代替案のための弁証法的空間  Dialectical Space for Alternatives

批判するだけでは未来は見えてこない。代替案を提示し、討論と実践を通して未来社会のあるべき姿を探りたい。

赤松小三郎所有の測量器具一式

2020年10月14日 | 赤松小三郎
左上の写真は、今日で言うところの「トランシット」に相当する測量器具である。初めて見た時には、あまりの精巧さに、にわかに江戸時代の国産品とは思えなかった。江戸時代の末期には、すでに近代化の歩みが着実に始まっていたことがうかがわれる。  赤松小三郎が、これらの器具を使って、藩士たちに手ほどきをしていたのだろう。余談だが、老中を務めた藩主の松平忠固の四男の松平忠厚は、廃藩置県後にアメリカに渡り、アメリカにおいて新しい測量器具を発明してその名を全米に轟かせた。明治の初期から、測量学の世界の最先端で活躍した忠厚のような人物が出たのも、これらの測量器具を見ていると頷ける。 . . . 本文を読む
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流域治水と耐越水堤防

2020年10月11日 | 治水と緑のダム
「耐越水堤防を地道に整備し続けていれば、(昨年の台風19号水害でも)かなりの破堤は防げたと推測できる」と指摘。「決壊の可能性のある堤防を放置したまま、多額の費用をかけてダムを造り続けたことが本末転倒だった」 . . . 本文を読む
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ラジオドラマ『小三郎伝』合情記・みなとかおる 作

2020年10月10日 | 赤松小三郎
 このたび赤松小三郎が出てくる音声ドラマが制作されました。以下の『日本史別天地』というサイトの第1作目として制作されたそうです。興味のある方、ぜひ聴いてみてください。 日本史別天地 『小三郎伝』合情記 https://anchor.fm/devision-division/episodes/ep-ekinv9  原作はみなとかおるさんです。みなとさんは、拙著を読んで評価して下さり、そこから赤松 . . . 本文を読む
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水戸学国体論の国家観とマルクス主義の国家観

2020年10月06日 | 政治経済(日本)
 日本学術会議の任命拒否事件も、中国の軍事的強大化に対して対抗しようとして、日本学術会議に軍事研究をさせようと、それに反対しそうな学者をあらかじめ排除しようという意図で行われたことだろう。学問を国家が支配している中国の共産党国家に対抗するために、自らが中国のようになっていく。対抗すればするほど、お互いに似た者同士の醜悪な国家へと変貌していくのである。  この悪循環を断ち切るには、お互いの経済にマイナスでしかない軍拡競争の愚を認め合い、軍事費の歯止めない拡大に、両者合意のもとに、互いにブレーキをかけるしかないだろう。 . . . 本文を読む
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学問の独立が失われれば民主主義は死ぬ

2020年10月03日 | 学問・研究
日本学術会議、山極寿一会長の下では、安倍政権の暴走に対する抑止力としての機能は一定果たせていたとは思う。人を得れば、それなりの機能を果たせるということだ。しかし、そうした人材を行政権力がブロックし、御用学者のみで組織を固めるというのであれば、政権に対するチェック機能も何も果たせなくなるのだから、もはや税金を出すに値しない。権力を監視する組織として機能すればこそ、国民が税金を払ってでも維持する価値のある組織になるのだ。 . . . 本文を読む
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江戸時代の内閣人事局は大奥だった?

2020年10月01日 | 歴史
中央に鎮座している「稀代な名医」が大奥の最高権力者である上臈御年寄の姉小路局である。歌川は、江戸城の実質的な最高権力者は姉小路局であると認識し、病気を抱えて問題のある男たちを適材適所で配置して、なんとか政権を切り盛りしているという様子を風刺している。  諸役人の人事を指揮するのは(現在でいえば内閣人事局)、大奥の姉小路だというのは、当時の江戸市中では評判だった。 . . . 本文を読む
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稲田朋美氏の発言に初めて共感を覚えた件

2020年09月24日 | 政治経済(日本)
稲田氏の口から「日本の民主主義の充実」とか、自民党が強い地域ほど男権主義的傾向があるといった発言が出るとは思わなかった。稲田氏以下、日本会議に所属する改憲派議員たちは、日本国憲法から「国民主権」を消し去るのが目標なのではなかったのか? 稲田氏は、明治憲法体制を理想としているではなかったか? 明治が理想なら、女性に参政権などあってはいけないのではないか? 稲田氏がこう考えるのであれば、日本会議から脱会すべきではないだろうか? . . . 本文を読む
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丸山眞男と司馬遼太郎に共通する誤り

2020年09月24日 | 長州史観から日本を取り戻す
ファナティックな国学思想から、極端な神州不滅思想に行き着いた水戸は、無謀なテロと内戦で自滅していきました。本来は長州のテロリズムも、水戸と同じ路線をたどって、滅びて終わりだったはずなのです。そうなれば、国学(というか国家神道)の勝利による明治維新などなかかった。長州が生き残ったのは、正しかったからではなく、世界最強の覇権国である大英帝国が、武器援助して助けたからに他ならないのです。滅亡の淵にあった長州を英国が助けたのは、アーネスト・サトウやトーマス・グラバーの暗躍によって生じた偶然の作用でしかない。 . . . 本文を読む
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司馬遼太郎と丸山眞男から尾佐竹猛と大久保利謙へ

