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朝霞駐屯地訪問記~自衛隊の「気配り」

2014-07-14 | 自衛隊

自衛隊広報館「りっくんランド」の見学が続いております。

よりによってディズニーランドと比較して
「あのような営業努力が足りない!」

とレンホーがしたり顔で言い放ち有料化させようとした本館ですが、
自衛隊の広報施設に平日人が押すな押すな状態になる方が異常なのであって、
やはりこの日も平日の昼間ということで見学者は数組。

わたし思うんですが、平日の昼間なら、
学校単位でこういう施設に見学に来させるべきなんですよ。


何しろ自衛隊は戦後一発の銃弾も撃っていない軍隊です。

展示と言っても、自衛隊の活動に理解を求めるものばかり。
アメリカの航空博物館のように、何千人もの敵国人を絨毯爆撃して
殺害した作戦を「あかつきのなんちゃら作戦」とか自画自賛して
石碑に縷々その詳細を彫り込んでいるような「資料」を展示している
ような国のものとは平和度において対逆に位置する資料館です。

館内で上映されている映画も自衛隊の国防に賭ける
熱き思いを謳ったものだったりで、全く問題ないと思うのですが。

実際は、自衛隊の存在自体に異を唱える日教組先生が一人でもいたり、
9条の会の活動家なんかが父兄に一人でもいたりしたら
大変なことになりかねないので、学校がそういう見学を
決してしないだろうというのはわかっていますけど。


そもそもレンホーは

「自衛隊の努力次第で広報施設に人が来るはず」

というフシギ理論を展開しているわけですが、少なくとも学校単位で
我が国の防衛施設について見学することすら不可能となった現在の日本で、
さらに民主党政権では、自衛隊の施設に興味を持つ国民が増えるような
積極的な施策をなにかひとつでもしようとしていたのかといいたい。
暴力装置とか「俺を知らんのか」は論外として。


最近、自衛隊に対する評価が高くなっています。
明らかに民主政権下からその傾向が顕著になったわけですが、
それは、民主政権下起きた東日本大震災で、自衛隊の災害派遣活動が
人々に強く印象づけられたからではないですか。

吉田茂が昔自衛隊員を前に言った、

「自衛隊が持て囃されるのは国が危機に陥ったときだ」

という理論を当てはめるならば、あの震災を日本人は危機と捕らえ、
さらにその根本の原因である、特に原発関連の対応を
民主党の明らかな失敗だったと認めていたということです。

菅直人が自分の功績を作るためにベントを遅らせて爆発させ最悪の事態とした
福島原発に対し、さらに「対策やってますパフォーマンス」のために、
原子炉に
ヘリコプターでバケツの水を掛けさせられた自衛官達のことを思うと
わたしは今でも菅政権への怒りと彼らへのすまなさでたまらない気持ちになります。

そして、自衛隊がもし以前より評価され脚光を浴びているのだとしたら、
それに続き、現在日本を取り巻く国際情勢が、防衛を意識せざるを得ない状況に
なっているからでしょう。


しかし、日本における厄介な獅子身中の虫のひとつはマスコミです。


「りっくんランドの見学を学校単位で」

とは書いてみましたが、それが今の日本でいかに非現実的かというと、
このマスコミの暗躍とリードがあまねく日本を覆っている現状があります。

集団的自衛権が閣議決定された日、

ちょうど地本から自衛隊入隊案内の手紙が届いたという高校生が

「徴兵制みたいでこわい」
「戦争することになるから自衛隊への志願が減っているらしい」

といったとする記事がありました。
この高校生(たち)は、そのことを自分で新聞社に電話をして、
しかもその日のうちに知らせたというわけでしょうか。

ちなみに、地本の方に聞いたところ、資料請求もしないのに
そんなものをいきなり送りつけることはない、ということでした。




案内のK一佐が色々と手に取って説明してくれています。
鉄板の入った背嚢には日本の旗が。

この日本の旗は、非常に目立ちやすいので、自衛隊であることを
わかりやすく表明することができると思われますが、
万が一のことを考えて、自衛隊もこの「目立たせ方」に
細心の注意を払って日の丸の色を本物より明るくする、
などの工夫が凝らされているのだそうです。



空挺団の降下始めで、このオート(バイクのこと)隊が
CHから走りながら出て来たのを思い出します。

この写真をあらためて見て、バイクにステップが付けられ、
子供でも簡単にまたがって乗れることに気づきました。
自前でこういうものも作ってしまえるとはいえ、手すりまで付けて
さらにヘルメットも被れるように装備してあります。

