ゴッホ展

2010年10月22日 | 健康・病気

私は、ゴッホのことをどれだけ知っているのだろう?
おそらくほとんど知らないといっていいでしょう。
最初に知ったのは、いつだろう?

19歳のとき東京の駒込にあるアパートの3畳間で暮らしていたとき、
同じアパートの人と酒を飲むようになった。
その人は、山谷で日雇いの仕事を週1・2回して、あとは部屋で油絵を描いていた。
美大の受験に失敗して大学を諦め、独学で絵を描いていくんだといっていた。
彼のところに、美大の友人や漫画家崩れの人がやってきた。
金のない我々は、安酒を買ってきて、乾き物なんかで彼の部屋でよく飲んでいた。
いろんな人間がやってきた。
そこでは、まず絵画の話をした。絵のことをまったく知らなかった私も、
画集などを見せられ、絵が好きになった。
そのときゴッホの絵がいいなと思った。
小説や映画のこともよく話した。
そのアパートは、私を芸術的なことに導いてくれるところになった。

私が行ったデザイン学校の美術史の授業が好きだった。
講師がよかった。
スライドで絵を見せて、1つひとつ説明をしてくれた。
先生の絵画に対する熱い思いが伝わってきた。
その授業で私は絵画の画家の歴史を学びました。
あの先生にもう一度会って話を聞いてみたいものです。
その先生が、ゴッホが好きだった。

国立新美術館は六本木にある。
地下鉄千代田線の乃木坂駅で降りていくつもエスカレーターを登ると着いた。
チケット売り場で入場券を買う。
私は、職場に置いてあった二紀展の無料入場券を持ってきていた。
それを見せるとゴッホ展が割り引きになると書いてあったからだ。
ところが1500円が1400円にしかならなかった。
な~ンだという気持ちです。
長野から細心の注意をはらって忘れないように持ってきた券で100円の割引です。
そんなことを考えた私がアホなんですね。
でも、せめて300円ぐらい割引にして欲しかった。だって、
なんども忘れそうになったのを必死になって持ってきたのです。

持ってきた傘を傘入れに差し、トイレに入って、入場した。
平日なのになんでこんなに人がいるんだ、状態だった。
外にはそれほど人間が見えなかったので驚いた。
1つの絵の前には20人ほどいるだろうか。
絵の前に他人の頭がいくつもある。
私は執念深く粘って必ず前に行き、障害物がない状態で絵と対峙した。

いくつかの絵のあとに、「秋のポプラ並木」と「曇り空の下の積み藁」があった。
ゴッホが絵描きになった初期の頃に描いた絵と最晩年に描かれた絵が隣り合わせにあった。
(このサイトの写真の絵はかなり実物と色がちがいます)

ゴッホが影響を受けたミレーの絵が展示してあった。

「白い帽子を被った女の頭部」が好きだ。
この女性の真っ直ぐな純真そうな視線がいい。
「籠一杯のじゃがいも」も「じゃがいもを食べる人々」もいい。

「マルメロ、レモン、梨、葡萄」は、ゴーギャンが「黄色い静物画」といったらしい。
ゴッホは、かなり気に入っていたようで、額縁まで絵を描いていた。
スーラの「オンフルールの港の入口」の絵がよかった。
ゴッホは、スーラにも影響を受けていたんですね。
これまでスーラの点描画をそれほど評価していない私(生意気ですね)ですが、
この絵には心を動かされた。

「灰色のフェルト帽の自画像」この絵がいいですね。
オランダの田舎画家からパリの一流アーティストになった自負が出ていると、
説明の文に書いてあった。その通りだと思う。

「アルルの寝室」がよかった。
この明るさが好きだ。
ゴーギャンと一緒に暮らしていて楽しくてしょうがない、という感じだ。
絵の近くに、この寝室を実物大に再現した部屋があった。
これはいい企画だと思った。

今回、ゴッホ展の中で一番私が気に入った絵が、「ゴーギャンの椅子」だった。
これはゴーギャンの肖像画だと説明されていた。
ゴッホのゴーギャンに対する想いが伝わってくるようです。
この黄色い家で、ゴーギャンといろいろな確執があり、
ゴッホは自分の耳を切ってしまった。
去年私は、ゴーギャン展を見た。そしてゴーギャンに対する気持ちをあらたにした。
ゴッホとゴーギャンとの関係興味がつきません。

「サン=ミレの療養院の庭」と「アイリス」 も好きです。
私がこれまで馴染んでいたゴッホの絵はなかったが、
今回のゴッホ展はよかった。
「こうして私はゴッホになった」というゴッホ展のテーマは充分に伝わってきた。
ゴッホがどういう画家に影響を受けてきたかというのが分かった。
27歳で画家になることを決意し、37歳でピストル自殺をしたゴッホ。
生き急ぎ過ぎたゴッホを私はいとおしく思う。
私は、彼より20年も生きている。
これからゴッホのことを考えて生きていこう。

ゴッホ展を見終わって、隣で開催していた二紀展を見た。
“今”の絵画・彫刻があった。
いくつか気を引く作品がありました。
もし、私が中学生に戻れて絵画や彫刻のほうをやっていたら、なんて考えた。

 

 

 

コメント (2)
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