代替案のための弁証法的空間  Dialectical Space for Alternatives

批判するだけでは未来は見えてこない。代替案を提示し、討論と実践を通して未来社会のあるべき姿を探りたい。

日本のMMT論者のどこが間違っているのか?

2021年01月26日 | エコロジカル・ニューディール政策
MMTで金をバラまいて、ベーシックインカムや輸入資源多投型の土建ケインジアン路線を繰り広げれば、ただちにインフレに帰結するだろう。財の供給量が増えないのに、マネーだけ増えればインフレスパイラルに陥るのは当たり前だ。  そうならないための方策はただ一つである。化石燃料の使用量をゼロにすることを目指し、再生可能エネルギー100%を実現することである。  レアメタルや鉄やアルミなどの金属資源に関しては、完全にリサイクルし、新規採掘を限りなくゼロに近づける定常社会を目指すことである。それらを実現するため、政府投資を集中させるのがグリーンニューディールだ。それが資源量の制約から発生するインフレを回避する唯一の方法だろう。 . . . 本文を読む

社会的共通資本とベーシックサービスとグリーンニューディールの統合

2020年12月28日 | エコロジカル・ニューディール政策
 ユーチューバーの北畑淳也さんが運営する「哲学入門チャンネル」に呼んでいただきました。今回はポスト新自由主義の社会を展望するということで、社会的共通資本とベーシックサービスとグリーンニューディール政策の考え方を統合するという話をしてきました。以下、動画を張り付けておきます。話のアウトラインは以下のような感じになっています。 (1) 宇沢弘文先生が目指していた脱成長の定常社会とはどのような状態か . . . 本文を読む

ベーシックインカム論に反対していた宇沢弘文

2020年08月26日 | エコロジカル・ニューディール政策
投入すべき財政資金があるのであれば、生産と消費の形を持続可能なものに変えていく創造的な活動であるグリーン・ニューディールに投じるべきで、現行の非持続的生産体系をそのままにして刹那的な消費を促すだけのベーシックインカムに投じるべきではありません。  経済学者の宇沢弘文先生は社会的共通資本の整備を通じて公共料金を引き下げることによって生活を保障するべきで、ベーシックインカム論には反対していました。ベーシックインカムを礼賛する人びとには、あまりにも甚だしい経済に対する無知があります。 . . . 本文を読む

環境破壊と気候変動と感染症

2020年04月16日 | エコロジカル・ニューディール政策
 一週間ほど前になるが4月9日の東京新聞の特報面で、「環境破壊や気候変動によって新たな感染症が拡大していく」という記事が掲載されていた。今度のコロナウィルスについては、まだ詳細は不明であるが、一般論として気候変動が新たな感染症の拡大を生むことは多くの学者たちによって警告されてきた。たとえば以下のような根拠である。  https://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2020 . . . 本文を読む

グリーン・ニューディールとローカル・エコノミーへの移行

2020年03月29日 | エコロジカル・ニューディール政策
失業率30%という1929年の世界大恐慌なみという予測もある中で、やるべきは、ルーズベルトのニューディール政策並みの雇用対策であろう。つまり、政府事業で失業者を片端から雇用する社会主義的政策だ。  本来ならば、ここで社会主義者のサンダースに当選して欲しかった。前回の大恐慌のときはテネシー川の総合開発など、大規模インフラがメインだったが、今回は再エネ普及の徹底した温暖化対策を雇用創出のメインとするグリーン・ニューディールの実施である。 . . . 本文を読む

追悼 力石定一先生 -エコロジカル・ニューディール政策の提唱者 

2016年02月11日 | エコロジカル・ニューディール政策
さる1月22日に力石定一先生(法政大学名誉教授、経済学・社会工学)が逝去されました。謹んで哀悼の意を表します。力石先生は、英米で「グリーン・ニューディール政策」と言われだす10年前の1999年ごろから、「エコロジカル・ニューディール政策」を提唱され、鉄とコンクリートの土建国家型公共事業路線から、再生可能エネルギー・緑のダム・LRTなどのクリーン・テクノロジーによる環境再生事業で雇用を吸収し、同時に創造的破壊を生み出すという、ケインズとシュンペーターとエコロジーを統合させる経済政策を訴えてこられました。 . . . 本文を読む

再生可能エネルギー買い取り問題 ―これは技術で乗り越えられる

2014年10月17日 | エコロジカル・ニューディール政策
容量を越えなければ問題は起こらない。ならば、もっとも簡単な方法は、夏期のピーク時にはいくつかのソーラー発電所から送電網への接続を外せばよい。その期間は火力、バイオマス、水力などでカバーすればよいのである。 太陽光や風力の出力の不安定性は以前から言われていたから、多様な再生可能エネルギーを組み合わせて出力を安定化させ、IT技術や電気自動車の蓄電機能なども活用したスマートグリッドの必要性が唱えられていた。この危機は、技術開発のチャンスである。日本の優秀な技術力を示すチャンスなのに、腰砕けになっては、諸外国からの笑いものだろう。 これに乗じて再生可能エネルギーバッシングをしている人々は、結局、原発を再稼働させたいだけなのであろう。 . . . 本文を読む

