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長岡京エイリアン

日記に…なるかしらん

おれ、『GANTZ』ニガテなのよぉ  ~ぬらりひょんサーガ 第28回~

2011年12月03日 02時42分33秒 | ゲゲゲの鬼太郎その愛
前回までのあらすじ》
 1967年の原作マンガへの登場以来、数多くの「鬼太郎サーガ」に幾度となく姿を現してはゲゲゲの鬼太郎との激戦を繰り広げてきた妖怪ぬらりひょんも、ついに21世紀を迎えるにいたって、本腰を入れて「妖怪の総大将」というステイタスを狙うようになってきた。
 思い起こせば『ゲゲゲの鬼太郎』が世に出るはるか昔、1930年に民俗学の権威がうっかり口をすべらせたところから生まれてしまった「ぬらりひょん=妖怪総大将」イメージ。
 それから半世紀以上の時がたった2000年代、本格的にその座を手にするチャンスをつかんだ彼は、ここぞとばかりにさまざまな作品の中で渾身の大攻勢を仕掛けていくこととなる。
 そんな彼の花舞台は、アニメ第5期『ゲゲゲの鬼太郎』や『ぬらりひょんの孫』だけではなかったのだ!!


 ちょこっと振り返ってみたいのですが、「ぬらりひょん」という妖怪が、現在明らかになっているかぎりでいちばん最初に文献の世界に出現したのは、18世紀のはじめ、江戸時代に「商都」大坂を中心に大流行していた大衆小説「浮世草子」の一作『好色敗毒散』(1703年)でのことでした。
 そこから2010年代の現在にいたるまでの300年間、いろーんな世界にいろーんな姿で顔を出してきたぬらりひょん先生ですが、彼が本格的に「妖怪総大将」というリーダー的な呼ばれ方をしてもおかしくない立場を演じていたことは数えるほどしかありません。

 こんなもんですかねぇ。
・1978年『新 ゲゲゲの鬼太郎』での墓の下高校校長ぬらりひょん
・1985~87年『最新版 ゲゲゲの鬼太郎』での妖怪総大将ぬらりひょん
・1986年『激突!!異次元妖怪の大反乱』での妖怪皇帝ぬらりひょん
・1991年『鬼太郎国盗り物語』での正義の妖怪総大将ぬらりひょん
・1994年『忍者戦隊カクレンジャー』での妖怪忍者党頭領ぬらりひょん
・1997年アニメ第4期『ゲゲゲの鬼太郎 妖怪王編』での妖怪王ぬらりひょん
・2007~09年アニメ第5期『ゲゲゲの鬼太郎』でのリニューアルぬらりひょん
・2008年『ゲゲゲの鬼太郎 千年呪い歌』での緒形拳ぬらりひょん


 もちろん、いきあたりばったりでだまくらかした妖怪か朱の盤くらいしか手下のいなかった、アニメ第3期と4期の通常状態でのぬらりひょんはカウントに入れていません。
 最初に妖怪集団のリーダーっぽい位置についた「墓の下高校校長」は、まぁ総大将と呼ぶには規模が小さすぎるんですが、ぬらりひょんが他の妖怪たちの上に立った記念すべきお初なのであえて入れさせていただきました。
 『カクレンジャーぬらりひょん』は友情出演みたいな出番の少なさだったので除外するとして、支配規模やご本人の能力が最も大きかったのは『最新版』と『妖怪王』のどっちかかなぁ。
 でも、私の中では羽織姿を乱すことなく終始落ち着いた態度で采配を振るっていた『国盗り物語ぬらりひょん』の勇姿が忘れられないんですよ! 珍しく正義の味方だったし、あれはカッコよかったなぁ~。

 んで、この流れの最新ヴァージョンが『ぬらりひょんの孫』での「奴良組(ぬらぐみ)初代組長ぬらりひょん」であることは言うまでもないわけです。

 上の一覧を見ていただいてもおわかりのように、ぬらりひょん先生は年を追うごとに「妖怪総大将」の座に執着するようになり、特に21世紀に入ってからは、『妖怪大戦争』(2005年)での風のごとく自由な忌野清志郎ぬらりひょんを唯一の例外として、基本的に登場するときには必ず複数の強力妖怪をしたがえていることが定型となっています。京極夏彦の『ぬらりひょんの褌(ふんどし)』の内容がそれらの真逆をいったものだったことは前にも触れましたね。京極作品らしくぬらりひょんご本人は出てこないけど。


 さて、そういった中で今回取りあげるのは、堂々の復活を果たしたのにもかかわらず番組の都合で途中退場を余儀なくされてしまったアニメ第5期『ゲゲゲの鬼太郎』へのレギュラー出演とまったく並行したかたちで、ぬらりひょん先生がおこなっていた「別の仕事」です。こっちは第5期の青野ぬらりひょんとはまるで正反対で、セリフはほとんどなくて「パワー勝負」一辺倒のハードなお仕事でしたよ。よく2年間もあのスケジュールをこなせたもんだなぁ……やっぱ若いわ。


ハードSFバトルアクションマンガ『GANTZ 大阪編』(2006年11月~08年10月 作・奥浩哉)


 いや~、とんでもないもんに出ちゃいましたね、総大将!
 『GANTZ』といえば、嵐の二宮和也くん主演で前後編構成の実写映画版が今年に公開されたことも記憶に新しいのですが、言わずと知れた『週刊ヤングジャンプ』(集英社)連載の超人気マンガです。
 作品自体はもう2000年から連載が始まっており、現在32巻のコミックスが発売されているわけなのですが、累計売り上げ部数1800万部を超える大ヒット街道をばく進中ですね。

 連載が始まってもう10年を超えているわけですから、内容も数々のヤマ場やビックリ展開が用意された結果、いくつかの「フェイズ(局面)」のつながりで構成されるかたちになっています。

 かなりざっくりと解釈してしまいますと、その中で、コミックスで言う「第1~8巻」の内容に独自の結末を加えたのが2004年に2シーズンに分けて放送された『アニメ版 GANTZ』(監督・板野一郎)で、「第1~16巻」の内容に独自の結末を加えたのが今年2011年の『実写映画版 GANTZ 2部作』ということになるんですな。
 アニメ版も年齢指定されるほどの過激な描写で話題になりましたが、実写映画版はさらに前・後編ともに公開初日からの2日間だけで興行収入5億円&観客動員数40万人を突破したということでねぇ~。とにかく話題に事欠かないお化けタイトルなんでございますよ。


 そんな『GANTZ』の中でも、我らがぬらりひょん先生の登場した『大阪編』とは?

 どっから説明したらいいのかもわからないし、私の解釈がちゃんと正しいのかも不安な部分があるのですが、まぁ~私の勝手な解釈によるのならば! 『GANTZ』は奥浩哉先生という希代のイマジネイターが再創造した「戦隊ヒーローもの」アクションマンガです。
 いや、この言い方を真に受けて「なぁ~んだ、そんなのか。」と気軽にコミックスを手にとってしまうと大変な目に遭っちゃうんですけど……

 とにかく、なんらかの原因によって現実世界で死んでしまった「はず」の人々が性別年齢、時には生物種さえも超えてランダムに選ばれ、人類をおびやかす存在だという正体不明の怪物「星人」たちを滅ぼす特殊戦闘チームにされてしまうんですからとんでもない。
 選ぶのは、これまた正体不明の巨大な黒い球体「GANTZ(ガンツ)」。GANTZに選ばれた人たちは戦闘の向き不向きに関係なく、強制的にあの黒っぽくてピッチピチしたスーツを着てへんな銃か刀みたいな武器を手にとらなければならなくなってしまうのです。

 いっぽうで、そんなGANTZチームに対峙する「星人」というのもムチャクチャな設定で、ある者はお菓子の「チョコボール」のキョロちゃんそっくりだったり、ある者はお寺の仏像そっくりだったり、ある者は恐竜そっくりだったりと、「人類に敵対している」共通点をのぞいてはまったく造形に脈絡がありません。

 マンガ『GANTZ』の物語は、東京でそんな過酷な闘いの日々を始めることとなった青年「玄野計(くろの けい)」を主人公として進行していくのですが、衝撃的展開をはさんで、2006年の暮れからは主人公が別の青年「加藤勝(かとう まさる)」に代わって連載再開となります。この加藤さんメインの内容が2年間続く『大阪編』なわけなんですね。ちなみに、実写映画版で玄野を演じていたのは二宮くんで、加藤を演じていたのは松山ケンイチでした。平清盛がんばって!