見よこの気配り。

それにしても、こんな仕様になっているのなら乗ってみれば良かった。
とはいえ当日スカート、しかもロング丈のを履いていたので
物理的に不可能だったんですけどね。



防護マスク4型

このガスマスクの形は、第一次世界大戦のころに
開発されたものとほとんど変わりません。
最初に出たこの形、この仕組みが最終型だったようです。

目鼻を覆い、呼吸の必要な口と鼻を覆う部分には
有毒ガスを吸収するための缶を装着する仕組み。

改良を加えるとしても、軽量にするとか、ゴーグル部分に
近視者のためのレンズを装填できるバージョンがあるとか、
まあその程度です。


しかし、度入りのマスクだと、その人しか使えないですね。


ところで、最近どこかで読んだ自衛官告白もの?で
新兵訓練のとき、班長という小隊の教官がこのガスマスクを装着させ、
それで走らせる(たぶん銃を持って)というのがありました。

重いのと呼吸困難で、体力のない者は倒れてしまうそうです。

それを命じる班長も自分がやらされてきたわけで、
このくらいは「苛め」などと呼ばないのかもしれませんが。




勿論本来のガスマスクは、化学科の管理によるもので、
このような検知器で有毒ガスが認められた場合、
ガスによるフォールアウトを防ぐために装着するものであって、
それをかぶってフォールアウトするのは本末転倒です。当たり前だ。

注射器のような用具が見えていますが、この先端を取り替えることにより、
兵器としての有毒ガスのみではなく、都市ガス
なども検知することができ、
災害時や、公害の測定にも利用することができるという便利グッズです。

陸自の全部隊に装備されています。



またしても気配り部門発見。

この広報館の中央には本物のAH−1コブラが展示されているのですが、
操縦席と同じ高さにステップが、しかも2列に分けられます。
これは、もしかしたら操縦席に座らせてくれることもあるのでしょうか。

そう思ったのは、ステップ前面のアクリルガラス部分が、
地下鉄のホーム乗降口のように引き戸になっていたからですが、
これはもし体験できるのなら是非一度座ってみたい・・。




陸自の「戦い方」について、広報しているコーナーもありました。
この図面を拡大できなくしてしまったのでorz、
詳細は分かりませんが、赤い矢印が敵勢力。
陸自の戦いというのは、基本水際から上がって来る敵とのものですから、
その敵に対し、戦車自走砲、武装ヘリをどのように配備するか、
ということを基本的なことだけ説明しているわけです。

基本的なので別に秘匿するほどの意味もないらしく、
日本語の説明の横には英語訳まであります。

これも一応、気配りというやつでしょうか。



「戦車導入のときにも陸自は別に式典をしない」

と、海自の自衛官授与式に参加したK1佐は海自と比べて
このようにおっしゃっていましたが、さすがに10式のときには
何かやったんじゃないのかなあ。
だって、こんな大々的に陸自が誇ってるくらいなんですから。

それにしても、この「世界最高性能」という言葉に
敏感に反応してしまうわけですが、そうだったんですか?

因みにこのとき、わたしの兼ねてからの「10式」という
名称に関する推論、

「制式が9年だったのに10式になったのは、
9式=旧式と同じ発音でイメージが良くないからではないか?」

というのを披露してみましたが、あまり賛同されませんでしたorz







さて、このあと、K1佐はAHの近くにある看板にも案内のある

「自衛官に変身コーナー」

で、自衛官の制服を着てみませんか、と誘って下さいました。
そこには広報館に詰めている係の自衛官がいて、わたしとTOに
それぞれのサイズの迷彩服を渡してくれました。



渡されたジャケットに袖を通したとたん、わたしは
それが埃臭かったり、据えたような匂いどころか、
たった今洗濯し終えたかのように爽やかな匂いがしているのに
軽くショックを受けました。

このような資料館で一日に何人来て、そのうちどれほどが
着用するかどうかも分からないコスプレ用の衣装を
ここではもしかしたら毎日洗濯しているのだろうか・・・。


先日の横須賀での艦艇公開の列で、日向に並ばされて怒り心頭、

「だから自衛隊はお役所仕事だっていうんだよ」

と大きな声で文句を言っていた無帽無髪のおじさんなどは、
自分が快適でないことは全て先回りして解決するのが
お役所仕事とは対極にある「サービス」だと思っているようでした。

こういう人たちの言う「自衛隊のサービス」とは何なのでしょう。



広報施設として必要な内容を十分に備えた充実の施設。
その展示には細心の注意が払われ、細かいところには
至るところに気配りが感じられました。

これが「お役所仕事」でも「親方日の丸にあぐらをかいた
おざなりの広報」でもないことは、一度でも実際に
ここに訪れれば、誰でもわかるでしょう。


もっともここを訪れていろいろとはしゃいでおきながら

「ディズニーランドのようなサービス努力をすれば
お金をとってもリピーターはある」

と言い放ち、有料化を命じたレンホーは、ディズニーランドの高額の入場料が
そのサービスの代価となっていることを全く無視して、
自衛隊の広報施設に金銭に値するだけの「営業努力」を要求したわけですが、
何を見ていたんでしょうか。

あるじゃないですか、ここには。
金銭に換算されない、しかし行き届いたサービスが。