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経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

ペイオフ対策はお済ですか・・・大崩壊前にすべき事

2020-04-28 13:34:00 | 時事/金融危機
 

■ 世界各国は大量の国債を発行する ■

ヨーロッパ各国は3月中旬からロックダウンに入りましたが、ロックダウン解除は5月中旬以降、アメリカは5月下旬から6月上旬、日本は政府が大規模な抗体検査を実施しなかえれば6月末までロックダウンが続くでしょう。

ロックダウン後に通常な経済活動が即時回復されるかどうかは疑問です。抗体検査を実施した国では、抗体保有者から社会復帰する政策が取られるでしょうから、経済は50%程度の稼働率がしばらく続くと予想されます。

その場合、世界のGDPは確実に30%程度は落ち込むハズで、失業者も大量に生じますし、中小企業のほとんど、或いは大企業までもが経営危機に陥ります。

金融市場は当然パニックになりますが、仮にこれが発生しなくとも、各国政府は企業や個人に補助金や助成金をばら撒く事になるでしょう。そうしなければ餓死者が出ます。

当然、各国とも大量の「国債を発行してお金を作る」訳ですが、日本も50兆円以上の国債が発行されるでしょう。日本の場合は金融機関と日銀が阿吽の呼吸で国債を消化すると思われますが、米国債やその他の国の国債市場は混乱するハズです。ECBはマイナス金利で金融機関に資金を提供して国債を買い支えさせる。アメリカはFRBが直接米国債を買い入れる事になるので、国債価格の暴落(金利の上昇)は短期的な混乱の後は収まると予想されます。

但し、ブラジルやアルゼンチン、トルコyあオーストラリア、或いはロシアの国債市場は混乱するでしょう。これらの国は国債を海外投資家に売り付けていますが、大量に国債が発行されれば国債は当然暴落します。通貨も当然売られます。ブラジルはこうなる事態を予測していますから、大統領がコロナを恐れずに経済を回そうと主張しています。これらの国の景気が落ち込む中で通貨防衛の為に金利を上げる事は、国内経済を即死させるので不可能です。結局、これらの通貨の不安定な国は、中央銀行の国債の直接買い入れに進まざるを得ませんが、これは市場での国債暴落と為替市場での通貨の下落を伴いながら進みます。


■ 国債市場の混乱は金融市場に直結する ■


国債市場は供給過多によって大っな下落圧力が掛かりますが、最大の危機は米国債金利です。恐怖に駆られて世界中で米国債売りが始まると、FRBはこれを全部買い入れる必要が有る。

この時点で金融市場にはパニックが広がるハズです。だってどの位のドルがバラまかれるか分からないからです。為替市場も一気にドル安に進み、1ドル60円台の値を付けるかも知れません。

こんな状況になれば、日本の銀行が無事で居られる訳はありません。米国債やドル建てのリスク資産を大量に保有している日本の金融機関ですが、為替ヘッジをしているとは言え、そのレンジはせいぜり1ドル100円程度でしょう。これを越えてドル安が進むと、かなりヤバイ事になります。

この状況で、いくらノンビリした日本国民でも、流石に銀行にお金を預けておいて大丈夫かと心配になります。特に地方銀行に預けたお金が危ないという風評が広がるでしょう。

仮に、地方銀行で取り付けに近い騒ぎが発生すると、それは全国に瞬く間に伝搬して行く可能性が有り、経営の比較的健全な銀行にまで危機が広がります。

メガバンクとれ例外では無いという認識が広がれば、リソナ銀行やみずほ銀行辺りから預金引き出しが急増すると思われます。

■ 資本注入とペイオフはセット ■

こうなると、三菱だろうが、三井住友だろうが、ゆうちょ銀行だろうが、安全と思える銀行はどこにも無くなります。

この時点は国は銀行の窓口を停止し、銀行に資本注入を始めるハズです。但し、これには条件が一つ着くハズです。それは「ペイオフを行う事」。

ペイオフによって1000万円までの預金は保障されていますが、資本注入の時点で銀行は経営破綻したのだから、銀行の出資者も損失を共有すべきと言うはずです。そして、1000万円以上の預金に相当するしほん注入は行わない。

