代替案のための弁証法的空間  Dialectical Space for Alternatives

批判するだけでは未来は見えてこない。代替案を提示し、討論と実践を通して未来社会のあるべき姿を探りたい。

日本は第二次大戦突入まで江戸文明の遺産で食っていた

2020年05月06日 | 歴史
日本の近代化を支え続けた、生糸の技術は江戸文明の遺産であり、日本は太平用戦争に突入する直前まで、江戸の遺産で食っていたと言えるのです。来年の大河ドラマの主人公である日本資本主義の父と呼ばれる渋沢栄一は官営の富岡製糸工場の設立などに尽力しました。しかし、これは従来の「家内制手工業」から規模の経済効果を働かせる「工場制工業」へと転換させる契機になりましたが、そこで生産される生糸の品質は変ったわけではなく、国際社会で高い評価を受けていた生糸の質そのものは江戸の技術です。ちなみに言えば、渋沢栄一も、もともと深谷の百姓で幕臣に取り立てられて、公費で海外留学までさせてもらっていた徳川政権の人間です。近代的工場制度まで徳川政権の遺産と言えるでしょう。 . . . 本文を読む
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蚕と日本語学習と松平忠固

2020年05月03日 | 歴史
 昨日(2020年5月2日)の『日本経済新聞』の書評欄で小川誉子美著『蚕と戦争と日本語』(ひつじ書房)が紹介されていた。私もこの本は非常に重要だと思ったので、少し紹介させていただきたい。    この本で提示された諸命題の中で、もっとも刺激的なのは、幕末から明治初頭の欧州で日本語の学習熱が高まった背景は、日本の進んだ養蚕技術を学ぶためだった、というものであろう。  同書の帯に「なぜ日本語を学ぶの . . . 本文を読む
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新刊本紹介『東アジアの弾圧・抑圧を考える 19世紀から現代まで 日本・中国・台湾』(春風社)

2020年01月23日 | 歴史
 長らくブログの更新を怠っていて申し訳ございません。手前ミソで恐縮ですが、この一月に出た本を一つ紹介させていただきます。『東アジアの弾圧・抑圧を考える 19世紀から現代まで 日本・中国・台湾』(春風社)。私も共著者の一人です。  昨今の状況に照らし合わせて考えると、まことに残念ではありますが、タイムリーなテーマと思います。扱っているのは歴史的な諸事件ですから、最近の中国や台湾や日本の弾圧が扱われ . . . 本文を読む
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丸山穂高議員の「戦争しないと取り返せない」発言を考える

2019年05月15日 | 歴史
丸山穂高衆院議員(大阪19区)が北方領土を取り返すには「戦争をしないと、どうしようもなくないですか」と発言。この発言の真偽を検証してみたい。    そもそも択捉島とウルップ島のあいだに日露の国境線が引かれるのが確定したのは、1855年の日露和親条約においてである。この条約では択捉島まで日本領とするとともに、ロシアが領有権を主張していた樺太についても、真に友好的な協力関係を進める中で、交渉によってロシアを譲歩させ、樺太を両国の雑居地とするという大きな交渉成果を勝ち取った。困っている相手国を助けてこそ、友情を深めてこそ、領土交渉もうまくいくのだ。 . . . 本文を読む
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大河ドラマ「西郷どん」と明治6年政変 ―桐野利秋と山縣有朋

2018年12月15日 | 歴史
 気が付いたら大河ドラマ「西郷どん」も明日で最終回を迎える。  幕末編は、あまりの歴史改ざんぶりに辟易とした気分で視聴していたのだが、明治時代に入ってから結構面白くなった。  長州閥の汚職体質 -国家予算・資産を私物化して政権中枢を取り巻くお友達に分配し、私腹を肥やすという現在に続く体質- もちゃんと描かれていた。長州政権の肝いりで制作されたドラマにしては、がんばったと思う。  山縣有朋は、長 . . . 本文を読む
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大河ドラマの脚色はどこまでが許されるのか?

2018年09月22日 | 歴史
テロを実行するまでに西郷を追い込んだ原因としてドラマで描かれたのは、「フランス公使のロッシュが徳川慶喜に薩摩の割譲要求をしている」という、史実にない虚構であった。この虚構を、「脚色」として許してしまってよいのだろうか? これは「脚色」といっても許されるレベルではないと思う。フランスという現存する国家の行為にかんして、当事者たちがやっていないことが明らかであるにもかかわらす、「やった」ことにしてしまうのは、「ねつ造」であり、創作とは違う。これは許されないだろう。フランス大使館はNHKに抗議せねばならないレベルだ。 . . . 本文を読む
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西郷どんの謀略とテロ

2018年09月17日 | 歴史
日本を外国に売り渡そうとしたのは、ロッシュと組んだ慶喜ではなく、イギリスと組んだ西郷であったのだ。実際、少なくともフランスは横須賀製鉄所(横須賀造船所)の建設などを援助し、日本が自力で製鉄をし、造船もできるようになるよう支援していた。イギリスはどうか。日本が自力で製鉄をし、軍艦を国産できるように促すのではなく、むしろそれを奪い、戦艦や武器などイギリス製のものを売りつけていく戦略であった。日本を、イギリスの軍事産業の従属国に変えていったのだ。 . . . 本文を読む
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明治国家の男尊女卑文化は薩摩起源

