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経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

オーバー60歳向けのアニメ講座・・・アニメ声でないアニメ

2020-04-28 05:26:00 | アニメ
 

■ アニメの声がダメというあなたに ■

私の母は80歳になりますが、私が実家でアニメを観ていると家に一台しかないTVを独占されるので、アニメを強制的に観るハメに・・・。

まあ、あまりにオタクのアニメは辛い様で、自分の部屋に行ってしまいますが、意外に若者向けのアニメでも我慢して観ている・・というか、結構笑いながら観ています。先日も大きな画面で『とらドラ』を観ていたら、頑張って6話位まで観ていました。(笑らう場所がちょっとズレてるのですが・・。)

ただ母はいつも「アニメの声が嫌だ」と言います。「疲れちゃう」と。家内も「アニメの声は頭にキンキンする」と良く言います。

「アニメの声=アニメ声」とも言われる「頭のテンコチョから出て来る様な声」に違和感を覚える方は多いと思います。(実は私も以前はそうでした。『エヴァンゲリオン』ですらオタクっぽくて苦手でしたから)

どうしてアニメが所謂「アニメ声」に席巻されたかは後日考察するとして、「本日はアニメ声が出て来ないアニメ=大人向きアニメ」を少し紹介したいと思います。(昨日紹介したアニメは60歳以上の方には少々ハードルが高かったかも知れません)

基本的には80歳の母が観て「面白い」と言った作品が中心ですが、実は「実写化」されているものが多い。そして、マンガ原作の作品がほとんどです。

アニメにはアニメの表現手法や世界観が存在しますが、一般の方には「ファンタジー要素=現実的では無い」と感じる様です。(ジブリやディズニーは脳内で別枠なのでしょう)。だから、ファンタジー要素が無く、ドラマがしっかりしている作品が受け入れられ易い様です。

『昭和元禄楽以後心中』


『昭和元禄楽以後心中』より

TVドラマでも好評だった作品。アニメでは「声優の声の技」を堪能できます。本職の落語家も焦るのでは無いでしょうか。

刑務所を出所して行くあてもない与太郎は、刑務所の慰問に訪れた落語家八雲に強引に弟子入り志願をします。時はTVに娯楽の主役を奪われた時代。八雲はどこの誰とも分からない与太郎の弟子入りを何故か認めます。

落語家として名高い八雲ですが、どこか死の影が付きまとう・・・いえ、昔のとある出来事から死を願っていたのです。八雲には若かりし頃、一緒に修行を積んだ助六という親友が居た。助六の芸は大衆を引き付ける魅力があったが、性格はいい加減。結局、女と駆け落ちして東京を去って行きます。とある地方で助六と再会した八雲ですが・・・。

雲田はるこの漫画原作も素晴らしいのですが、じっくりと描き込むアニメも必見です。落語家顔負け(声負け?)の声優達の「声芸」に惚れ惚れします。そして、古典落語の入門としてもお勧め。「死神」「芝浜」などじっくりと聞かせてくれます。

実際の落語家との比較集をどなたか作られてネットにアップしています。これは興味深い。

『昭和元禄落語心中』の演目聴き比べ


『坂道のアポロン』


『坂道のアポロン』より

戦後の佐世保でジャズに夢中になる高校生達の物語。

東京から転校して来た西見 薫はクラシックピアノを弾く神経質な秀才。気弱でイジメられ易い彼ですが、ふとした切っ掛けから学校一の問題児の千太郎と親友になります。千太郎はクラス委員の律子の幼馴染で、レコード店を営む律子の父親とジャズを演奏しています。律子に淡い恋心を抱く薫は、千太郎への対抗心から「ジャズなんて下らない」と言い、「モーニン」を弾いてみせますが、「全然違う、そんなのジャズじゃなか」と否定され、レコードを買って練習するうちにジャズの魅力に取りつかれて行きます。

戦後の匂いの残る佐世保で繰り広げられる高校生達の青春群像は、80歳の母をも魅了して、目をキラキラさせて食い入る様に観ていました「次ある?次もある?」と、ほぼ一気観していました。時代設定は母達の青春時代と見事に重なるので、当時を思い出している様でした。

音楽は世界の菅野よう子。(最近はアニメ音楽から離れていますが、彼女のアニメのサントラは名作揃いです)

実写映画化されていますが・・・・アニメの圧勝でしょう。(実写版、作品のイメージが崩れそうで恐ろしくて観れません)


『うさぎどろっぷ』


『うさぎどろっぷ』より

東京でアパレルメーカーに勤める30歳の独身男の大吉が祖父の葬儀で実家に戻ると・・・何と、祖父の隠し子が居た。それも幼女。当然、親戚は誰が引き取るかで揉め、やはり施設に預けるしか無い・・・そう成りかけた時、大吉が彼女を引き取ると言い出した。「あんたが育てるなんて無理」と引き留める母達の制止も聞かず、大吉は幼女を東京に連れ帰ります。

