WIND AND SOUND

日々雑感 季節の風と音… by TAKAMI

「城西館」2 老舗のプライド

2006-08-18 | 光と風と旅
私、1泊の小旅行は結構しているし、いろんな宿に泊ったと思います。最近は、ビンボーなので、高い宿にはあまり泊ってませんでしたが、バブリーな頃は、高級ホテルや旅館も…。

だいたい、高級ホテルや旅館は、車で玄関まで乗り付けると、係りの方に鍵を預けて、駐車場へ車を異動していただき、荷物はポーターさんが運んで下さいますが、そんなところに最後に泊ったのはいつだっけ?

私が宿を選ぶときにいちばん重視するのは「料理」なのですが、こればかりは、どんなに写真が美味しそうでも、食べてみないとわからないので、とりあえず本やネットで、なるべく写真に頼らずに情報収拾します。新しめの宿などは、創作懐石料理や、目で楽しめるようなものも結構あるし、浴衣を選んだり、アメニティが充実していたり、建物のデザインが凝っていたり…と、うきうきと旅が楽しくなる宿は多くなっていると思います。
けれど、シビアな目でみると、「宿」を建てることよりも、その宿を維持して行くための人件費がいちばん問題になるところで、ここにかかる経費の節減が、経営側としては最もシビアなのでは、、
その結果、「もてなす」ことにかかる人件費をうま~く節減して、浴衣選びや、貸切露天風呂や、アメニティのサービスなんかに転換しているのではないんだろうか??
これって、ある程度仕方のないことなんだろうなぁ。
時代はなるべくプライベートを重視して、人との接触を避ける方向に向いているようだし…
私も、長い間で、慣らされてきてたんだな。

でも、「城西館」は違いました。
館内に1歩踏み込むと、いたるところから、「いらっしゃいませ」「いってらっしゃいませ」「ありがとうございました」と、スタッフの方たちが、仕事の手を止め、足を止めて挨拶して下さるのです。
フロアーや廊下ですれ違うスタッフの方たち全員がです。

私たちは、急な飛び込みの客なので、「お部屋食」を選ぶことができませんでした。
厨房から作りたての料理を部屋ごとに運ぶことにかかる労力を用意していただくのが間に合わなかったのではと思います。
(そのおかげで、昨夜アップしたような感動を味わうことができたのです!)
お客さまのお部屋にお料理を運ぶ…暖かいもの、冷たいもの、一刻も早く届けるためにスタッフが一丸となって、連携プレーで超達人のワザでやってるんだろうな。でも、宿泊客の目には、優雅でにこやかな仲居さんしか映りません。
私たちが、「フレンチディナー」をいただきにレストランにいくのにエレベーターホールに向う時、各部屋の入り口にワゴンが並んで、廊下は「裏」の世界になっていた… 
ワゴンでお部屋に料理を運ぶ数人のスタッフの方とすれ違いました。みなさん、「仕事の手をとめて」声をかけてくださいました。「いってらっしゃいませ」。

大浴場のスタッフさんも、翌朝の室内清掃のスタッフさんも、みなさんでした。

そして…

翌朝、TVの天気予報を見て、こりゃ~いよいよマズいぞ…ってんで、いろいろ本日の計画を立てているうちに、あっという間にチェックアウトタイム。お友達が先にフロントに行ってチェックしてくれている間に、大急ぎでTakの宿題や散らかした荷物を片付けて荷造りしているところへ、スタッフさんがお掃除に踏み込もうと待ち構えてる気配。
バタバタとチェックアウトの時間ギリギリに部屋を出たので、玄関にはもう車を用意していただいていて、乗り込もうとしたら、
「お客さま、お忘れ物があるようです。お持ちいたしますので、暫くお待ちいただけますでしょうか?」
エッ…( ̄_ ̄|||)…なんじゃろう
私だ、絶対! 最後に点検したハズなのに、何が来るんだろう!?パンツとかだったらめっちゃ恥ずかしいんですけど、いや~んどうしよう…

でっ、届いた忘れ物は、クローゼットの浴衣入れの中に、浴衣に紛れて入れっぱなしで、暗くて荷造りのとき見つけられなかった「hawkさんTシャツ」だったのでした!!
凛ちゃん、hawkさん、ごめんなさいm(_ _)m
無事に戻ってきました。
…にしても、この旅館の連携プレー、ほんとにものすごいです。
私、チェックアウトタイムだから、お部屋のお掃除が待ち構えてるんだなーと思っていたのでしたが、実は、お客さまが退室した後、いち早くお忘れ物がないかを点検して、あれば出発前にお届けできるように!!という、これも一刻を争うサービスだったのよね。
でも、これがパンツとかだったら、きっと「お忘れ物があるようです」なんて、わざわざ持ってきて「コレですよー!!」なんて言うワケないよね(^_^;)
う~~ん、試してみたい衝動に駆られるワシ…

そんなワケで、また行きたい、絶対いきたい! いや、絶対いく!!

久々に泊った一流の旅館ですが、お値段は、私たちの泊ったプランは2万円以下でした。もちろん、もっと高いプランはたくさんあります。でも、ひとたびここの旅館の敷居をまたぐと、料金の差によるサービスの差なんかないのだと思います。
館内には、創業者の方の大きな肖像画が飾られ、客室には伝記の本が置かれていました。
創業以来のおもてなしの精神をずっと保ち受け継いでいるという、老舗のプライドだと思います。

「プライド」って、大好きな言葉。
決して他との比較でなく、自分自身を信じて誇りを持つこと。
それを、創業以来、この旅館のおもてなしにかかわってきた全員のスタッフが持って、受け継いできたのかと思うと、、、私自身も一夜の宿で、たくさんの大切なことを学ばせていただいたのでした。


さ~~~~て。
この予定狂いまくりの高知旅行、結果的には、Takの夏休みの宿題旅行!?とでもいうなかなかナイスな展開になったのでした。
では、またあした。
Comments (7)
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