「預金者も銀行の出資者である」といのはリーマンショック以降、世界で共有されている認識です。これをベイルインと呼びます。本来は銀行の債権者も相応のリスクを負うという意味ですが、ペイオフの導入で預金者もベイルインの概念に含まれる事となります。

■ 1000万円以上の預金は保護されない ■

日本でペイオフが実施された当時は、個人も企業もマンションの管理組合もペイオフ対策を実施した。

ただ、リーマンショックの記憶が薄れるにつれて、危機感は薄らいでいます。個人や企業、マンションなどでも決裁用の当座預金口座以外の普通預金や定期預金に1000万円以上預金している方が増えているハズです。

国債危機や金融危機は発生するかは未知数ですが、その危険性が高まっている今、もう一度皆さん、ご自分の預金通帳をご覧になられて、1000万円以上の額が入っていないか確認された方が良いでしょう。マンションの理事長さんも要チェックです。

ペイオフ対策は確かにメンドクサイですが、「あの時やっておけば良かった」と思った時には後
祭りです。


尤も、大規模なペイオフが発動する時点で、通貨の価値がどの程度維持出来るかは疑問です。恐怖に駆られた人達が銀行に殺到した時点で、現在の銀行を中核とした金融システムは崩壊するのでしょう。


ところで、ペイオフ対策の金融機関選びですが、地方銀行はちょっとコワイ。メガバンクもみ〇〇はソフ〇バ〇〇の巻き添えの可能性も有る。ゆうちょ銀行は今でも半分国有と言えますが、リーマンブラザーズの様な「生贄」にされる可能性も否定出来ません。

お金を沢山お持ちの方は、どう分散するのかという、我々庶民とは次元の違う悩みをお持ちでしょう。え、とっくに対策は終わっているって・・・・これこそが金持ちが金持ちたる所以。

オーバー60歳向けのアニメ講座・・・アニメ声でないアニメ

2020-04-28 05:26:00 | アニメ
 

■ アニメの声がダメというあなたに ■

私の母は80歳になりますが、私が実家でアニメを観ていると家に一台しかないTVを独占されるので、アニメを強制的に観るハメに・・・。

まあ、あまりにオタクのアニメは辛い様で、自分の部屋に行ってしまいますが、意外に若者向けのアニメでも我慢して観ている・・というか、結構笑いながら観ています。先日も大きな画面で『とらドラ』を観ていたら、頑張って6話位まで観ていました。(笑らう場所がちょっとズレてるのですが・・。)

ただ母はいつも「アニメの声が嫌だ」と言います。「疲れちゃう」と。家内も「アニメの声は頭にキンキンする」と良く言います。

「アニメの声=アニメ声」とも言われる「頭のテンコチョから出て来る様な声」に違和感を覚える方は多いと思います。(実は私も以前はそうでした。『エヴァンゲリオン』ですらオタクっぽくて苦手でしたから)

どうしてアニメが所謂「アニメ声」に席巻されたかは後日考察するとして、「本日はアニメ声が出て来ないアニメ=大人向きアニメ」を少し紹介したいと思います。(昨日紹介したアニメは60歳以上の方には少々ハードルが高かったかも知れません)

基本的には80歳の母が観て「面白い」と言った作品が中心ですが、実は「実写化」されているものが多い。そして、マンガ原作の作品がほとんどです。

アニメにはアニメの表現手法や世界観が存在しますが、一般の方には「ファンタジー要素=現実的では無い」と感じる様です。(ジブリやディズニーは脳内で別枠なのでしょう)。だから、ファンタジー要素が無く、ドラマがしっかりしている作品が受け入れられ易い様です。