2020年09月19日 | 長州史観から日本を取り戻す
長州の武力討幕路線こそが日本近代化の駆動力となったのであり正しかったのだと考える点で、司馬遼太郎と日本会議と講座派マルクス主義の三者は、いずれも「長州史観」であり、基本的に同じ考えといってよいでしょう。  それとは違った考え方をしていたのが、尾佐竹猛や、その弟子筋の大久保利謙です。尾佐竹は、近代日本を準備したのは長州や薩摩ではなく、徳川や諸藩が幕末から醸成した議会政治論であると大正時代から明言していました。大久保利通の孫の大久保利謙は、尾佐竹の歴史認識を肯定し、自ら佐幕派を名乗って『佐幕派論議』(吉川弘文館、1986)という本まで書いています。 . . . 本文を読む
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東郷えりか著『埋もれた歴史 ―幕末横浜で西洋馬術を学んだ上田藩士を追って』(パレード)

2020年09月13日 | 歴史
歴史研究の領域において、アマチュア研究者の果たす役割は大きいということが本書を読むとよくわかるであろう。専門家も注目してこなかった重要人物の事跡が次々に発掘されていく過程は小気味よい。  門倉伝次郎の人間関係に次々に関心が広がり、アプリン大尉のみならず、伝次郎が仕えた松平忠固の事績から、忠固の息子の忠礼・忠厚兄弟の米国における学問業績、伝次郎と恩師の佐久間象山との関係など、知られざるいくつもの史実を発見した。  たとえば「アメリカの科学の学術誌に初めて論文が掲載された日本人は誰か?」と訊かれて分かる人はいるだろうか? 不思議なほどに知られていない重要人物たちの知られざる事跡が次々に明らかになるのが本書である。 . . . 本文を読む
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司馬遼太郎と日本会議の自虐史観

2020年09月10日 | 歴史
 NHKの大河ドラマ「坂の上の雲」のオープニングの渡辺謙のナレーションを聞いていたら、その歴史認識のあまりの杜撰さ、歴然とした誤謬の数々に唖然とした。以下の動画は、司馬遼太郎の原作の一節をそのまま、NHKがオープニングとして採用したものだ。  これを聴くと、司馬遼太郎こそが「自虐史観」の持ち主であることがよく分かる。こんなウソをそのまま信じてナルシズムに浸っているネトウヨ諸氏や日本会議の皆さんも、 . . . 本文を読む
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西島和著『日本の堤防は、なぜ決壊してしまうのか?』(現代書館)

2020年09月08日 | 治水と緑のダム
国交省は、効果が限られているダムとスーパー堤防に多額の予算を配分するために、実際にはもっと費用対効果の高い「決壊しにくい堤防」の整備を、故意に政策メニューから消してきたのです。本書は、その衝撃の事実を綿密な考証によって明らかにしています。いわば国の「未必の故意」として、各地で堤防決壊という最悪の被害を頻発させているのです。 . . . 本文を読む
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日本の没落に歯止めをかけるのに最も必要なものとは?(後編)〜

2020年09月07日 | 歴史
 じゅんちゃんさんが運営する哲学入門チャンネルにゲスト出演させていただいたインタビューの後編です。  前半は、 *明治維新によって長州・薩摩が政権を取ったことにより、むしろ日本の近代化や重工業化は遅れたこと *江戸時代の大奥という女性権力機構が老中の人事を操って、松平忠固のような穏健で合理主義的な人物を老中にし、攘夷派の台頭を抑えていたこと  などを話し、最後の方では *日本会議史観の根本 . . . 本文を読む
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ポスト安倍に期待できない理由を150年の時間軸で捉える〜ゲスト企画第7弾(前半)〜

2020年09月02日 | 歴史
 哲学系ユーチューバーのじゅんちゃんさんが運営する「哲学入門チャンネル」からゲスト出演で呼ばれました。お恥ずかしながら、動画をシェアさせていただきます。近刊の『日本を開国させた男、松平忠固』(作品社)の中から、「日米修好通商条約で関税自主権を失った」という通説は誤りであり、当初の条約では実際には日本に関税自主権はあったのだという部分を解説しています。しかしその後、下関戦争の敗戦の結果、本当に関税自 . . . 本文を読む
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ベーシックインカムからベーシックサービスへ

2020年08月30日 | 新古典派経済学批判
最近、ベーシックインカムではなく、公共料金を引き下げるベーッシクサービスをという議論が起こってます。たとえば財政学者の井手英策氏などがそう主張しています。医療や福祉など社会保障を無償に近づけていく考えです。これは「万物の商品化」の流れを反転させ、生きるための基礎的サービスを「脱商品化」しようという考えです。ベーシックインカムは生活必需財のインフレによって格差をさらに拡大させますが、ベーシックサービスであれば、格差を縮小させるでしょう。 . . . 本文を読む
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