ザ・ラルー宿泊も後半に入りました。
台湾に年末到着してから、ずっとお天気がぐずつき気味だったのですが、今朝は晴天です。
台湾は日本より勿論気温は高いのですが、日月譚は高地でもあるため、日向は暑く、
日陰はひんやりと肌寒さを感じる程度。
陽が沈むとさすがに寒いし、部屋の中では暖炉の火が嬉しいといった感じです。
レイク・ビューの部屋から、今日はヴィラに部屋を移動しました。
冒頭の丸いドアは、庭つきプール付きパティオ付きのこのヴィラの入口。
寝室とバスから臨む、外で打たせ水を(何のために?)する為のシャワーのある中庭もあります。
我が家の旅行は基本、どこの国に行ってもあまり観光に駆けまわることをしないので、
このような居心地の良い空間でのんびり本を読んだり、スパに行ったり、美味しいものを食べたり。
せっかく部屋に離れがついているので、ランチはここにセットしてもらいました。
この日、ランチにピザ、クラブハウスサンド、コルマカレー、サラダなどを注文しましたが、
台湾に来て感心するのは、何を食べてもおいしいこと。
中国本土では、中華料理は何を食べても当然のように美味しかったのですが、
パンとかケーキの中国以外のものが、みんなハズレでした。
しかし、少なくとも今回の旅行では何を食べても日本レベル、いや、日本以上。
わたしは、パリで早朝できたてのクロワッサンのために、数ブロック歩いてパン屋に突撃した、
筋金入りのクロワッサン・マニアですが、あまりにも点が辛すぎて、
日本国内では一度も、合格点を出したことがありません。
メゾン・カイザー?エシレ?ロビュション?ちっちっち。
フォーシーズンズであろうが、リッツであろうが、バターと小麦の絶妙な分量は、
とてもパリのクロワッサンに及ぶものではない、というのが結論です。
しかし、ここ、ザ・ラルーのクロワッサンには、そして、パイには、普通の食事パンにすら、
負けました。
この写真のクロワッサンの形、ただものでないオーラ、お分かりですか?
朝のビュッフェに並んでいるペストリーなど、甘いだけで、表面のつや出しがベトっとして、
朝からわざわざ食べる価値など全く認めてこなかったのですが、
クロワッサンがあまりにも美味しいのでもしかしたらこれは・・・、といただいてみれば。
完敗です。
「これは絶対フランス本国のブーランジェリーが指導してるね」
「ピザもやたら美味いし、西洋料理の味も洗練されてるし」
「全てにおいてセンスがただものでないっていうか」
「うーむ、台湾侮れんな」
「ていうか、もしかしたら日本よりずっとイケてる部分があるかもしれない」
このホテルは、湖の臨めるところに普通のランクの客室を配しているのですが、
このヴィラは全く湖の見えない、本来高く売れないような屋上を使って、専用プール、専用庭、
という「特別な空間」を演出し、スイートとして売っているのです。
こういう「知恵の利く」感じが表れているのが、部屋に供えられたディレクトリー。
分かりにくいですが、部屋にある備品の全てに値段がつけられているのです。
日本のホテルは性善説の上に立って経営されています。
今まではそれでもよかったのですが、特に最近近隣諸国の観光客が来ると、
必ず何か持って帰ってはいけないもの(ドライヤーとか、ガウンとか)を持ち帰られるので、
最近はフロントで足止めしている間に部屋をチェックさせるそうです。
しかし、この方法ならば。
何が無くなっていても、後からでも、
「ちゃんと値段を表示したものをお持ち帰りになったのですから、チャージさせていただきます」
ということが可能なんですね。
しかも、これだと客を疑っているようにも見えません。
「全ての備品は販売しております」
バスローブはもちろん、ランドリーバッグ、花瓶、ドアに掛けるドンディスカードまで。
これって、コロンブスの卵って言うか、頭いい方法ですよね。
某国の団体を宿泊させるときはわざわざ廃棄寸前のタオルを入れておく、
という話をホテル関係者から聞いたことがありますが、こちらの方法の方がいいのでは・・。
七言絶句のかかれたのは大きな煙突のようなもので、前にいる男性の右に暖炉があります。
昨日の夜、TOが一人でこの、バーの横にあるテラスの暖炉横で星を見ていたそうです。
バーは店じまいしたあとなのに、従業員がそっとお菓子とお茶を置いていったのだとか。
京都の枯山水を何時間も眺めていたドナルド・キーンの若き日の話のようです。
キーン氏の横にも、いつの間にか横にお茶が置かれていたのでしたっけ。
これに感激したTOが、何かの時のために持参した京都の金平糖をお礼に持っていくと、
非常に恐縮しつつ、嬉しそうに受け取ってくれたということです。
ホテルはあくまでも都会的で洗練されたサービスなのですが、決してマニュアルではない
暖かいもてなしを一人一人が精いっぱいしてくれる、という印象です。
チップ社会であるアメリカでは当たり前のことですが、ここではチップはありません。
「日本に来た外国人の気持ちもこんなのかもしれないね。
チップもとらないのにこんな一生懸命サービスしてくれる、って」
どんな国か、ではなく、出会った一人一人がどんな人々だったかによって、
その国を好きになり、また訪れたいと思うかどうかが決まるのだとあらためて思いました。
台湾、また来たいです。