだと言われる
頭中将(光源氏の義兄)            …… 二世 尾上 松也(26歳)
 ※『源氏物語』の中での藤原家の貴公子
左大臣(光源氏のしゅうと)           …… 竹嶋 康成(43歳)
 ※『源氏物語』の中での藤原家の当主
惟光(これみつ 光源氏の乳兄弟で腹心)  …… 若葉 竜也(22歳)
 ※光源氏とほぼ同年代
弘徽殿女御(こきでんのにょうご 光源氏の義母)…… 室井 滋(53歳)
 ※光源氏の最大の政敵
王命婦(おうみょうぶ 藤壺中宮の侍女)    …… 佐久間 良子(72歳)
 ※光源氏と藤壺中宮との密会をとりついでしまう


現実の世界での登場人物

紫式部(『源氏物語』の作者、本名不明)     …… 中谷 美紀(35歳)
 ※藤原道長の長女・彰子(しょうし)の家庭教師
藤原 道長(左大臣、藤原家当主)        …… 東山 紀之(45歳)
 ※一条天皇の中宮・彰子の父
中宮彰子(一条天皇の正妻)           …… 蓮佛 美沙子(20歳)
 ※紫式部の直接の主人
一条天皇(時の帝、中宮彰子の夫)        …… 東儀 秀樹(52歳)
 ※「桐壺の帝」のモデルと言われる醍醐天皇のひ孫にあたる
藤原 行成(ゆきなり 参議)            …… 甲本 雅裕(46歳)
 ※道長の腹心で、一条天皇の信頼も得ている
安倍 晴明(いわずと知れた日本一の陰陽師)  …… 窪塚 洋介(32歳)
 ※道長の未来を予言したり怨霊を退散させたりする謎の男
晴明の式神(2人の美女の姿をした使い魔)    …… Mari & Eri (28歳 双子デュオ)
 ※宴席で晴明の客に酒をついだり「キャハ☆ キャハ☆」と笑ったりしてキャバ嬢の機能を果たす
藤原 伊周(これちか 准大臣、道長の最大の政敵)…… 佐藤 祐基(27歳)
 ※おどろおどろしい怨霊となって道長に襲いかかるが、実は!?


 まぁ~、こういった豪華なラインナップとなっているわけです。

 前にも触れたように、『源氏物語』のほうは長大な全編のうちのごくごく前半、主人公・光源氏の若き日々をたどるにとどまっているため、『源氏物語』最大のヒロインともいえる「紫の上」は登場すらしていません。

 おおむね『源氏物語』パートは、ストーリーラインも波瀾万丈だし、キャラクターもきわだった個性派ぞろいだったしで、非常におもしろかったです。というか、さすがにこっちの光源氏とそのおんなたちに魅力がなかったらイカンですよ。

 いや~、なんと言っても田中麗奈さんは素晴らしかったねェ~!

 最初、キャスティングを知った時に、

「えぇ~、童顔の麗奈さんが年上の愛人をやるの? しかも、あの六条御息所? 大丈夫かいな~。」

 といらぬ心配をいだいてしまったのですが、田中さん、たいっへんにご無礼いたしました!!
 確かにお顔こそ、若い頃からいささかも変わらず「むきたまご」のようにつるっとした田中さんなのですが、そこをおぎなってあまりありまくりの、その大人な演技!! 女優とはこのことだ。

 まさしく『源氏物語』前半の最重要ヒロインとも言える六条御息所を、この上ない気品と情念をもって演じきられていたと思います。田中さんの出ているシーンはすべて良かったですね。
 欲を言えば、「生き霊」となった六条御息所を描写する時の CG技術中心の VFXがちょっと邪魔だったということでしょうか。ああいった恐ろしさは田中さんのたたずまいと演技だけで充分。

 そんな感じで、私の中での『千年の謎』MVP はダントツで田中麗奈さんだったのですが、

「あぁ、わたくしはなんという不幸な運命のもとに生まれたのだ……」

 という、60億の生きとし生ける地球人全員が吉本新喜劇のようにズッコケる必殺ギャグを平然とのたまう光源氏役の斗真くんも素晴らしかったですね。色男の「愛すべきアホっぽさ」を見事に体現していたと思います。


 さて、と……『源氏物語』パートについてはここまでにしておきまして。

 問題は「現実の世界」パートなのよね。

 ちょっとですね、私が調べてみた下の情報をご覧いただきたい。


『源氏物語 千年の謎』の時代設定

紫式部の家庭教師着任(1005年1月?)から退任(1014年6月?)まで

この時期の各人物の年齢
 紫式部  …… 28?~45?歳
 藤原道長 …… 40~49歳
 中宮彰子 …… 18~27歳
 一条天皇 …… 26~32歳(1011年7月に崩御)
 藤原行成 …… 34~43歳
 安倍晴明 …… 85歳(1005年10月に死去)
 藤原伊周 …… 32~37歳(1010年2月に死去)


 ここで、なにはともあれ最初にまず注意しておきたいのは、上にあげた歴史上の実在人物たちのうち、紫式部だけが正確な生没年も、いちばん肝心な『源氏物語』の執筆時期も確定していない「?」だらけのままになっていることです。
 これはやはり、それ以外の人々が男女、政治家であるなしに関わらず、当時の公式資料に頻繁に取りあげられる国家にとっての最重要級人物であったのにたいして、「中宮彰子サロンの家来のひとり」に過ぎなかった紫式部が公的な場の主人公になることがまったくと言っていいほど無かったことが大きいのではないかと思います。
 そういうこともあるから、上の一覧もいちおう「10年間」という範囲を決めているのに、紫式部の年齢だけに大きなふれ幅があるんですね。

 とにかく、紫式部の生涯は具体的な時系列がはっきりしていない部分が多すぎて、生まれた年も亡くなった年も、彰子に仕えていた期間さえもボンヤリしているという現状。そんなことなので、ましてやあの大長編小説『源氏物語』を彼女が「いつごろから書きはじめて、どのくらいの時間をかけて完成させたのか」などという問題は、まったく新しい歴史的発見がないかぎりは薮の中という感じになっているのです。極端な話、「『源氏物語』の作者は紫式部ではない」っていう説も出ているくらいなんですからね!

 つまり、忘れてならないのは、この高山由紀子さんの作品『源氏物語 千年の謎』の中でいう「紫式部が中宮彰子の家庭教師をつとめていた時期に、藤原道長の命によって『源氏物語』を執筆した。」という設定が歴史的事実であるわけでは決してない、つまりは、高山さんの創作だということなのです。
 もちろん、将来に何かの史料の新発見によって否定されない限り「そうだった可能性」はあるのですが、現在主流となっている考え方では、少なくともこの『千年の謎』であつかわれているような『源氏物語』の前半部分は、彰子に仕える以前に書き上げられていたのではないかと予想されているようです。道長さんの命令じゃなかったのか。


 前置きはここまでにしておきまして、私がやっぱり触れずにおられないのは、この時間設定に間に合わせるために生きていたとしか思えない、かんなりギリギリな顔の見せ方をしているこのお方ね。

「安倍晴明、85歳!! しかも、紫式部の宮廷入りの年に死去!?」

 ここを映画で堂々と窪塚さんがやってるってことなのよ……あの若々しさで。

 これはダメだろう!!

