嘗てのボスが、敗れた。
比例でも惜敗率が(私自身の予想以上に)低く、当選はならなかった。惨敗だった。
心の底で私は彼を応援していたのだろうか?
いいえ、していなかった。
これまで、選挙に強く、運も味方につけて、初当選以来ずっと勝ち続けてきた人だった。
「政権交代」を!…というところから始まったボスの政治家としてのスタート。
私は第2回目の選挙からウグイスとして、当選後は、事務所のスタッフとして、7年間、ボスのもとで働いていた。
党の部会への代理出席、スケジュール調整、戸別訪問、名簿作成、DM作成や送付、一通りの「政治家の秘書」としての業務を経験した。
特に興味深かったのは、「部会」への出席だった。
「法案」を国会に上程する以前の段階で、党の部会の中で、「案」を詰めていく会議。
これまでに、全く考えたこともなかった、医療、薬価、基地、個人年金、都市政策、遷都、臓器移植、その他多数…の法案作成の議論の場面に居合わせて、感じたことは、「日本はここまでひどいことになっているのか…眩暈がする、あり得ん!!」ということだった。
このツケは、次世代が担うのか、、、
全く、そうなのだ。
このままいけば、日本は崩壊してしまうんじゃないか…というほど悲惨なことになっているのに、国民のほとんどは、その実体を知らない。
選挙になると、キレイごとばかり言って、目に見える美味しい政策を、それぞれの党が掲げてくる。
その財源はどうなるの? 本当に、どうなるのだろうか。
10数年前に私が「ウグイス」をやったときの日本の赤字、それでも眩暈がしたのに、今は、それよりももっと、たったの10年あまりで、もっともっと膨れ上がっているではないか。政治は何をやってきたのだ。
子供や、孫の世代に、莫大な借金を残していって平気なのか。
常識的に考えたら、自分の子供に借金を残して死ぬなんて、あり得ん!
自分の子供には、豊かな財産を残して死にたい。
私にとって財産とは「お金」のことではありませんが。
政治家は、自分の子供にだけカネを残せたら、それでいいんだろうか。
自分の支援者だけに目先の利益をもたらせばいいのか。
そんなはずはない、本物の政治家は、遠い未来の日本を見据えている筈だ。
10年以上も前のその頃、財政再建のためには、この現状では、景気対策や「無駄をなくす」為の見直しだけでなく、国民ひとりひとりが、厳しい現実を認識して、血を流すことを覚悟しなくてはいけないのは、火を見るより明らかだと感じた。
なのに、まださらに、真っ赤な雪だるまが膨れ上がっていっている。
私は母子家庭なので、児童扶養手当を頂いているが、これも、母親の収入によって、細かく金額が設定され、「自立支援」の方向、やがては廃止の方向に向かっていっていた。(自民党政権において)
「国に頼るな、国にはそんな体力がない、自分の意思で離婚したんだから自分で稼ぐ努力をしろ」ということだ。
両親揃った一般家庭は、母子家庭の扶養手当なんて、全く関係ないこと。
予算の配分には、このようなことがここかしこにある。
「自己責任」という言葉が政治の中で流行った。
私は賛成です、自己責任。
「政治家を選ぶ」という観点から。
自分が政治からの利益誘導を望んでいれば、結局そういう政治家を選ぶのだ。
本当に信頼して自分の払う税金の使い道を任せられる政治家を、自分で選ぶというところが、「自己責任」の出発点なのだと思う。
こんなに雪だるまのように、赤字が膨らんでしまったのは、「国民の総意」なのだ。「自分とその周辺さえよければ」という。
民主党の主立った議員は、自民党を離党してきた人だ。
「二大政党を」と、彼らはずっと以前から構想し、政権与党を離れていった。
自ら野に下り何十年というロングスパンで実現へと歩みを続ける靴に履き替えることは、「凡人」には思い及ばない。素直に凄いことだと思う。
私は以前、今はなき、とある政党の様々な部会に出席しているうちに、ある時突然その政党が掲げている「理想の国家」像が見えた。
「なるほどぉぉぉ~~~、政党って、こーゆうもんなのね」
…って、今さらアホかいなとお思いでしょうが、それぞれの政党には、それぞれの国家の「理想像」がある。
ウチの政党は、こんな国づくりをしたい、そのためにはこのような政治をやります、その為には、このような法整備をします…というもの。壮大なロマンです。わくわくします。「国づくり」なのです。政治家の原点は、そこにあるのだな。
本物の政治家は、「国づくり」を見据える目を持っている。
韓国人の友人が、「韓国では、政治は総合芸術といいます」と言った、ソレだようんうん。
マニフェストはまさにそれを具体的に公約というかたちで国民に示しているものだが、私としてはうさん臭い。「負」の部分をうまぁ~く包み隠しているからだ。選挙に有利に…勝つために。
「なんか難しくてわからない」のは、そういうことなのだ。