 『大阪編』は読んで字のごとく、それまで東京で活動していた加藤チームが初めて東京以外の地域・大阪に送り込まれ、道頓堀川から出現した大量の「星人軍団」とグチャグチャドロドロの血みどろバトルを展開するという、現在の日本での映像化はおそらくムリかと思われる内容となっております。

 で、で、この『大阪編』に現れた星人軍団のキャラクター造形のしばりが「妖怪」で、まさに「百鬼夜行」とも言うべきそれらの頂点に立っていたお方こそが!! ぬらりひょん先生だったということなんですなぁ。

 特に多くの時間をさいてGANTZ チームと激戦を繰り広げた妖怪(星人)は「お歯黒べったり」「泥田坊」「あみきり」「一本だたら」「烏帽子鬼(えぼしおに)」「蛇骨婆」「般若」「小面(こおもて)」「牛鬼」「餓鬼」といったあたりなのですが、それ以外にもモブとしてさまざまな有名妖怪たちが顔を出していましたね。このへんの面々が、奥浩哉先生ならではのリアルタッチで復活して道頓堀に跋扈する光景はかなり壮観! でも、そのすぐあとに目も当てられない壊滅っぷり……
 そんな中で一頭抜きんでた場所にいたのが、総大将格のぬらりひょんと、副将格の「天狗」と「犬神」だったわけで。
 ……あ、そう、朱の盤じゃないんすか……朱の盤、どこにも出てないの? 総大将は「鬼太郎サーガ」以外のお仕事には絶対に朱の盤をついてこさせないんですよねぇ。これもなにかのツンデレ表現なのかなぁ?


 それはともかく、ここでのぬらりひょん(星人)は、どっからどう見ても「最強」!

 姿を現した序盤こそ、「小柄ではげた頭だけ大きな老人」というコテコテの風貌だったものの、その眼光は鋭く、戦うたびにより強力な筋肉隆々の巨体になったり、かと思えば際限なく分裂して集団戦法をしかけてきたりと、まるでフリーザ様が大阪にふらっと遊びに来たかのような「絶望的に強い」肉弾キャラになっているのです。こえぇ!

 まぁ……この辺の恐ろしさは、実際に『GANTZ』のコミックス第21~25巻(カバーが白いやつ)を読んでいただくより他はありません。説明はムリ!

 ともあれ、やっぱりどんなに強くても敵キャラは敵キャラなので最終的には華々しく散ってしまうわけですが、道頓堀川からわらわらと百鬼夜行(星人)が出てきて、そんで最後の1体であるぬらりひょんが倒されるまで、実時間にしてたぶん数時間くらいのものであるはずなのに、それが連載2年間・コミックス5巻ぶんの濃度になってるんですからね……知性はよくわかんなかったですけど、肉体的に歴代最強なのがこの「GANTZ ぬらりひょん」であることはまず間違いないでしょう。映像化できないのが惜しいな~。


 しっかし総大将。
 日曜の朝からやってた子どもも安心して観られるアニメや『ジャンプ』のマンガに出ていたかと思ったら、こんなえげつないお仕事もやってらっしゃったんですねぇ……どんな精神バランスとってるんすか!?

 全然関係ないんですけど、20世紀には『マガジン』とか『コミックボンボン』といった感じで講談社を活動の拠点にしていたぬらりひょん先生、21世紀に入ったら『ヤンジャン』に『ジャンプ』と、集英社に思いっきり鞍替えしちゃいましたね。超大型移籍だ!!


 ま、こんなわけで、今回とりあげたお仕事は単純な「バトルアクションの強敵役」だったし、その上わけのわからない「星人」という存在だったため、ぬらりひょんの中の「悪の親玉」という部分を最大限に拡大したに過ぎない活躍だったということで、特にこれといって、「妖怪ぬらりひょん」の属性に新たに追加されるべきオリジナルな要素は組み込まれていませんでした。口ヒゲをはやしてたってくらいかなぁ、新しかったのは。


 なので、今回の「ぬらりひょんサーガ」はここでおしまい! まったじっかい~

 ……ってことにしてもいいのですが、せっかくなので、おしまいに個人的なことをつぶやかせていただきたいと思います。


おれ、『GANTZ』ニガテなのよねぇ~!! ほんとにだめ!


 もう、なんちゅうかねぇ、「絵がうますぎる」のがほんっっっっとに好かないんですよ。
 絵がうまいからこそなのかも知りませんが、奥先生、自分のキャラクターにムチャクチャしよるでしょ~!? 暴力描写でも性描写でも。
 もう残酷さがきわだっちゃってねぇ、見てらんないんですよ……これはもう、「褒め言葉」として理解していただきたい。
 私もう、奥先生の作品は『変 HEN』シリーズの頃から苦手でしてねぇ。
 絵がいくらうまくて魅力的でも、理解不能・予測不能な展開のマンガはおおむね観ていて疲れるので敬遠しています。

 それなのに、ぬらりひょん先生が出てきたのが悪名高い『大阪編』なんですもん!
 奥先生って……大阪、きらい?
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FOREVER 青野ぬらりひょん!! ~ぬらりひょんサーガ 第27回~

2011年11月30日 15時00分02秒 | ゲゲゲの鬼太郎その愛
前回までのあらすじ》
 あらら、もう今日で11月がおしまい!?
 そうですか……やはり「ぬらりひょんサーガ」は2ヶ月では完結しなかった! これを「愛」と言わずしてなんと言お……あ、「のんびりしすぎ」って言えばいいんだ。
 いやいやでも、来てほしくない終わりは確実に近づいてきつつあるのです。
 アニメ『ぬらりひょんの孫 千年魔京』ももうクライマックスなんでしょ? 私は1秒1コマたりとも観てないんだけど。東京MXテレビ受信できなかったから第1シーズンも観てなかったしなぁ。
 さぁ、その勢いにヒッソリのって、こちらも堂々のラストランに入ることにいたしましょ~か。


 前提として過去の原作マンガやアニメシリーズを「かつてあった歴史」としてふまえながらも、本編ではまったくオリジナルで21世紀の視聴者のニーズにこたえた作品世界を展開することとなった、アニメ最新第5期『ゲゲゲの鬼太郎』(2007年4月~09年3月 全100話)。
 そこに、今まで以上に重要で強力なライヴァルとしてレギュラー出演したぬらりひょん一味の活躍や、いかに!?

 前回にも触れたように、いつもの朱の盤にあわせて、蛇骨婆がついに紅一点(どどめピンク)としての準レギュラー出演枠を獲得し、さらには旧鼠とカニ坊主といったニューフェイスも加わって、アニメ第5期のぬらりひょん一味は、史上初めて「一味」と言うにたる充実の人材をそろえるものとなりました(とくに頼りになる強豪妖怪かまいたちは第39話からの参加)。
 このアニメ第5期で通算4代目の蛇骨婆を演じることとなったのは、子どもに絶大な人気を得る謎のケミカルお菓子「ねるねるねるね」のCM の魔女役として世代を越えた認知度をほこる声優の鈴木れい子(63歳)。せっかく40年ごしでレギュラーになったんだから蛇骨婆メインのエピソードもあって良かったんじゃないかと思うのですが、そこは「萌え」を追究した第5期だったため、涙をのんで脇役キャラにあまんじることとなってしまいました。

 こういった新生ぬらりひょん一味がアニメ第5期の中で初めて本格的に鬼太郎ファミリーと激突したのは、第8話『宿敵!ぬらりひょん』(2007年5月放送)でのこと。ただし、すでにそれ以前の2話ぶんのエピソードでゲスト妖怪の「黒幕」という役割で暗躍は開始していました。

 記念すべきこの第8話は、「鬼太郎をコンクリート詰めにしたぬらりひょん一味がぬか喜びする」というくだりからして、水木しげるの原作マンガ『妖怪ぬらりひょん』をモデルにしていることは明らかなのですが、ぬらりひょんが鬼太郎を油断させる「おとり」として、若い娘さんの姿をしたゲスト妖怪「百々目鬼(どどめき)」を利用し、エピソードの展開も鬼太郎と百々目鬼とのやりとりを中心にしているため、ほぼ別物といってよい内容となっています。

 このエピソードのクライマックスで、やっぱり復活した鬼太郎にコテンパンにのされたぬらりひょん一味は緒戦を勝利で飾ることを逸してしまい撤退、自身も顔面のひたいに大きなキズを負うこととなってしまったぬらりひょん先生は、あえてそのキズを治癒させずに、この屈辱を忘れないために鬼太郎を殺すまでには残したままにしておくという決意を胸にするのでした。ねちっこいなぁ~!

 このように、アニメ第5期本編でのぬらりひょん先生は、原作やそれまでのアニメシリーズにあった「過去世界への追放」という最悪の目には遭ってはいません。
 しかし、前回にもふれたように、第5期以前の段階でぬらりひょんとその一味が鬼太郎ファミリーと敵対して激戦を展開していたらしいことは間違いなく、おそらくはその中で、ぬらりひょんがすでに過去世界へ追放されたというくだりはあったはずなのです。そうでないと、あの第5期でのぬらりひょんの激しい憎悪の感情は説明がつかないのではないかと。
 まぁ、原作マンガのようにマンモスのいる5万年前に流されたのか、アニメ第3期のようにティラノサウルスのいる6~7千万年前に流されたのか、アニメ第4期のように天狗ポリスによって2億年前に流されたのかまでは判然としないのですが……どれにしても、ひどすぎる!!