幼女は「りん」と名乗ります。連れ帰ったものの、何をどうして良いか分からない大吉。とりあえず従妹に電話して、保育園探しから奔走します。ついつい勢いで連れて来たものの、男手で幼女を育てるのは大変です。大吉は営業として優秀でしたが、定時で帰れる配送課に転属を願い出ます。彼の生活はりん中心に一変します。

始めは「祖父の隠し子」と敬遠していた大吉の両親や妹も、だんだんと、りんを受け入れ、実の孫のごとく可愛がる様は観ていて心がホッコリします。

子育て世代に絶大な共感を呼ぶ『うさぎどろっぷ』。原作漫画はりんが成人するまでを描きますが、アニメは小学生まで。

これも実写映画化されていますが、悪く無い出来でした。


『僕だけがいない街』


『僕だけがいない街』より

これも実写化されています。

売れない漫画家の悟の母親が彼のアパートで殺されます。母親が20年前に北海道で起きた連続児童殺人事件の犯人に気付いた為に殺されたのです。当時の被害者は悟の同級生だった雛月 加代。

しかし、不幸にも悟は犯人として警察に負われる事に・・。窮地に陥った彼は、何故か小学生の姿となって、小学生当時の北海道に戻ってしまします。実は悟には何故か時間を遡る能力(タイムリープ)が有あったのです。ただ、それは無意識に発動し制御出来ない・・・。

悟は加代が殺される事を知っていますから、犯人を突き止め、殺人を阻止しようと試みます。当時は親交の無かった加代に近づき、加代の不幸な生活も垣間見る事で、加代を絶対に救うと決意しますが・・・意外な犯人の手は、悟にも・・・。

「タイムリープ」というファンタジーを許容出来れば、極上のサスペンスを味わえる事、間違い無し。

小学生の世界に突然大人の視点で混ざる事になる悟の目に、当時の子供達がどう映るのか。なかなか興味深い作品です。



『サクラクエスト』


『サクラクエスト』より

就職に失敗した短大生の「木春 由乃」は「椿 由乃」という往年のアイドルと間違われて、地方都市「間野山」の国王に?。国王と言っても、かつて日本中で流行ったミニ・独立国の成れの果ての「チュパカブラ王国」の国王で、実際は観光大使みたいな役柄。1年契約です。

田舎に育った由乃にとって、間野山も代わり映えのしない寂れた田舎にしか思えません。名産は「カブ」。それだけ。そんな地方都市を「バカ者でヨソ者」の由乃が活性化出来るのか・・・。行き当たりバッタリの思い付きの行動が多い由乃ですが、前向きだけが取り柄。そんな彼女を同年代の仲間が支え合って、徐々に地域の人達の信頼を得ながら、小さな何かを変えて行く物語。

富山県城端に本社を構えるPA WORKSのライフワーク「働く女の子シリーズ」の3作目ですが、「地方再生」という現代の日本の課題を正面から描きながらも、エンタテーメントとして極上の作品に仕上がっています。

この作品、アニメである必要は全く無く、むしろNHKで実写ドラマで放映すべき作品ですが、今の日本のTVの視聴者で視聴率が取れるとはとうてい思えません。実は、アニメは「社会性」を持った作品でも「楽しく見せる」技術を既に身に着けています。脚本家はドラマも手掛ける方なので、テーマの扱いも上手い。

特に17話、18話の出来は秀逸で、「社会派作品でもアニメは実写を越えている」・・・そう断言できる一作です。

TVドラマでマトモな脚本が書ける脚本家が居なくなったと思ったら、アニメ業界に流れて来ているのかな。劇伴の作曲家と同じ流れになって来ています。


『ブラックラグーン』


『ブラックラグーン』より

漫画原作のハードボイルドな作品ですが、現代の混沌とした世界を良く描いています。

緑郎(ロック)は日本の商社に勤る平凡なサラリーマン。不運のも国家的な裏取引で会社の捨て駒にされます。当然、殺されるハズのロックでしたが、何故だか逆ギレして犯人一味と行動を共にする事に。

東南アニアの無法都市、ロアナプラに流れ付いた世界中の無法者達を描く作品ですが、各国の政治情勢も絡んで、新聞やニュースでは伺い知る事の出来ない、世界のもう一つの姿を垣間見る事が出来ます。充分に大人の鑑賞に堪えるというか、ハリウッド映画なんて子供向けに思える内容。

監督は『この世界の片隅に』の片渕須直。片淵監督、すっかりジブリ監督みたいなポジションになっていますが、実は大のミリタリーオタク。そんな監督の趣味全開の作品でも有ります。



『若おかみは小学生』


『若おかみは小学生』より

小学生向けの児童文学の映画化ですが、劇場で涙にむせぶ高齢者が続出。私、アニメ映画で、パンフレットを買いに走る中高年の姿を始めてみました。

世の中には2種類の人しか居ません。『若おかみは小学生』を観て「感動する人」と「感動しない人」です。残念ながら、この作品を観て、涙しない人とは友達になりたくありません。