民主党のマニフェストも、私の頭ではキレイゴトのようで、ほんとにこれは根っこがちゃんとあるのだろうか、俄かに信じられないと思いました。正直いって全部は読んでいません。
嘗ての私のボスも30代前半、新人のときには「政権交代」を掲げて立った。
しかし、彼は、政党の分裂、編成に翻弄された挙句、自民党に入党した。
彼の嘗ての仲間の政治家は、今、自民党と、民主党に分かれている。選挙のたびに、明暗も分かれている。
以前にも書いたことがあるかもしれないけれど、私は、彼が入党した日に、ものすごい悪夢を見た。「自民党列車」に乗せられて、長いトンネルをどこへいくかもわからず列車は暴走していく。車内の通路のあちこちで、人が倒れ、泡をふいていたり、、という夢…
自民党本部というところも、ものすごく威圧感を感じて、代理出席に行く足どりは重かった。
でも、そんな中でも、自民党の中にも、共鳴できる政治家がいることも感じた。
「政党でひと括りにできないものがある」と自分に言い聞かせながら、それでも私は、たぶん、ボスからは心が離れていった。
ボスは支援者にはとても腰の低い人だったが、スタッフには厳しかった。
厳しいというよりも、我儘で、側近の秘書ほどボスの顔色を伺い、気を使っていた。
そんな政治家は、ボスだけではない、とても多い。
激務でそうならざるを得ないところは、ちょっと弁護してもいいとは思う。
側近スタッフ達は、毎朝、白い顔で出勤し、胃薬や、栄養ドリンクを飲んでいた。
彼から離れていた人たちは、「日々、メシがウマイ」といっていた。
議員のスタッフ(秘書)というのは、政治に興味があって、将来立候補したい…という志をもってやってくる…というものだと思っていたけれど、ある時、求人情報誌に、私設秘書の募集広告を掲載して、採用した頃から、だんだん、事務所の雰囲気が変わってきた。
「企業系」「サラリーマン系」って、、私はそういう職場は経験ないけれど、たぶんそうなのだ。所内の雰囲気が「会社」のようになってきた。
恐らくは「議員秘書」の経験、肩書きを、次の転職への足がかりにしようという人たちが次々に入ってきた。
そして私は、その「ビジネス系筆頭秘書」から勤怠の悪さを理由にリストラされたので、その後その人たちが、どうなっていったのかは知らない。
嘗てのボスは、敗れても、家業があるし、もともと「ビジネスが自分の本分」のようなことを仰っていたので、どんな状況でも叩き砕かれることはないと思う。
しかし、彼はこれからどうするんだろうか?
「政権交代」「二大政党」
いつかは、自分達の仲間から総理を!
そんな理想を掲げて政治家になったその人が、民主党に政権を奪われ、敗退していった。
自民党に入党したそのときから、いつかはこうなる日が来ることはわかっていたはずである。私でさえわかっていたんだもの。
野に下っても、不屈の精神で次回に挑み、、党を浄化して、本当に二大政党が凌ぎを削る体制になって、本当に日本の未来のために、また新生自民党の担い手として、返り咲いてほしいと心から思います。
しかし…彼は、そういう精神を今なお持ち続けていらっしゃるのだろうか??
悲しいことに、人は、その置かれる環境によって変わる。
奢ったり、荒んだり、病んだり、罪を犯したり、手の平を返す、ケツを捲る、、、
エラソに書いている私も、そんな弱い心を隠し持っている。
完璧に清く正しい人間はいない。
「ほんの少しでも良くなろう。そのためには、ちょっとしんどくても。」
この、眩暈がするほどの赤字国家、「これだけ節約して、これだけ努力しても、児童扶養手当は今までの半分しか支給できない」と言われても日本の未来のためならと納得できる政治であってほしい。
「うんわかった、よっしゃ、あと2万円分、頑張って働くよ。あと20時間追加だな。」
…本物の政治家を選ぶ澄んだ目を持っていたいと思う。
追伸(^_^;)
選挙にTakを連れていきました。
体育館の入り口に、「投票する人以外の入場禁止、幼児を除く」みたいなことが書かれていました。(投票したあとで知った)
そんなん、知らなかった、これって「法律」? 全国共通?
制止されることもなく、Takと一緒に入場できましたが、
私は、これまで、選挙にはいつもTakと一緒に行っていました。
府中市では、選挙に一緒に来た子供は、紙風船を貰っていました。
Takは、選挙の結果をとても興味を持って、TVを見ながら、「政権交代」の意味をたくさん質問してきました。
自民党と民主党は、どこがどう違うのか聞かれました。
「税金の無駄使い」って何?とか
「小選挙区で負けても比例で当選するとはどういうことか」とか
その前に、まずは「政党」とはなんぞや…から、、、(@_@;)
子供に、選挙を噛み砕いてわかるように説明して、話し合うのも楽しかった。
以上。夏休み終わり。
今日から秋の靴に履き替えて、、、、
2ヶ月後のLIVE、まだなにも手付かずなんてあり得ん!!
これからは、LIVEに向けてひた走る日々です。