Kimama Cinema

観た映画の気ままな覚え書き

ザ・グレイト・ロックンロール・スウィンドル

2013年01月14日 | ロック映画、映像

ザ・グレイト・ロックンロール・スウィンドル(The Great Rock 'n' Roll Swindle)

1980年 イギリス
監督・脚本:ジュリアン・テンプル

「騙された気分はどうだい?」とは、ジョニー・ロットンのラストライブでの発言。
偉大なるロックンロール詐欺(映画タイトルの直訳)! まさに!!

マネージャーのマルコム・マクラーレンが語り手となる「セックス・ピストルズ」のドキュメンタリームービーとされる
・・・のだが、ジョニー・ロットンらは「事実無根!」と怒り、後に同じ監督に依頼して「ノー・フューチャー」という
リアルドキュメンタリーを作成するという経緯も。

演奏シーンやメンバーの未公開映像、アニメーションやらマクラーレンの語りや、そいらのガキどもが騒いでるとこを
繋ぎ合わせたスクラップ映像で、すべてにおいてインチキ臭く、おふざけなのはもちろんわかるから、
わざわざ「事実じゃない」って、腹をたててもなあ~。
でも、それもこれも合わせてピストルズらしい!

1976年に結成されたセックス・ピストルズは、社会的な一大センセーショナルを巻き起こした。
反体制的な歌詞に奇抜なファッション、言動などから、保守層からの反撥をくらい、ライブ会場では中止運動が絶えなかった。
マネージャーのマルコムは「音楽性はともかく、ジェネレーションギャップを創り出す方が肝心だ」と。
大手レーベルとの契約破棄や逮捕などのスキャンダルを繰り返し、アメリカツアーの最中に、ジョニー・ロットンがバンドを
脱退。スティーヴ・ジョーンズとポール・クックは列車強盗犯などにボーカルをとらせ、マルコムは嫌がるシド・ヴィシャスに
「My Way」の替え歌を唄わせた。
無理に書かされた歌詞だと思うとほんとにひどいけど、唄ってるシドもかっちょいい。

これって、ジュリアン・テンプル監督だからこそ、このバランスを保てたんじゃないかなあ。
この内容で他の監督だったら、もっと際どくお下品な作品にもなりそうで、ちょっとゾッとします。