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『軍師官兵衛』  視聴メモ 第22回『有岡、最後の日』

2014年06月16日 23時19分40秒 | 日本史みたいな
『軍師官兵衛』第22回『有岡、最後の日』(2014年6月1日 演出・田中健二)


登場する武将の『信長の野望』シリーズでのだいたいの能力評価(テロップ順)

小寺 官兵衛 孝高  …… 知力84、統率力67
 (演・岡田准一)

竹中 半兵衛 重治  …… 知力59、統率力91
 (演・谷原章介)

荒木 村重      …… 知力52、統率力83
 (演・田中哲司)

母里 太兵衛 友信  …… 知力44、統率力80
 (演・速水もこみち)

石田 三成      …… 知力92、統率力60
 (演・田中圭)

丹羽 長秀      …… 知力82、統率力73
 (演・勝野洋)

瀧川 一益      …… 知力66、統率力78
 (演・川野太郎)

蜂須賀 小六 正勝  …… 知力74、統率力90
 (演・ピエール瀧)

羽柴 小一郎 秀長  …… 知力83、統率力75
 (演・嘉島典俊)

織田 信長      …… 知力115、統率力108
 (演・江口洋介)

佐久間 信盛     …… 知力57、統率力51
 (演・立川三貴)

荒木 村次      …… 知力48、統率力78
 (演・中山卓也)

宇喜多 直家     …… 知力94、統率力74
 (演・陣内孝則)

羽柴 秀吉      …… 知力95、統率力94
 (演・竹中直人)

小寺 職隆      …… 知力72、統率力55
 (演・柴田恭平)


ざっとの感想

○アバンタイトルから、栗山善助の身体を張った寒中ふんどしサービスショット作戦が炸裂!!
 期待をまったくたがえないぷよぷよ体型がさすが、という感じですね。そこはやっぱり、はずさないね~。

○ちょっとした演出なんですが、捕らえられた織田方の間者(スパイ)が、顔を上げてみると視聴者が心配した井上九郎右衛門之房ではなく、間者が連行されてから解散していく従者たちの中に「あっぶねぇ~……」という表情を浮かべる九郎右衛門がいる、というワンショットは、なんかスピーディなお遊び感覚に満ちていてとってもおもしろいですね。
 こういう工夫のあるひとこまが序盤にあると、「おっ、なんか今回は充実してるなぁ!」って、こっちもノッてくるんですよねぇ。大事ですね、細部への気くばりって!

○軍師・竹中半兵衛、ついに死す! でも、ずいぶんとおだやかな最期でしたね。
 特に申しあげることもないのですが、この天正七(1579)年の段階で秀吉に「天下を……」と告げるのは、あまりにも早急なような気もしなくもないですね。だって、まずボスの信長が天下とれるかどうかもわかんないんだし! もしこの段階以前から秀吉が自分自身の「天下とり」を考えていたとするのならば、明智光秀も宇喜多直家も、そしてあの松永弾正久秀さえもがはだしで逃げ出す恐るべき野心家・秀吉というイメージが立ちのぼってくるわけなんですが……なんか、計画が遠大すぎね!? 敵が多すぎね!?
 なんかヤ~よね、こういう「秀吉が天下を取ること」が規定事実になっちゃってて、それがさかのぼって過去の状況を誇大妄想ぎみにねじまげちゃうっていう、時代劇ならではの「歴史の勝者びいき」って。
 私も歴代の『信長の野望』シリーズで、異常に能力値が優遇されている織田信長家臣団にさんっざん辛酸をなめさせられてきましたからね。お母さん、そういうの大ッキライ!!

○なんかここ最近、一言もセリフをしゃべらずに一筋「つーっ」と涙を流す演技しかしてない主人公・官兵衛。死ぬなよ~!!

○うおお~、ついにあの宇喜多直家にも死亡フラグがおっ立ってしまいましたか! ちょっと早いような気もするんですが、いよいよ運命の天正十(1582)年が近づいてきましたなぁ。
 それにしても、ろくなセリフもないんですが、直家の正室・お鮮の方を演じている笛木優子さんって、知性もかわいらしさも、そしてエロさも三拍子兼ね備えた非常にすばらしい女優さんですね! こりゃも~、荒木さんとこの奥さんなんか余裕でかすませる魅力の持ち主ですよ!! 「おまえを抱く気にもなれぬ。」と言われて、そんなに「えっ、マジ……?」ってビックリした表情になるって、ふだんどんだけ愛ある夫婦生活なんだっつーの♡
 そりゃあ、のちに秀吉にも目をつけられちゃいますよね。そこらへんの経緯のふびんさは、岡山城天守閣の解説ビデオでも詳しく説明されていましたっけ。
 ところで、まぁ悪役というイメージ演出のためだとは思うんですが、嫁さんといっしょにプライベートで酒を呑むときにもしっかりと鎧直垂(よろいびたたれ)に籠手(こて)に脛当(すねあて)という完璧いくさじたくの暑っ苦しいかっこうをしてる直家は、豪胆なんだか正直者なんだか、戦争好きなのか単にそういう特攻ファッションが好きなのか、よくわかりません! 外じゃセミが鳴いてるんだから夏なんでしょ!? 普段着で堂々と構えてるほうがいいということは、百戦錬磨の直家ならばわからぬ道理ではないはずなのに……稀代の梟雄、やはり本調子ではないとみた!!

