代替案のための弁証法的空間  Dialectical Space for Alternatives

批判するだけでは未来は見えてこない。代替案を提示し、討論と実践を通して未来社会のあるべき姿を探りたい。

みなとかおるさんの新作「忠優伝合情記」公開 

2021年07月18日 | 松平忠固
 みなとかおるさん脚本の新作の音声歴史ドラマ「忠優伝~合情記」が完成し、公開されました。小三郎伝、忠固伝に続く第三弾のドラマです。前回の忠固伝では日米修好通商条約をめぐる井伊直弼と松平忠固の攻防が描かれましたが、今回は日米和親条約交渉の前後における徳川斉昭と松平忠優の攻防が描かれています。忠固と忠優は同一人物の信州上田藩主です。これまで知られてこなかった老中ですが、徳川斉昭や井伊直弼と闘いながら、 . . . 本文を読む

「忠固伝」合情記 & 特別付録:「安政の平等条約の巻」

2021年04月03日 | 松平忠固
 みなとかおるさん脚本の歴史ドラマ「忠固伝~合情記」がyoutubeで公開されました。前回の小三郎伝に続く第二弾です。共有させていただきます。ドラマは30分ほどです。アメリカ領事のハリスと老中の松平忠固の二人に焦点を当ててドラマは展開されます。日米交渉が終わるとその疲れからか、ハリスが病に倒れて危篤状態に陥るのですが、そのハリスの命を何としても救おうと忠固が懸命に手を尽くしたという史実を中心にドラ . . . 本文を読む

「青天を衝け第7回」井伊を大老にしたのは松平忠固の陰謀というのは一橋派のデマ

2021年03月28日 | 松平忠固
従来の定説では、井伊を大老にする工作を影で行っていたのは松平忠固であると言われています。「忠固陰謀論」です(苦笑)。これは当時の一橋派がそう考えて、広めた噂話であり、証拠は全くありません。今も昔も、陰謀論が広がるのは、集団的な被害妄想からかも知れません。私の近著『日本を開国させた男、松平忠固』(作品社)では、井伊を大老にしたのが忠固であるという「定説」が、全くの根拠のない虚構であることを明らかにしています。 . . . 本文を読む

「青天を衝け」第5回 ―藤田東湖の発言とヘダ号

2021年03月15日 | 松平忠固
ドラマの中の藤田東湖は、過激な主君の斉昭を諫める常識的なストッパーという役柄でした。ドラマの中の東湖は「異国人といえど国には親やと友がありましょう」と言って斉昭を諫めました。結論から言えば、藤田東湖が、ロシア人の家族や友人を心配するような人道的な主張をすることはあり得ません。その前年のペリー来航の際には、薩摩藩士の有村俊斎に向かって、「私が当局者であったら、交渉と見せかけてペリーに接近し、隙をついてペリーの首を刎ね、私も当日のうちに死ぬ。しかし私の正気は残り、後に続く者が国を守るだろう」というように語っています。斉昭も斉昭なら東湖も東湖という、じつに似た者同士の主従です。超過激攘夷論者の東湖の口から、ドラマの中でのような発言が出るということはあり得ません。 . . . 本文を読む

「青天を衝け」第4話 日米和親条約の裏話

2021年03月07日 | 松平忠固
 本日(2021年3月7日)の大河ドラマ「青天を衝け」、あっというまに日米和親条約が結ばれてしまいました。本日も私の研究してる松平忠固との関係で、本当のところを補足しています。本日は松平忠固が登場するかなと思っていたのですが、登場せずでした。残念。  本日のストーリーでは、何か日米和親条約で開国になったかのようなニュアンスでした。和親条約は従来の長崎に加えて新たに下田、箱館を開いて外国船の寄港を . . . 本文を読む

徳川斉昭の参与就任は簡単には決まっていない ―「青天を衝け」第3話

2021年02月28日 | 松平忠固
 大河ドラマ「青天を衝け」、藍や養蚕を手掛ける江戸時代の百姓(≠農家)の生活がよく描かれていて非常に見ごたえがあります。水戸学礼賛ドラマになったら・・・と危惧していましたが、そういう描かれ方もされていないので、その点も一安心です。幕末舞台の大河ドラマで、百姓が主人公となると、百姓出身の近藤勇や土方歳三を描いた「新選組!」以来でしょうか? しかし「新選組!」以上に、百姓の暮らしが詳細に描かれています . . . 本文を読む

