特別編 年金特別便だヨ その１

　お嫁さんにも、年金特別便が来ました。
　彼女は、来日当初はワタシの扶養家族で、
会社員の妻、ということで、３号、でしたっけ？
　被保険者だったのですが、少し前に、お嫁さんが勤めている
会社から申し出があり、自分で厚生年金を掛けるように
なったのです。

　彼女は、仕事に関しては、恐ろしいほどまじめで、
イイシゴトをするのを、会社も認めてくれたようです。
　数あるパートさんの中から、厚生年金パートさんが
少しだけ選ばれて、その中にお嫁さんもはいっていたのですから。

「常務さんに呼ばれてね、是非、厚生年金のパートさんに
　なってください、って。
　日本人は、仕事をちゃんとやれば、外国人でも認めて
　くれるからイイネ」
　
　さて、年金ですが、会社から帰宅した処、郵便受けに、
お嫁さん宛の、年金特別便が入っていたのです。

新しいオウチにて その６３

　お嫁さんの性格は、はっきり言って
少し暗いです。

　人間には
暗い人も明るい人もいます。
　一般には、明るい人が奨励され
暗い人は改めるように要請されます。
　しかし、性格ってのはそう簡単に
変われるものではないでしょう。

　それに、
明るい人は、軽薄なだけかもしれません。
　暗い人は、思慮深い人だから、かもしれません。
　色々な性格があってこその個性でしょう。
　色々な人がいてこそ、色々なモノの見方が
出来て、多様性が確保されるのではないか、
と思うのです。

　明るい性格の方が、人生は楽でしょうが、
だからといって、暗い性格の人を
責めるのはどうか、と思います。

新しいオウチにて その６２

　マンションが新しい為でしょうか。
やたら、照明が多いのです。

　１ＤＫの公団住宅のときは、和室に一つ、
　台所に一つ。風呂兼トイレに一つ。
　玄関に一つ。
　合計四つだけでした。

　それが新しいマンションでは
え～と・・・リビングに二つ、台所に二つ・・

　全部で・・・２０ぐらいありますね。

　電灯のスイッチは、手のひらぐらいの大きさが
ありますし、ＬＥＤランプが装着されていますので
夜は、蛍みたいにキレイになります。

　ケチ、いや環境を大切にする彼女は
必要な部分しか点灯させません。

　リビングなんか滅多に点灯しません。
　台所からもれる灯りだけです。

　だから、新しいオウチなのに
いや、オウチが大きくなったので
少し真っ暗なのです。

「小江、性格、暗いだから、くらくて結構ですヨ」

新しいオウチにて その６１

「あのなー、リンゴくれるんなら、
　もっと優しい声でお願いしますよ」

　これは、オウチが広くなったのが原因です。
　広くなったので、彼女も大きな声を出さざるを
得なくなったのです。

　もともと大きい声なのに。

　お陰で、寿命が縮みますヨ。

　得るものがあれば失うものもある、と
はよくいったものです。

　失ったものといえば、オウチの中が暗くなりました。

新しいオウチにて その６０

「ワァー！！　よ～ちゃん！！」

　突如、台所で、お嫁さんが絶叫しました。
　自室で、ネットをやっていたワタシは
跳び上がりました。

　なんだ、なんだ、何なんだ？
　最近は、何も悪いことはしていないはずだが・・・。
　それともワタシに、又、何か無理難題を
　ふっかけるつもりなのでしょうか。
　もしくは、例によって因縁をつけて
イジメルだけなんかな。
　
　疑心暗鬼。疑心暗鬼

　オッカナビックリ、台所に急行します。

「ど、どうした？！」

「リンゴ食べるか？」

「・・・・・」

「リンゴ、皮剥いたヨ。リンゴ食べるか？」