『昭和元禄楽以後心中』


『昭和元禄楽以後心中』より

TVドラマでも好評だった作品。アニメでは「声優の声の技」を堪能できます。本職の落語家も焦るのでは無いでしょうか。

刑務所を出所して行くあてもない与太郎は、刑務所の慰問に訪れた落語家八雲に強引に弟子入り志願をします。時はTVに娯楽の主役を奪われた時代。八雲はどこの誰とも分からない与太郎の弟子入りを何故か認めます。

落語家として名高い八雲ですが、どこか死の影が付きまとう・・・いえ、昔のとある出来事から死を願っていたのです。八雲には若かりし頃、一緒に修行を積んだ助六という親友が居た。助六の芸は大衆を引き付ける魅力があったが、性格はいい加減。結局、女と駆け落ちして東京を去って行きます。とある地方で助六と再会した八雲ですが・・・。

雲田はるこの漫画原作も素晴らしいのですが、じっくりと描き込むアニメも必見です。落語家顔負け(声負け?)の声優達の「声芸」に惚れ惚れします。そして、古典落語の入門としてもお勧め。「死神」「芝浜」などじっくりと聞かせてくれます。

実際の落語家との比較集をどなたか作られてネットにアップしています。これは興味深い。

『昭和元禄落語心中』の演目聴き比べ


『坂道のアポロン』


『坂道のアポロン』より

戦後の佐世保でジャズに夢中になる高校生達の物語。

東京から転校して来た西見 薫はクラシックピアノを弾く神経質な秀才。気弱でイジメられ易い彼ですが、ふとした切っ掛けから学校一の問題児の千太郎と親友になります。千太郎はクラス委員の律子の幼馴染で、レコード店を営む律子の父親とジャズを演奏しています。律子に淡い恋心を抱く薫は、千太郎への対抗心から「ジャズなんて下らない」と言い、「モーニン」を弾いてみせますが、「全然違う、そんなのジャズじゃなか」と否定され、レコードを買って練習するうちにジャズの魅力に取りつかれて行きます。

戦後の匂いの残る佐世保で繰り広げられる高校生達の青春群像は、80歳の母をも魅了して、目をキラキラさせて食い入る様に観ていました「次ある?次もある?」と、ほぼ一気観していました。時代設定は母達の青春時代と見事に重なるので、当時を思い出している様でした。

音楽は世界の菅野よう子。(最近はアニメ音楽から離れていますが、彼女のアニメのサントラは名作揃いです)

実写映画化されていますが・・・・アニメの圧勝でしょう。(実写版、作品のイメージが崩れそうで恐ろしくて観れません)


『うさぎどろっぷ』


『うさぎどろっぷ』より

東京でアパレルメーカーに勤める30歳の独身男の大吉が祖父の葬儀で実家に戻ると・・・何と、祖父の隠し子が居た。それも幼女。当然、親戚は誰が引き取るかで揉め、やはり施設に預けるしか無い・・・そう成りかけた時、大吉が彼女を引き取ると言い出した。「あんたが育てるなんて無理」と引き留める母達の制止も聞かず、大吉は幼女を東京に連れ帰ります。

幼女は「りん」と名乗ります。連れ帰ったものの、何をどうして良いか分からない大吉。とりあえず従妹に電話して、保育園探しから奔走します。ついつい勢いで連れて来たものの、男手で幼女を育てるのは大変です。大吉は営業として優秀でしたが、定時で帰れる配送課に転属を願い出ます。彼の生活はりん中心に一変します。

始めは「祖父の隠し子」と敬遠していた大吉の両親や妹も、だんだんと、りんを受け入れ、実の孫のごとく可愛がる様は観ていて心がホッコリします。

子育て世代に絶大な共感を呼ぶ『うさぎどろっぷ』。原作漫画はりんが成人するまでを描きますが、アニメは小学生まで。

これも実写映画化されていますが、悪く無い出来でした。


『僕だけがいない街』


『僕だけがいない街』より

これも実写化されています。

売れない漫画家の悟の母親が彼のアパートで殺されます。母親が20年前に北海道で起きた連続児童殺人事件の犯人に気付いた為に殺されたのです。当時の被害者は悟の同級生だった雛月 加代。

