代替案のための弁証法的空間  Dialectical Space for Alternatives

批判するだけでは未来は見えてこない。代替案を提示し、討論と実践を通して未来社会のあるべき姿を探りたい。

元建設省官僚の提言紹介「ダムよりも堤防強化」

2015年09月23日 | 治水と緑のダム
 昨日(2015年9月22日)の東京新聞の読者投稿欄に、元建設省の技術官僚だった方が「治水 ダムより堤防強化」として以下のような投稿をされていました。  専門家の方が、従来のダム治水の限界を指摘し、ダムよりも堤防強化が最重要と訴えておられます。すばらしい投稿でしたので、引用させていただきます。 ***『東京新聞』(2015年9月22日)読者投稿欄より引用****  「治水 ダムより堤防強化」  . . . 本文を読む
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民主党は共産党と選挙協力すべきである

2015年09月21日 | 政治経済(日本)
 共産党が安保関連法案を廃止するための「国民連合政府」を呼びかけたことに対して、民主党の岡田代表が前向きな姿勢を見せているそうだ。すばらしい。民主党は共産党と選挙協力すべきである。その理由を以下に書く。 共産党から長州色は薄まっている  「自分たちだけが絶対に正しい。だから何をやっても許される」というのは、岸信介や安倍晋三の長州右派にも、野坂参三や宮本顕治の長州左派にも存在する。吉田松陰以来の . . . 本文を読む
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CIAも劣化したものだ ―ブルース・クリングナー氏のインタビュー記事紹介

2015年09月20日 | 脱米
元CIAのクリングナー氏は、米国が執拗に日本に要求してきたことに対し、拒み続けた日本政府をついに屈服させたと鼻高々のご様子である。おそらく氏は、財団内部において日本を屈服させるに当たって自分の果たした役割を誇らしげに報告していることだろう。宗主国から送り込まれた植民地行政官の態度さながらである。そして、安倍首相はまだ屈服し足りないと、さらに積極的に自衛隊を米軍の下請け部隊として奉仕させるよう要求している。  彼は今後のシナリオをどう考えているだろう。日本がさらに積極的に集団的自衛権を行使し、戦闘行為に参加せざるを得なくなるよう、さらなる「ショック」を与えようと考えているに違いないのである。 . . . 本文を読む
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立憲主義が死んだ最悪の事態の中でも光は見える

2015年09月19日 | 政治経済(日本)
本日のニュースで、共産党が来年の参院選と次期衆院選で民主党など他の野党と選挙協力をする方針を打ち出した。歓迎したい。このようなことが可能になったのも、ひとえに、創価学会員も共産党員も、ふつうの大学生も親子連れも、お母さんたちも、会社帰りのサラリーマンたちも声を一つにして「戦争反対」の声をあげた成果であろう。これだけでもデモの大成果だ。立憲主義を取り戻すには、比例代表では「統一名簿」、選挙区では「共同推薦」、それしか方法はない。そもそも、これまでそれができなかったことが安倍政権の暴走という今日の惨事を引き起こしているのだ。「立憲主義を守る」という一致点が野党間に存在するのであれば、立憲主義を否定する政権を葬るために、小異を捨てて一つになるしかない。立憲政治を取り戻した上で、個々の政策の差異はあらためて民主的に討議し、議論していけばよいのだ。 . . . 本文を読む
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21世紀版「自由貿易帝国主義」ブロックとしてのTPPと、新帝国主義戦争体制を追う安保法案

2015年09月18日 | 政治経済(国際)
安保法制の後、それを正当化するために、いかなる「ショック」が待ち受けているのでしょうか。恐ろしいことです。  たとえば自衛隊が南スーダンで戦闘に巻き込まれ最悪のケースが発生した場合、常識であれば、やはりこんな安保法制は自衛隊員の命を脅かすだけで、日本の安全には何ら寄与しないといういう声が高まるでしょうが、自民党ネットサポーターズクラブはその「ショック」を利用してさらに真逆な方向に世論誘導をしようとするでしょう。    その自民党的な反知性主義に、日本人一人一人が立ち向かえるかどうか、日本の個々人の知性が今ほど問われている時代はないと思います。 . . . 本文を読む
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机上の経済学の学習と現場での実習で見える世界は変わる