国土強靭化計画は国土を脆弱化させる

2014年10月05日 | エコロジカル・ニューディール政策
北小岩1丁目のスーパー堤防はわずか120mの区間で総費用で工事費が47億円かかる。単純計算で1mの堤防を整備するのに4000万円が必要なことになる。堤防というものは線としてつなげて意味があるのであって、120mの区間に「点」としての盛り土を行ったところで安全に寄与することはない。実際にはかえって危険な箇所を増やすだけだ。そんなお金があるのであれば、その100分の1の予算でできる堤防強化工事に取り組むべきなのだ。12kmの区間を整備できる計算になる。それだけで江戸川の安全性は飛躍的に向上するであろう。  最近ではスーパー堤防に反対するだけで、「安全を軽視する気か」とかひどいときには非国民扱いされたりする。しかし冷静になって、納税者としてよく考えていただきたい。47億円で120mの区間を整備するために、いやがる人々を無理やりに立ち退かせるのと、その47億円で誰も立ち退かせることなく12kmの区間の堤防を耐越水堤防へと強化するのと、どちらが安全のために有効な手段だろうか。 . . . 本文を読む

新国立競技場建設費を節約すれば江戸城天守を再建できる

2014年08月02日 | エコロジカル・ニューディール政策
 江戸城の天守閣の再建費用は日本経済新聞の記事によれば350億円と試算されている。1700億円と見積もられている新国立競技場の総工費を現在の1700億円から1000億円程度に圧縮できれば、余裕をもって江戸城再建費用をねん出できることになる。安いものだと思う。  周辺の景観と調査しない、巨大な新競技場に血税を注ぎ込んで東京の美観を損ね、そのメンテナンスコストにその後も苦しむのか、それとも東京の暮らしにやすらぎとうるおいをもたらすであろう江戸の象徴を蘇えらせるのか。どちらがお金の使い方として有効であろうか。その後の経済波及効果、東京の活性化、次世代に与える夢や希望といった点を考えば答えは明らかであろう。 . . . 本文を読む

コンクリートのカタストロフィから緑のレジリエンスへ

2014年04月13日 | エコロジカル・ニューディール政策
安倍首相(というか藤井聡氏)は、「レジリアンス」という言葉を根本的に誤って使っています。「レジリアンス」とは「剛」に対して「柔」を意味します。まさに「柔よく剛を制する」、分散型でハードでなくソフト対策を重視した、柔構造のしなやかな街づくりを目指すのでなければ「レジリエンス」とは言いません。 想定外に直面すれば「ボキッ」と折れるようなコンクリート防災施設ではなく、破壊されても柳のようにしなやかな復元能力を持った柔らかな緑の防災都市、それこそレジリエンス。現行の国土強靭化計画は「コンクリートによるカタストロフィ計画」と呼ぶべきでしょう。 . . . 本文を読む

鉄コン事業から土木事業へ

2013年01月17日 | エコロジカル・ニューディール政策
 最近、私が以前に『山林』という雑誌に書いた「『ウッド・ニューディール』で社会的共通資本を整備する」第1512号(2010年5月:43-51頁)という論文に関して何度か問い合わせをもらった。この論文は、当時の民主党政権が掲げていた「コンクリートから人へ」というスローガンを批判し、正しい公共事業を実施しようと論じたものであった。  安倍政権の公共事業拡大路線でいよいよ財政破たんが現実化するのではと . . . 本文を読む

群馬県の大沢知事がTPP参加は「時期尚早」

2011年10月10日 | エコロジカル・ニューディール政策
  群馬県の大沢正明知事が野田首相と会って、TPP参加問題や八ッ場ダム問題を懇談したそうである。八ッ場ダムに関して首相に何と要請したかは言わずもがなである。興味深いのは、TPP問題に関して「群馬県には製造業や1次産業などいろいろな産業があり、国民的な議論をして方向性を出す必要がある」と述べ、結論を出すのは時期尚早との考えを示した、とのことである。産経新聞の下記記事参照。 http://sanke . . . 本文を読む

復興・脱原発のためにダムを中止しマイクロ水力振興を

2011年06月19日 | エコロジカル・ニューディール政策
 八ッ場ダム問題が人々の話題から消え去り、国交省の基本高水のウソが暴かれるのか、それとも同省のウソが今後もまかり通るのかをめぐって重要な局面にある今この時も、世間の関心はちっとも盛り上がらない。  このブログを見ている人の中にも「震災に原発事故でそれどころじゃないというのに、200年に1度の利根川の洪水流量が22000立米/秒か、20000か、それとも18000かなんて、たかだか数千の違いじゃない . . . 本文を読む

送電網は社会的共通資本として公有化を

2011年05月19日 | エコロジカル・ニューディール政策
 菅首相が昨日(5月18日)の記者会見で、発送電分離案に関して「当然議論及ぶだろうし、そうすべきだ」との認識を示した。また電力地域独占の問題にもメスを入れるという。「議論する」だけではなく、実現せねば意味がない。ここは不退転の決意でこの問題に取り組んでほしい。  支持率を回復させて政権を維持したいのであれば、経団連肝いりのTPPなど「震災でそれどころじゃなくなりました」とさっさと止めるべきだ。この . . . 本文を読む

河野太郎議員が「目標・再生可能エネルギー100%」宣言

2011年04月02日 | エコロジカル・ニューディール政策
 河野太郎議員が昨日のご自身のブログ「ごまめの歯ぎしり」で「再生可能エネルギー100%を目指す」宣言をしている。心より拍手を送りたい。河野議員の提案の要点は以下の通り。 (1)政治的決断で原発の新規立地をすべて中止。 (2)既存原発の寿命を考え、2050年までかけて全原発を段階的に廃炉にする。 (3)段階的廃炉にする分は省エネと天然ガスと再生可能エネルギーで補っていく。 (4)最終的には再生可能エネルギー100%を目指す。 . . . 本文を読む