以上、本日は60歳以上の大人でも、思わずハマル、近年の名作アニメを紹介しました。


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6 コメント

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Unknown (陰謀論作家)
2020-04-28 08:41:43
そうそう、ブラック・ラグーンは見てました。
ロシアの高速艇を出してきたのにはびっくり。 でも、できれば実写で見たい。

あっ、そうそう、昨日は東京湾炎上見たけど、アレ、F-104が映ってたのね。

邦画には、もうちょっと頑張って欲しいので面白いアニメとか漫画は実写化して欲しい・・・・・けど、けど、けれども、けれどもね、最近の「空母いぶき」は酷かったなぁ・・・。

でも、でも、でもね、つい最近、向こうの「エンテベの7日間」も酷かったなぁ・・・・・。

一時期、邦画もだめ、洋画もだめっていう時期があり、買いたい映画がなく、古い映画のコレクションに嵌った時期があった。 それまでは音響とか照明なんて誰もできるだろ? って思ってたけど「赤ちゃん教育」見て音響って大事だなって思った。 あとチャップリンくらいの内容なら無声でも見れるが「カリガリ博士」は無理だった。 そこでそれ以上、映画の河を遡るのはやめた。

では。
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Unknown (かえる)
2020-04-28 13:02:40
坂道のアポロン、僕だけがいない街はみました。
今、うさぎドロップをみています。
同じような、大人でも楽しめるアニメといえば、世界の片
隅に、3月のライオン、電脳コイルとかも面白いです。
有名どころばかりですが
返信する
Unknown (masasan)
2020-04-29 08:03:07
久々にお邪魔します。お勧めアニメ、いやぁ全く同感で
す。全部視ています。小生も海外の封鎖都市で悶々としていま
すが。ヤン提督のような決断があれば(やっぱり旧作のほう
が好き)、いらぬ犠牲はないのです。

順番に

「昭和元禄・・・」正直、原作(漫画)を読んで、いまい
ちだったのであまり期待していなかったのですが・・・。
声優が見事です!石田彰・山寺宏一・関智一!視ていて火
花が散っていました。


「うさぎドロップ」
りんが発熱、一晩悶々として翌朝のシーン。何でもないよ
うな結末にホロリとしてしまい、年取ったなぁと実感、

「坂道のアポロン」
アニメ嫌いの友人と一緒に見ました。途中から何も言わな
くなりました(笑!)体育館でのジャズ即興演奏の時、膝が
動いてました(爆)。ちなみに彼は福岡出身でした。方言も
彼の心を揺さぶったみたいです。


「サクラクエスト」
本当に不思議な作品です。でも好きです。大きな感動もな
く、劇的な要素もない・・・。最終話「龍の唄」!これに
大団円があったのか!60年代から70年代のテイストが微
妙に入っているのが面白かった。



「僕だけがいない街」
昔付き合った彼女が苫小牧出身でした。小生も北海道は8
0年代よく旅行に行ったことがあったので、風景もそのまま
(当たり前か)なので、驚きました。でも最後は、親子愛
だったんですよね。



「ブラックラグーン」
「部長、覚えておられませんか。俺はね、もう死んでるん
ですよ。あんたがそう言った。」
この台詞で決まりでしょう。「あー、テステス」は爆笑でした
が。そうなんですよね、これって片須監督!屋台で大喧嘩して


「若おかみ小学生」
これもアニメ版と漫画をすでに視聴、読んでいましたが、
今ひとつ感じるものがありませんでした。でも映画はまった
く別物で、表現方法でこれだけ変わるものかと驚きました。

長々と失礼しました。



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Unknown (人力)
2020-04-29 10:26:20
masasan さん

お久しぶりです。

年代が一緒ですかね?

これらの作品を殆どの日本人が知らないのは国家の損失であると強く主張したい。

私の周囲では超A級のオタク達(クリエーター)は若おかみを大絶賛ですが、普通の人の反応はイマイチ。あの子供絵から先に進めないんですよ。

ここら辺が表面的に物事を見るか、本質を見るかの違いで、やはりそれなりのクリエーター達は感性が鋭い。私はこの作品を「凡人フィルター」と捉えています。

同じ吉田玲子の脚本でも「きみと波にのれたら。」は纏まり過ぎていて、無意識層から込み上げる感動は有りません。やはり「若おかみ」は奇跡的な作品なのだと思います。
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Unknown (人力)
2020-04-29 10:34:21
陰謀論作家さん

とりあえず「うさぎドロップ」観てりんチャンの可愛さに身悶えて下さい。
返信する
Unknown (人力)
2020-04-29 10:37:51
かえるさん

どうでしょう?りんチャンの可愛さに身悶えていらっしゃる事と思います。


なんだかコメントの返信が「波よ聞いてくれ」のミナレ調になってしまった。
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