代替案のための弁証法的空間  Dialectical Space for Alternatives

批判するだけでは未来は見えてこない。代替案を提示し、討論と実践を通して未来社会のあるべき姿を探りたい。

八ッ場ダム建設根拠を揺るがす東京新聞のスクープについて

2013年01月27日 | 利根川・江戸川有識者会議
 山林荒廃と大崩壊が大水害の原因と旧建設省自体が認めていた。百歩譲ってカスリーン台風で1万7000㎥/秒が流れたという当時の建設省の過大な数字評価を認めたとしても、山林が曲がりなりにも回復した現在の状態では、カスリーンと同じ台風が襲来しても崩壊の発生面積は大幅に減る。カスリーン台風が再来した場合の流量は、それよりも低くならなければならないのは自明の理である。旧建設省の資料に依拠しても、これは明らかな論理的帰結である。  ところが、国交省いわく、現在の森林状態でカスリーン台風が再来すれば、1万7000㎥/秒よりも増えて、2万1100㎥/秒になるという。いったい誰が、このような理屈を承認できるのだろう? . . . 本文を読む
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日本国憲法は押し付け憲法にあらず

2013年01月27日 | 政治経済(日本)
 本日(2013年1月27日)の東京新聞の30面に興味深い記事があった。武蔵五日市市の市民たちが自由民権運動の中で作り上げた民衆による憲法草案である「五日市憲法草案」の紹介である。起草の中心人物であった千葉卓三郎は、戊辰戦争で敗れて放浪の末に多摩に移り住んだ旧仙台藩士。  五日市憲法は、「基本的人権の尊重」「法の下の平等」「集会・結社・言論の自由」「信教の自由」「地方自治権」などが明記され、明治 . . . 本文を読む
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農産物貿易自由化と遺伝子組換作物とインド農民の自殺

2013年01月26日 | 自由貿易批判
 米倉経団連会長が、日本の財界を代表するという公的な見地からTPP推進を唱えているのか否か、すこぶる疑わしい。米倉からすれば、日本政府が遺伝子組換技術の規制緩和というアメリカの要求を呑むことが、自社利益につながるという関係にあるからだ。典型的な利益相反であろう。こうした利益相反関係にある人物を日本経団連会長という公的立場につけてしまうところが、既にして日本のシステムが構造的に抱える制度的欠陥を露呈しているのである。  このような人物が推進の先頭に立って旗を振っているTPPになど参加すれば、日本の生態系と食品の安全性と農家の生活に重大な脅威となるであろうと懸念するのは当然である。 . . . 本文を読む
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東郷平八郎と赤松小三郎

2013年01月20日 | 赤松小三郎
 最近読んだ『伝記』という戦前の雑誌に掲載されていた赤松小三郎伝の一節を紹介したい。千野紫々男著「幕末の先覚者 赤松小三郎」『伝記』南光社(1935年5月号、6月号)である。薩摩出身の日本陸海軍の重鎮たちが、恩師赤松小三郎についてどのように考えていたのかに関して興味深い記述があった。 ***千野、前掲雑誌、5月号、65頁より引用***  日露戦争後、野津(道貫)、東郷(平八郎)、川村(景明)、 . . . 本文を読む
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間違いだらけのリカード理論

2013年01月20日 | 自由貿易批判
 水鏡仁(酔狂人)さんが、リカードの比較生産費説を批判する以下のエントリーを紹介してくださいました。属人的に得手不得手があり、国の単位で特定産業に特化したところで、その産業部門に適性のない人々までムリにその部門に移動させても生産性は向上しないという論点です。この点、私もまったく同意いたします。水鏡仁さん、ありがとうございました。 http://d.hatena.ne.jp/suikyojin/2 . . . 本文を読む
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UNITED STATES-JAPAN ECONOMIC HARMONIZATION INITITAIVE (意味分かります?)

2013年01月17日 | 教育
 試験期間中なう。  本日、私が担当している外書購読(ゼミの一種)を受講している学生に出した試験問題です。もしよろしければ挑戦してみませんか? コメント欄にご解答ください。 Ⅳ 次の文章は、在日米国大使館の公表した文章の一部である。これを読んで以下の問に答えよ。 UNITED STATES-JAPAN ECONOMIC HARMONIZATION INITITAIVE (1) JAPAN . . . 本文を読む
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鉄コン事業から土木事業へ

2013年01月17日 | エコロジカル・ニューディール政策
 最近、私が以前に『山林』という雑誌に書いた「『ウッド・ニューディール』で社会的共通資本を整備する」第1512号(2010年5月:43-51頁)という論文に関して何度か問い合わせをもらった。この論文は、当時の民主党政権が掲げていた「コンクリートから人へ」というスローガンを批判し、正しい公共事業を実施しようと論じたものであった。  安倍政権の公共事業拡大路線でいよいよ財政破たんが現実化するのではと . . . 本文を読む
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吉田松陰と佐久間象山と松平忠固

2013年01月14日 | 歴史
 大河ドラマ「八重の桜」第二回「やむにやまれぬ心」を視聴した。吉田松陰と佐久間象山が国元蟄居となり、象山塾は閉塾になる。  このあまりにも有名な史実の影で、全く語られないエピソードを一つ紹介したい。吉田松陰と老中・松平忠固(信州上田藩主)の数奇な物語である。  これまで山のように吉田松陰論が書かれ、松陰はあらゆる角度から論じられてきた感がある。しかし、この論点は書かれたことがないと思う。日米条約の . . . 本文を読む
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水管理・国土保全局(旧河川局)の権限を拡大してダムに頼らない治水を

2013年01月13日 | 利根川・江戸川有識者会議
  1月21日から利根川・江戸川有識者会議が再開される。私も委員になった以上は、国交省の方々の協力も得て、ダムに頼らない治水を目指したい。  国交省の水管理・国土保全局(旧河川局)の行政権限を拡大すれば、それは可能だと思う。これまで旧河川局の行政権限は河道の内部にしか及ばなかった。そのため、どうしても河道の内部にダムのような洪水制御施設を設けて雨水を貯留するという治水対策に頼ることになってしまっ . . . 本文を読む
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続・山本覚馬と赤松小三郎

2013年01月06日 | 赤松小三郎
 新年あけましておめでとうございます。本年初投稿では政治の話はやめます。暗くなるので。  大河ドラマ「八重の桜」が始まった。冒頭に南北戦争やリンカーンのゲティスバーグ演説がくるとは思わず、いきなり度胆を抜かれた。スタッフの方々の意気込みに敬意を表したい。  アメリカは内戦の悲劇を超えて国家統合を果たしたというメッセージであったが、今のアメリカを見ると、南北戦争以来の分断の溝はますます深いようにも . . . 本文を読む
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