東郷えりか著『埋もれた歴史 ―幕末横浜で西洋馬術を学んだ上田藩士を追って』(パレード)

2020年09月13日 | 松平忠固
歴史研究の領域において、アマチュア研究者の果たす役割は大きいということが本書を読むとよくわかるであろう。専門家も注目してこなかった重要人物の事跡が次々に発掘されていく過程は小気味よい。  門倉伝次郎の人間関係に次々に関心が広がり、アプリン大尉のみならず、伝次郎が仕えた松平忠固の事績から、忠固の息子の忠礼・忠厚兄弟の米国における学問業績、伝次郎と恩師の佐久間象山との関係など、知られざるいくつもの史実を発見した。  たとえば「アメリカの科学の学術誌に初めて論文が掲載された日本人は誰か?」と訊かれて分かる人はいるだろうか? 不思議なほどに知られていない重要人物たちの知られざる事跡が次々に明らかになるのが本書である。 . . . 本文を読む

『日本を開国させた男、松平忠固』の反響

2020年08月25日 | 松平忠固
 先月出版した『日本を開国させた男、松平忠固 ―近代日本の礎を築いた老中』(作品社)の反響が徐々に出てきました。手前味噌で恐縮ですが、いくつか紹介させていただきます。  ネットでは、まずジャーナリストの柳原三佳さんがJB Pressでの連載記事の中で「井伊直弼ではなかった!開国を断行した人物」と題して紹介して下さいました。 https://jbpress.ismedia.jp/articles/ . . . 本文を読む

新刊紹介『日本を開国させた男、松平忠固 -近代日本の礎を築いた老中』(作品社)

2020年06月20日 | 松平忠固
 日本開国の父・松平忠固の本がようやく刊行されます。前著『赤松小三郎ともう一つの明治維新』が刊行されたのが2016年12月ですから、2冊目を出すまでにずいぶん時間がかかりました。何せ先行研究がほとんどないので、一次史料と格闘するのに時間を要しました。  6月26日の取次搬入とのことです。日本史の教科書を書き換える必要があるという内容です。歴史教科書が実際に書き変わるまでには時間を要するでしょうが、 . . . 本文を読む

日本の近代貿易の父・松平忠固と中居屋重兵衛の謎

2014年12月06日 | 松平忠固
あまり知られていない人物ですが、実際には「日本の近代貿易の父」といって過言ではない人物が松平忠固と中居屋重兵衛です。この両名の失脚と「死去」、その後の政局に関して年表に整理して下さると共に、興味深い仮説を提示して下さいました。再掲いたします。水色が薩長公英さんの文章で、白地が私のリプライです。この両名の業績が正当に評価される日がくることを願ってやみません。松平忠固と岩瀬忠震と中居屋重兵衛は、貿易の推進と反・井伊直弼で利害関係が一致しており、一緒に何か計画を立てていたのかも知れません。忠固は、老中から失脚して国政に関与できなくなっても、中居屋と密接に連絡して生糸貿易を推進しており、また岩瀬などと共に国政に復帰する機会を伺っていたのかも知れません。それだけに、その直後の突然死がいよいよ不審なのです。 . . . 本文を読む

吉田松陰と佐久間象山と松平忠固

2013年01月14日 | 松平忠固
 大河ドラマ「八重の桜」第二回「やむにやまれぬ心」を視聴した。吉田松陰と佐久間象山が国元蟄居となり、象山塾は閉塾になる。  このあまりにも有名な史実の影で、全く語られないエピソードを一つ紹介したい。吉田松陰と老中・松平忠固(信州上田藩主)の数奇な物語である。  これまで山のように吉田松陰論が書かれ、松陰はあらゆる角度から論じられてきた感がある。しかし、この論点は書かれたことがないと思う。日米条約の . . . 本文を読む