 また、ぬらりひょんの「ひたいに残されたキズ」というキーワードを聞けば、ぬらりひょんファンならばおのずと、あの傑作劇場版アニメ『激突!!異次元妖怪の大反乱』(1986年公開 第3期の映画化)の白熱のラストで、鬼太郎にオカリナソードで顔面をかち割られ、流血する顔を両手でおおいながら、

「ぐ、ぐぬわぁあっしゃぁああ~!!」

 と絶叫して国会議事堂のドてっぺんから墜落していく妖怪皇帝ぬらりひょんの最期が容易に連想できるはずです。

 もちろん、さっきも言ったようにアニメ第5期でのぬらりひょんの「ひたいのキズ」は第5期本編の中で鬼太郎につけられたものであるのですが、イメージとして、第5期の青野ぬらりひょんがまぎれもなく第3期の青野ぬらりひょんと地続きになっていることを証明してくれるのが、この「ひたいのキズ」だと思うんだなぁ、私は。顔つきは全然ちがいますけど。

 さて、そんな感じでさまざまな「過去」を感じさせるぬらりひょん先生。アニメ第5期での活躍のほどはといいますと。
 かつてのアニメ第3・4期もそうでしたが、第5期でもぬらりひょんは初登場以降ず~っと全話に登場していたというわけではなく、出てきたのは、

第4(海座頭と舟幽霊)・7(雪女と雪入道)・8(蛇骨婆と百々目鬼)・17(火取り魔)・26(バックベアードと同盟)・30(片車輪)・39(かまいたち初登場)・47(百々爺)・59(ベアードの計画を傍観)・61(たんたん坊と二口女)・72(家鳴りと妖怪城)・85(完全体妖怪城)話

 の12話でした。()の中にあるのは、そのエピソードでのゲスト妖怪や悪事の内容です。

 アニメ第3期の青野ぬらりひょんが「全115話中の15話」登場(貢献度13%)で、第4期の西村ぬらりひょんが「全114話中の18話」登場(貢献度16%)ということだったのにたいして、以上のように第5期に再登板した青野ぬらりひょんは「全100話中の12話」登場ということで貢献度12%。まぁまぁですが、そんなにしょっちゅうは出てなかったんですな。
 ところが、第5期を楽しんだ方ならばみなさんご存じのように、足かけ3年・全100話にわたる人気シリーズとなった第5期は、誰がど~う観ても内容的には「打ち切り」としか言いようのない終わり方をして完結しています。いや、だから完結してません。
 そんなこともあって、第61話から不定期で始まったぬらりひょん一味の「妖怪城編」は、第85話『鬼太郎絶叫!妖怪城の切り札!!』(2008年11月放送)でいちおうの終結を迎えてはいるものの、敗北したぬらりひょん一味はメンバー全員ピンピンしており、必ずまた近いうちに復讐するゾという空気を濃厚に残しつつ撤退しています。
 そしてそのまんま、最終回の第100話まで登場しないままになってしまったのですが、もしアニメ第5期がそれ以降も「満足のいく真の大団円」を迎えるまで続いていたのだとしたならば、ぬらりひょん一味がそれまで以上の激闘を繰り広げていたであろうことは間違いないはず……だったんですが。

 ざっとそれまでの流れを追っていきますと、いつもの感じで毎回のゲスト妖怪を操るといった役回りで活躍したぬらりひょん一味は(第26話では、西洋妖怪軍団の首領・バックベアードからもらった「毒矢」を使って珍しく鬼太郎ファミリーの棲む妖怪横丁を直接襲撃する)、第30話『鬼太郎抹殺作戦』(2007年10月放送)の結末で天狗ポリスに逮捕され、その3ヶ月後の第39話『ぬらりひょん最期の日』(2008年1月放送)で、新しく一味に参加したかまいたちの援護を受けて脱走して活動を再開します。
 その収監中、ひとり鉄の岩屋に監禁されていたぬらりひょんは、「3ヶ月間壁の鉄をかじり続けて体内に鉄分を蓄積させ、手に鉄のツメをはやすことに成功する」という、星一徹もビックリのド根性新境地に到達することに成功します。
 老いてますます盛んとはまさしくこのことなり!! あっぱれぬらりひょん大先生。

 その後、第47話『妖怪大裁判』(2008年3月放送)では、鬼太郎をおとしいれようとするゲスト妖怪・百々爺(演・西村知道!)を攻撃して鬼太郎を助けるという意外すぎる役割を演じていました。このエピソードではぬらりひょん一味は潜伏中で、百々爺の陰謀にはいっさい加担していません。
 あの宿敵ぬらりひょんが、いったいなぜ鬼太郎を助けるのか!? その理由とは、

「鬼太郎を殺すのはこのわしじゃ! わし以外の妖怪には鬼太郎は殺させんぞ。」

 ツンデレか!! ベジータか! シャアか!

 ぬらりひょんのような爺さん妖怪をここまで夢中にさせる鬼太郎少年の魅力っていったい……なんだか、『ヴェニスに死す』みたいな妖しいかほりが。


 ともあれ、こんな感じでさまざまな新展開の可能性を見せつつも! 実に不可解な終わり方で100話完結となってしまったアニメ第5期『ゲゲゲの鬼太郎』。

 放送中にはウエンツ瑛士が主演する実写映画版『ゲゲゲの鬼太郎』2作も公開されていたし、西洋妖怪軍団やぬらりひょん一味、「九尾の狐の弟」チー率いる中国妖怪軍団などのレギュラー出演化に対して、「地獄に封印されていた超絶エネルギー」を体内に得てスーパーサイヤ人のような髪型になって闘う鬼太郎といったバトルアクション展開も加速化していたし、いわずと知れた「萌え萌え猫娘」の合格点以上のヒロインっぷりも大きな話題となっていたはずで、そういった部分から、アニメ第5期が「不人気」という理由で打ち切りになったという見方はあたらないはずなのですが。

 一体なぜなんでしょうか……とにかく、事実としてはっきりしているのは製作スタッフが第100話の時点で第5期を完結させるつもりが毛頭なかったことと、それをまったく意に介さない強硬さで、放送していたフジテレビが2009年4月からのその時間帯の枠を『ドラゴンボール改』にゆずってしまったことです。それであっさりおしまいとなってしまったわけで。

 製作スタッフに第100話以降もアニメ第5期を続行させる意志が強くあったことは、2008年9月放送の第73話『妖怪四十七士の謎』から始まった「全国の妖怪四十七士を探し求める」というミッションがまったくコンプリートされていないことからも一目瞭然です。

 「妖怪四十七士」というのは、要するに日本全国にちらばる四十七ヶ所の霊場のエネルギーを開放させる能力を持っているという、四十七都道府県に棲む「ご当地妖怪たち」のことで、日本を侵略しようとする世界各地の悪役妖怪軍団の脅威を憂慮した地獄の閻魔大王が、鬼太郎ファミリーに命じて四十七士を集結させ、それによって開放された日本全国の霊的エネルギーを吸収した「ウルトラミラクルスーパー鬼太郎」が敵妖怪たちを撃退するという構想だった……のですが。

 結局のところ、TV本編は四十七士のうちの「25名」までしか判明していない状態で終了してしまっており(第100話で最後にエントリーされたのは群馬県代表の黒カラス天狗)、やっと半分を越えたというあたりでおしまいになっちゃったんですよね。
 ちなみに、現在も閲覧できる東映アニメーションのアニメ第5期『ゲゲゲの鬼太郎』の公式ホームページでは、登場することさえかなわなかったメンバーも含めた「幻の妖怪四十七士」の全貌を確かめることができます。
 となると、だいたい30話かけて四十七士の半分が集まったわけなのですから、アニメ第5期が本当の意味で完結するためには「全130話」くらいのスケジュールが必要だったというわけか。あと1年続いてたら、いったいどんな展開になってたんでしょうかねぇ。

 こんな事情があったため、第5期で堂々のパワーアップを果たした青野ぬらりひょんは「まだまだこれからじゃぞ!」とタンカを切って潜伏したまま出番終了という、実に不本意で中途半端な幕切れを迎えることとなってしまったのです。非常に残念……

 TV本編の中では、2008年11月に放送された第85話が最後の出番となってしまったぬらりひょん一味でしたが、アニメ第5期『ゲゲゲの鬼太郎』のくくりで本当にラストとなったのは、その1ヶ月後に大々的に全国上映された第5期唯一のオリジナル劇場版『ゲゲゲの鬼太郎 日本爆裂!!』(2008年12月公開 83分)でのほんのチョイ出演でした。

 アニメ第5期『ゲゲゲの鬼太郎』唯一の劇場版となった『日本爆裂!!』は、アニメ版『ゲゲゲの鬼太郎』放送開始40周年を記念した「鬼太郎サーガ」史上初の劇場単独公開長編です。
 それまでの数々の歴代劇場版『ゲゲゲの鬼太郎』は、すべて「東映まんがまつり」系列のプログラムの1本という役割になっていたため、上映時間も30分か1時間という制約があったのですが、今回の単独上映作品はついに1時間30分という普通の映画なみのヴォリュームを手に入れることとなりました。
 また、この作品はウエンツ鬼太郎の実写映画版2作のあとに公開されているため、映画出演としては、2010年1月に享年77歳で逝去した田の中勇の遺作となります。

