外国招待バンドのステージが全て終了しました。
最後に出演した自衛隊音楽隊は航空自衛隊航空中央音楽隊です。
紹介でいきなりクロスドメイン、つまり陸海空の領域を超えた
防衛の新世紀の姿を言い表すために、
「宇宙」「サイバー」「電磁波」
といった空間に言及しました。
これは、同隊の選んだ本日のテーマ、「スターウォーズ」につなげるための
実に適宜な導入だったといえましょう。
平たくいうと、誰が上手いこと言えと、というやつです。
空自中央音楽隊の選曲については、いつも個人的に
ピンポイントでわたしの好みを突いてくることに驚きますが、
今日もまた、その嬉しい予感が当たりそうです。
プログラムによると、本日のテーマは
「スターウォーズ〜Tribute to Prequel Trilogy〜」
恥ずかしながらわたし映画「スターウォーズ」、観たり観なかったりで、
映画の細部については全く詳しくありません。
あらためて調べたところ、この「宇宙オペラ」(オペラだったんだ)は
最初の三部作を「旧三部作」とし、本日取り上げるところの
「プリクエル・トリロジー」は、旧三部作制作以降しばらくお休みしていた
ルーカスフィルムが、何かのきっかけで急にやる気になり、
アナキン・スカイウォーカーを主人公として過去編を作ったということです。
三部作は
「エピソード1 ファントム・メナス」
「エピソード2 クローンの攻撃」
「エピソード3 シスの復讐」
から成り、エピソード1発表当時は評価に賛否が巻き起こったとか。
ファンファーレで始まるステージは、おなじみのカラーガードが
赤と黒、シルバーの旗を持って登場します。
音の出ないビューグルを使う「喇叭隊」カラーガードも健在です。
彼女らも各部隊から推薦や自薦で応募し、選抜されるのでしょうか。
赤いフラッグは炎を表し、激しい戦いの曲などに用いられます。
照明もその時は赤が中心となります。
プレクエル・トリロジーのいずれかの映画の戦闘シーンの音楽なのでしょう。
場内のあちらこちらで、フラッグ隊ふたり一組による「バトル」が行われます。
一眼レフで撮影するようになってから初めて写真を見てわかったことですが、
彼女らの持っているフラッグには、持つ時目じるしにあするためのテープが
いくつも巻かれています。
このバトルの時も、旗の柄の握る位置は厳密に決められている模様。
「美は細部に宿る」という言葉を思い出しますね。
ところで、ご存知の方も多いかと存じますが、この音楽まつりの期間、
空自百里基地では航空祭が行われておりました。
わたしの知り合いは音楽まつりと航空祭、どちらに行こうか
迷った結果、百里を選んだそうです。
わたし自身も、実は12月1日に「いせ」の体験航海にお誘いいただいて、
すっかり行く気になっていたのですが、お願いしていたチケットが
どんぴしゃりで12月1日の招待公演だったため、体験航海をあきらめた、
というくらいの「イベントウィークエンド」でもあったのです。
一対一のバトルで思い出したので、この日航空祭に参加してこられた、
いつものKさんのブルーインパルスのコークスクリューの写真を貼っておきます。
トレイル隊形でしたっけ?
これをパッと見て「変だな」と思った方、あなたはブルー通です。
Kさんのご報告によると・・・。
ブルーの編隊を、よ~く御覧下さい。
実は一機欠けているんです。
離陸直前に3番機に不具合が発生して5機編成になっちゃいました。
普段なら予備機が代替するのですが、
前日に4番機にも不具合が発生していて、
既に予備機を投入済みなので已む無く5機での展示飛行となりました。
一部の演目はチョット残念な出来映えでした。
それでも中止せず4番機が3番機のポジションに臨時で入ったりして
飛んでくれたクルーに感謝です。
ということでした。
せっかくの航空祭に出演できなかった3番機ブルーは残念でしたね。
そういえば思い出しませんか?
