君と歩く世界(原題:De rouille et d'os)
2012年 フランス=ベルギー
監督:ジャック・オーディアール
製作:ジャック・オーディアール、マルティーヌ・カシネッリ、パスカル・コシュトゥー
原作:クレイグ・デビッドソン
脚本:ジャック・オーディアール、トーマス・ビデガン
出演:マリオン・コティヤール、マティアス・スーナールツ、アルマン・ベルデュール、セリーヌ・サレット、コリンヌ・マシエロ
この邦題、このスチール写真、日本でのコピーは、「光射す方へ 一歩ずつ 二人で」
どうしたって、二人で歩んでいく物語だと思うじゃないですか。
ところが、ところが・・・
二人は、一緒にいても、それぞれ違う世界を生きているのです。
5歳の子どもを連れ、元格闘家だったアリは今は警備員の仕事を求め、点々としている。
シャチの調教師だったステファニーは事故で、両足を失ってしまう。
アリは、ステファニーを散歩へ連れ出し、海を見ると「泳ぎたい」と言って、急に自分一人だけで泳ぎだす。
光輝く海で泳いでいる彼を見つめていたステファニーは、そこで失っていた鋭気を取り戻し
膝下から無い足をさらけ出し、泳ぎだすのだ。
この光(影響)を受けて、変身を遂げる早さは、まさに女性ならでは。
ステファニーの強さは、凄まじかった。
彼女は両太ももに刺青を入れる。右足に右、左足に、左と。
それは義足のつける利便性のためかも知れず、損なわれた足の代わりかも知れず、
一歩一歩、右、左と前に出して歩んでいくためかも知れず。
一方、アリは、その時その時を真剣に生きている。
やりたいことをやる。自分の人生なんだから。
だから、彼には未来なんて考え方はない。
計画性のなさを指摘されても、どうもピンと来ない。大切なものを失ってしまう、その時までは。
どっちが良いなんて言えない。
男女の差は、遠いなあ・・・と思えた。
でもね、その遠さをものともせず、
ステファニーは義足で堂々と歩いていくんだよね、アリのもとに。
眩しいほどに強い女性です。
ああ、先月は「よりよき人生」でギョーム・カネに涙ぐまされたばっかりなのに
今月は奥さんのマリオン・コティヤールにやられちゃったなあ。