 『日本爆裂!!』のストーリーは、前半が原作マンガの『鏡爺』(1967年4月発表)をもとにしており、後半は日本の古代邪神・夜刀神(やとのかみ)が復活するというオリジナル展開になっています。
 時間設定としては、翌2009年3月に放送終了したTV本編の「あとに起きた事件」ということになっており、本編では途中までしか描かれなかった「日本妖怪四十七士」が全員集合している唯一の作品となっているのも見どころのはずなのですが、四十七士はクライマックスで鬼太郎をサポートするためにわらわらむらがっているだけなので、はっきり言ってそれまでまわりにいた妖怪横丁の鬼太郎ファミリーとの違いがいまいちピンとこず、ありがたみが伝わってこない扱いとなっています。

 この『日本爆裂!!』は作画のクオリティも高いし、恐いシーンもちゃんと恐いのでけっこういい作品なのですが、なんといっても冒頭にくっつけられた「おまけ映画」の『ゲゲゲまつりだ!!五大鬼太郎』のインパクトが反則的に甚大なので、まじめにやってる映画本編の印象がやたら薄くなっちゃってるんですね……悲運。

 そして、ここに一瞬だけ登場するぬらりひょん一味は、日本で大変な事件が起きていたそのころ、バックベアードやチーたちと世界のどこかで開催していた「世界悪者妖怪サミット」の議場から日本の様子をうかがっている描写だけで、物語にはいっさい関わってこないかなり蛇足な出演の仕方をしています。意味ねぇ~。
 偉大なる青野ぬらりひょんの最後の出番がこんなのなんて。いくらなんでもあんまりですよ!!

 とにかくこんなわけで、満を持して堂々の復活を果たした21世紀エディションの青野ぬらりひょんは、本人としてはけっこういい活躍をしていたものの、これからやっと本気が出るかという矢先に「ハイしゅうりょ~!」とあいなってしまったのです。く、くやし~!!

 でもねぇ、そんな突然のアニメ第5期終了からはや2年がたとうかとしている今現在……私、こうも思うようになってきたんですよね。


 アニメ第5期『ゲゲゲの鬼太郎』は、ああいう終結の仕方で良かったんじゃないかと。


 まぁまぁ、落ち着いて聞いていただきたい。そりゃ残念ですよ! ぬらりひょん一味の、その後の存分の活躍が観られなかったことは、そりゃもう確かに哀しいことです。

 でも。
 私はアニメ第5期『ゲゲゲの鬼太郎』が大好きである以前に、水木しげるの原作版『ゲゲゲの鬼太郎』の大ファンであり、それ以上に希代の名優・青野武の大ファンなのです。

 はっきり言って、あのまま「四十七士編」が続行されれば「ゲゲゲの鬼太郎の名を借りたバトルアニメ」路線がさらに強化されることは明らかだったし、そうなるとしたら、我らが青野ぬらりひょん先生も、「ぬぐぅわぁあ~!!」とか「どうぅりぃいぃやぁあ~!!」とか「きぃいとぅあるうぅうぉおぉういやぁあっしゃぁあ~!!(鬼太郎と言っています)」と、得意の巻き舌を駆使して血管もブチ切れよとばかりに渾身の熱演を発揮していたことは火を見るよりも明らかだったでしょう。

 だとすれば、齢70の坂を越えた青野老師の肉体はいったいどんなことになっていたでしょうか。

 実際には、アニメ第5期は青野ぬらりひょんにそういった往年の第3期をほうふつとさせるシーンを用意するまでもなく放送終了となったのですが、それなのに、青野老師はその翌年2010年5月をもって、73歳にして大動脈瘤と脳梗塞の療養のために無期限で声優活動を休止することとなって現在にいたっているのです。

 今、私はここで声を大にして言いたい。


 青野ぬらりひょんの華々しい最期なんか観られなくてもいい!! 声だって聴けなくなったっていい。
 青野老師がどこかで生きているこの世界のなんと美しいことか。


 いいんだ、いいんだ、青野ぬらりひょんの活躍は未完でいいんですよ……
 必ずや、アニメ第5期で構築された「真の妖怪総大将ぬらりひょん」を受け継いでくれる、新たなる「アニメ第6期ぬらりひょん」が現れるはずなのだから!!

 その姿を10年後に観るまでに私もがんばって生きますから、ど~か! 青野老師も「さくらともぞう」の方のスタイルでのんびり生きてくださ~い。

 青野老師の勇退後も、妖怪総大将ぬらりひょんの21世紀大進撃は続くのであつた。っつーことで、また次回
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リニューアル総大将、さすがに老ける ~ぬらりひょんサーガ 第26回~

2011年11月25日 14時37分51秒 | ゲゲゲの鬼太郎その愛
前回までのあらすじ、じゃありません》
 最近、関東地方は天気のいい日が続いてありがたいこってすねぇ。
 昨日はね、いつも通りに桜木町まで足をのばしたあと、下北沢に行ってお芝居を観てきましたよ。

下北沢ザ・スズナリ開場30周年記念公演 『うお傳説(でんせつ)』(演出・関美能留 作・山崎哲)

 これはねぇ。ずえぇ~ったい!! に観たほうがいいよ。ただ、もうチケットが残っているかどうかわからないんですけど。
 私が今年のはじめまで所属していた劇団と関わりのある公演だから薦めているんだろう、とはとらないでいただきたい! 純粋にそう感じたわけよ~。
 TV とかDVD で観る演劇の「なんか足りない感」ってあると思うんですけど、私。
 だから、この『うお傳説』は2011年11月の19~28日にしか観られないんですよ。下北沢を巻き込んだ大災害が起きたり、他ならぬあなたが今この瞬間にバタッと歩けない身体になっちゃったらもう二度と観られなくなるのよ!?
 今は25日の昼間です。あと6回しかチャンスはありませんよ~。私はあさっての27日にも観に行くつもりです。
 前回におすすめできなかったフラストレーションはここで発散! 伝説、やってるよ~。 


 さて、話題は思いっきり変わりまして、今日も今日とて「ぬらりひょんサーガ」でございます。

 2007年に満を持してスタートした、21世紀仕様のアニメ第5期『ゲゲゲの鬼太郎』。
 この内容が、「鬼太郎サーガ」史上初めて、ほんとうの意味での「原作マンガの枠から自由に飛翔した続編」だったということは前にふれましたが、具体的な新要素で私が注目したものは、「過去の歴史のつみかさね」と「ファミリーの巨大化」。

 すべてのエピソードで言及されているわけではないのですが、1960年代から活動を始めた1954年生まれのゲゲゲの鬼太郎少年が少年の姿のままで21世紀の現代にいる(猫娘はちょっと成長している)という設定が強調されていたり、原作マンガのエピソードの数十年後に起きた後日談や続編があったり。
 もしくは、『ポケットモンスター』のように子どもに親しみを持たせる妖怪たちがひしめき合う「妖怪横丁」や「妖怪四十七士」といったオリジナル設定も追加され、原作では鬼太郎によそよそしかった、それどころか、かつて1コマたりとも出演することの無かった妖怪までもが「鬼太郎ファミリー」に追加加入するという大盤振る舞いとなったのです。昔は、「鬼太郎ファミリー」といえばオックスフォード大学なみの超高倍率だったというのに……


 そして、いよいよ本題にはいるのですが、そういった部分をモロに受けて21世紀の新しい姿を提示することとなったのが! 何を隠そう我らがぬらりひょん先生と、その一味だったというわけなのでございますよ! このアニメ第5期での「妖怪総大将ぬらりひょん」像こそが、『ぬらりひょんの孫』の大人気をへて現在にいたる、現時点での最終形態につながっているといっても過言ではないわけなのであります。


 2007年4月に始まったアニメ第5期『ゲゲゲの鬼太郎』の中で、妖怪ぬらりひょんは今までのアニメ第3・4期以上に冷徹でカリスマ性に満ちた「日本悪者妖怪の親玉」になっています。その存在が作品にあたえる影響の大きさにもかつてないものがありました。

 まず第5期を観て気になるのは、おなじみの「ゲッ、ゲッ、ゲゲゲのゲ~」で始まる主題歌(第5期は前半が泉谷しげる、後半がザ50回転ズによるカヴァー)とともに流れる華やかなOP 映像で、第1話からぬらりひょんが半分シルエットに隠れた横顔で出演! よく見ると、さらにその隣には蛇骨婆らしき老婆の影も! えっ、おばば悲願のレギュラー参加なる!?
 意外にも、OP 映像にぬらりひょんが出てくるのはこれがシリーズ初なんですよ。要するにこれは、それまでを上回る重要度で、ぬらりひょん一味が物語全体にかかわってくることを意味しているのです。うをを。

 そしてさらに、アニメ第5期で声優通算6代目のぬらりひょんを演じることとなったのは、かつてあの第3期で3代目ぬらりひょんを担当していた青野武(71歳)御大!! 再登板ときましたか~!
 まさしく「ぬらりひょんといえば青野武」といったイメージも根強い、巻き舌まじりの「鬼太るゥオ!」ヴォイスがかえってきた。これには私も熱くなりましたねぇ~。

 ただし、この驚異のキャスティングには、単に「ハマリ役の声優さんにまたやってもらった。」という安易なものだけではない、製作スタッフの重大な意図が込められてたように私は思えてなりません。

 それは、「すでに過去、鬼太郎との激戦を繰り広げた経験のあるぬらりひょんの現在を描くため」だったのではないかと。

 かつて、1980年代のアニメ第3期でぬらりひょんを演じていた青野さんは50歳前後だったのですが、21世紀の第5期に登板したころは70歳を過ぎておられました。
 つまりこれは、名優・青野武の実年齢での時間の流れと壮年期での激戦の記憶を、そのまんま現在の「リアル続編路線」に投影させようとする大作戦だったのではないかと!! なんとおそれおおいことか。

 確かに、それまでのアニメシリーズに登場したぬらりひょんは、「リセットリメイク」の方針にのっとって鬼太郎とは初対面の状態からそれぞれの闘いの歴史をつむいでいくというスタートの仕方をしていたのですが、この第5期では、ぬらりひょん一味がはじめから鬼太郎にそうとうな恨みをいだいて何度も抹殺をこころみているし、同時に鬼太郎ファミリーもそんな勢力があることをしっかり認識しているのです。こりゃあ「朝からグーグーグー」なんてやってらんねぇよ!

