代替案のための弁証法的空間  Dialectical Space for Alternatives

批判するだけでは未来は見えてこない。代替案を提示し、討論と実践を通して未来社会のあるべき姿を探りたい。

雲南省の天然林保護と山村生活

2014年10月10日 | 中国山村報告
中国政府の急進的な環境保全政策は、地域住民の生活を混乱させ、困窮化させる場合が多い。たとえば退耕還林政策では、人々が耕していた農地を林地に変えていくので、山村で暮らすことすら困難になっていく。退牧還草では、砂漠化対策として、放牧を禁止して草原に還していくので、牧民は生活の糧を奪われる。  今回調査したのは天然林保護政策。天然林保護政策では、自給目的以外の商業的伐採が禁止されるので、伐採を主要な収入にしていた山村住民は生活の糧を失い困窮することになる。 天然林保護を成功させるには、伐採禁止による収入の減少を代替する生業を育成すること、これが何よりも肝要になる。 . . . 本文を読む
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ヤギからラクダへ

2008年02月19日 | 中国山村報告
 前の記事の続きです。先ほどのガチャでは、砂漠化防止・梭梭林保護のために山羊の飼育頭数を半減させまることを決めました。それで代替案は何かということなのですが、ラクダは一つの選択肢です。このガチャではラクダの所有頭数を増やしています。  山羊は、草や灌木を文字通り「根こそぎ」に食べつくしてしまうので、山羊の過放牧は、砂漠化の大きな要因となっています。もちろんカシミヤを喜んで買う、私たち消費者にも大き . . . 本文を読む
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放牧するモンゴル民族の少年

2008年02月18日 | 中国山村報告
 前の記事の続きです。ここは退耕還草政策の対象になっていないモンゴル民族のガチャの写真です。写真は、少年が山羊を柵の中に追い込んでいるところです。この時の気温は零下20度! わずか7―8歳の少年が、この寒さの中で働くんだからすごいよなーとホトホト感心しながら、私自身は寒さでブルブルふるえながら撮った写真です。  この少年を見ていたら、ふと「アルプスの少女ハイジ」に出てくるペーターを思い出してしまい . . . 本文を読む
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乳牛合作社

2008年02月18日 | 中国山村報告
 前の記事の続きです。退牧還草によって、非常に収益性の高かったカシミヤ生産がほぼ壊滅する中で、代替産業は何か?   これはNGOと政府が支援して、ガチャ(モンゴル語で「村」の意味)の住民が共同出資して合作社方式で乳牛飼育場と搾乳場をつくった事例です。  賀蘭山で放牧していたのは、モンゴル民族よりもむしろ後から入植してきた漢民族の方が多かったそうです。このガチャの住民は漢民族の方が多数でした。   . . . 本文を読む
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厳寒の中の野菜栽培

2008年02月18日 | 中国山村報告
 前の記事の続きです。中国政府の退牧還草政策で、カシミヤ生産がダメになった後、どのような生業戦略があり得るのか。牧民の側も禁牧という条件に適応しようと必死ですし、政府もNGOもいろいろと試みています。  これはNGOの支援による温室での野菜栽培の試みです。この写真を撮ったとき外気温は零下15度でしたが、温室の中は30度近くあり、チンゲン菜が青々と栽培されていました。  温室の右には太陽熱温水器 . . . 本文を読む
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賀蘭山脈の退牧還草

2008年02月18日 | 中国山村報告
 前の記事の続きです。何の調査をしてきたかというと、中国政府が砂漠化対策として進める「退牧還草」についてです。どんな政策かは、字を見ればだいたい想像ができますね。そう、「放牧地を退けて草原に還す」という政策なのです。  写真は内モンゴル自治区の阿拉善(アラシャ)左旗にある、賀蘭山脈の写真です。この山脈は過放牧で砂漠化が進行していたため、中国政府は1999年から段階的に放牧を禁止していき、2003 . . . 本文を読む
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寧夏と内モンゴルの境界の万里の長城

2008年02月18日 | 中国山村報告
 しばらく中国の内モンゴル自治区で、砂漠化対策に関する調査に行っていました。私は内モンゴルを訪れたのは、これが初めてですので、非常に面白かったです(寒かったですが)。留守のあいだたくさんコメントをいただきありがとうございました。  私の下手な写真で恐縮ですが、例によって、調査時に撮影した写真展を開きたいと思います。  これは寧夏回族自治区と内モンゴル自治区の境界の写真です。二つの自治区の境界は何で . . . 本文を読む
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自主的「下放」青年たち