2018年01月26日 | 歴史
 大河ドラマ「西郷どん」、初回では薩摩の男尊女卑文化が鮮烈に描かれていた。ヒロインの岩山糸が、自分も勉強したい、剣術もやってみたいと願うが、薩摩には女であるというだけで学ぶ権利は存在しない。道の真ん中を歩くこともできない・・・・。マララちゃんとタリバンを思い出してしまった。  薩摩の郷中教育は、「先進的」と評価されているが、女子を排除し、男尊女卑の価値観を植え付ける教育の何が先進的なのだろう?  . . . 本文を読む
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神国思想と尊皇攘夷と公議政体論 ―横井小楠のための弁明

2017年05月31日 | 歴史
 睡り葦さんから、水戸学・尊王攘夷および横井小楠と公議政体論について投稿をいただきました。コメント欄に留めておくのはもったいないので、新記事として転載させていただきます。以下の論考に対する私のコメントは、また記事を改めて書かせていただきます。以下すべて引用です。 ******睡り葦さんのコメント転載2017-05-29 00:15:37******* その1  関さんの一連の御記事に . . . 本文を読む
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おんな城主直虎はおもしろい

2017年04月30日 | 歴史
 今年はブログがあまり更新できずに申し訳ございません。  大河ドラマ「おんな城主直虎」、視聴率が低いなどと言われて、あちこちで dis られているようだが、私は名作だと思う。(少なくとも第17話まで見る限りにおいては)。登場人物たちの個性もはっきりしていて、生き生きと描かれている。小野政次など、その人の描き方の脚本も、それに応える役者の演技力もすばらしい。  また時代背景の描写として、戦国期の百 . . . 本文を読む
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2018年大河は西郷隆盛 ―これまでの歴史観の見なおしを

2016年09月04日 | 歴史
 明治維新150周年である2018年大河ドラマは「西郷隆盛」に決まったと報道された。  事前には、外国人主役でアーネスト・サトウは?、五代友厚なら「あさが来た」の視聴者をそのまま獲得できて視聴率アップ間違いなし・・・・など、さまざまな噂も飛び交っていたが、NHKは変化球を投げてくることなく、日本史上もっともメジャーな人物を主人公にすることによって王道ともいえる路線を採用したわけだ。  しかし明 . . . 本文を読む
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明治維新150周年の2018年大河問題 -アーネスト・サトウはあり得るか?

2016年02月10日 | 歴史
西郷隆盛は国民主権を前提とした国民議会政治を支持していた。つまり赤松小三郎が島津久光に建白し、小松帯刀が積極的に推進し、薩土盟約にも盛り込まれた、国民議会の開設と新憲法の制定という路線を支持していた。この時点では、まだ西郷も赤松の考えに感化されていたのではないかと思われるのだ。注目すべきは、アーネスト・サトウが、西郷の国民議会論を「狂気じみた考え」として退けていることである。イギリスにとって、自らの言いなりになる独裁者が支配している傀儡政権が日本に樹立されることが、もっとも国益にかなうからだ。 . . . 本文を読む
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ノーマンの歴史観と長州史観の差異

2015年08月04日 | 歴史
 過日、薩長公英陰謀論者さんがハーバード・ノーマンの『日本における近代国家の成立』(邦訳、岩波文庫)を検討の上、追加の投稿をいただきました。紹介いたします。  ノーマンの歴史観は、日本の左右の長州史観(講座派史観と長州=靖国史観)の明治維新賛美論と親和的なようにも見えるが、「人民民衆の生活への身の丈目線での共感」という点で、長州史観とは根本的に異なるのではないかという論点です。   **** . . . 本文を読む
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宇加治新八の1874年の憲法構想 ~近代の呪いか天皇制の呪いか

2015年07月26日 | 歴史
りくにすさんから、明治7(1874)年8月に、民主主義的な内容の憲法構想を建白した宇加治新八(旧米沢藩士の置賜士族)の紹介をいただきました。いわゆる「民撰議院設立建白書」が提出された半年後に提起された非常に民主的な憲法構想です。恥ずかしながら、私も全く不明な人物でした。これだけの人物が歴史の闇に埋もれているのですから、日本の近代史の闇はまだまだ深いといえそうです。 長州=靖国史観系の人々は、左派史観を批判しながら「汚辱の近現代史」とかおっしゃいますが、実際には左右両派の双方の史観がともに結託して、当然に光をあてるべき人物をに光を当てないまま、非常に偏った歴史観を日本人に押し付けてきたように見えます。「パンドラの箱に封印された闇の中の近代史」とでも言うべきものがありそうです。 . . . 本文を読む
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講座派史観・労農派史観とハーバード・ノーマン

2015年07月23日 | 歴史
ノーマンは日本生まれ日本育ちのカナダ人歴史家で、同時に外交官としても活躍、戦後はGHQのメンバーとして日本の民主化にも尽力しました。昭和天皇とマッカーサー会談のGHQ側通訳を務めるなど数々の歴史的な舞台に立ち会った人物です。日本人でも忘れていた大思想家・安藤昌益に注目し、昌益の思想を世界に向けて紹介した歴史学者としても知られています。GHQの一員として戦後の日本民主化計画にも携わったので、「日本国憲法も戦後の民主化もGHQの押し付け」と主張する安倍晋三首相からしてみたら、「(長州的な)日本を(長州的な)日本でなくした、日本の(=長州の)仇」の一人と思うかもしれません。しかし、信州で生まれ育ったノーマンは、自己アイデンティティーの形成を日本の文化と風土の中で行っており、その考え方も、濃厚に欧米的価値観というよりも、日本的な内発的な左派思想だと思います。それゆえ安藤昌益にも注目できたのでしょう。 . . . 本文を読む
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