 こういった感じで、アニメ第5期に登場するぬらりひょんは、具体的にその過去を回想するくだりこそないものの、第3・4期に相当するような「激闘の歴史」があったことを容易に想像させる新たなる21世紀のぬらりひょんとなっていたのです。


 ということで、演じた青野武さんの実年齢のつみかさねとともに、キャラクターとしても歳月の重みを感じさせる第5期のぬらりひょんは、外見も内面も大きくそれまでのシリーズからリニューアルされたものとなっていました。

 なんといっても、全体的に老けた。

 まず、「小柄な老人」というイメージは引き続き継承されいるものの、今までは多少フォーマルでパリッとしたところもあった和服の上着「羽織」が、隠居した老人が縁側でお茶を飲んでいるときに着ているようなオフっぽい「袖なし羽織」に変わっていて、しかも常に杖をついている!
 ただ、どうも杖のほうは相手を油断させるためのカモフラージュのようで、敵キャラらしく刀が仕込まれているし、短時間ならば激しい戦闘アクションを鬼太郎とこなすことも可能のようです。

 さらに変わったのはその顔つきでして、「頭が大きい」といっても人間っぽい範囲での大きさだったそのはげ頭は、第5期ではあのハンス=ルドルフ=ギーガーの描く「エイリアン」かってくらいに後ろにミヨ~ンとのびた形状になっており、耳も妖怪らしく上の部分がとがっています。
 そして、顔だちはいかにも狡猾そうな悪役顔であるものの、眉毛はゲジゲジに濃くなってシワのいかめしい頑固一徹なシブい雰囲気。
 同じ悪役とは言っても、『画図百鬼夜行』の「ぬうりひょん」をモデルとした水木しげるの原作マンガやアニメ第4期での「ニヘラ~顔」はおろか、水木しげるのイラスト「ダークぬらりひょん」をもとにした第3期での青白い顔に眉毛のうすい「酷薄顔」ともだいぶ違ったものとなっているんですね。はっきり言って、水木しげるの味わいは1ミクロンもないアニメオリジナルのイメージとなっているのです。
 「眉毛が濃い」という点では、『地獄先生ぬ~べ~』にゲスト出演した時のぬらりひょんに比較的近いような気もするのですが、それよりはもっと知的な感じがするし。

 こんなに老けた老けたと言っていると、キャラクターとして弱くなっているのか? と心配になる方もおられるかと思うのですが、そこを充分にフォローしてあまりあるのが、新生ぬらりひょんご自身の格段に上がったリーダーシップと、それにつき従う一味の充実のラインナップなんですね!

 かつてのアニメ第3・4期では、他の妖怪を平気でだましたり見捨てたりする人望のなさや、肝心のところでおバカキャラの朱の盤でさえイラッとくるような初歩的ミスをやらかして失敗してしまうツメの甘さのために、どうしても念願の「妖怪総大将」になれない器の小ささが露呈してしまっていたぬらりひょん。第3期で、バブル期のどさくさにまぎれて会社社長としての経営の才能を発揮していたところは良かったんですけど。
 ところが、第5期のぬらりひょんにそういったコミカルな欠点はほとんどなく、鬼太郎への復讐のために冷静沈着に作戦を練る正真正銘の「ヒールキャラ」になっているんですねぇ。ダテに年はくっていません。

 第5期のぬらりひょんの表情はなんというか、これまでの彼についてまわってきていた、「権勢欲」や「名声欲」や「金銭欲」や「性欲」といった欲望の気配が消えており、ただただストイックに鬼太郎を追い詰めるというクールさがあるんですよねぇ。そういう意味でも、同じ青野ぬらりひょんでありながら、第3期のころとはまるでおもむきの変わった「老成ぶり」が目立つんですなぁ。

 そしてそんなクールでカッコイイぬらりひょんについてくる妖怪が、これまでのシリーズのように朱の盤ひとりという寂しさであるはずがなく、1話こっきりのゲストでなく、複数のエピソードにわたり準レギュラーとなって出演しているぬらりひょん一味の人数が最多(朱の盤・蛇骨婆・かまいたち・旧鼠・カニ坊主)となっていることも、アニメ第5期ならではの特色だったのです。にぎやかになったなぁ~オイ! ひとり、アパートの部屋で朝ごはんを「がさがさ」と食べていた日々のことを思い起こせば涙が出てきます。


 こうして装いもあらたにリニューアルされたぬらりひょん一味が、第5期の中で鬼太郎ファミリーと本格的に激突するのは第8話『宿敵!ぬらりひょん』(2007年5月放送)からとなります。
 ただし、実はすでにそれ以前の段階でぬらりひょんは暗躍を開始しており、第4話『男!一反もめん』と第7話『燃えろ!目玉おやじ』(どちらも2007年4月放送)でそれぞれ、海座頭・舟幽霊ペアと雪女・雪入道ペアを裏からあやつって暴れさせるいつもの黒幕ポジションについて鬼太郎の様子をリサーチしていました。

 ここでの、本人は静観するのみで事態の経過は朱の盤(演・小西克幸)に逐一報告させるというスタイルは、操っている妖怪こそ違いますが、同時期にタイアップ連載されていたほしの竜一の『ゲゲゲの鬼太郎 妖怪千物語』でのぬらりひょんのやり方と共通しているものがありますね。
 ちなみにアニメ第5期での朱の盤は、キャラクター設定も衣装も今までのシリーズとほぼ変わっていないものの、顔つきがやや丸顔になってそれ以外の萌え~なキャラクターたちに若干歩み寄ったものとなっています。
 しかし朱の盤、顔で人をビックリさせるだけが能のお前がかわいくなってどうする……ぬらりひょん先生のダメ出しが今にも聞こえてくるような気がします。


 さぁ、ほしの版の『妖怪千物語』ではやっと姿をあらわしたかと思ったらさっさと天狗ポリスに捕まって強制退場させられてしまっていたぬらりひょん。肝心のアニメ第5期では一体どのような活躍を見せることとなるのであ~りましょうか!?

 ダテに年とってはおらん。21世紀にますます加速する高齢化社会の真のヒーローはわしじゃ! いくぞ鬼太るゥオ!!

 老練な経験と怨念の日々がついに花を咲かせるか、はたまたしょせんは年寄りの冷や水か?
 新生ぬらりひょん一味、アニメ第5期を所せましと暴れ回る興奮の快進撃っぷりはまた次回のココロだ~。
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萌えてる場合じゃない第5期『ゲゲゲの鬼太郎』の挑戦 ~ぬらりひょんサーガ 第25回~

2011年11月21日 14時58分54秒 | ゲゲゲの鬼太郎その愛
前回までのあらすじじゃありません》
 いんや~、この前の土曜日は台風みでぇなとんでもねぇ天気の日だったんだげどよぉ。
 そっだらながでも無理して東京に行って人に会ったんだげんとよ、まぁ~いい時間すごせだずね。
 そうとう久しぶりに会ったんだよぉ。それもきっかけがこの『長岡京エイリアン』なごんだがらありがでぇこったよぉ。
 つ~ぐづぐ続げでよがったもんだなやぁど思ってよぉ~、まんず。
 そしたらそっだらごどでひとづ、よっこらせ~のせっどおっぱずめでみっべがね~。すぎな人はよってみでけらっしゃい。


 21世紀に入ってしばらくたち、我らがぬらりひょん先生もゲーム、映画、マンガとあらかたのメディアでの活躍を果たしたのですが、「妖怪ぬらりひょん」という存在の変わらぬ知名度を確認することはできたものの、いまひとつ新世紀のあらたなるヴィジョンを打ち出すことができないという物足りなさにさいなまれていました。逆に言えば、それほどに前世紀、特に太平洋戦争終了後の文化の中で成長・拡大してきたイメージには強固なものがあったのです。

「うむむ……時代は情報過多社会。早く21世紀ヴァージョンのわしを提示せねば、あっという間に『昔ブイブイ言わせていた古くさい妖怪』ということでボデコンスーツなみにお払い箱になってしまうわい。そんなことでは妖怪総大将どころか、打倒鬼太郎もままならぬことに……そんなこっちゃいかぁ~ん!!」

 悩むぬらりひょん先生でしたが、ついにその問いに答えを出すこととなった場こそが! 「アニメ版『鬼太郎』シリーズ10年周期説」にのっとって始動することとなった、

アニメ第5期『ゲゲゲの鬼太郎』(2007年4月~09年3月 全100話)

 だったのであります。萌え萌え猫娘~!!


