代替案のための弁証法的空間  Dialectical Space for Alternatives

批判するだけでは未来は見えてこない。代替案を提示し、討論と実践を通して未来社会のあるべき姿を探りたい。

大熊孝先生の『洪水と水害をとらえなおす』が毎日出版文化賞受賞!

2020年11月08日 | 治水と緑のダム
近年、水害が起きるたび、ダムとスーパー堤防が必要だと叫ぶ声が高まる。実態をよく知らないまま、ダムとスーパー堤防に過剰に期待している「国土強靭化」論者の方々にこそ、この本を読んでいただきたい。著者は「究極の治水の形は400年前にある」として、戦国時代から江戸時代に発達した治水技術を再評価する。すなわち、相対的に被害の少ない場所を決めて、洪水を越流氾濫させ、流域全体の被害を分散、軽減するというシステムだ。越流してきた水は水害防備林で受け止め、被害を軽減すると共に、越流した水をゆっくりと川に戻していく。伝統的な知恵を取り戻し、それを発展させることにこそ、未来の治水の形があるのだ。 . . . 本文を読む
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流域治水と耐越水堤防

2020年10月11日 | 治水と緑のダム
「耐越水堤防を地道に整備し続けていれば、(昨年の台風19号水害でも)かなりの破堤は防げたと推測できる」と指摘。「決壊の可能性のある堤防を放置したまま、多額の費用をかけてダムを造り続けたことが本末転倒だった」 . . . 本文を読む
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西島和著『日本の堤防は、なぜ決壊してしまうのか?』(現代書館)

2020年09月08日 | 治水と緑のダム
国交省は、効果が限られているダムとスーパー堤防に多額の予算を配分するために、実際にはもっと費用対効果の高い「決壊しにくい堤防」の整備を、故意に政策メニューから消してきたのです。本書は、その衝撃の事実を綿密な考証によって明らかにしています。いわば国の「未必の故意」として、各地で堤防決壊という最悪の被害を頻発させているのです。 . . . 本文を読む
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国交省が「流域治水」に転換した

2020年08月25日 | 治水と緑のダム
 先月の7月22日、永田町の参議院の議員会館で、気候危機の時代の水害対策を検討するシンポジウムが開かれました。主催は、参議院議員の嘉田由紀子さんや衆議院議員の大河原雅子さん、阿部知子さん、篠原孝さんなどの国会議員でつくる実行委員会でした。私もゼミの学生たちと受付など会場設営のボランティアをしながら拝聴しておりました。   youtubeで動画が公開されたのでシェアさせていただきます。 流域治水の . . . 本文を読む
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【紹介】建築ジャーナル5月号「堤防はなぜ決壊したか」

2020年05月08日 | 治水と緑のダム
現在発売中の『建築ジャーナル』5月号で昨年の台風19号水害で「堤防はなぜ決壊したか」という特集が組まれています。堤防はなぜ決壊するのか、それはダムとスーパー堤防に予算を流し込むためだ、とこのブログで論じてきました。なぜ140カ所も破堤したのか、ダムではなく堤防の強化に予算を使えばそもそも140カ所も破堤することはなかったはずです。もう一つ、水害についてスーパー堤防を推進する現行計画の問題点を指摘した論文を紹介させていただきます。国立国会図書館の国土交通調査員の専門家による論文です。 . . . 本文を読む
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『季刊地域』(2020年春号)に拙稿「ダムのために堤防は壊れる」掲載

2020年04月02日 | 治水と緑のダム
堤防が、計画高水位を超えても破堤しないのであれば、上流にダムを建設する理由がなくなってしまう。国交省がダムを造り続けるためには、堤防は計画高水位を超えると破堤する脆弱な構造でないと困るというのだ。(中略)  納税者としては考えたくない、信じたくないことだが、ダム利権のために日本の堤防は決壊しやすい構造のまま放置されているのだ。 . . . 本文を読む
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国交省と自民党サポーターのショックドクトリン —ダムとスーパー堤防

2019年10月18日 | 治水と緑のダム
東京新聞の記事で衝撃的なのは、元建設省土木研究所で、越水しても破堤しにくい耐越水型堤防の開発に携わっていた石崎勝義氏のコメントです。石崎氏は記事中で次のように答えています「国交省の予算は大きく『社会保障費に回せ』という圧力は高い。でも、堤防が決壊すれば、それをはね返して予算を確保することができる。国交省の役人は今回のように決壊するのは都合がいいと思っているんです」 . . . 本文を読む
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八ッ場ダムは首都圏を救ってません

2019年10月14日 | 治水と緑のダム
 ネットで八ッ場ダムが話題になっています。ちょうど試験淡水中だった八ッ場ダムが台風19号であっという間に満水になったというニュース。だから首都圏を救ったというのですが、印象で語っているだけで何の根拠もありません。  水害が起こるたびに自民党のサポーターが、それを利用して、民主党叩きとダムやスーパー堤防擁護のデマ宣伝を行うのが恒例行事になっています。今回の騒ぎも、それです。  八ッ場ダムの貯水で、 . . . 本文を読む
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なぜ日本の堤防はかくも簡単に決壊するのか? 耐越水堤防を仕分けた御用学者たち

2019年10月13日 | 治水と緑のダム
水害はスーパー堤防を仕分けた蓮舫の責任という方々に、本当にバッシングすべき対象を教えてあげたいと存じます。じつは国交省は、平成10年度の重点施策として越流しても破堤しない耐越水堤防の推進を掲げたにもかかわらず、日本土木学会の勧告によって、耐越水堤防の開発を止めてしまうのです。蓮舫バッシングにあけくれる皆さま、国交省に忖度して、耐越水堤防の中止を勧告した土木学会の御用学者たちこそ、列島における水害を生み出している真犯人だと思いませんか? . . . 本文を読む
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ダム治水からの脱却を

