森林は市場原理主義に依拠しても、官僚主義に依拠しても適切には管理されない。資本主義と社会主義の失敗を乗り越えつつ、社会的共通資本として、森林を炭酸ガスの排出源から吸収源へと転換させるためには、どうすれば良いのだろうか。市場原理主義はいけないが、市場インセンティブは活用する必要がある。おおまかな土地利用計画は必要だが、住民の意向を無視した官僚主義的計画に陥ってはいけない。 . . . 本文を読む
私の最近の研究を紹介させていただきます。興味のない方スキップして下さい。近頃、私も編著者の一人である、『Decentralisation and State-Sponsered Community Forestry in Asia』というワーキングペーパーが出ました。ウェブ上で公開しており、ここから全文ダウンロードできます。
この本の内容は多岐にわたるのですが、私たちが力をこめて書いた論点を一つ紹介させていただきます。それは「中国の土地の集団所有制を評価する必要がある」という論点です。
「都市と農村の戸籍差別を撤廃せよ」と主張する勢力は、誰が見ても「正義」と思える主張をしています。しかしその背後には、農村の集団所有制を解体し、農民から土地使用権を奪った上で、企業農園を拡張し、農村の労働力を大量に都市に流入させて低賃金労働力を確保しようという市場原理主義的な考えを持っている場合が多いのです。
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松岡氏は、世界最大の熱帯材輸入国である日本が、欧州に比べて全く違法伐採対策で遅れをとっていることに深く心を痛め、日本が諸外国の森林破壊に貢献しているという批判を受けることがないよう、違法伐採対策を進めて、国産材を振興しようと、それこそ骨身を削って尽力されていました。
違法伐採問題に関する関係省庁の取り組みが全く不十分だということで、松岡氏は官僚に依存せず、NGOに依頼して必要な政策に関する助言を求め、NGOの意見を最大限に採用しながら、ヨーロッパに負けない違法伐採対策を講じようと努力してきていました。
松岡氏は、NGOと官僚を同列の次元で参加させて、違法伐採対策の戦略会議を行っておりました。「NGOの諸君がこんなに頑張って政策立案をしているのに、(税金でメシを食っている)お前らは一体何をやっているんだ」と官僚を怒鳴りつけることもあったそうです。 . . . 本文を読む