 いやいや、なにも私は、映画が歴史的事実とかけ離れた演出をしている、ということに腹を立てているのではありません。
 そういったことを堂々とやっていても、黒澤明監督の時代劇のように「おもしろいから、いい!!」と感動してしまう作品はあるのです。映画はどうしたってフィクションですから。特にコスチューム・プレイなんてね。

 私が腹を立てているのは、「現実の世界らしさを強調したほうがいい陣営に、『源氏物語』以上に架空なやつがいる。」っていう、その作品の根幹部分のおもしろさを踏みにじったトチ狂い具合なんです。

 計算違いもはなはだしい!! 「話題的においしいから晴明をイケメンの窪塚くんにしよう。」っていう打算しか見えないんですよ。

 もう、どっちらけ。
 だって、現実の世界にいる晴明は、のっけから道長に襲いかかる政敵・伊周の怨念をわけのわかんない呪文で退散させちゃうんですからね。こいつ、なんでもアリか!?

 この、晴明の「なんでもアリ」っていうところをのっけから出オチでだしちゃったんだから目も当てられません。
 最終的に、晴明はこの『千年の謎』の後半部分で『源氏物語』の世界と現実の世界との「橋渡し」をするという驚きの役割を果たすのですが、最初っからスーパーマンなんですからじぇ~んじぇん驚けません。ダメだこりゃ!

 とどめに「ダメだこりゃ!」なのが、窪塚晴明の「お前が式神なんじゃないか? 早く本物出せ!」って言いたくなるくらいの棒読み演技ね。まぁ~魂ぬけまくり。

 私、思うんですけど、窪塚洋介という人はたぶん、自分にものすっごく正直な生き方をし続けることのできる希有な才能の持ち主なんですよ。並の人間だったらすぐに、自分が傷つきたくないがゆえに環境に慣れさせて、鈍感になって流してしまう部分を大切にしている人なんだと思う。それはおそらく「スター」や「天才」の証明でもあると感じますし、そう思わない人も多いかも知れませんが、少なくとも私は、スクリーンのどこかに窪塚さんがいると、どうしてもそっちに目がいって「何か」を期待してしまいます。

 つまり、『千年の謎』における窪塚晴明の救いようのないダメダメ感は、「窪塚洋介に火をつけられなかった現場」が悪い。
 私たちは、スクリーンの中にいる「窪塚洋介」という名の磨き上げられた「鏡」を通して、そこに映っている撮影現場のレベルを手に取るように観ることができるわけなのです。

 でもまぁ、映画を観ている最中に「あ~、この窪塚さんじゃダメだな。」ってわかっても、料金はもう払ったあとなんですけどね……アフター・ザ・フェスティボー。


 ほんとにまぁ、『源氏物語 千年の謎』における「窪塚晴明」の責任は甚大ですよ。他の役者さんがたの名演どころか、作品のおもしろささえをもかき消してしまうひどさです。
 しかも、本当にひどいのは、その責任が窪塚さんの演技がどうこういうレベルにとどまらずに、そういう造形とも言えない造形の安倍晴明を「GO」にしちゃった製作スタッフに帰結しちゃうってことなんですよね。それじゃあ致命的な欠陥になって当然です。

 まった、ミステリアスな白皙の美形貴族が妖しげな美女式神をしたがえているっていう、今さら腐女子のアンテナにもひっかからないような安倍晴明像の「手あか感」ね。ふりーんだよ!!

 実は私、今回この映画を観ていて、

「なんだよ、あの笑ってるだけの式神。やっすいホステスか!! 『晴明十二神将』の名が泣くわ!」

 などと、かなりひどい悪感情を式神役の2人にいだいていたのですが、今回この話題を『長岡京エイリアン』にのせるにあたって双子デュオであるお2人のブログをのぞいてみたら、誇張表現じゃなく涙が出るくらいにいい人たちであると感服してしまいましたので、怒りの矛先はお2人には向けないようにします。現役看護士でいらっしゃるとは……

 そうそう、怒りといえば、エンドロールを眺めていたら、こんなお名前が出てきてました。

「special thanks 夢枕獏」

 公認かよ!!

 夢枕先生は「映画などの他の媒体がどうあろうが、自分の小説がしっかりおもしろいのだったらいいじゃないか。」という寛大さと、小説家としての自分にたいする絶大な自信をもっておられるのかも知れませんが、さすがにあの安倍晴明をここまでおとしめている作品に名を連ねるのは……百害あって一利無しかと思いますよ。


 恨み節が長くなりましたけど、それくらいに惜しい「窪塚晴明采配」だったというわけなんですよ。

 これは私という完全なるしろうとの浅知恵なんですが、せっかくギリギリで史実の安倍晴明が亡くなっておられるんですから、こうすれば良かったんじゃない?


そうだい素案

・1005年に紫式部が中宮彰子の家庭教師に着任し、藤原道長の命を受けて『源氏物語』の執筆に取りかかる

・そのころ、おん年85歳でさすがに全身にもガタがきまくっていた老貴族の安倍晴明(演・大滝秀治)は、かつての神通力もすっかり衰え、過去の栄光を知る家来も少なくなっており、もっぱら息子たちを相手に「早くお迎えに来てほしい。」とグチの日々を送っていた

・がしかし、突如としてそんなジジイ晴明の眼に鋭い光がかえってくる! 中宮彰子のサロンに不吉な予兆が!?

・往年の元気を取り戻す晴明! 「博雅くん、事件だ……あれ、おらんの?」

・残念ながら、ワトスン役の源博雅は25年前の980年に冥界の人となっていた……口をあけてしばし虚空を見つめる晴明

・晴明の見立てによると、その凶兆の気は紫式部からはなたれていたのだが、すでに彼女は一条帝もハマる『源氏物語』の作者としてすっかり人気者となっていて、パトロンの道長も晴明の進言をまるで信じようとしない

・だが、晴明の予感は正しかった! 「六条御息所」というキャラクターの度を過ぎたこわさにドン引きする読者たち

・ついにわしの花道がやってきたか……晴明は老体にかすかに残った全呪力をふりしぼって現実の世界を飛び出し、紫式部の『源氏物語』の世界に潜入して六条御息所との最終決戦にいどまんとする

・「がんばれ晴明!! 負けるな晴明!!」という全宮廷の声援を受けて、50年前の若き姿(演・窪塚洋介)にもどったスーパー晴明が、何十年かぶりに召喚した十二神将たち(演・照英とか杏とか)を駆って六条御息所を一網打尽にする。大勝利だ!!