空自中央音楽隊のステージは、毎年最後に全部隊の上を
ブルーインパルスを描いた布が通過するという演出をしていましたが、
2年か3年前にやめてしまいました。
ただ、あれが今でも続いていたとしても、今年の代々木体育館では
広すぎて布の幅が足りず、できなかったと思われます。
激しい調子のバトル的音楽が(題名はわかりません)終わると、
雰囲気は一転し、カラーガードは青い旗に持ち替えました。
この旗の受け渡しを行うのも演技支援隊の隊員です。
ハープのアルペジオから始まる切なげな曲は、
「Attack of the Clones」の「Across The Stars」。
その調べに乗ってふたりのカラーガードが旗を降り踊ります。
ちなみにこのときハープの演奏をしていたのは男性隊員でした。
彼女らの動きはここでも完全にシンクロしています。
適当に旗を振っているのではなく、振り付け通り。
二人で始まった踊りに他のカラーガードも加わって。
なびく白とブルーの旗とメランコリックなメロディの調和。
空自中央音楽隊お得意の選曲のセンスが遺憾なく発揮されています。
曲調がドラマティックに盛り上がった瞬間、会場を照らすライトが
赤く染まるという演出も大変効果的なものでした。
(でも正直赤いライトって写真に撮るといまいちなんですよねー)
そして、誰でもが知っている「スターウォーズのテーマ」が始まりました。
ビューグルのEXILEをしているカラーガード(笑)
外に並んでいる時、このカラーガードさんが舞台メイクをしたまま
出てきて、知り合いに声をかけているところを見ましたが、
ライトで飛んでしまうため青いシャドウをこってりつけていました。
目の下にはキラキラ光るスパンコールも付けています。
こんな機会でもないと今時普通の女性はまずしないという舞台化粧ですが、
彼女らにとってはコスプレ感覚で楽しんでしまえそう。
音楽隊と違い、カラーガードのお嬢さん方にとって音楽まつりのステージは
自衛官生活でたった一度限りの経験となるわけですから、
練習の期間も含めて、得難い一生の思い出となることでしょう。
ビューグル隊を真ん中に挟んで両側から互いに旗を投げ受け取る、
という、これも空自恒例のフォーメーションが始まります。
ビューグル隊は邪魔にならないように立て膝できっちりと静止。
これも日頃鍛えている自衛官だからブレずに姿勢を保てるのかもしれません。
時間にすれば一瞬なのですが、今回連写しまくったので、
写真をここぞとたくさん掲載してしまいましょう。
この投げ渡し、いつも彼女らは軽々と投げ、失敗なく受け取っています。
これまでの音楽まつりで同じフォーメーションを何度となく見ていますが、
旗を落としたのを一度としてみたことがありません。
そもそも、投げ上げた旗が隣とぶつからないだけでもすごい。
飛んでくる旗を受け止めようとする彼女らの真剣な表情をご覧ください。
それにしてもどれくらい練習を重ねるのでしょうね。
投げ渡しのあと、
「♬ド〜ソ ファミレド〜ソ、ファミレド〜ソ〜ファミファレ〜」
の一番盛り上がるメロディが。
その次の瞬間、次のフォーメーションに向かってダッシュ!
フィナーレに向かって全隊が気持ちを高めていきます。
そして空自中央音楽隊、今年もやってくれました!
わたしの全スターウォーズ曲中モストフェイバリットであるところの、
「スローン・ルーム」(Throne Room)
でのカンパニーフロントを。
日本では「王座の間」というタイトルだそうです。
誰かその理由を教えて欲しいのですが、ただ人々が演奏しながら
横一列に歩いて行くことが、なぜこんなに感動を誘うのでしょうか。
スターウォーズ NHK BSプレミアム 『王座の間とフィナーレ』
ましてやこの「スターウォーズ」一の名作とわたしが信じる
この曲とカンパニーフロントが一緒になったときの破壊力と言ったら・・・・。
今回、三回見て三回ともこの部分で涙腺を緩ませてしまったのですが、
こんな人はわたしだけだったでしょうか。
そして大感動のうちにステージは終わりを告げます。
わずか6分間だったとは思えないくらいストーリー性に富んだ
素晴らしいパフォーマンスでした。
指揮は芳賀大輔三等空佐、ドラムメジャーは島田祥宏三等空曹でした。
さて、陸海空自衛隊とゲストバンドが全てのステージを終えました。
次は前出演音楽隊による親善ステージです。
続く。