2015年09月17日 | 教育
都会育ちの大学生で、しかも経済学を専攻していると、だいたい「農協は悪」と刷り込まれている。本屋にいけば、経団連系の御用学者たちが出版した農協批判の本ばかり並んでいるし、経済学部だと農業のことなど全く知らないまま、新古典派モデルを受け売りして「農協は悪」「日本の農業は甘やかされすぎ」と平気でのたまう学者先生方も多いので、必然的にそうなってしまう。  私は農協とは何ら関係ないし、JA全中がいまのままでよいとは何ら思っていない。しかし安倍政権の農協改革は、TPPと関連してJAバンクの資金やJA共済を狙うアメリカの金融・保険業界の要請に従って、安保法制と同じく、米国の言いなりに行っているに過ぎず、何ら日本の国内状況を改善するものではない。  今年は、安倍政権の行っている農協改革について農家の方々の意見を伺ってくるように学生たちに言っておいた。学生たちが提出したレポートを読むとなかなかしっかりした内容が多かった。いくつか紹介します。自分たちが信じていたドグマを疑い、さらに勉強して欲しい。 . . . 本文を読む
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堤防強化を怠ってきたのは民主党ではなく河川官僚

2015年09月13日 | 治水と緑のダム
鬼怒川水害の際、テレビに連続出演して、頼りないコメントをしていらっしゃった布村明彦氏(日本災害情報学会会長)。彼はかって国交省河川局の河川計画課長でした。国交省を退職されてからも天下りと渡りを繰り返し、現在は学会の会長に天下っておられるようです。 その布村氏につぶされてしまった改革派の河川官僚だった宮本博司さんはこの動画の中で以下の点を強調されています。「堤防の決壊対策は、住民の命を守るために最優先であるべきなのに、実施しない。なぜか…ダム建設の理由がなくなるから」。ダムに執着し、本来やるべき堤防の決壊対策を怠ってきたのは、宮本さんを干して辞職に追い込んだ布村氏ら保守派河川官僚たちです。蓮舫議員ではありません。 . . . 本文を読む
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スーパー堤防事業への固執は災害リスクをさらに高める

2015年09月13日 | 治水と緑のダム
今回の台風災害における鬼怒川などでの堤防決壊を受けてスーパー堤防を仕分けた民主党政権のせい(とくに蓮舫仕分け人の責任)というごうごうたるネット世論が巻き起こっています。 私は声を大にして主張します。このままスーパー堤防事業を推進することは、日本列島における災害リスクをさらに高めるだけです。その根拠を簡潔に書きます。(1)点としてのスーパー堤防整備は線としての堤防全体の強化を遅らせる。(2)他の堤防強化策ならば100倍の長さの区間の堤防を整備可能。(3)盛り土の上に住むのは危険。効率的に水害対策をする賢明な予算の使い方はスーパー堤防ではなく、耐越水堤防の整備です。 . . . 本文を読む
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治水のためにはダムよりも堤防強化

2015年09月10日 | 治水と緑のダム
  本日(2015年9月10日)の常総市内での鬼怒川の堤防決壊、痛ましいことでした。被災者の皆さまにお見舞い申し上げます。また、自衛隊の皆さまのご活躍に敬意を表します。  前の記事のコメント欄で以下のような質問をいただきました。「ダム建設には治水、砂防といった防災目的があると思いますが、経済だけではなく防災安全という面での合理性について関先生は分析されていますでしょうか」。    本日の鬼怒川 . . . 本文を読む
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ダム建設の虚構の根拠 ―当別ダム

2015年09月09日 | 八ッ場ダム裁判
当別ダムは、水需要の面で全く不要であることが以前から市民団体のみならず、総務省までもが指摘していた札付きの問題ダムで、血税684億円を浪費して建設されました。水が足りているにも拘わらず、684億円もかけて建設したものですから、地元経済の足を引っ張っているのが現状です。 虚構にもとづく水需要予測を行って、庶民から血税をむしり取り、無用なダムを建設していくという構図、現在建設中の群馬県の八ッ場ダムにも、まさに13世帯の家族の暮らす土地が強制収容されようとしている長崎県の石木ダムなどにも同様に当てはまる問題です。 . . . 本文を読む
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自由貿易・ブロック経済・TPPをめぐる安倍首相と朝日新聞の論理矛盾