 2011年現在の時点では最新シリーズとなっているこのアニメ第5期をご記憶の方も多いかと思うので、説明は簡単なものにとどめておきたいのですが、「水木しげるの原作マンガへの回帰(と言いつつも紆余曲折あったことはもう触れましたね!)」を標榜した1990年代のアニメ第4期(主演・松岡洋子)の次に世に出ることとなったこの第5期は、またその第4期からの反動ででもあるかのように、随所であのバブリー第3期を想起させるような「悪の妖怪たちとの激しいバトルアクション」を展開させる、かなりハデハデなシリーズとなりました。

 これはもう、そのまんま水木ワールドからの自由な飛翔を良しとする作風を意味しており、さらに、第5期のシリーズ構成をつとめたのが『週刊少年ジャンプ』で連載されていた『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』の原作者として有名な三条陸(42歳)と、「平成ウルトラシリーズ」の諸作であの膨大な情報量のウルトラシリーズの集約を試みた脚本家の長谷川圭一(45歳)だったことからも予想がつくように(放送3クール目の第27話からは三条の単独)、過去のアニメ版『鬼太郎』で採用されていた先行作品のリメイクだけではおさまらないような、未だかつてない嵐の予感をさせるものでもあったのです。

 同時期にリアルタイムで連載されていた原作マンガをストレートにアニメ化していた第1・2期はさておきまして、それからある程度の歳月が経ってからの制作となった第3・4期は基本的に、「それぞれの時代での物語」として過去の原作を作りかえるというアップデート作業をおこなっていたということはこれまで何度となく言ってきました。第3期はバブルニッポンのかかえていた問題をうまくエピソードに組み込んでいましたし、第4期も不景気ニッポンの「フハッ……」なため息が聞こえてくるような名作エピソードの数々を生んでいたのです。

 つまり第3・4期は、パッケージのアレンジ具合に大きな差はあるとは言え、どちらも「偉大なる水木ワールドの骨子をいただく」という姿勢では同じだったと言えるんですね。

 ところが! アニメ第5期はど~うもそのパターンにのっとっていないようなエピソードの目白押しだったんですなぁ~。要するに、どこにも「水木テイスト」が残っていないオリジナル脚本ストーリーの分量がハンパなく多いんです。
 もちろん、オリジナル脚本のエピソードは以前のシリーズにもあるにはあったのですが(第4期の『ラクシャサ』『言霊使い』『三匹の刺客』など)、あくまでもファン向けの感謝サービスか時間つなぎといった役割の少数にとどまっていたはずです。

 でもねぇ。アニメ第5期はのっけの第1話から原作マンガの存在しないエピソードなんですよ。

 記念すべき21世紀最初のアニメ『鬼太郎』第1話『妖怪の棲む街』(2007年4月)は、登場するゲスト妖怪「水虎」こそ、原作マンガ(1966年1月発表)で非常に印象的な水と氷の舞い散る名対決を鬼太郎と演じたり、そうかと思えばケロッとカムバックし、中国代表として「世界妖怪ラリー」に参戦したりした経歴のあるおなじみのキャラクターなのですが、ストーリーもデザインもまったく違うオリジナルなものとなっています。

 そんなことだったので、ちょっと気になって自分の記憶と確認できるかぎりの資料をひっくり返して調べてみたところ、アニメ第5期は「原作ありエピソード」と「オリジナルエピソード」との配分に、過去シリーズにはついぞなかった驚くべき変化が発生していたのです。

 どうしても判断が私そうだい個人のものとなってしまうので、絶対的にこのパーセンテージが正しいとも言い切れないのですが、おおよそはこんな感じ。


アニメ第5期全100話中、

1、水木しげるの原作マンガを比較的忠実にアニメ化したエピソード
 ……『ゆうれい電車』『牛鬼』『釜鳴り』『地獄流し』など「13話(13%)」

2、水木しげるの原作マンガのゲスト妖怪だけを抽出して内容はほぼオリジナルになっているエピソード
 ……『水虎』『夜叉』『海座頭』『のびあがり』など「30話(30%)」

3、水木しげるの原作マンガに脇役として登場していた妖怪をメインゲストにすえたオリジナルエピソード
 ……『がしゃどくろ』『雪女』2話 『グレムリン』など「7話(7%)」

4、水木しげるの原作マンガにまったく登場したことのない妖怪がメインゲストとなった完全オリジナルエピソード
 ……『沼御前』『しょうけら』『鵺(ぬえ)』『七人ミサキ』など「50話(50%)」


 これに驚愕しない『ゲゲゲの鬼太郎』ファンがいるかって話なんでございます。8割以上オリジナルかよ!!
 要するに、アニメ第5期『ゲゲゲの鬼太郎』は、それまでの「原作リメイク路線」のアニメシリーズとはまったく趣向の違う「オリジナル続編路線」だったのでございますね。ただただキャラクターのデザインが萌え~になっただけ、とかいう表層だけの変化ではなかったのです。

 さぁ、これをもってアニメ第5期の評価をどうするか。
 なかなか難しいところですし、原作マンガが大好きなわたくしも申し上げたいことは多々あるんですがァ! この企画はアニメ版『ゲゲゲの鬼太郎』シリーズの検証じゃなくてあくまでも「ぬらりひょんサーガ」ですので、こういった第5期の果敢な挑戦がどういう結果をもたらしたのかは、それぞれ作品をご覧になったみなさまの判断にお任せしたいと思います。
 あの、私は特にイヤだとは思っておりません。ひじょ~に楽しませていただきましたよ! 『ゲゲゲ』ファンとか関係なくてもおもしろい回、けっこうありましたしね。

 実際、「原作リメイク」路線に舵をとったとしても、すでにアニメ第3期と4期という大きすぎる先例があったわけでして、「昔の方がよかったなぁ~。」とか言われて大事なところを観てもらえなくなるのではなかろうか、という制作スタッフ陣の考慮もあっての第5期だったんじゃないかとも思えるんです。

 シリーズ構成を手がけた三条・長谷川両氏の構築した第5期の「世界観」も、これまでのアニメシリーズにはない、非常に野心的でアグレッシブなものがありました。

 今回、この「ぬらりひょんサーガ」に重要なかかわりがあると私が判断した第5期初のこころみは「2つ」あります。
 それは、「過去のシリーズの『歴史化』」と、「正義と悪の『集団戦化』」。字ヅラほどこむずかしいもんじゃありません。


 まず最初の「過去のシリーズの『歴史化』」というのは、21世紀にリアルタイムの日本で展開されているアニメ第5期の世界から見て、戦後間もない1950年代から始まった「鬼太郎サーガ」の過去の諸作品が同じ歴史上にあったことになっている、ということなんです。
 これは、基本的にそれ以前の話がまったく語られず、過去の原作マンガの世界が「ない」ものとしてリセットされていたアニメ第3・4期それぞれの姿勢とはまったくおもむきの異なるものとなっていますよね。
 簡単に言うと、1980年代にオカリナムチをビュンビュン振り回して若さゆえのジャスティスを炸裂させていた戸田鬼太郎に、1950年代に誕生した墓場の鬼太郎としての過去はなく、1990年代に口を「3」の字にして昼間っからグーグー寝ていた松岡鬼太郎に、原作やら野沢鬼太郎やら戸田鬼太郎時代の記憶はまったくないという設定になっていたのですが、アニメ第5期に活躍した高山みなみ鬼太郎はどうもそうじゃなかったらしいんだなぁ。

 エピソードとしてこのあたりがはっきりと言及されていたのは、第42話『オベベ沼の妖怪かわうそ!』(2008年1月放送)で、それともうひとつ、第32話『上陸!脅威の西洋妖怪』(2007年11月放送)以降、最終回付近にいたるまで鬼太郎ファミリーをおびやかす存在となり続けていた「西洋妖怪軍団」のキャラクター設定にも見逃せないものがありました。

 ざっくり説明しますと、アニメ第5期ですっかり番組のレギュラーメンバーとなった妖怪かわうそとの最初の出会いとして、鬼太郎が原作マンガ『オベベ沼の妖怪』(1968年6月発表)の内容を回想しており、第5期の世界で大活躍する西洋妖怪軍団の中核メンバーは、かつて原作マンガ『妖怪大戦争』(1966年4~5月発表)で日本の鬼界ヶ島に殴り込みをかけた西洋妖怪軍団の「子か孫」ということになっているのです(ただし、バックベアードは現役でフランケンシュタインの人造人間も改造された本人)!
 そう考えてみると、原作の印象に比べてだいぶ人間なれしてファッショナブルになった猫娘のソフィスティケイトっぷりも、もしかしたらそれだけの社会経験をつみかさねたからってことだったのかも知れませんね。原作じゃあ小学校低学年くらいだった体格も中学生くらいになってたし。半妖怪である猫娘は人間に比べて成長がゆっくりらしいんですが、40年生きてやっと身長が10cm アップって、うれしいんだかうれしくないんだか……

 さらには他ならぬ主人公・鬼太郎も、おりに触れては「だいぶ昔から、おそらくは原作マンガどおりの1960年代から活動している」ニュアンスの発言を重ねているのです。
 原作では鬼太郎は「1954年生まれ」ですからね。「見た目は子ども、中身は大人」。う~ん、さすがは高山鬼太郎だ!!


