蒼ざめた馬の “一人ブラブラ、儚く、はてしなく”

山とスキー、車と旅、そして一人の生活

杣人の、鬼の金棒

2017-12-23 11:51:30 | 信州安曇野での出来事

安曇野のこの森は、中房川の扇状地にあって、北西方向から南東方向に緩やかに傾斜している。
地目は原野で造成されていないが、際立つ段差などなくほぼ平坦、水はけ良くジメジメ感ないのが心地よい。ただ所々に窪地があり、ウチの庭も1ヶ所窪んでいる。

 7/14、この小屋を建てる為に伐根された切り株は、まだ庭に放置されたまま。

 窪地にも一部埋まった切り株がいくつか見える。

7月初めまでは、根や枝を引き出し燃やしていたが、この日から切り株本体を引き出し、解体、焼却を始める。

しかし中々はかどらない。

 7/23、少し片付いた。

 その後は雨が続き、8/5の状況はほとんど変化なし。

9月も秋雨前線でほとんど作業進まず。

10月、少しずつ片づけていると、超ドデカイ松の株が姿を現した。これはチョットやソットでは動かない。

少しずつ切り取って引き出すか、と考えていたら、隣のМさんが、アッという間に解決して下さった。

 10/11、Мさんは自宅物置からウインチとワイヤーを出してきて、そのドデカイ株を楽々と引き出した。

 支点となるクヌギの木には、幹を傷めないようにワイヤーではなく幅広ベルトを掛ける、そんなプロの仕事を見せて頂いた。

Мさんは休業リハビリ中の杣人。物置には色んな道工具が揃っている。

そしてワタクシの解体作業をチラ見しながら、色々アドバイスをして頂く。
要は、切る、割るではなく、潰す。
株からは複数の根が派生しており、それは複雑に絡まっていて、まずそれらを切断するが、最後に残るのは節の塊。
節はとにかく硬い。幹のように横方向に切断して、縦方向には割れない。とにかく斧を振りまくって潰すしかない。

 11/17、超ドデカイ松株の奥に隠れていた株を転がし出す。

翌週から窪地の株の引き出しに取り掛かる。
しかし多くは一部が埋もれていて、周りをシャベルで掘っていると、Мさんが“金棒”を担いでやって来た。

 そして株の側にそれを差し込み、4つの株をアッという間に掘り起こした。「残りはまた後で」、Мさんは何もしなかったように帰って行った。

 12/8、午後からそこそこの勢いで雪が降りだし、夕方、庭は白く覆われた。

 12/9、割とシッカリ積もり、少し焦った。まだスタッドレス交換をしていない。どこも交換作業は激コミで、ワタクシの番が来るのは来週。

しかし陽が射すと直ぐに融けだした。根雪が降るのは1月になってからだそうだ。

ただ融けた雪が乾くまで、しばらくは株の解体焼却は出来ない。

 12/13、Мさんに残りの株3つの掘り起こしを、厚かましくもお願いする。

Мさんのこの“金棒”は、先端が尖っていて断面が六角、真ん中に小さな穴が開いているが、中空と言う軽さではなく、ズッシリと重い。所謂バールと言うヤツだ。
「分厚い扉をバールでこじ開け、・・・・」、と言うあのバール、安曇野でそれに助けて貰うとは思いもしなかった。

 窪地からは枝なども埋まっていて、それらも全て掘り出す。

 12/15、久しぶりに有明山のテッベンが姿を現す。

 燕の稜線も白い姿を現す。

この日はスタッドレス交換の日。

4年使った旧タイヤは交換時期のサインが丸見えで、今回は新タイヤに嵌め替えとなり、ディーラーの担当者は前日ホィールを引き取りに来てくれた。
この担当者は6月初め、バッテリーがイカレてた時も、夜なのに遅くまで対応してくれたナイスガイ。まだ何も買うてヘンのに。

前日、彼は1.6Lターボの愛車でやって来た。彼のワゴンはエラく汚れていて、聞くと既に毎週スキー場通いとか。
これが信州の、この時期のルーティンワークらしい。
ワタクシも早く切り株の後片付けにケリを付けて、来年はそのペースにしないと、何しにこの地へ移住したか、と言う情けないハナシになってしまう。 

 スタッドレスに履き替えて、翌12/16、窪地の斜面に残っていた株も押し上げ、窪地は綺麗にカラになった。

後はひたすら叩き潰して燃やすのみ。


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