・「こっちのほうがいいわぁ。俺もう現実には戻りません。これからはフィクションの世界のカリスマにのぼりつめてくんで、よろ~。」晴明は若い姿のまま、人々のこころの世界のスーパーヒーローになったのでしたとさ。ちゃんちゃん。



 うん……私個人はだんぜんこっちのストーリーのほうが好きなんですけど、これもう、『源氏物語 千年の謎』じゃないよね。

 まぁとにかく、「安倍晴明」という歴史人物を使いこなすのは相当な慎重さが必要だってことなんですよ! 『千年の謎』はいろんなことをナメすぎ!!


 もうずいぶんと長くつづってきてしまったので、他のことは軽くふれるだけにしておきますが、『千年の謎』における「現実の世界」パートは、藤原道長が典型的な英雄になっていたり藤原行成が道長の単なる従順なロボットになっていたりと、本来もっと生々しくておもしろいはずの人間関係を『源氏物語』以上に単純化しているきらいがあります。

 いっぽうの世界で斗真くんがストレートな色男の光源氏を演じているのだったら、現実世界のヒガシ演じる道長はもっと人間的なあぶらぎった政治家の色を出しても良かったのではないかと思うのですが……
 これは人の資質の問題なので非常に難しいのですが、東山さんはいい意味でも悪い意味でも非常に「人間離れした清潔感と色気」のある方で、ちょっと今回のような「オヤジくささと汚さ」のある人物を演じるのは苦手だったのではないかと。窪塚晴明ほどじゃないですけど、ここでも「現実っぽさ」が希薄になっていたんです。

 あと、映画の中でかなり意図的に「過去の人」、とりようによっては「死んだ人」にも見えかねない偏った描かれ方をしていた道長の政敵の藤原伊周は、『千年の謎』の中でその怨念が道長と戦っていた時期(1008年9月の中宮彰子の第1子出産以前)にはちゃ~んと生きていておんなじ都に住んでいます!! なんだったら、その数時間前にあったという朝議(ちょうぎ 現在でいう内閣の閣議みたいなもの)で、ご本人が道長といっしょにいたかも知れないんですよ!? 別れた数時間後にあんな怨霊に化けて出るかね、しかし!? どんだけ道長に会いたいんだって話ですよ。

 歴史上の藤原伊周は、道長の孫にして一条天皇の皇子でもある男子を彰子が出産するという、道長陣営にとってのチェックメイトが決まるぎりぎりまで、道長がおびえる最大の脅威であり続けていたはずです。そんな存在がいたのに、道長が映画の中のヒガシのように堂々とした「唯我独尊感」をふりまいていたとは思えないんだなぁ。
 映画の流れをシンプルにするためとはいえ、歴史上の人物たちを出しているくせにさまざまな形でヘタなウソをつく態度がゆるしがたい。


 もう、きりがないんでいい加減にしめましょうか。

 いろいろうだうだ言ってきましたが、要約すれば、私の『源氏物語 千年の謎』を観た感想は以下の2つでした。


久しぶりに歴史ネタで体温をポッカポカさせることができました。本当にありがとう!!

 あ~んど、

俳優としての東儀秀樹、とりあげる価値すらなし。だぁ~いっきらい☆


 ……あー、すっきりした。みなさま、よい連休を~。
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2012年最初の映画はあえてこれだ  『源氏物語 千年の謎』 な之帖

2012年01月05日 14時19分23秒 | ふつうじゃない映画
 みなさんど~うもこんにちは。そうだいでございます~。今日も千葉はカラッとした晴天です。

 いや~、私の中では淡々と2012年の正月が過ぎてまいります……めでたいのはあやかりたいんですけど、新年を迎えた実感がわかねぇな~。

 初もうで? 行きました行きました、近所の稲荷神社。お堂がひとつだけの。でも鳥居がズラズラ~っとならんでる形式の。
 ここがなかなか雰囲気たっぷりの場所でしてね……「パワースポット」というよりはむしろ「心霊スポット」として有名らしいです。

 正月になってから1時間以内、午前1時になるまでのド深夜にササーッとおもむいてお参りするのがここ数年のパターンとなっているのですが、毎回毎回、みごとに参詣客がいません。ただ風がざざーっと吹きわたっているだけ。近くに松林があるので街灯のあかりもおよんできません。
 いいんですよね。黒地に多めの紺がまじっている無明の闇の中、ぼーっと朱色の空間が口をあけているんですねぇ。これは心が改まるわ。

 でね、今年も行って、例年通りにガラガラと鈴ひもをならしてお賽銭を投げることにしたんですよ。
 そしたら起きたねぇ~、ちょっとした「神のお怒り」が! 私そうだいの2012年の初笑いは稲荷神社のまっ暗な境内の中でした。ひでぇ年明け!

 毎年毎年、大晦日は判で押したようにサイフの中がスッカラカンだった私は、サイフを持ち歩く必要がなかったので5円玉だけをにぎって神社に向かっていたのですが、今年はい・く・ら・か! 余裕ができたので普通にサイフを持って初もうでに行きました。
 これがいけなかった……

 こちらとしては慣例として、サイフの中から5円玉だけを取り出し、鈴ひもをならして目の前の賽銭箱に投げ入れた。

 そ・し・た・ら!! 揺れた鈴ひもが私の投げた5円玉をはじきかえしたの!

 ちゃり~ん。掃き清められた参道わきの闇に消えていく5円玉。

 私だってね、揺れる鈴ひもの軌道をよまないで投げるほどぽけぽけぷうじゃありませんよ。ちゃんと鈴ひもの揺れがおさまるのを待って投げたつもりだったんです。
 それなのに、私は見た。鈴ひもがまるで生きているかのごとく「ぴよんっ」とはねて5円玉をはじきかえしたのを……

 ハッ!? その動き、まさにおキツネ様のおっぽのごとし。

 その瞬間、私は誰もいないはずの闇の境内の中で、「2匹ぶん」の強烈な視線を感じるようになりました。
 視線のあるじは言うまでもなく、おやしろの両脇にひかえておられるおキツネ様ペアの石像です。

右 「おめぇ、そのポケットに入ってるジャラジャラしてんのはなんだ……」
左 「そんなに持ってんのに、出すのは5円玉ぽっちってか。えらくなったもんだなぁオイ!」

 あはっ、あはははっ、そんなわけないじゃないですかぁ~!? 冗談に決まってますよ神さまぁ~!

