◎バベルの塔を伝って天に昇るために
今度東京駅前に日本一の高さとなるTOKYO TORCHというビルが建つという。この名を聞いておやっと思った人は多いのではないか。TORCHと言えば、誰かが火をつけるものだからである。
旧約聖書創世記11章では、バベルの塔の最後は、人類が世界全体にばらばらに散って行くところで終わるが、偽典のヨベル書ではバベルの塔自体が破壊されるところまで書いている。
ノアの子孫は、バベルの塔を伝って天に昇るため、43年かけて煉瓦とアスファルトの塔を建てた。完成後に、神はこの塔を見に来た。
神は、『「見よ、ひとつの民。彼らがいったんことをおこしたからには彼らに不可能ということは(ひとつとして)ない。さて、おりて行って彼らの言語をかき乱し、たがいに話が通じないようにしてやるか。また各地の都市や民族の間に散らばらせてさばきの日まで意図の一致をみることのないようにしてやろう。」』(聖書外典偽典4 旧約偽典/日本聖書学研究所編/教文館P54-55から引用)
つまり一旦一共通言語になった人類は、その言語をかき乱されたので、彼らは互いに話が通じなくなり、都市と塔の建築を中止した。さらに人類は、その民族と言語に従って、すべての都市に分散していった。最後に主はその塔に向けて大風を送って、これを地面に転覆させた。人々はその名を崩壊と呼んだ。
全体のモチーフである、天に昇ろうとしたら叩き落されたというのは、ギリシア神話のパエトーンと天の車と同じ。これは、クンダリーニ・ヨーガ系の修行で言えば、自分の欲得のために超能力を得ようとか未来を予知しようとして神に叩き落されるのと同じ。
さらに人類が事を起こし始めたら必ず実現するということは、絶対にそうだとか必ずそうなるということは言えないにしても、一般法則として、世界戦争でも風俗紊乱でも一旦実現し始めたら、最後まで行ってしまうものであって、極まらないと反転はしないものだということ。そうなることの結果がわかっていても建設途中で中断することはまずないということ。
中国でタワーマンション群の建設が多数中断、放棄(鬼城)されているというが、よくよくのことである。中国全人口の倍(28億人分?)住めるほどマンション建設したというのも、一種のバベルの塔。
またウクライナで2年もの長い戦争が行われ、イスラエルのガザでも戦争犯罪とされるような戦争が行われる中で、大阪万博が開催されようとして、メキシコの撤退が起こった(2023年11月10日)が、これもバベルの塔のようなものといえよう。
さて、その法則に則り、神が大風を以ってバベルの塔を破壊したのは、完成後のことであった。
世の終わりで、風災、水災、火災のうちでもっとも人類にとって被害が大きいのは風災だろうと言ったのは、出口王仁三郎だが、このバベルの塔破壊も同じ風災を示している。
ヨベル書では、one worldが一旦実現し、「ひとつの民」と全人類を呼ぶが、言語も民族もやがて分断されていくことが示される。one worldとは、赤い統一とか猿のような者とか古い予言で言われているものだろうか。
この最終的な分散分断を踏まえて、民族意識のない宗教は結局だめだみたいなことを出口王仁三郎は言っているのだろう。
この後に裁きの日がある。善男善女は冥想を。
(Wikipediaから”バベルの塔/ブリューゲル”)