2006年03月25日 | 中国山村報告
 延安近郊の村での昼食の様子です。アワのお粥に小麦の饅頭、それから野菜料理がメニューでした。写真の4人は、私の共同研究者の向虎氏(右端)と、ボランティアで調査を手伝ってくれた、環境NGO活動に取り組む西安の大学生たちです。3人とも農村出身で苦学して大学に入っており、何とか中国の農村の発展のために自分の知識を役立たせたいと考える、じつに素晴らしい学生さんたちでした。  この中の一人は、大学卒業後も . . . 本文を読む
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黄土高原で私が泊まっていたヤオトン

2006年03月25日 | 中国山村報告
 延安近郊での調査中、私が宿泊させていただいていた横穴式の住居・ヤオトン(窑洞)です。食事は農家の家庭料理をご馳走になっておりました。ちなみに、この地域では年間降水量が400mmほどしかない少雨地域であり、コメを栽培できません。主な穀物は小麦、コウリャン、アワです。私は毎日アワのお粥を食べていました。美味しかった。  『SAPIO』や『諸君!』のような反中国雑誌でしたら、こうした情 . . . 本文を読む
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黄河流域の植林③

2006年03月25日 | 中国山村報告
 退耕還林による植林後4年が経過した様子です。この場所も4年前は、前のエントリーの写真のように黄土が露出して浸食が著しく進んでいた景観だったはずです。わずか4年でここまで回復するのです。前のエントリーの写真とこの写真をよく見比べてください。  村人たちに聞くと、浸食が止まり、土壌流出量も激減し、以前はちょっとした降雨で洪水になっていたのに、今は洪水も起こらなくなったと言います。  もっとも、彼らは . . . 本文を読む
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黄河流域の植林②

2006年03月25日 | 中国山村報告
 退耕還林による植林直後の様子です。画面右下の崖は、斜面での無理な耕作によって浸食されて崩壊したものです。さて、こうした土地に植栽した樹木はちゃんと根付くのでしょうか? 緑は回復するのでしょうか? 答えは次のエントリーで。 . . . 本文を読む
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黄河流域の植林①

2006年03月25日 | 中国山村報告
 先日長江上流の植林地の様子の写真をいくつか紹介したら、けっこう好評でしたので、本日は黄河流域の植林の様子を紹介したいと思います。これから連続で紹介する5枚の写真はいずれも、2003年の8月に私が調査した際に撮影したものです。場所は陝西省の延安市近郊の村です。この植林事業も、補助金・補助食糧を政府が支給することと引き換えに、地元農家の同意を取り付けて、農地を林地に転換してもらうという退耕還林政策で . . . 本文を読む
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退耕還林の様子

2006年03月22日 | 中国山村報告
 中国政府が1999年から始めた「退耕還林」という植林事業の様子です。土壌が流出して岩盤が完全に露出するという石漠化した山の斜面に4年前に植樹した木が根付いてきています。もうほとんど土がない状態ですから、植林するのは本当に大変です。さらに驚くべきことは、これだけ土のない斜面で4年前まではトウモロコシを作付けしていたという事実です。1958年の大躍進以前は土層の厚さは50cmほどあったそうですが、そ . . . 本文を読む
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貴州省の村の遠景

2006年03月22日 | 中国山村報告
 私のいた村の遠景写真です。ちょうど菜の花が咲き乱れている時期で、本当にきれいでした。ちなみに菜の花は近くの搾油場に持っていって搾油し、主に自家消費用です。この地域では春から夏にかけてトウモロコシと稲を作付けし、その裏作として小麦と菜の花を栽培しています。他に大豆、唐辛子、ジャガイモ、サツマイモ、白菜などが主な作物です。貴州省は、四川省や湖南省と並んで唐辛子が大好きな地域ですので、唐辛子はどの家庭 . . . 本文を読む
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菜の花の中の赤ちゃん

2006年03月22日 | 中国山村報告
 前のエントリーの写真で紹介した夫婦が畑仕事をするあいだ、赤ちゃんはどうしているのでしょう? 赤ちゃんは菜の花畑の中にちょこんと座って私をみつめていました。かわいくて思わず撮ってしまったのがこの写真です。   . . . 本文を読む
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