 あらためて、私は地面にはいつくばって見つけたさっきの5円玉と(これが不思議と暗いのに見つかるのよ!)、サイフの中から出した小銭ありったけを賽銭箱の中につぎ込んだのでした。ていっても、小銭だから結局は総額5~600円くらいだったんですけど。
 この時もガラガラと鈴ひもをならしてから投げたんですが、こんどはとどこおりなく賽銭箱の中に吸い込まれていきました。良かった……これでダメだったら諭吉っつぁんにいくしかなかったからね。

 え~、今年もいいことありますように、っと。
 本年もご加護のほどをよろしくお願いいたします。ほんじゃ、失礼いたしました~っ!

 こんな感じで、新年あけて早々、数十分後に神様の存在に気づかされる奇跡を目の当たりにした私は、逃げるように無人の稲荷大明サマのおやしろをあとにしたのでした。
 まぁ、単に私が気持ち強めに鈴ひもをならしすぎたってだけだったんでしょうけど……いい体験をさせていただきました。来年はサイフは持っていかないことに……いえ、持っていきます。


 話が長くなってしまいましたが、まぁこんな2012年の幕あけだったわけでございますよ、わたくしは。祝福アレ~。

 さてさて、そうこうしつつも年末年始なにかと忙しかった私は、去年の12月に「桜木町ひとりツアー」ができなかったので、今年最初の丸1日休みとなった昨日に2012年最初の桜木町行きとしゃれこむこととなりました。
 もう、「恨み」もへったくれもありません……いい加減、出発地点に行ったり、桜木町から千葉に帰るまでの電車賃で往復2千円くらいかかってしまう、この正気をうたがう企画もおしまいにしたいと思っております。道もだいたいわかるようになってきちゃいましたし。「知らない街に来ちゃった~!」というアウェー感はさすがになくなりましたね。

 出発地点に選ぶ駅もだいぶゴールの JR桜木町駅に近づいてきてしまいまして、今回は「京浜急行神奈川新町駅」(横浜市神奈川区)! もう目と鼻の先です。6km もないかな? 時間も1時間かかりませんでしたね。

 そんなこんななので、JR桜木町駅に歩いて行くことを目的とする散歩は、あと2~3回で終わりにするつもりです。アホみたいな交通費の無駄遣いもこれでおっしま~い!

 ということで、桜木町駅近くのシネコン「ブルク13」に1人でおもむくのもあとわずかです。いい映画館なので、近いうちに「ふたり」で行きたいね~!! 誰と?

 んでもって余裕で到着して体力ありあまる中で観た、私そうだいの2012年、記念すべき鑑賞1発目の映画とは!?


『源氏物語 千年の謎』(角川映画 主演・生田斗真 監督・鶴橋康夫)


 う~ん、大丈夫か!? 大丈夫なのか、日本映画!?

 2時間16分におよぶボリュームたっぷりの内容だったんですが、観終わったあとの私の感想は、簡単にまとめるならば以下のとおり。


『源氏物語 千年の謎』での紅白演技合戦は、「赤組」の圧勝!! っていうか、生田くん以外の「白組」は勝負になってない……


 いや~、圧倒的な力の差がありましたね。女優と男優とで。


 俳優のみなさんのことはちょっとおいておきまして、まずはこの作品の内容について。

 この作品は、日本が世界に誇る平安文学の大古典『源氏物語』をストレートに映画化したものではありません。
 その『源氏物語』をもとにして脚本家の高山由紀子さんが創作した小説『源氏物語 悲しみの皇子』(2010年)を映画化したものが今回の『千年の謎』なんです。

 私は最初に、この『千年の謎』にかんする「原作・脚本 高山由紀子」という情報を知った時、

「えっ、高山さんって、あの高山さん!? それじゃあ絶対に観に行かなきゃ!」

 と驚いてしまいました。

 そうなんです。特撮ファンを自称する私ならば、高山さんのお名前を聞いて動かないわけにはいきません。
 脚本家の高山由紀子さんは、あの「昭和ゴジラシリーズ」の荘厳なる最終作『メカゴジラの逆襲』(1975年)がデビュー作なんですねぇ。
 聞くところによると、当時若干30歳でシナリオスクールの学生だった高山さんは、先生でもあった本多猪四郎(いしろう 一般的には「いのしろう」)神監督がおこなった脚本コンペの中で、あの作品をものして大抜擢されたのだとか。

 興行成績が思わしくなかったということもあってか、結果的にはゴジラシリーズの最終作(当時)、しかも本多先生の監督最終作となってしまった『メカゴジラの逆襲』でしたが、日本特撮史上の原点ともいえる第1作『ゴジラ』(1954年)で組まれた黄金タッグ「監督・本多猪四郎&音楽・伊福部昭」が久々に復活したこの作品は、それ以上に、

「男と女、父と娘、人間と人間でないもの、それぞれの業としての愛」

 という、おめめがクリックリしてすっかりマイルドな子どものヒーローと化してしまった「怪獣王ゴジラ」が一瞬にして霞んでしまう、重厚すぎる高山脚本が実におごそかな味わいを残してくれる激シブの名作でした。作品のテイストにあわせて機体色がくすんだメタリックグレーになった「メカゴジラ・マーク2」も前作に増してカッコ良かったなぁ!

 ともかく、のっけのデビュー作からこういった「人間の業としての愛」を真正面から見据えていた高山さんが『源氏物語』に挑戦!ってんですからね……これは観ないわけにはいきません。

 高山さんの『千年の謎』は、「紫式部はなぜ『源氏物語』を執筆したのか?」といったあたりに主眼を置いた「半分史実、半分フィクション」といった物語となっており、時の権力者・藤原道長(「この世をば~」の人)の、

「時の帝さえもが夢中になってしまう『ものがたり』を書くのじゃ~!」

 という激ムズのミッションを引き受けてしまった、道長の娘「彰子(しょうし)」の家庭教師・紫式部の現実の世界での執筆風景と、彼女がつづった『源氏物語』の中での主人公「光源氏のきみ(光源氏というのはいわゆるニックネームで、姓が『源』というだけで本名は作中では明らかにされない)」の半生とが並行して展開されていくのがこの『千年の謎』のストーリーラインなのです。

 したがってこの作品自体は、『源氏物語』の宮廷での大ヒットをうまく操作して天下の権力をまんまと我がものにしてしまった道長の「かけたることもなし」がごとき絶頂期と、それを見届けていったん『源氏物語』の筆をおき、家庭教師の任を辞して宮廷を去っていく紫式部の旅立ちをもって完結しており、古典作品の『源氏物語』ぜんたいをダイジェスト的に映像化したものではないのです。

 そうなんですよ。2時間以上かけて繰り広げられたこの作品も、おおもとのネタとなった『源氏物語』全54帖(じょう 「巻」と同じ意味)のうちの、たった「10帖ぶん」(『賢木 さかき』まで)しかあつかっていないんですよ! うぬぬ……『源氏物語』は深すぎる。

