Kimama Cinema

観た映画の気ままな覚え書き

ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち

2017年11月27日 | 2010年代 米

ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち(原題:Miss Peregrine's Home for Peculiar Children)

2016年 アメリカ
監督:ティム・バートン
製作:ピーター・チャーニン、ジェンノ・トッピング
出演:エイサ・バターフィールド、エヴァ・グリーン、サミュエル・L・ジャクソン、
エラ・パーネル、テレンス・スタンプ、クリス・オダウド、アリソン・ジャニー、
ルパート・エヴェレット、ジュディ・デンチ
撮影:ブリュノ・デルボネル
編集:クリス・レベンゾン
音楽:マイク・ハイアム

奇妙なこどもたちに、奇妙に魅了される。

ちびっこで甘えっ子なのに怪力のブロンウィン、すぐに裸になっちゃう透明人間のミラード、
モノに命を吹き込むイーノックに植物を操るフィオナ、自分の夢を上映できるホレース、
仮面を被った双子(たまたまだろーけど荒川アンダーザブリッジだー♪)、指先から火を放ち、
お茶も素手で沸かしてくれるオリーブ、蜂を身体中にまとわせるヒュー、後頭部に2つ目の
口を持つクレア。

そして、空気より軽くて宙に浮いてしまうエマ。
もう彼女ときたら・・・
飛んで行ってしまわないよう鉛の靴を履いていて、その靴のままスルリと海の底へと沈んでいく
甘美的なことといったらない。
もちろん水中で呼吸することができ、さらに風を操るチカラも持ってる。

この奇妙なこどもたちの事を、ずっと祖父から聞いて憧れていた少年ジェイク役に
あの「ヒューゴの不思議な発明」のヒューゴくん! 
大きくはなったけど、やはり不思議の国の住人であることに変わりなく、感無量。

さらにミス・ペレグリン役にエヴァ・グリーン、敵のバロン役にサミュエル・L・ジャクソンと、
そもそもの存在自体がCGのような人たちがキャスティングされ、御伽話感がとまらない。

ティム・バートン色の世界にどっぷり浸かれる127分。
おじいちゃんと孫の恋心が重なるのが、ただただ切なかった。

ダンケルク

2017年10月07日 | 2010年代 欧州

ダンケルク(原題:Dunkirk)

2017年 イギリス=アメリカ=フランス=オランダ
監督・脚本:クリストファー・ノーラン
製作:エマ・トーマス、クリストファー・ノーラン
製作総指揮:ジェイク・マイヤーズ、グレッグ・シルバーマン
出演:フィオン・ホワイトヘッド、トム・グリン=カーニー、ジャック・ロウデン、ハリー・スタイルズ、
アナイリン・バーナード、ジェームズ・ダーシー、バリー・コーガン、ケネス・ブラナー
撮影:ホイテ・ヴァン・ホイテマ
編集:リー・スミス
音楽:ハンス・ジマー
美術:ネイサン・クロウリー

「『ダークナイト』『インセプション』を撮ったクリストファー・ノーラン監督の
最高傑作!!!」という触れ込みを真に受けると、物足りなさもあるかもしれない。
嘘ではないにせよ、前述2作とは同じ線上にはなく、方向性が違うのだから。

ダンケルクは、フランス北部の街。
第2次世界大戦でドイツ軍に連合軍の兵士たちが追い詰められ、彼らを救うため、
民間の小さな船舶もを動員して、総掛かりで大撤退が進められた。

この史実をもとにした戦争映画にも関わらず、敵兵の姿はない。
派手な戦闘シーンもない。
重要人物であるチャーチル首相さえ出てこない。
説明もセリフも最小限。
40万人の兵士たちが右往左往した浜辺の一週間、救助にかけつけた民間船の1日、
援護に向かった戦闘機の1時間が交差して描かれる。

敵襲に怯え、ギスギスする英仏の兵士たち。
戦況が不明のまま、にっちもさっちもいかない状況が続く。
目を凝らしても見えてこない部分が多くて、いつまでたっても緊迫感が解けず、
不安が募り、焦燥がつきない。

そんな中、名もない人達が己の信念を貫き、大撤退の礎となっていった。
その熱い想いがさざ波のように静かに広がって、胸を打つ。

グッバイ、サマー

2017年09月17日 | 2010年代 欧州

グッバイ、サマー (原題:Microbe et Gasoil)

2015年 フランス
監督:ミシェル・ゴンドリー
製作:ジョルジュ・ベルマン
脚本:ミシェル・ゴンドリー
出演:アンジュ・ダルジャン、テオフィル・バケ、ディアーヌ・ベニエ、オドレイ・トトゥ、ジャナ・ビトゥネロバ
撮影:ロラン・ブリュネ
美術:ステファヌ・ローゼンバウム

誰も彼も、ノープランで走り出しちゃえる、そんな年。
どこの国の14歳も同じだなあ。

女の子に間違われる見た目をコンプレックスに思っているダニエルは
転校生のテオと意気投合し、自分たちで作ったスクラップの車で
旅にでる。
少年たちのワルぶってるらしき素行がかわいくて、かわいくて
胸が苦しくなるくらいだった。

大人じゃ無いし、子供じゃない。
自分たちだけでなんでもできると思っていて
気の合う友達がいれば無敵でサイコー!
一度きりの特別な夏。

TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ

2017年06月24日 | 2010年代 邦

TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ

日本 2016年
監督・脚本:宮藤官九郎
製作:長澤修一、市川南、藤島ジュリーK.、井上肇、畠中達郎、長坂まき子、高橋誠、宮本直人
出演:長瀬智也、神木隆之介、尾野真千子、森川葵、桐谷健太、清野菜名
撮影:相馬大輔
編集:宮島竜治
音楽:向井秀徳


修学旅行中の高校生たちを乗せたバスは、崖の下に真っ逆さまに転落。
そのバスの中の高校生のひとり、大助が目を覚ますと、そこは地獄だった。
大助は想いを寄せる同級生・手塚ひろ美に再び会うため、赤鬼のキラーKに
導かれ、現世での転生と死(地獄へ直行)を繰り返す。

テレビサイズの枠を外れた宮藤官九郎監督作品だからこそ!どんな突拍子もない
地獄をみせてくれるだろう、と期待していたら、なんともハリボテちっくな
安っぽい舞台装置が・・・これ、地獄なん? 学校もあって、鬼も軽音部で
「地獄図(ヘルズ)」なんてバンド組んでてバンドバトルもあって・・・って
コントかよ? 拍子抜けさせられながらも、ぐいぐい展開に魅せられていく。
早くも手玉に取られてる感覚が、快感でもある。 

獣として現世に戻る畜生道を選んだ大助は、生前通っていたスタジオパンダを基軸に
鳥になったり、ザリガニになったりして、同じよーなところをいったりきたり
しながら、バス事故から生き延びた同級生ひろ美の人生を追いかける。
キラーKも実はスタジオパンダのさえない店員だったりして、なんてミニマムな
輪廻転生だろう。

いや、しかし煩悩と執着によって生命は輪廻転生するのだから、案外みんな狭い
世界で生き死にしてるのかも、そうなのかも?なんて妙にしっくり納得してしまった。

トレインスポッテング2

2017年05月23日 | 2010年代 欧州

トレインスポッテング2(原題:T2 Trainspotting)

2016年 イギリス
監督:ダニー・ボイル
製作:アンドリュー・マクドナルド、ダニー・ボイル、クリスチャン・コルソン、
バーナード・ベリュー
脚本:ジョン・ホッジ
製作総指揮:アービン・ウェルシュ、アロン・ライヒ
出演:ユアン・マクレガー、ユエン・ブレムナー、ジョニー・リー・ミラー、
ロバート・カーライル、アンジェラ・ネディヤルコーバ、アービン・ウェルシュ
撮影:アンソニー・ドッド・マントル
編集:ジョン・ハリス
美術:マーク・ティルデスリー、パトリック・ロルフ




「トレインスポッティング」20年ぶりの続編! しかも主要スタッフ・キャストをほぼ変えずに!!
リバイバルブームとはいえ、この作品がまた観れるなんて、まさかだ。
ジャンキー漬けの仲間たちとの生活を描いた前作は、映画初主演だったユアン・マクレガーの
無垢な魅力とエネルギーに溢れていた。
あのレントンに再び会えるのだろうか、いや変わってしまっただろうか、もちろん変わっていて
当たり前だよね、でもやっぱり・・・期待してはいけないと迷いつつも、学生時代の恋人に再会
するような気分で劇場に足を運んだ。


果たして・・・!
そこにはレントンがいた。
20年分の歳をとったレントン。
大金を持ち逃げした後に、他国で人生をやり直した彼が故郷のスコットランドに戻ってきた。

変わった? 変わってない? 変わった? 変わってない?
はじめの20分くらいはそんなことばっかり考えてた。
そんな私の(観客の)気持ちを追いかけるように、前作のシーンへのセルフオマージュが
幾つも仕掛けてあって、ニヤリがとまらない。
そして、なんといっても、ワンシーンごとにかっこいい!!!
そうそうそう、この感じ。
懐メロも近年のヒット曲も狙いすました映像に気持ち良くサーフしていく。
やってることは相変わらずクズなのに、どうしてこんなに惹かれてしまうんだろう。

いまだドラッグから抜け出せず自殺しようとするスパッド、美人局でせこく稼いでいる
シック・ボーイ、刑務所から無理やり脱獄してきたベグビー、かつての仲間との再会で
繰り広げられるすったもんだが、ちょー楽しかった。

前作を観てない人、はまってない人には意味不明な限定的な作品かもしれない。
これは失われた20年を埋める後日談。そして20年前のあの日に帰っていく物語。