○病没した半兵衛や、ごらんの有様の官兵衛の代理として岡山城に参上した蜂須賀小六正勝。迎えた直家は「おぬしが軍師ぃ? フンッ。」といった態度で応対し、正勝本人もなんだか自信なさげな表情を浮かべて秀吉の代わりを務めます。
 いやいや正勝さん、『信長の野望』シリーズじゃあ、あなたも軍師やってもおかしくないくらいにたいがいパーフェクトなんですけどね……もっと自分に自信を持って!
 織田家を相手にプレイすると、このあたりの中間管理職っぽいクラスの武将どもの充実度に泣かされるんですよね。ずるい!! ホントに誰か、一人でもいいからこっちにくれや!! 阿閉貞征はいりません。

 それにしても、「いままでは敵でしたが、これまでのことはいっさいすべて水に流しまして、そちらに従属させていただきます。一生懸命がんばりますので、本領安堵だけはなにとぞよろしくお願いいたします。」っていう内容の返事を、あそこまで上からな態度でできる直家の外交スキルは、なまなかなものではない! 惚れる!!

○城主が籠城中の城を抜け出す!? 奇想天外を突き抜けて、もはや現実逃避に近い大作戦を決行してしまう荒木村重。これに命を張って「なに言うとんねん、このボケ亭主! 他の誰が出てっても、おどれだけは最後までこの有岡に残らんかい!!」と大喝できない正妻だしは今週もやっぱりダメなんですが、あの狂気に満ちた目で押されたら、まぁしょうがねっか。
 田中哲司さんの渾身の「こいつもうダメだ……」演技が最高なのですが、このときに有岡城に残された部下にだけはなりたくないですよね。でも、現代の世の中でもけっこうあちらこちらで起きてそうな状況なんだから、ものすんごく怖い歴史エピソードです……

○「荒木村重、有岡城脱出」という報にやけに激昂して家臣たちを叱り飛ばす信長。
 でもよくよく考えてみたら、その時点で1年近く落とせないでいる難攻不落の敵城のあるじが城を抜けたというのですからそれなりの混乱も有岡では起きているはずで、これこそ攻め手にとっては現状打開の大チャンス、と解釈できないこともないはずです。信長はいったい何にそんなに怒っているのでしょうか?
 うん、やっぱりこの人、村重を正面から叩きのめして殺すつもりで包囲してたんですね。現実的には有岡城を攻め落とすことのほうが大事のような気もするのですが、世間に広める情報戦略のポイントからも、村重に逃げられるという事態だけはなんとしても避けたかったのでしょう。
 でも、ここらへんの考えかたって、まんま3年後の本能寺の変で明智光秀が、他ならぬ信長に対して考えてたこととおんなじなんですよね。なにがあっても信長の首だけはとらなきゃ大失敗っていう。実際、長期的に観れば大失敗に終わったわけなのです。
 実際の「バトル」というよりは、その戦場を取り巻く政治をも視野におさめた「ウォー」のことを重要に考える信長。こういえばなんだかカッコイイんですが、今回の激怒は、少々メンツや「逃げるな!!」というスポーツマンシップにこだわりすぎな感じも見受けられます。戦国大名っていう職業は、やっぱりなにかとウェットですよね。

○竹中秀吉のスライディング平伏……やっぱ最高だな!