 でも、私はこの「『源氏物語』の前半ちょっとだけと現実世界とをかーりぺったかーりぺった(『ドリフ大爆笑』より)でえがく。」という高山采配はそうとういいと感じました。
 だってね、『源氏物語』の濃厚すぎる世界はこのくらいの「つまみ方」で充分におなかいっぱいになっちゃうんですから。とってもいいあんばいなんです。

 しかも! この作品は話が進んでいくにつれてそんな「紫式部の現実世界」と「光源氏のフィクション世界」とかズルズルと接近していってしまい、最終的にはそのふたつが融合してしまうというアクロバティックなクライマックスを迎えてしまうのです!
 これ、な~んかおもしろくない? 自分でこの文章をうっていて私は思わず、

「ああ、この高山作品をデイヴィッド=リンチ監督が手がけていたならば、どんなことになっていたであろうか!?」

 と感じてしまいました。まぁ……完成しないでしょうね。


 作者・紫式部のえがく「光源氏」とは、現実世界でのカリスマ「藤原道長」の姿を大きく投影させた存在であり、そんな光源氏をとりまく正妻「葵の上」や愛人「夕顔のきみ」、そして彼が自分の亡き母「桐壺更衣(きりつぼのこうい)」の姿をかさねて恋い慕うあこがれのひと「藤壺中宮(ふじつぼのちゅうぐう)」といったさまざまな「おんな」たちは、全員どこかで紫式部のどこかの部分や願望を具現化した存在なのです。

 そして、愛憎なかばする紫式部と道長との関係の中でついに登場したのが、紫式部の「嫉妬」の部分を強く受けた光源氏の年上の愛人「六条御息所(ろくじょうのみやすんどころ みんな、「みやすんどころ」の「ん」はちゃんと入れよう! そっちのほうがきれいだから!)」!! きたきた~。
 六条御息所は光源氏の他の愛人を生き霊(いきりょう)となって激しく呪い殺していき、ついには光源氏の待望の子をやどした正妻・葵の上までをも手にかけんとせまっていく。

 光源氏の愛したおんなたちは全員不幸になるしかないのか。そんな運命を背負った光源氏の行く末は? そして、みずからの「嫉妬」の感情を開放してしまった現実世界での紫式部と藤原道長との関係はどうなってしまうのか!?


 どうですか~、『源氏物語 千年の謎』。おもしろそう?

 まぁとにかく、この作品は「紫式部と藤原道長」という構図と「おんなたちと光源氏」という構図とが、あるポイントではそっくりになってあるポイントでは正反対となり、じょじょに接近していって融合しかねない危険性をはらんでいくという緊張感が重要な「きも」となっております。そここそが高山由紀子えがくところの『千年の謎』の真骨頂となっているわけなのですが。


 この映画はそういったおいしいストーリーをいぃ~っさい活かしてくれてない!! ムダにしすぎ!!


 はっきり言ってしまいますと、この映画『千年の謎』は、「現実世界」と「フィクション世界」の行き来にたいして映像の作り方がザツすぎるんです。その2つの世界が「相容れないものである」というところの前ふりがあまりにもなさすぎるので、最終的に「実在の人物が『源氏物語』の世界に現れて『源氏物語』の登場人物が現実の世界に現れる」というサプライズが全然サプライズになっとらんのですよ。もう、「ふ~ん。」みたいな受け入れ方になっちゃうの。もったいないったらありゃしねぇ~!!

 なんか、「どっちも平安時代のコスチューム・プレイです。」みたいにいっしょくたにしてるとしか思えない平板なシーン割りの連続で、どうしても、

「中谷美紀(紫式部)が出てるとこが現実世界で、斗真くんが出てるとこが『源氏物語』世界で~す。わかるよね?」

 という軽いノリしか伝わってこないんですよ~。凡百のTVドラマがごときこのぬるさ!


 そう。そして、この『源氏物語 千年の謎』の「2つの世界の語り方」に関するザツさは、冒頭に私が「女優大勝利!」と言った「キャスティング」でも巨大すぎるマイナスをつくっていたのであります。


 キーワードは、「安倍晴明役に窪塚洋介」。


 はぁああああ!!? おぬし、ちょっと待てぇェエ~ぃい!!

 ちきしょう、こうなったら……「次回に続く」だコンチキショウメーイ!!
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クリスマスあてつけ企画だったの!  天使っていうか第10使徒サハクィエルが空から舞い降りた 賀正編

2012年01月03日 14時19分35秒 | エヴァンゲリオン使徒大行進
 ににに、新垣リーダァああ~!! みなさんどうもこんにちは。三が日いかがお過ごしですか? あいかわらずTV がないので正月気分もへったくれもないそうだいです。ただの寒い連休だよ~。

 別に卒業宣言を哀しむつもりもありませんし、ましてや非難も阻止する権力もあたくしには毛頭ありません。
 ただ、せっかくなんですから、「新垣時代」と言えるような彼女がいるグループならではのカラーを打ち出して5月に向かっていっていただきたい!
 そして、その精華を、なんとしてもこの目でコンサート会場で見届けたいと!! 私はそう思っとります。行けるかな。

 んでよぉ~。そのへんのごんだぁ、まだつんぎにあらだめで。


 もう、いい加減に正月もおしまいになろうかとしている今! なんとしてもこれだけはちゃんとシメなければならない。
 できたら去年のクリスマスにちゃっちゃとやるつもりだった、「第10使徒サハクィエル」検証がのびのびになっているので、ここらで本腰を入れてしっかり彼を供養しましょう。

 体長・推定3キロメートル、出現地点・地上3万6千キロメートルの宇宙空間、武器は自らのATフィールドを利用した強力な電波ジャミングと、原子爆弾なみの破壊力を持つ「自分のかけら爆弾」。そして、必殺技はさらにそれ以上の威力を発揮する捨て身の「自分そのもの爆弾」!! これが目的地である日本の第3新東京市に問題なく到達した場合、第3新東京市どころか箱根地方一帯は巨大なクレーターと化し、富士山はすぐ東に太平洋をのぞむ、ハワイのダイヤモンドヘッドのような海辺の山になってしまうという……今川義元もビックリよ。そしてなによりも、人類が最も恐れる「サードインパクト」が発生する可能性も限りなく高いのです。

 私の勝手な推測では、「第9使徒マトリエル襲来&ネルフ本部大停電」事件発生のおよそ1週間後に、国連軍によって宇宙空間でその存在が確認されたサハクィエルは、2時間に1発の割合で直下の太平洋にかけら爆弾を4発投下しながら地球の静止軌道上を移動し、目指す第3新東京市の位置への誤差修正をほどこしたあと、国連軍の最終兵器とも言える「N2 航空爆雷」を10発以上くらった直後に、ジャミング電波を発生させて姿をくらましました。くらましたというか、地上からはその位置が確定できない状態にしてしまいました。
 かつては1発で使徒の動きを止める効力を発揮していたN2 兵器も、今回のサハクィエルにはまったく効かない様子です……これはヤバい!