しかし、不幸にも悟は犯人として警察に負われる事に・・。窮地に陥った彼は、何故か小学生の姿となって、小学生当時の北海道に戻ってしまします。実は悟には何故か時間を遡る能力(タイムリープ)が有あったのです。ただ、それは無意識に発動し制御出来ない・・・。

悟は加代が殺される事を知っていますから、犯人を突き止め、殺人を阻止しようと試みます。当時は親交の無かった加代に近づき、加代の不幸な生活も垣間見る事で、加代を絶対に救うと決意しますが・・・意外な犯人の手は、悟にも・・・。

「タイムリープ」というファンタジーを許容出来れば、極上のサスペンスを味わえる事、間違い無し。

小学生の世界に突然大人の視点で混ざる事になる悟の目に、当時の子供達がどう映るのか。なかなか興味深い作品です。



『サクラクエスト』


『サクラクエスト』より

就職に失敗した短大生の「木春 由乃」は「椿 由乃」という往年のアイドルと間違われて、地方都市「間野山」の国王に?。国王と言っても、かつて日本中で流行ったミニ・独立国の成れの果ての「チュパカブラ王国」の国王で、実際は観光大使みたいな役柄。1年契約です。

田舎に育った由乃にとって、間野山も代わり映えのしない寂れた田舎にしか思えません。名産は「カブ」。それだけ。そんな地方都市を「バカ者でヨソ者」の由乃が活性化出来るのか・・・。行き当たりバッタリの思い付きの行動が多い由乃ですが、前向きだけが取り柄。そんな彼女を同年代の仲間が支え合って、徐々に地域の人達の信頼を得ながら、小さな何かを変えて行く物語。

富山県城端に本社を構えるPA WORKSのライフワーク「働く女の子シリーズ」の3作目ですが、「地方再生」という現代の日本の課題を正面から描きながらも、エンタテーメントとして極上の作品に仕上がっています。

この作品、アニメである必要は全く無く、むしろNHKで実写ドラマで放映すべき作品ですが、今の日本のTVの視聴者で視聴率が取れるとはとうてい思えません。実は、アニメは「社会性」を持った作品でも「楽しく見せる」技術を既に身に着けています。脚本家はドラマも手掛ける方なので、テーマの扱いも上手い。

特に17話、18話の出来は秀逸で、「社会派作品でもアニメは実写を越えている」・・・そう断言できる一作です。

TVドラマでマトモな脚本が書ける脚本家が居なくなったと思ったら、アニメ業界に流れて来ているのかな。劇伴の作曲家と同じ流れになって来ています。


『ブラックラグーン』


『ブラックラグーン』より

漫画原作のハードボイルドな作品ですが、現代の混沌とした世界を良く描いています。

緑郎(ロック)は日本の商社に勤る平凡なサラリーマン。不運のも国家的な裏取引で会社の捨て駒にされます。当然、殺されるハズのロックでしたが、何故だか逆ギレして犯人一味と行動を共にする事に。

東南アニアの無法都市、ロアナプラに流れ付いた世界中の無法者達を描く作品ですが、各国の政治情勢も絡んで、新聞やニュースでは伺い知る事の出来ない、世界のもう一つの姿を垣間見る事が出来ます。充分に大人の鑑賞に堪えるというか、ハリウッド映画なんて子供向けに思える内容。

監督は『この世界の片隅に』の片渕須直。片淵監督、すっかりジブリ監督みたいなポジションになっていますが、実は大のミリタリーオタク。そんな監督の趣味全開の作品でも有ります。



『若おかみは小学生』


『若おかみは小学生』より

小学生向けの児童文学の映画化ですが、劇場で涙にむせぶ高齢者が続出。私、アニメ映画で、パンフレットを買いに走る中高年の姿を始めてみました。

世の中には2種類の人しか居ません。『若おかみは小学生』を観て「感動する人」と「感動しない人」です。残念ながら、この作品を観て、涙しない人とは友達になりたくありません。



以上、本日は60歳以上の大人でも、思わずハマル、近年の名作アニメを紹介しました。