稲田氏の口から「日本の民主主義の充実」とか、自民党が強い地域ほど男権主義的傾向があるといった発言が出るとは思わなかった。稲田氏以下、日本会議に所属する改憲派議員たちは、日本国憲法から「国民主権」を消し去るのが目標なのではなかったのか? 稲田氏は、明治憲法体制を理想としているではなかったか? 明治が理想なら、女性に参政権などあってはいけないのではないか?
稲田氏がこう考えるのであれば、日本会議から脱会すべきではないだろうか? . . . 本文を読む
ファナティックな国学思想から、極端な神州不滅思想に行き着いた水戸は、無謀なテロと内戦で自滅していきました。本来は長州のテロリズムも、水戸と同じ路線をたどって、滅びて終わりだったはずなのです。そうなれば、国学(というか国家神道)の勝利による明治維新などなかかった。長州が生き残ったのは、正しかったからではなく、世界最強の覇権国である大英帝国が、武器援助して助けたからに他ならないのです。滅亡の淵にあった長州を英国が助けたのは、アーネスト・サトウやトーマス・グラバーの暗躍によって生じた偶然の作用でしかない。 . . . 本文を読む
長州の武力討幕路線こそが日本近代化の駆動力となったのであり正しかったのだと考える点で、司馬遼太郎と日本会議と講座派マルクス主義の三者は、いずれも「長州史観」であり、基本的に同じ考えといってよいでしょう。
それとは違った考え方をしていたのが、尾佐竹猛や、その弟子筋の大久保利謙です。尾佐竹は、近代日本を準備したのは長州や薩摩ではなく、徳川や諸藩が幕末から醸成した議会政治論であると大正時代から明言していました。大久保利通の孫の大久保利謙は、尾佐竹の歴史認識を肯定し、自ら佐幕派を名乗って『佐幕派論議』(吉川弘文館、1986)という本まで書いています。 . . . 本文を読む
歴史研究の領域において、アマチュア研究者の果たす役割は大きいということが本書を読むとよくわかるであろう。専門家も注目してこなかった重要人物の事跡が次々に発掘されていく過程は小気味よい。
門倉伝次郎の人間関係に次々に関心が広がり、アプリン大尉のみならず、伝次郎が仕えた松平忠固の事績から、忠固の息子の忠礼・忠厚兄弟の米国における学問業績、伝次郎と恩師の佐久間象山との関係など、知られざるいくつもの史実を発見した。
たとえば「アメリカの科学の学術誌に初めて論文が掲載された日本人は誰か?」と訊かれて分かる人はいるだろうか? 不思議なほどに知られていない重要人物たちの知られざる事跡が次々に明らかになるのが本書である。 . . . 本文を読む
NHKの大河ドラマ「坂の上の雲」のオープニングの渡辺謙のナレーションを聞いていたら、その歴史認識のあまりの杜撰さ、歴然とした誤謬の数々に唖然とした。以下の動画は、司馬遼太郎の原作の一節をそのまま、NHKがオープニングとして採用したものだ。
これを聴くと、司馬遼太郎こそが「自虐史観」の持ち主であることがよく分かる。こんなウソをそのまま信じてナルシズムに浸っているネトウヨ諸氏や日本会議の皆さんも、 . . . 本文を読む
国交省は、効果が限られているダムとスーパー堤防に多額の予算を配分するために、実際にはもっと費用対効果の高い「決壊しにくい堤防」の整備を、故意に政策メニューから消してきたのです。本書は、その衝撃の事実を綿密な考証によって明らかにしています。いわば国の「未必の故意」として、各地で堤防決壊という最悪の被害を頻発させているのです。 . . . 本文を読む
じゅんちゃんさんが運営する哲学入門チャンネルにゲスト出演させていただいたインタビューの後編です。
前半は、
*明治維新によって長州・薩摩が政権を取ったことにより、むしろ日本の近代化や重工業化は遅れたこと
*江戸時代の大奥という女性権力機構が老中の人事を操って、松平忠固のような穏健で合理主義的な人物を老中にし、攘夷派の台頭を抑えていたこと
などを話し、最後の方では
*日本会議史観の根本 . . . 本文を読む
哲学系ユーチューバーのじゅんちゃんさんが運営する「哲学入門チャンネル」からゲスト出演で呼ばれました。お恥ずかしながら、動画をシェアさせていただきます。近刊の『日本を開国させた男、松平忠固』(作品社)の中から、「日米修好通商条約で関税自主権を失った」という通説は誤りであり、当初の条約では実際には日本に関税自主権はあったのだという部分を解説しています。しかしその後、下関戦争の敗戦の結果、本当に関税自 . . . 本文を読む