 いったんその動向を消してしまったサハクィエルですが、その狙いが第3新東京市であることは間違いなく、ネルフ本部は最悪の場合でサハクィエル本体がみずから地上に特攻をしかけてくる可能性を予測しました。
 これはキツいですね~。今までの数ある使徒との闘いの中でも最も激しい決戦となった「第5使徒ラミエル」との時でも、ラミエルは確かにかなりの強敵ではありましたが、ラミエルのサードインパクト誘発までにはかなりの時間猶予があったし、ネルフ側の用意した兵器「ポジトロンスナイパーライフル」で殲滅できるレベルで済んでいたのですが……

 サハクィエルの場合は、「一瞬でゲームオーバー」になってしまう可能性が高く、通用しそうな決定的な武器もない! まぁ、ほんとは「ひとつだけある」んですけど、この時点ではまだ日本のネルフ本部にそれが持ち込まれていなかったという事情は、前にも触れました。しかも、この時にネルフ本部の留守を任されていた作戦指揮官(三佐)は、そんなものの存在なんか知るよしもありません。

 どうするどうなる!? この「歴代最大・最強の使徒」の到来に人類はなすすべもないのか?
 確かに、実質的には日本政府になりかわって第3新東京市を統括しているネルフ本部は、「特別宣言 D-17」を発令して第3新東京市を中心とした半径50km 地域の一般市民の強制避難を徹底させ、ネルフ本部の頭脳とも言えるスーパーコンピュータ「MAGI(マギ)」のバックアップを第2新東京市(現在の長野県松本市・『新世紀エヴァンゲリオン』の世界での日本の首都)に移送するという「あきらめ」っぽい一連の動きを見せていましたが、はっきしいってこれらの表向きの対処はもしもの時のための「保険」に過ぎませんでした。

 さぁ、近日中に必ずやってくるサハクィエルの「特攻」を食い止めんとする作戦指揮官の「秘策」とは!?


「エヴァンゲリオン3機が、墜ちてくるサハクィエルをがっしと受け止めてコアを破壊して殲滅する」!!


 うん、できるかどうかは、わかんない!! でも、持ちゴマはこれしかねぇんだからこうやるしかねぇ!

 素晴らしい……作戦指揮官イズム爆発の大作戦です。アマチュアスポーツの監督とかだったら、これ以上の人材はないと思うんですが……

 この作戦を聞いたエヴァンゲリオン計画の開発主任は、成功してサードインパクトの誘発を食い止める確率は「0.00001 %」だと冷徹にこたえます。10万分の1。しかも、成功したとしても第3新東京市やエヴァンゲリオン各機への被害は大きなものとなるだろうと分析しています。

 それでもやるんだ!! やるっきゃ night ぉオ!!

 ネルフ本部が推測したサハクィエルの「地上到達地点候補」は、第3新東京市ぜんたいをすっぽり包む広範囲! 市街地をかこむように周辺3点にスタンバッたエヴァンゲリオンは、地上に迫る直前、大気圏に入ってきたサハクィエルを確認したネルフ本部からの指示か、自分のその眼で空のかなたからやってくるオレンジ色の目玉を見つけて、そこに向かってダッシュしていかなければなりません。田んぼとか電線とかビルを跳び越えて。

 さぁ、この作戦がいったいどのような躍動感にあふれるアクションをへて見事に成功したのか!? これはもう、実際に本編の映像を見ていただくしかありません。


 ……え? そうなんです。成功しちゃったのよねェ~。サハクィエル、負けちゃったのよねェ~!

 今まで言ってきたようなさまざまなポイントで、それまでの使徒たちのスケールを大幅に上回っていたサハクィエルも、残念ながらエヴァンゲリオン3機の連携攻撃には勝てなかったのです。

 まぁ。最大の敗因は、強力ジャミングで姿を消してから第3新東京市の上空に現れるまで、サハクィエルが人類側に「時間猶予」を与えすぎてしまったということなんじゃないかと。
 そォ~オなんですよ! サハクィエルは、確かに地上に到達する時点での勝敗は一瞬で決まるスピード感はあったんですが、「人類に発見される時点」からの時間の流れを考えてみると、案外、あんまりラミエルのことを「のろま!」とは言えないゆったり感があったのです。

 実際、サハクィエルが「いっくぜぇえ~!!」と大気圏に突入した時点では第3新東京市の住民避難はバッチリ完了していたし、地下のネルフ本部も迎撃体制じゅうぶん。劇中ではまったく語られていませんが、私の見たところ、サハクィエルの大気圏突入は電波ジャミングによる失踪から3日はたっていた時点でのことなんじゃないでしょうか。
 このへんの「3日の猶予」という主張の根拠には、エヴァンゲリオン3機の作戦当日での、非の打ち所のない行動のソツのなさもあげられます。この連携は1日、2日の打ち合わせだけじゃあムリでしょ!

 作戦指揮官の図面どおり、迫ってくるサハクィエルに最も近かったエヴァンゲリオン(結果としては初号機)がまず、自分のATフィールドを全開させてサハクィエルの墜落を受け止め、そのあと追いついた他の2機がそれをサポートしつつ、1対3でサハクィエルのATフィールドを中和させて、触れることができるようになったタイミングで、サハクィエルのコアをエヴァンゲリオンの誰か(結果としては2号機)が手持ちのプログレッシブナイフで破壊して殲滅するという流れは、実にスムースに展開されていきました。
 これはもう、サハクィエルの到達を想定した、そ~と~な脳内シミュレーションとイヤンというほどの実地練習のたまものだったのではないかと。本編ではカットされてしまっていましたが、あの作戦指揮官はかーなりの練習好きとみた。

 ここで、エヴァンゲリオンのほうがちょっとでも段取りミスをしてしまっていたらめでたくサードインパクトとなるはずだったんですが。


「えっ? えっ? なに、この完璧な連携プレー!? えっ? 今、クリスマスじゃないの? もう年あけちゃった!?
 そうか……おれ、来るのが遅すぎたんだなぁ。地球の酸素が、目にしみるぜ……」

 ドッカ~~ン!!!


