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科学技術

2009年05月31日 | 社会派らぼ
「足利事件」などと呼ばれている事件があります。平成2年に足利市の河川敷で発見された女児の遺体をめぐって、逮捕された男性はDNA鑑定の結果、無期懲役が確定しました。20年近くの年月が経った今、DNA再鑑定が開始され、被害者の衣服に付着していた体液は、受刑者本人のものとは異なる…という結果が出たというものです。

難しい技術的なことは分かりかねます。要は専門家が調べたところ、20年前には区別できなかった細かい違いが見分けられるようになり、最新の技術ではDNAは異なるとの判定が下ったわけです。

一旦は自白したようですが、途中から否認していた男に、最終的に無期懲役の刑が確定したのは、DNA鑑定によるものだったわけですから、裁判そのものの信頼性は大いに揺らぎます。冤罪である可能性も出てきたことになります。

サイエンス-科学技術というものに、私はかなりの信頼を置いています。物事には必ずそれを支える理由というものがあると思っています。そうした科学的なものの考え方は、必ず真実を突くものだと思っています。ただ「必要条件」と「十分条件」とは異なっているはずです。同一人物の体液のDNA鑑定は、そのほんの一部を取り出したとしても必ず一致します。ですが鑑定の一部が一致したから、同一人物ということにはなり得ません。

人類は世の中の様々な事象を、1つずつ科学で解明してきました。…だからと言って、全てを必ず解明し尽せるかと言えば、その保証はありません。私達は、科学を信頼するからこそ、その科学に常に謙虚でなければなりません。テレビドラマの科学サスペンスものの見過ぎで、過度に科学技術を妄信することは危険です。




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