2015年09月08日 | 自由貿易批判
「戦争の原因はブロック経済」として自国の責任を棚に上げるかのような発言をしながらTPPを推進しようという安倍政権の主張がいかにおかしいか、もう少し補足したい。朝日新聞をはじめとする日本のマスコミも基本的には安倍首相と同じ主張だ。朝日新聞の主張の変遷をたどりながら、その論理的矛盾を指摘しておく。日本のマスコミは、ついこの間までは「ブロック経済の惨禍を繰り返さないため」と叫んでWTOのドーハ・ラウンド推進を掲げていた。しかるに現在では手のひらを返したように、米中衝突を招きよせかねないTPPという危険なブロック経済を礼賛している。彼らが本来あるべき自由貿易論者ではないことは明らかであろう。 . . . 本文を読む
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大河「真田丸」で現在の上田城の映像を使ってよいのか問題の考察

2015年09月05日 | 真田戦記 その深層
 大河ドラマ「真田丸」の応援キャンペーンに関連して話題を一つ提供します。本来であればこんなローカル話はブログに書くことでもないのですが、来年の大河ドラマと絡むと世間の関心も高い問題になってきます。現在の上田城の基本構造は真田昌幸が造ったものか、真田家に代わって上田城主になった仙石忠政(仙石秀久の息子)が新たに造ったものか、という問題です。  これは歴史ドラマで真田家を扱う際に発生するセンシティブ . . . 本文を読む
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糾弾型ディベートと弁証法的ワークショップ

2015年09月01日 | 教育
 どのようにして弁証法的な対話空間をつくるのかという点で、前の記事の続きです。  高校や大学の中で行われているディベートですが、これは糾弾的知性を再生産してしまう取り組みだと指摘しました。相手の発言の揚げ足を取ったり、些細な論理的矛盾を突いて、攻撃すれば勝ってしまうというゲームだからです。  国会論戦の中で行われている討論などを見ても、現実社会で行われている議論は往々にしてディベート的です。です . . . 本文を読む
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糾弾的文化を止揚できるか?

2015年09月01日 | 教育
>そんなに中国が戦争を仕掛けてくるというのであれば、そんなに韓国と外交がうまくいかないのであれば、アジアの玄関口に住む僕が、韓国人や中国人と話して、遊んで、酒を飲み交わし、もっともっと仲良くなってやります。 後藤宏基さんのこの言葉、本当にその通りだと思います。対話こそが最大の戦争の抑止力だと思います。「糾弾的攻撃」は戦争の原因になり得ますが、「弁証法的対話」は戦争を抑止します。 実際、中国人留学生と日本人学生が対話を通して双方の認識をアウフヘーベンさせることは可能です。太平洋戦争の歴史認識に関しては、日本人、中国人、韓国人の認識が異なるもっともセンシティブな点ですが、それでも弁証法的対話が行われれば、双方の歴史認識は接近していきます。 . . . 本文を読む
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帝国陸軍・労働運動の糾弾文化の止揚

2015年09月01日 | 長州史観から日本を取り戻す
 60年安保の頃に「昔陸軍、今総評」などと言われましたが、企業のみならず総評に代表される労働運動も軍隊的規律と一枚岩の団結を持つ陸軍文化の延長にあったように思います。陸軍と総評を対比させるのは、核心をつく比喩でした。全学連なども、陸軍組織の延長上にあったように思えます。総評や全学連などが全国動員をかけ、隊列を組んで軍隊式に行進し、シュプレヒコールをあげた60年安保。「2015年安保」のデモは、組織的な動員もないのに、友達同士や親子連れなどが自発的に、好きな時間に集まって、好きな時間に帰っていきます。そこには誰の強制も、組織的な規律の強要もありません。糾弾文化は、運動の側の中からは少しづつ影をひそめつつあるやに思えます。ぜひこの流れを拡大させたいものです。 . . . 本文を読む
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