 サハクィエル。いろんな点で歴代の使徒にまさる条件があることを自覚していたのが、逆にあだとなっちゃったのかなぁ~。ちょっと余裕ぶっこきすぎたんじゃないでしょうか。
 しっかも、見たまんま、あの目玉の瞳の部分がいちばん大事なコアだったという芸のなさね。ちゃんとまぶたとか作っておかないと~。

 ともかく、自分の強力なATフィールドを使ってその破壊力を倍増させるという狙いはエヴァンゲリオン3機のATフィールド返しによってさっぱり無効になってしまい、落下のスピードも地上ギリギリでの3機受け止めによってふんわり着地となってしまいました。
 でもね、それでもサハクィエルのコア破壊後、そのご遺体が爆破するだけでも、第3新東京市ちかくの小山(標高200m ほど?)をまるごと吹き飛ばして逆に巨大な「第3芦ノ湖」を作ってしまう威力はありましたし(「第2芦ノ湖」は以前に第7使徒イスラフェルが作っている)、その爆心地に最も近い地点にいたエヴァンゲリオン初号機は、画面では説明されませんでしたが、その後のネルフ本部でのやり取りから見るとそうとうな破損を受けたようです。

 サハクィエルはやっぱり詰めがあまい! ここでも、せめてその巨体が市街地に入っていたら、ラミエルの時なんか目じゃない壊滅レベルの被害を第3新東京市にもたらすことができていたというのに。

 こういうあたりから見ましても、残念ながら、第10使徒サハクィエルは「歴代最大・最強の使徒」でありながらも、同時に「99.99999% 勝てるはずの戦いに負けた歴代もっとも運のない使徒」という過酷な分析をくださざるをえないのです。アカ~ン。

 使徒に限らず、私たち人間も、自分の自信にアグラをかきすぎると思わぬところで失敗するということなんですな。
 いや~、こりゃあ、新年から使徒さんにいい教訓をいただきました。自分でやり馴れていたり、他の人に比べてまさっていると思いこんでいる物事でも、もう一度、初心にかえって「全力でベストを尽くす」緊張を思い出すべきなのかも知れません。

 おっさんとなった今だからこそ、「少年よ神話になれ」という言葉を噛みしめてみるべきなんですよね~。2015年も近くなってきたことだし。


 さてさて、そういった感じで今回の第10使徒サハクィエルの襲来は実に無念な結果となってしまったのですが、久しぶりに大規模な総力戦となったこの戦いは『新世紀エヴァンゲリオン』中盤の名勝負として認識されているらしく、TVシリーズ本編にならぶ「聖典」といえる『貞本義行によるマンガ版』と21世紀の『新劇場版』シリーズのどちらにも登場しているエピソードとなっています。
 この「3作品全出演」は、使徒としてはあの「第5使徒ラミエル」以来ひさびさの快挙となっています。ちなみに前にも触れましたが、我が『長岡京エイリアン』は『新劇場版・破』に登場したTVシリーズでいう「第6使徒ガギエル」にあたる役割の「第7の使徒(水飲み鳥みたいなやつ)」はガギエルとはまったく別の使徒として解釈しています。

 いや~、『新劇場版・破』のサハクィエルにあたる「第8の使徒」はハデでしたねぇ!

 おおむねのエピソードの流れはTVシリーズと変わらないのですが、

・サハクィエルのはなつATフィールドがさらに強力になり、目視では「眼みたいな模様がウジャウジャついた黒い球体」としてしか確認できないブラックホールのような異空間を形成している
・「自分のかけら爆弾」を4発投下するくだりがカットされ、最初からサハクィエル本体が第3新東京市を目指してやってくる
・大気圏を抜けて第3新東京市上空に現れた時点で、黒い球体が虹色になってビロビロ~ンと展開し、最終的にTVシリーズのような形状になる
・落下を受け止めた初号機に対して、サハクィエルの「瞳」の中から人間の上半身の形をした「中のひと」が現れ、初号機を攻撃する
・プログレッシブナイフでコアを狙う2号機にたいして、コアがみずから移動して攻撃を避ける(が、0号機によってガッチリつかまれてしまう)

 といった、TVシリーズの遺恨をくんだパワーアップ機能がさまざまな面で追加されることとなりました。
 『新劇場版・破』での5体の使徒のバトルはのきなみクライマックスと言っていいハデさがあるのですが(私そうだいは上映中、あまりのおなかいっぱい感にバルディエル戦で『破』はおしまいだと踏んでいました)、サハクィエルにあたるここでの戦闘も実におみごとでしたね。

 まぁ、ここまで反省点をカバーしたのにもかかわらず、やっぱり負けちゃうんですけど……
 ここでもさぁ、準備万端のエヴァンゲリオン3機が受け止めるというくだりが健在だったから! 勝てねぇなぁ~、どうしても。


 そうなんです。実は、ここでの「VS サハクィエル戦」の最大の意義は「エヴァンゲリオン3機の団結と成熟」をあらわす格好のエピソードとなっているところにあるんですよね。

 「3機の団結」という点はすでに前回の「VS マトリエル戦」で果たされていたわけなのですが、それとは比較にならないくらいに難しい戦いを制したこちらのほうが絵になることは言うまでもありません。

 「成熟」という点でも、かつて第3使徒サキエルとの初戦に臨んだ際には満足に歩くことさえままならなかった初号機が、「ATフィールド全開っ!!」と絶叫して勇気をもってサハクィエルの巨体を受け止める文字どおりの「主人公」ぶりを発揮していた点は見逃せませんね。
 『長岡京エイリアン』の調べでは、サハクィエルとの戦いはサキエルとの出会いから「およそ4ヶ月後」のこととなっています。初号機パイロットの中学生男子、成長したねぇ! そりゃあ怪しい父親もホメるわ。
 ただ同時に、来日以降、単独で「自称エースパイロット」としての見せ場を作ることが一向にできていない2号機パイロットのドイツ娘が、心中に言いしれぬモヤモヤをかかえつつあったことも無視できないポイントですね。


 ともかく結果として、このサハクィエル戦は「エヴァンゲリオン3機が団結して勝利をおさめる」という、「バトルヒーローアニメ」らしい戦いとしては最後のものとなってしまっています。もう、あとはさんざん……少なくとも、「気持ちのいい勝利」を得られるものではなくなっていくわけでして。

 私としては、このまま「単純明快なヒーローアニメ」として終わっていくフツーの巨大ロボットものとしての『新世紀エヴァンゲリオン』の「もしも」も、たま~に夢想してしまうんですが、まぁそうなっちゃえば、今の『新劇場版』シリーズの感動はないわけなんですよね。

 「ものづくり」っていうのは、難しいもんなんですなぁ~。ロジックじゃないのネ。


 さて……お次の「使徒検証」はいつのこととなるのやら。
 これも、「神のみぞ知る」、よねェ~!
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新春!! 2011年12月度版 そうだい短期観測調査(そうだい短観)

2012年01月01日 14時48分58秒 | 日記
 こまんぷちこくりこ~!! 2012年、明けましておめでとうございます! そうだいでございます。

 いやいやいや、ついに始まってしまいましたねぇ~。ニューイヤーが。ドラゴンイヤーが!