○「無駄じゃ……もはや、毛利は来ぬ。」のあとに流れる13秒間の沈黙、そして村重の表情のうつろい! もう感動するしかないじゃないですか哲司さん!!
 今までの半生のはかりしれない労苦と輝ける栄華、そして現在の破綻を思い浮かべ、そしてこれからくる未来に恐怖しつつも、再び闘争心を燃やす。
 まさか、NHK の大河ドラマでこのような濃密な無言の演技を堪能できるとは!! まったく畏れ入りました。

○村重「村次……わしは思いついたのだ。信長に決して負けぬ手立てを! 生きることだ……わしが生きておる限り、信長に負けたことにはならぬ! 何があろうと、生きて! 生きて生き抜いてやる!!」
 はい~、そのセリフ、まるっとまるごと将軍・足利義昭がいただきました~。
 そうそう、生きてればいいのよ、待てば海路の日和あり、なのよ~!!
 でも、このセリフのなにがいいって、ちゃんと冷静に「負けたことにはならぬ」って言ってることなんですよね。つまり、「勝てもしないけどね」っていうドライな意味が含まれているんです。いいんじゃないっすか、勝ち負けだけが世の中じゃないんでね。リタイアしても、生きてるうちはただ単に「別の道に変えた」ってだけのことなんですよね。のんきに歩いていきましょう。

○城主・村重に続いて重臣・荒木久左衛門までが出奔したと聞いて、万事休すで火縄銃自殺に果敢にチャレンジする池田和泉守! 結局、成功できたから良かったけど、銃身が重くて手もと(この場合は足もと?)が狂うとか暴発するとか、失敗する可能性がメチャクチャ高い方法をなぜ選ぶ!? ノーマルな切腹フィーチャリング介錯じゃダメだったんですか……文字通りの最期になって突然個性を発揮した池田和泉守よ、やすらかに。なんでもいいですけど、ちゃんと発射後に火縄が床に落ちて火花が散る効果が画面に映されていたのが良かったですね。

●あまりにもあからさまなダウト演出なのでツッコムのも面倒くさいんですが……なんで火縄銃が連射できんねん!! 400年以上前の日本では、もうすでに連発式ライフル銃が開発できてたんか!? でもまぁ、こんな新兵器が配備されてたら、確かに天下の織田軍を相手にしても1年は持ちこたえたでしょうね。有岡城があれほど難攻不落だった秘訣に、新説登場か!?

●軍師・竹中半兵衛の死没、荒木村重の有岡城脱出、そして有岡城落城と官兵衛の1年ぶりの救出というようにドラマティックな展開が満載のエピソードだったのですが、有岡城の末路について、ちょっと史実とは違うような印象を受ける演出だと感じました。
 ドラマでは、さも有岡城が激しい「織田軍の総攻撃」を受けて、それに頑強に抵抗したものの、持ちこたえられず最終的に落城したと、そのように見受けられる戦闘シーンがクライマックスで華々しく描かれていたのですが、実際にはそんな流れではなかったはずです。

 まず有岡城は、劇中で城将・荒木久左衛門が「村重が尼崎城を開城すれば有岡城に残った武将とその家族(もちろん村重の正室だしも)全員の命を助ける」という破格の条件をもって尼崎城の村重のもとへ向かった時点で、すでに開城して織田家の手に落ちていました。
 東西400メートル、南北600メートルの市街区域も城域におさめた「総構え」式、しかも石垣や天守閣といった当時最新鋭の設備も充実させていた恐るべき堅城・有岡城でしたが、村重の脱出から1ヵ月後の10月15日から開始された織田軍の攻勢によってじわじわと追い詰められてゆき、最終的には本丸区域のみを久左衛門が死守するという状況になっていました。そこで11月19日に久左衛門が織田サイドからくだんの条件付き降伏をのみ、ついに開城という流れになっていたのです。
 こういうことですから、確かに荒木軍と織田軍とのあいだに激しい戦闘はあるにはあったわけなのですが、ドラマを素直に観ていれば自然と受けてしまう「久左衛門出奔→織田軍総攻撃→官兵衛救出」という順序は事実とは違う、ということになるはずなのです。
 確かによくよく考えてみれば、久左衛門が織田方の提示を持って尼崎城の村重に会おうとしている時点で久左衛門は有岡(現在の伊丹)~尼崎間を行き来することが許されていたことになるし、有岡城代表である久左衛門が織田方の使者になっていること自体、有岡城がすでに織田方と戦闘する立場でなくなっていたことを意味します。
 だいたい、牢獄の中で身動きできない瀕死の状態になっている官兵衛が、世話になった牢番の加藤又左衛門重徳(演・浜田学)の息子・玉松丸(のちの黒田家重臣・黒田一成)の養育を引き受けるというやりとりがありますが、こんなの、ドラマみたいに総攻撃が始まる直前に約束したって、意味なくね!? いったいどうやって官兵衛が「約束したから加藤玉松っていうガキンチョは殺さないでね♡ 」というメッセージを殺る気まんまんの織田軍に伝えるというのでしょうか。メールか!? これはやっぱり、戦闘状態がいったん終息したあとでなければ成立しないエピソードなのです。
 つまり、これまたドラマを観れば「村重のあまりにもつれない門前払いにブチ切れたんだろうなぁ。」という程度にしか受け取れない久左衛門の出奔も、そういう怒りというよりは、「このまま手ぶらで有岡に帰っても、『会えませんでした。』で織田方が納得してくれるはずがない……」という恐怖のほうが大きかったのではないのでしょうか。使者の役にも立たない投降武将なんか、まず生かしておく価値はないですよね。
 そんなこんなで、今回のエピソードのクライマックスは、またしても脚本のヘタな小細工が悪目立ちする構成になっていたと感じました。またかよ……別にそんなことしなくてもいいのになぁ! だいたい、総攻撃で牢番の加藤又左衛門が討死したみたいな映像にもなってたけど、あの人、有岡城の合戦では死んでないよね? 関ヶ原合戦の後でひょっこり黒田家の重臣になって天寿をまっとうしたよね? 来週以降に「実は生きていました!」っていうサプライズがあるのかな。地味なビックリだなぁオイ!