2018年07月15日 | 治水と緑のダム
 地球温暖化によって海洋から水蒸気の蒸発量が増大し、雨雲の発達を促し、今回の西日本豪雨のような規模の豪雨は今後も頻発するとしか思えない。根本的な解決策は、温暖化対策を加速させ、一刻も早く化石燃料依存から脱却し、大気中のCO2濃度を安定化させることしかないだろう。  しかしながら、今世紀後半で温室効果ガスの純排出量をゼロにするというパリ協定の目標が達成されたとしても、今後の半世紀を要する大事業であ . . . 本文を読む
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スーパー堤防にかんするフェイクニュースと現実

2017年10月25日 | 治水と緑のダム
台風で水害が起こるたびにスーパー堤防にかんするフェイクニュースが流れ、ウンザリする。流している人々はだいたい想像がつくが・・・・。フェイクニュースというより、悪質なデマである。週刊エコノミストの今週号(2017年10月31日号)に、以下のような記事を書いた。「スーパー堤防は災害リスクを高める」と断言しています。このブログでも再三書いてきたが、スーパー堤防は1mの堤防を整備するのに数十億円という天文学的な予算が必要な事業であり、実際にはその100分の1の予算で堤防の強化工事は可能である。最下流のごく一部地域にのみ集中的に予算を投下しても、上流の堤防強化が後回しになるため、日本列島の災害リスクを高めているだけなのだ。ネット上で、ウソにまみれたスーパー堤防必要論を展開している皆様、反論をどしどし御寄せ下さい。 . . . 本文を読む
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テロより怖い ―決壊リスクのある全米2000基のダム 

2017年02月16日 | 治水と緑のダム
アメリカで決壊リスクのある危険な2000基弱のダムをすべて修復した場合、必要な予算は540億ドルに達し、現在の予算規模では修復に50年を要するという。その50年のあいだにさらに多くのダムが老朽化していく。その間に温暖化が進み、異常豪雨も増えるであろうことから、決壊の悪夢が現実化する危険性は高いだろう。ホワイトハウスは、国の安全保障を真剣に考えるのであれば、CIAなど有害無益なスパイ組織・テロ支援組織の予算を削って、ダム修復に予算を転用すべきである。 . . . 本文を読む
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八ッ場ダム住民訴訟11周年集会 元国交省・宮本博司さん講演などの報告

2015年12月15日 | 治水と緑のダム
ダム利権のために水害を引き起こしやすい堤防のまま放置する土木学会の見解をまとめた方々は以下の諸委員です。宮本さん講演会の会場には、耐越水堤防の開発にかかわっていた国交省土木研究所のOBの方も会場にいらっしゃいました。「技術的に確立されているにも関わらずそれをさせないというのは犯罪だ」と述べておられました。同感です。この見解をまとめた方々は、本来ならば有罪だと思います。悲しいかな日本の司法が機能停止状態にあるのでダメですが。この方々の答申のおかげで、今後も脆弱な堤防は放置され、堤防決壊による水害は今後も発生してしまうからです。この委員の方の中には、今回の鬼怒川水害の原因究明のための鬼怒川堤防調査委員会にも入った方がいます。水害の戦犯が、自らの犯罪を隠蔽するため、調査委員会に入って揉み消しを図っているいるようなものです。 . . . 本文を読む
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シンポジウム「温暖化時代の治水対策」の報告

2015年12月12日 | 治水と緑のダム
 従来の国交省は、発生した洪水を一滴も溢れさせることなく河道内に完全に閉じ込めて河口まですみやかに流し切る、という立場を大原則としてきました。  嘉田由紀子さんが滋賀県知事時代に制定した滋賀県流域治水条例は、「一滴も溢れさせることなく」が財政的にも技術的にも不可能ということを前提とした上で、まちづくりのレベルで災害に対応する工夫を施し、たとえ溢れても、「命だけは守る」を最優先にするシステムの構築を制度化したものです。  これまで「一滴も溢れさせない」を前提にしていた国交省。国交省の朝堀さんは、溢れた場合に関しては、「何も対応していないのが基本的な姿勢だった」と率直に認められ、土地利用規制の仕方に多少の違いはあるものの、「われわれも(=国交省も)、ほとんど滋賀県のやり方をを追っかけているような状態で、こんごの制度設計を進めていきたい」と語られました。  この嘉田さんと朝堀さんのやり取りを見ても、「立場の違いを超えて」の出口を模索する様子が伝わってくるかと思います。 . . . 本文を読む
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霞ヶ浦導水計画を中止し、脆弱な堤防の強化に予算の転用を

2015年11月13日 | 治水と緑のダム
利根川水系にとって喫緊の課題は他にあります。本年度の鬼怒川水害によって、計画高水以下の洪水によっても破堤してしまうような脆弱な堤防が利根川水系にあまた存在することが明らかになりました。導水路以前に、まずはこうした堤防の強化こそが最優先で行われなければなりません。この課題に直面しているにも関わらず、霞ケ浦導水事業のような不要な事業に何百億円もの血税を投入していくことは、社会通念に照らして許されません。不要な新規利水事業は当面凍結した上で、脆弱な堤防の強化のためにその予算を転用するようお願いいたします。 . . . 本文を読む
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