◎無意識に自分がマインド・コントローラーになっている
最近は、NARUTO-ナルトなどオカルト、スピリチュアルテーマの漫画も多く、偽予言者、エクソシスト、チャクラなどという、昔はテクニカル・タームだった言葉を知っている人も多い。
終わりの世には偽予言者がはびこるなどと若い頃に聞いてびびっていたが、最近は、数十年前にも増して偽予言者がはびこっている。
預言者とは、真理を語る者だが、厳しく見れば、真理を知らぬ者が真理を語った場合、たちまち偽予言者となる。つまり偽予言者とは、
特殊詐欺の犯人から、情報操作、世論操作を信じて誤った真理を書いたSNSの著者やそれに“いいね”を押した人まで、広く含まれることになる。
嘘を言わない、正直であるというのは、人として基本だが、冥想修行者の基本でもある。スマホやPCで触れる情報がややもすれば半分以上が真実でないとすれば、そうしたもので出来上がった人物の思考や発言は、半ば偽予言者と考えられる。無意識に自分がマインド・コントローラー、つまりマインド・コントロールする側になっているわけだ。
つまり現代人の半分は、自覚しないまま偽予言者になってしまっていると見ることができる。これを終わりの時代と言わずして何と言う。
※マタイによる福音書7-15:「偽予言者を警戒せよ」
同じく24-11:「また多くのにせ預言者が起って、多くの人を惑わすであろう。」
古い時代にキリスト聖職者の位階にエクシソシスト(祓魔師)というのがあった。チャネラーの憑霊による発動ではないが、キリスト教でもトランスに入ることによってそういう状態になることがあったのだろう。それに加え、改宗、カルト脱会、共産主義洗脳(リフトンの研究による)など、精神の根底を不安定化される事態。そういう場合にエクシソシストが必要になる。だが除霊本とかエクソチズム本を読むと憑依された媒体の方に問題があるなどと書かれていることも多い。
ところが最強のそれは、冥想修行の最終段階で登場してくるものであって、大悟覚醒の最終段階でないと出てこないのは、イエスや釈迦の例にあるとおりである。それを考えると、エクソシスト(祓魔師)の位置づけが低かったのはなぜだろうかと考えさせられてしまう。
現代人の一半がこのような状態だから、現代のエクソシスト(祓魔師)の資格は、大悟覚醒、ニルヴァーナ体験者以外にないと言うことができるように思う。
『〈祓魔師〉(Exorcista) は、 文字どおり悪魔(悪霊)を祓う者のことであるが、聖職者の階級(〈品級〉Ordo, Pl. Ordines という)のひとつ。品級は、下級四段と上級三段とに大別され、前者は(下位から)守門、読師(一〇二ページ 注六)、祓魔師、侍祭の四級、後者は副助祭、助祭、司祭の三級にわかれる。これらの品級をさずける権能をもつのは、司教であって、祓魔師の授品式は、司教が受品者に祓魔のための祈禱文などを書いた典礼書を渡すことによっておこなわれた。祓魔師は、定められた祈禱文をとなえながら按手(第一巻三九三ページ注二)することによって悪魔祓いをおこなった。
そのほか洗礼志願者に祓魔式をほどこし、その宗教教育を受けもつことも、祓魔師の任務であった。今日では、祓魔師は、事実上司祭職に昇進していくまでの一過程というにすぎない。』
(黄金伝説 2 ヤコブス・デ・ウォラギネ/著 人文書院P274-275から引用)
なお、祓魔、除霊が問題になるのは、クンダリーニ系修行の場合であって、禅・只管打坐系修行にあってはそれを問題にしない。もっとも只管打坐系の覚者クリシュナムルティはそれに類したことをやっているが、真理を知る覚者だからできるということはある。
