アンサンブル・ド・ミューズ ニュースレター

レッスンの事、日々の出来事などいろいろと…。

人生を変えてくれた人…♪

2018-08-27 11:08:31 | Weblog
一昨日から昨日にかけて毎年恒例の『愛は地球を救う24時間TV』が放送されていた。
今年のテーマは『人生を変えてくれた人』だった。
番組自体を通して見ることも出来ないし、興味を惹かれた部分だけブツ切れで見はしたんだけど。
ふと、人生を変えてくれた人ねぇ、と考えた。
一人はモーリス・ベジャールだ。
もちろん会ったことなどあるわけなくて、その作品しか知らないんだけど。
以前に話したことがあるかもしれないけど…。
1975年8月のある夕べ。
パリのテュイルリー庭園で“ロミオとジュリエット”の公演がある、というのでみんなで出かけた。
そこは野外ステージで、大きな池に張り出しのステージが設えられていた。
その時までに私が知っていた“ロミジュリ”は、シェークスピアの原作そのままに豪華絢爛な衣装や装置に彩られたものだった。
でも目の前で繰り広げられていたのは…。
ゲネ・プロやってんのかなと思っちゃうような、シンプルなレオタード姿のダンサーたちの踊り。
やがてバリバリバリバリ…っと機関銃の音が鳴り響き、フランス語で
「??????????」
と叫ぶ声…
そして訪れた静寂。
やがて照明がはいると、ステージ奥からゆっくりとアラベスクしながら進んでくるダンサーたち。
なんなんだ、コレは…、“ロミジュリ”だって聞いてたのに…
ただ、何か凄いものを観た、ことだけは分かった。
私のバレエの世界が広がった瞬間だったのかも知れない。
それまでは、ポワント履いてチュチュ着て踊るのだと、なんの疑いもなく思ってた。
白鳥になったり村娘になったりウィリになったり、etc.etc. それがバレエだと思ってた。
でも、その夜に観た不思議な“ロミジュリ”によって何かが変わった。
それがモーリス・ベジャール20世紀バレエ団による『ロミオとジュリエット』だと知ったのは、5~6年後のこと。
そしてもう一人は亡き恩師。
それまでクラシック・バレエのレッスンしかしていなかった私に、バランシン・スタイルのテクニックを教えてくれ、ジャズダンスの基本の≪基≫を教えてくれた。
若かりし頃の彼が共演した海外のダンサーのこと、往年の名ダンサーのこと、バレエ作品のことなど様々な話も聞かせてくれた…、食事をしながら、時にはグラスを傾けながら…。
バランシンやジェローム・ロビンスの作品のVTRを一緒に観たりもしたし、海外のバレエ団の日本公演に一緒に出掛けたりもした。
劇団四季のオーディションを受けてみろ、とすすめてくれたのも彼だし…。
劇団を辞めて戻ったときから、彼の作品を踊り続けられるダンサーでありたいと思っていた。
そのことが教師になった私を今も支えてくれている。
もしもあの夜、ベジャールの“ロミジュリ”を観なかったら、もしも恩師に出会わなかったら、私は教師にはなっていなかったかもしれない。
教師にはなっていたとしても、オリジナルの作品を創るような教師にはなれなかったかもしれない。
恩師にすすめられて劇団四季のオーディションを受けなければ、演出をするということを知らないまま教師になっていたかもしれない。
もしかしたら、バレエから離れたところで生きていたかもしれない。
何かと、誰かと出会うというのはスゴイことだな、と改めておもう




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする