WIND AND SOUND

日々雑感 季節の風と音… by TAKAMI

5「お通し」と「お味噌汁」

2006-08-05 | クラブ活動時代
席料 ¥10000

あたりめ ¥2000
野菜スティック ¥2000
ミックスナッツ ¥2000
焼そば ¥3000
サラダ ¥3000~
フルーツ ¥3000~


ボトル ¥15000~

アイス ¥1000 ←1杯
ミネラル ¥1000 ←1本

…こんな感じ。
この値段は、お客さまに毎回お見せするメニューに明記してあるのです。

アイスやミネラルはセット料金になっているお店もあるようですが、「クラブC」は全部1品ずつです。恐るべし。そして、アイスやミネラルは、ホステスがどんどんお酒をお作りして、どんどん勝手に追加します。もちろん売り上げをあげるためです。
あるお客さまが、「ここのお店は、同じものをオーダーしても、行くたびに値段が違う」とおっしゃっていましたが、コレは、「アイス」と「ミネラル」の本数が毎回違うからと思われます。でも、ほんと~~~に明朗会計なのかどうかは、一介のヘルプである私にはわかりません。
でも、そんなことを気にするようなお客さまは、来なくても結構でございます…的なところはあるのかも、、、
だいたい、座って飲んでこんなもので、満足…と思っていただける方だけお越しくださいという感じでしょうか。
お客さまが2名でいらして、既にボトルが入っていて、一番安い「あたりめ」「野菜スティック」をオーダーして、だいたいおひとりさま¥20000程度でしょうか~? これが最低ライン。
でも、この席に、たまたまお店が暇で、女の子が3名ついたり、しかもめちゃ飲んべ~の女の子だったりすると、ホステスは容赦なくお客さまのボトルをいただき、ミネラルとアイスのおかわりをするので、、、、

お客さまは、お通しを食べに来てるわけでも、3000円の焼そばを食べに来てる訳でもなく、あくまでも「女の子」との宴、またはしっとり語らう…などが目的なのであります。
でも、あたりめを2000円でお出しするからには、ただのあたりめを無造作にお皿に乗せてどさっと出すワケじゃなく、一応、わりと美味しい、質のよさそーなヤツが、品良く盛られて、小皿にマヨや七味も添えられて、まぁ~中流のお嬢様が品良く着飾って、オペラハウスのボックス席に座っても一応OKよ…ってな感じ。
野菜スティックも、居酒屋で「はいおまちぃ~」といってどすん!と出てくるのとは、さすがに違います。太さが揃ってる、ちゃんと「仕事」がされてる。こちらも、まぁまぁ中流のおぼっちゃまが、仕立てのいいスーツにボウタイでお出ましになりました…ってカンジ。

私は、バーテンダースクール時代に、1/4個のリンゴで1000円のオードブルを作る…なんてのを、やりました。ペティナイフを使って、かわいい切り方、飾り付け、盛り付け、要するに「仕事」を施して、1個の100円のリンゴを4000円
分のオードブルにする…ってな実習です。これはもぉ~「作品」です。
クラブCでは、この「仕事」を、フロアーには決してカオを出すことのない調理担当さんが、狭いキッチンでやっているのです。

ところで、ここのお店でお金をいただかないのは、最初にでてくる「お通し」と、閉店のときの「お味噌汁」。

毎日の「お通し」を、当時の調理担当の男の子は、一所懸命考えて、作っていました。細長い重厚なガラスのお皿に工夫を凝らした美味しい3品を彩り良くきれいに盛り付けて、すべてのお客さまにお出しするのです。子供のお弁当の世界みたいだけど、ママ曰く、「うちは席料が1万円だけど、極端な話、この『お通し』が1万円だと思ってる方もいらっしゃるので、いい加減なものはお出しできません」。
ところが、殆どのお客さまは「お通し」には目もくれないのです。
おままごとのような、ちょこっと一口ずつのお通しは、「子供騙し」だと思っていらっしゃるのかなあ… お箸をつけることがみっともないと思っているお客さまも中にはいらっしゃいます。 なので、この1万円?のお通しは、私たちホステスがいただくことが殆どで、かといって、お客さまの「お通し」を各テーブルでかたっぱしからたいらげるワケにもいかなくて… 悲しいのは調理担当くん、、、(T_T)

閉店前に出てくるお味噌汁も、とっても美味しいのです。出汁ははっきりいって、「うまみ調味料系」だよ。でも、心行くまで飲んで楽しい時間を過ごした最後の締め的には、サイコー。
私のお気に入りは卵まるごと1個が入ったお味噌汁だったんだけど、コレって、閉店前に残ってるお客さまの人数分の卵をそぉ~~~っと落として作っていたんだろうか…?? 卵の固まり具合なんか絶妙!これはさすがに美味しいので、お客さまも召し上がります。でも、女の子たちと盛り上がりまくった宴のシメ、「キミたちどうぞ」といって下さることがこれまた殆ど。それでもお客さまに「美味しいからぜひ召し上がってね」みたいなカンジでオススメするんだよ。

こうして、「調理担当さん」の仕事は、お客様の評価を受けることも殆どなく、やがて彼は辞めてゆきました…
彼に幸アレ! 本当に彼の仕事が正統に評価される職場で、思う存分「アーティスト魂」を発揮してほしい…
Comments (9)
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