 私の住んでいる千葉は、よりによって曇天の元日となっちゃってます。でも、ここ最近ずいぶんと晴天が続いていたんでねぇ。こんな落ち着いたスタートもよいかと。

 天気のことはどうでもいいんですけどね、また揺れちゃったよ!
 2時半ごろだったからほんとについさっきなんですけど、私のところは震度3ほど。

 そのころ私は湯船につかっておりまして、さすがに「おぉー。今年は元旦からかよ!」とボヤいておりました。
 震度3っつっても、おととし2010年までの私だったら、確実に「ギャー、天地鳴動!!」とかわめいて全裸で路上に飛び出るくらいのことはしかねない揺れだったんですけど……なんか完全に動じなくなっちゃいましたね。

 っていうか、どうでもいいんですけど、私はなぜか「お風呂に入っているときの地震遭遇率」が格段に高いんですよ! そんなにしょっちゅうお風呂に入っているわけでもないんですが。

 3月11日も、最初の揺れの時には部屋でこの『長岡京エイリアン』をうっていたのですが、それから40分くらいたって、落ち着いて「もういいかげんに余震はこないだろう……」とお風呂に入ったら第2震をくらってしまいました。
 しかもあの時は、揺れの衝撃でガスの供給もストップ状態になってたんだっけ。春近い3月とはいえ、水は冷たかった……


 こんな感じで、なんとなく私はのっけから去年のあれこれを思い出させられちゃってるお正月なんですが、気分を入れ替えるところは入れ替えていかないとね!
 自分の身体や社会のあれこれは連続しているわけなんですから、せめて中身は心機一転!! フォーゲット機能とリメンバー機能をうまく使いわけてビーアンビシャスでいこうぜぇ~。トゥギャザーしようぜぇ~。

 さてさて、新しい年にまた新たな歩みを始めていくつもりの我が『長岡京エイリアン』ですが、まずは恒例の先月まとめをやることにいたしましょう。
 まずはちゃんとルックバック。そんでもってあとはドントルックバック。

 2011年12月の『長岡京エイリアン』全16回。ラインナップは以下のようになりました。


好きな妖怪について
 ぬらりひょん、妖怪総大将への道(6回完結)
好きな特撮について
 さようなら市川森一さん&『ベロクロンの復讐』(全4回)
使徒について
 第10使徒サハクィエル(2回、まだ途中)
観た映画について
 『ミツコ感覚』
日記
 クリスマスにパソコン購入(2回)&年越し雑感


 年末だというのに、「妖怪」「特撮」「使徒」の3本柱そろいぶみ……あんまりだ!

 ぬらりひょんは全部で33回やったんですか。長かったねぇ。
 長かったんですが、今現在の「ぬらりひょんサーガ」の更新を一手に引き受けているマンガ『ぬらりひょんの孫』も連載は続いているし、『ゲゲゲの鬼太郎』のアニメ最新第5期も、特にぬらりひょん一味との決着に関しては未完になっているため、なかなか「堂々の完結!」という区切りをつける終わり方にはなりませんでしたね。あっ、「ざっくりすぎるアイドルグループ史」のときもそうだったっけ!?

 ただ、それはまた「ぬらりひょんサーガ」にかんする新展開があった時に再開すればよし、だな。
 とにかく、私の中にある「ぬらりひょん・愛」は、ブログで33回やったくらいで除霊できるものではなかったということはよくわかりました。むしろ BURN!!

 まずは、

「ぬらりひょんって、ほんとは妖怪の総大将でもなんでもないんだぜ~。」

 という知ったかぶりな発言が、どれほどあさはかで妖怪ぬらりひょんの本質をついていない発言なのかをご理解いただければ良いのです。

 「妖怪ぬらりひょん」に「ほんと」など、ない。

 現在の私たちの心にいるぬらりひょんが妖怪総大将と自称して、私たちがそれを許容しているかぎり、絶対的にぬらりひょんは妖怪総大将なのです。過去なんか無意味!
 恐い妖怪ね~。そして、誰に頼まれているわけでもないのに元旦からこんなことをつづっている私の精神状態も、恐いよね~!!


 市川さんのご逝去という突然のニュースから始まった『ベロクロンの復讐』関連でしたが、いつか、もうちょっと拡大して「異次元人ヤプールのゆがみまくった悪役人生」もまとめてみたいですね~。
 前にもつづりましたけど、ヤプール自慢の「超獣軍団」は、回をおうごとにメンツがボロボロになっていくんですよね~。そこらへんの悲哀をまとめたいなぁ。


 あとね、年末にはこういった本とかマンガを読んでました。


北村 薫       『スキップ』(1995年)                   新潮文庫
天童 荒太     『悼む人 上・下』(2006年)                文春文庫
田中 貢太郎    『日本怪談大全第5巻 奇談の館』(1928年)     国書刊行会
江戸川 乱歩    『少年探偵団』(1938年)                 ポプラ文庫
            『妖怪博士』(1939年)                   ポプラ文庫

伊藤 三巳華    『視えるんです。 第1巻』(2005年)            メディアファクトリー
            『視えるんです。 第2巻』(2010年)            メディアファクトリー
岩明 均       『ヒストリエ 第7巻』(2011年)              講談社
安彦 良和      『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 第23(最終)巻』  角川書店
藤崎 竜       『屍鬼 第11(最終)巻』(2011年)            集英社
椎橋 寛       『ぬらりひょんの孫 第19巻』(2011年)         集英社


 なんか、12月は年の瀬ということでなにかとたて込みまして。あんまりちゃんと腰をすえて小説を読む時間がなかったんですよね。

 久しぶりに北村節を楽しみました。やっぱりね、「3行くらい読んだら誰が書いてるのかわかっちゃう。」っていう味わいは大切だと思います。大乱歩なんかまさにそうですけど。

 『ヒストリエ』はやぁ~ぱり! おっもしれぇなぁ~!!
 なんと言っても、雑誌連載作品なのに、コミックス1冊にミュージシャンの「コンセプトアルバム」のような完成された起承転結があるのが本当にうれしいです。ただ量がたまったから本にするってことじゃないのね。

 『THE ORIGIN』の最終巻は、実は私はちょ~っと不満でした。
 なんでかって、シャアがしゃべりすぎ!
 ただ、これはこれでのちの『Z』や『逆襲』のシャアに自然につながる整合性があったので「絶対おかしい!」という強い不満ではないのですが、せめて『ファースト』世界でのシャアはカリスマのままで退場してほしかったなぁ、という単なる願望です。


 まぁそんなこんなで、2012年もがんばってくぞ~い。ポヨポヨ。
 
コメント
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