 さて、もうひとつの「正義と悪の『集団戦化』」のほうがどうなのかと言いますと、これはもう読んで字のごとく、正義チームも悪者チームも、どっちもかなり大人数の徒党を組むようになったっちゅうことなんですな。

 これはもう実際に1話だけでもアニメ第5期のエピソードを観ていただければわかるかと思うのですが、まず最初の設定として、鬼太郎ファミリーの人数が増えている!
 第5期の鬼太郎ファミリーは、ただ鬼太郎の住んでいる「ゲゲゲの森」にちょいちょい顔を出すツレ何人か、という規模ではなく、さらにその森に隣接している「妖怪横丁」に居住している無数の妖怪たちをも含むようになっているのです。
 「妖怪横丁」とは、人間が容易に立ち入ることのできない人間界と地獄とのはざまにある第5期オリジナルの異次元空間なのですが、そこには人間社会にきわめて似たかたちの妖怪の社会があり、妖怪にとっての人間界からの避難スペースであったり交流場所だったりするのです。ちなみに、横丁の実質的なリーダーはそこにある「妖怪長屋」の大家である砂かけ婆のようです。
 ともあれ、ここにいる「かわうそ」や「ろくろ首」、「夜行さん」といった妖怪は第5期のレギュラーメンバーとして鬼太郎をサポートしており、特に第26話『妖怪アイドル!?アマビエ』(2007年9月放送)以来この横丁に住み着くこととなった九州出身の予言妖怪アマビエは、原作マンガに1回も登場したことがなかったのにも関わらず、持ち前の押しの強さで第5期屈指の名キャラクターになりおおせることができました。う~ん、「鬼太郎サーガ」のYAZAWA と呼ばせていただきたい。

 これに加えて、日本全国47都道府県の代表妖怪たちが一堂に会して鬼太郎を助けるという「妖怪四十七士」なる構想までもが後半に持ち上がってきてしまったため、鬼太郎ファミリーはふくらみにふくらむ一方。おまけに地獄の閻魔大王までもが地獄官庁全職員をあげて鬼太郎を応援するという安心のバックアップ体制なんだからと~んでもねぇ。

 ただ、鬼太郎がそうするのならこっちだって! と一斉蜂起したのが悪者妖怪勢のみなさんで、さきほどにも触れたバックベアード率いる新生西洋妖怪軍団に「九尾の狐の弟」ことチー率いる中国妖怪軍団に沖縄妖怪アカマタ率いる南方妖怪軍団とよりどりみどりの天湖森夜。


 そしてそして、今回やっと名前が出てくるのですが、そんな悪者妖怪チームの中でも特にクールで硬派な雰囲気をはなっていたのが、我らが総大将の「ぬらりひょん一味」だったというわけ!!

 はぁ、はぁ……やっとここまできたと思ったら、もうこんな文量っすか!?


 ということで、ついに新たなる歴史の奔流に身を投じることとなったぬらりひょん一味の新たなる全容につきましては、また次回ということで。
 忘れちゃいけない第5期キーワードは、「過去の歴史のつみかさね」と「ファミリーの巨大化」ね~!!

 じぇんじぇんぬらりひょん先生について語ってねぇよ! ま、真の妖怪総大将への覇道は、あせらずゆっくり~ん。
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来たれ、ニュージェネレーション総大将 ~ぬらりひょんサーガ 第24回~

2011年11月18日 14時40分49秒 | ゲゲゲの鬼太郎その愛
前回までのあらすじ……じゃないです》
 「ぬらりひょんサーガ」がいよいよ佳境に入ってきたのにもかかわらず、そうだいは昨日の夜に受け取ったメールのために気もそぞろだった。
 ……東日本大震災が起きた日に絶交した親友から半年以上ぶりに音信が。
 おれも変わってねぇけど、あの子も変わってねぇなぁ。まぁ……引き続き連絡はとらないことにしよう。


 2007年から放送が開始されたアニメ第5期『ゲゲゲの鬼太郎』と、翌2008年から連載が開始されて現在にいたる人気妖怪アクションマンガ『ぬらりひょんの孫』。
 『ぬらりひょんの孫』は今現在リアルタイムでアニメ第2期『千年魔京』が放送中ですし、去年は降って湧いたようにNHK朝ドラ&映画化した『ゲゲゲの女房』も話題になったことも記憶に新しいです。さすがに流行語大賞が「ゲゲゲの」というのは私もどうかなと思うんですけど。
 また、「鬼太郎サーガ」とは直接の関係はないものの、少年マンガの『妖怪のお医者さん』や『結界師』、少女マンガの『夏目友人帳』に小説の世界では西尾維新の『化物語』に畠中恵の『しゃばけ』シリーズと、昨今は「妖怪もの」のフィクション作品に事欠かない活況となっています。

 ただ、この2007年以降続いている現在の状況をさして、これまでに何度も触れてきた2つの「昭和妖怪ブーム」や1990年代なかばの「平成妖怪ブーム」と同じブームととらえることはできないような気がするんだなぁ。

 要は、ブームという現象に必ずあるはずの「核」となる作品がはっきりしていないんですね。昔でいう『ゲゲゲの鬼太郎』や『学校の怪談』みたいな。
 「日本の妖怪が出てくる」という点では共通していても内容は千差万別だし、今のところわずかに『ぬらりひょんの孫』が頭ひとつ抜きんでている様子はあるものの、「妖怪ファン」層全体を取り込んでくれる決定的な作品はなく、めいめいが好きなものを各自で楽しむといった感じで、もはや「妖怪」はブームでなく立派な「ジャンル」に成長したというわけなんですね。う~ん、素晴らしいことだ。

 今や、現代日本の妖怪カルチャーは過去に類を見ない広がりを見せる「ネクストレベル」に移行したわけなんですなぁ。
 妖怪ネットは広大だわ……


 さてさて今回は、その流れの端緒となりながらも「非業の完結」を迎えることとなってしまったアニメ第5期『ゲゲゲの鬼太郎』のお話に行く前に、「鬼太郎サーガ」系のマンガの世界に現れた「最後のぬらりひょん」をご紹介いたしましょう。


ほしの竜一版『ゲゲゲの鬼太郎』(講談社『月刊コミックボンボン』などで連載)

 みなさん、ご存じ?
 具体的にはこの『ほしの版鬼太郎』は3期に分かれており、正確に言うと、

『ゲゲゲの鬼太郎R』(2004年6月~05年12月 全18話)『月刊コミックボンボン』で連載
『ゲゲゲの鬼太郎 妖怪千物語』(2007年4~12月 全12話)『月刊コミックボンボン』で連載(2007年12月号で休刊)
『ゲゲゲの鬼太郎 新・妖怪千物語』(2007年12月~09年8月 全15話)『季刊テレまんがヒーローズ』などで連載(2009年夏号で休刊)


 という一連のシリーズになります。

 ほしの竜一先生は、『ファミ拳リュウ』や『SDガンダム外伝 騎士ガンダム物語』などでも知られる『コミックボンボン』常連の人気作家さんの1人です。私もずいぶんと楽しませてもらいましたねぇ~。

 ほしの先生によるリメイク版『ゲゲゲの鬼太郎』シリーズは、連載時期を見ていただいてもわかるように最初の『R』だけアニメの放送と関係のない独自展開で、『妖怪千物語』と『新』はアニメ第5期にタイアップしたものとなっています。
 そのため、『R』では鬼太郎のデザインがやや長髪で水木しげるの原作マンガに近い顔つきで、ヒロイン格の猫娘が「ゴスロリファッションに長髪」というほしのイズム満点のアレンジとなっているのにたいして、『妖怪千物語』以降は鬼太郎も猫娘もアニメ第5期に準拠したあか抜けたデザインになっているという変更も起きています。ただし、さすがは「エロ」も主力武器とした『コミックボンボン』の人気作家というべきか、一見アニメ第5期にあわせただけともみえるデザイン変更後の猫娘は、よく見ると体格が女子高生か成人女性なみに成熟していることがわかります。「鬼太郎サーガ」における猫娘史上、最もセクシーなのはこの「ほしの版(後期)」だ!! どうでもいい~。


 ここでちょっと、「アニメ版」と「マンガ版」との『ゲゲゲの鬼太郎』の関係を確認しておきたいと思います。

 まず1960年代のアニメ第1期は、言うまでもなく同時期に『週刊少年マガジン』(講談社)で連載されていた水木しげる本人によるマンガを原作としていました。これはストレートな「原作」と「そのアニメ化」の関係です。
 1970年代のアニメ第2期もほぼ同様に『週刊少年サンデー』(小学館)で連載されていたマンガと、それ以前の水木作品を原作としたものとなっています。
 この関係が1980年代のアニメ第3期になるとビミョ~に変わってきまして、水木しげる本人による『新編 ゲゲゲの鬼太郎』(『マガジン』連載)と、子ども向けの水木プロダクション作品(作画・森野達弥)『最新版 ゲゲゲの鬼太郎』(『ボンボン』連載)がほぼ同時に展開されるという状況となりました。とはいえ、どっちのマンガも同じ内容を描いていたというわけではなく、簡単に言うとアニメ第3期から「ぬらりひょん(つまり特定の悪の大ボスがいる設定)要素」を排除したのが『新編』で、逆にそこをモリッモリに盛り込んだのが『最新版』という不思議なすみ分けとなっているのでした。この時期の水木先生はぬらりひょんに冷たかった冷たかった!

