Kimama Cinema

観た映画の気ままな覚え書き

ムード・インディゴ ~うたかたの日々~

2013年11月01日 | 2010年代 欧州


ムード・インディゴ ~うたかたの日々~(原題:L'Écume des jour)


2013年 フランス
監督:ミシェル・ゴンドリー
製作:リュック・ボッシ
製作総指揮:ザヴィエ・カスターニョ
脚本:リュック・ボッシ
出演:ロマン・デュリス、オドレイ・トトゥ、オマール・シー、ガッド・エルマレ、アイッサ・メガ、シャルロット・ルボン


1946年に発表されたボリス・ビアンのベストセラー青春小説「うたかたの日々(日々の泡)」の映画化。

働かなくてもよいほどの財産があり、自由気ままに生きるコランの生活は、奇想天外そのもの。
弁護士であり、料理人から執事、ダンスの手ほどきまでしてくれるニコラは、テレビに映るコックの指示を受けながら
今日も、いたるところの蛇口から現れてはもぐりこむ食材のウナギと格闘している。
挨拶のできるハツカネズミは家庭菜園を持っていて野菜をカゴに乗せて渡してくれたり、細々とした用事もきいてくれる。

コランは友人達のバックアップもあって、パーティで出会ったクロエと付き合うことに成功。
2人のデートは、これまたファンタジック!
楽しすぎる毎日が描かれるのだけど、そんな中でも友人のシックは哲学者ジョン=ソル・バルトルへの
自分を失うほどの傾倒を深めていき、暗い影を落としていく。

コランとクロエは幸せいっぱいに結婚するが、クロエは肺にスイレンが咲くという奇病に侵されてしまう。
コランは愛する妻のためにすべての時間と財産を治療に費やす。

前半が軽やかでドリーミンなタッチで進行していくのに対して、後半のやるせなさが、ズシンときた。
いつかは、つけを払わせられるんだなあ。

妻の治療費を稼ぐため、今まで働いたことのなかったコランがやっとありついた仕事が
銃身がまっすぐに育つように、銃を埋め込んだ土の上に素っ裸で腹這いになり、
延々温めているという、きっつい作業。気ままに生きてきたお坊ちゃんがね・・。

泡のように消えていく幸福。
どんよりと沈むやるせなさと、甘い日々への果てしない憧憬が残る。