 ところで、今回は有岡城に残されちゃったかわいそうな荒木久左衛門や池田和泉守といった面々の動向がクローズアップされていましたが、やっぱり私としましては、彼らにつけ加えて、もともとは村重の主君だったのに、なんだかんだで村重の家臣になり下がって生き残る道を余儀なくされてしまった武将「池田久左衛門知正(1555~1604年)」もドラマに出てきてほしかった、と思うんだよなぁ。
 このお人、名前が同じために荒木久左衛門と混同されているらしいのですが、私はまったくの別人だと思うんですよ。たぶん、ドラマに出ている村重の重臣・荒木久左衛門とは別に、そうとうイヤそうな顔をしながら村重に従っていた池田久左衛門がいたはずなのです。年齢は20代なかば。
 池田久左衛門は本能寺の変後にひょっこり姿をあらわして豊臣秀吉配下の大名に復帰しているわけなのですが、果たしてこの人物が有岡城の合戦で村重の最大の信頼を受けていた荒木久左衛門と同一人物であるとは……考えにくいんだよなぁ。なんというか、村重にいちばん強い恨みを持っている身内であるはずの池田久左衛門に有岡城を任せて、村重が脱出すると思いますか? そして、そんな村重の意を愚直すぎるほどに堅守して、池田久左衛門が本丸を残すギリギリの状態になるまで籠城を続けると思いますか? なんか池田久左衛門の前歴と荒木久左衛門の活躍とのあいだで、村重に対する感情の温度の差がありすぎるんですよねぇ。
 いくら織田信長の死後だとはいっても、家族や部下の命を見捨てて逃げだした人間を、秀吉も2700石持ちの大名として採用しますかねぇ?

 村重という稀代のワルに名門大名としての道を閉ざされた上に家臣にさせられるという屈辱を受けながらも、それでもめげずに生き延びて最終的には自力で大名に復帰して豊臣、そして徳川の新時代を見とどけて去って行った、雑草根性を絵に描いたような池田知正の生命力もドラマで観たかったなぁ~。
 こういう逸材を、いろんな都合があるとはいえども、むげにカットしたり別人物に吸収させちゃう脚本は、やっぱダメよ!
 でも、この人を出すんだったら、官兵衛じゃなくて荒木村重が主人公の大河ドラマにしないといけないね。うわ~おもしろそう、視聴率が恐ろしいことになりそうけど、観たいなぁ~!!


結論、「第23回がとてもたのしみです。」

 なんか、とにもかくにも荒木村重を演じる田中哲司さんの、ジャック=ニコルソンなみに鬼気迫る情熱がムラムラする屈指の名エピソードでしたね! おもしろかったなぁ~、おもしろかったけど、主人公ぜんぜん活躍してなったなぁ~!!

 黒田長政、後藤基次、加藤清正、福島正則といった面々に加えて、今週は黒田一成に宇喜多秀家と、戦国のネクストジェネレーションとなるメンツがじわじわ出そろってまいりましたねぇ~、まだ子役ですけど!
 竹中半兵衛もついに死んじゃったし、なんか、だんだん「秀吉の時代」が近づきつつあるという実感がわいてくるエピソードが目白押しでしたが、官兵衛が救出されても、まだまだ中国戦線は始まったばっかりだし、さらにその後には「本能寺の変」が待っております。

 いや~、ここからますます盛り上がる一方ですなぁ! 視聴率もよくなるといいねぇ!!

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