 そんな大盤振る舞いな第3期から一転して、1990年代のアニメ第4期となると、同時期に発表された水木マンガはたった3回で中断してしまった『鬼太郎霊団』シリーズ(1996年2月~97年3月)のみで、これも内容的に複雑すぎたりエロすぎたりしてとてもじゃないですがアニメ化できるしろものではなく、アニメ第4期にタイアップしたマンガ作品は「ない」という状況となっていました。もちろん、水木プロによる過去作品のダイジェストやリライトもの、イラスト展開はありましたが。

 余談ですが、こういう経緯を見て「マンガ家としての水木しげるも終わりか……」と思われる方もいるかもしれないのですが、とォ~んでもねェ!!
 みなさん、水木しげる最後の「鬼太郎サーガ」作品となる『鬼太郎霊団』シリーズの『安倍奉連想(ほうれんそう)』と『セクハラ妖怪いやみ 前後編』はすげぇんだぜ。今これらの作品は、

『京極夏彦が選ぶ!水木しげるの奇妙な劇画集』(筑摩書房ちくま文庫)

 で読むことができます。できたらぜひとも読んでいただきたい。
 『安倍奉連想』は鬼太郎ファミリーとあの!大陰陽師・安倍晴明の子孫「ほうれんそう少年」とのガチンコ対決、『いやみ』は1970年代の「青年鬼太郎」をほうふつとさせる妖怪チンポどころじゃない史上最エロの大決戦となっているのです。

鬼太郎  「バカにオ××コ臭いな。」
砂かけ婆 「猫娘 こりゃあ食べ物じゃねぇ!」
猫娘    「バナナかと思ったわ。」

 ギャ~! こんなのアニメ化できるわけねぇだろ!!
 水木しげる神先生は、ついにアニメで変換できない世界へと旅立たれてゆかれたのです……いや、まだ健在ですけど。
 

 1990年代にしてこんな状態だったために、ましてや21世紀のアニメ第5期に水木先生みずからが筆を執ることはなく、そこでタイアップマンガの作家として起用されたのが、すでに『R』連載の実績のあったほしの竜一先生だったのです。

 こういった経緯もあってか、もともと大の水木しげるファンを自認していたほしの先生の連載にかける情熱は並々ならぬものがあり、掲載誌の『コミックボンボン』が休刊し、アニメ第5期が放送終了したあとにもほしの版『鬼太郎』は数回連載されて終了しました。
 コミックスは『R』から『新』までトータルで9巻出版されており、「2本立て連載」や「増刊号連載」もおこなっていたため、雑誌での連載号数にたいして話数が多くなっている(全45話)のも非常にお得です。

 そんなほしの版『ゲゲゲの鬼太郎』は、先ほどにも言ったようにだいたいの世界観やキャラクター設定はアニメ第5期と同じであるものの、ストーリー展開はかなり独自のものとなっていることが多いです。
 これはアニメ第5期もほしの版も、過去の水木しげる作品のアレンジから作られているという「兄弟」のような関係にあったからで、かつてのアニメ版『鬼太郎』と水木マンガのように直結した「親子」関係ではなかったからです。


 そういう部分でのアニメ第5期とほしの版との差異がもっともはっきりしていたのが、両者で共通してエピソード化されていた『妖怪大裁判』の回でした。
 この2ヴァージョンはどちらにも我らがぬらりひょん先生が登場しているのですが、同じ流れの物語であるはずなのに、ぬらりひょんの「立ち位置」やらなんやらがまるで違っているんですよね!

 アニメ第5期における新生ぬらりひょんの大活躍はまた次回にしておきまして、今回はほしの版ぬらりひょんについて。

 まず、アニメ第5期の話が持ち上がる前に連載されていたほしの先生の『R』にはぬらりひょんは登場しておらず、ラスボスは「魔王プルトー」の召喚を企てるバックベアードというオリジナル展開となっており、ぬらりひょんがアニメ版に通じる「悪の親玉」という役割で登場したのは、アニメ第5期と同時に連載が再開された『妖怪千物語』からとなっています。

 『妖怪千物語』でのぬらりひょんは、おなじみ朱の盤をパートナーとして第23話の「枕がえし」と25話の「水虎」の悪行を裏から操る黒幕的存在という相変わらずの感じで登場しており、第26~27話の『妖怪大裁判 前後編』(2007年10~11月掲載)でついに鬼太郎との直接対決におよぶこととなります。
 ほしの版の『妖怪大裁判』は、ぬらりひょんとその部下の百々爺がでっちあげた罪によって天狗ポリスに逮捕された鬼太郎と、その冤罪を証明しようとする仲間たちの活躍を描くといった原作どおりの内容。
 そして結局、いつも通りの鬼太郎ファミリーの活躍によって陰謀を暴きたてられたぬらりひょんはクライマックスで天狗ポリスに逮捕され、「500年間の溶解刑」というアホみたいな刑に処されて一件落着となり、それ以降は二度とほしの版『鬼太郎』に姿をあらわすことはありませんでした。ちなみに、ここでの朱の盤は鬼太郎との決戦を前にしてダッシュで逃亡しており、他のシリーズよりも薄情な別れかたとなっています。

 いっぽう、アニメ第5期の『妖怪大裁判』はこのほしの版の約半年後にオンエアされることとなるのですが、ぬらりひょん一味の立場はだいぶ異なったものとなっています。そのことについては、また次回ということで。

 こんな感じで、アニメの「悪の親玉」イメージをそのまんまマンガに持ってきたようなほしの版ぬらりひょんは、いまいち際だった見せ場もないまま退場ということになってしまいました。

 いまいちと言えば、ほしの版のぬらりひょんは外見もなんとなくパッとしません。
 まず、ぬらりひょんがその存在を匂わせるだけで登場していない段階の第23話のラストのコマでは、少年アクションマンガのお約束にのっとり、鬼太郎と目玉の親父との、


鬼 「妖怪たちの背後に だれかいるのかもしれませんね。」

目 「そうかもしれんな。気をつけるんじゃぞ! 鬼太郎。」

鬼 「はい! 父さん。」


 という会話のバックに「黒幕らしき存在の影」がゴゴゴゴ……という雰囲気で現れるのですが、そのあまりに特徴的すぎる頭部のシルエットから、誰がどう見てもそれがぬらりひょん先生であることはバレバレとなっています。
 ただ、気になるのは黒いシルエットの中でそこだけらんらんと光っている「目の形」で、明らかにその両目は「八」の字。つまりは水木しげるの原作マンガかアニメ第4期の西村ぬらりひょんのような「タレ目」となっているのです。

 そ・れ・な・の・に!!
 その次の第25話のクライマックスでついにその姿をあらわした時、ぬらりひょん先生はギラッとした鋭い目つきとうすい眉毛の特徴的なアニメ第3期の青野ぬらりひょんに変更されてしまっているのです。同時期にTV で大活躍していたアニメ第5期のぬらりひょんとは似ても似つかない小悪党ヴァージョンだ!

 まぁ、予告シルエットとご本人の姿がまったく違うという流れもまた、『キン肉マン』以来の少年アクションマンガの伝統となっているのですが、過去のイメージをフル動員させたほしの版ぬらりひょんは、それゆえにどうにも新味に欠けたまま中途半端に消え去ってしまったのです。
 それ以降、「鬼太郎サーガ」のマンガ作品にはぬらりひょんは登場していないわけなので、非常に悔いの残る「最後のぬらりひょん」ということになってしまいました……


 だが。
 そんな「旧世代のぬらりひょん」の数々を一掃するべくリニューアルされた新デザインのぬらりひょんこそが! アニメ第5期にその名をとどろかすこととなった「ニュージェネレーション仕様ぬらりひょん」だったのです!!

 今度のわしはひと味ちがうぞ……首を洗って待っておれ、鬼太るォオ!!

 ということで、いよいよ白熱のアニメ第5期のお話は、また次回!次回! じっかい~ィン
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