蒼ざめた馬の “一人ブラブラ、儚く、はてしなく”

山とスキー、車と旅、そして一人の生活

チョット昔へ散歩しに

2010-08-25 07:55:28 | 一人ブラブラ

先週、元町の本屋へフラっと寄り、映画、音楽関連のコーナーを覗くと、平積みのコーナーに高田渡サンの本が1冊残っていて、つい買ってしまった。 ’ 01年に出された自叙伝+エッセイの文庫版で、この本の存在は知らなかったが、和田誠サン描く表紙イラストだけはどこかで見たような気がする。

まだ10代の頃、フォークソングは大流行、自分でもギター弾いたりして、深夜ラジオから聞こえてくるのもフォークソングばかり。 高田渡のLPレコードも3枚ある。 この人の歌は当時のフォークソングとはチョット違っていて、反戦内容のものはあまりなかったと思う。 しかし体制を揶揄したり、明治時代の演歌を引用したり、とても面白かった。 色んな人を混乱させた 「自衛隊に入ろう」 は、親しい友人なんかも 「何やあの歌、フォークで自衛隊入隊を奨めるようなことしやがって」 と勘違いし、怒っていた。

ワタクシはこの人の存在によって色んな詩人を知った。 金子光晴、山之口獏、草野心平、ラングストン・ヒューズ等々。 ジャック・プレヴェールと言う詩人がシャンソン「枯葉」を作詞し、「天井桟敷の人々」の脚本を書いたと言う事も。( 但し、これら詩人の作品全てを理解した訳ではありません ) 

その後、音楽の好み、レコード集めはジャズの方に移行。 フォークギターも埃かぶって30年以上放ったらかしだったが、5年程前、偶然点けたTVで、高石ともやと高田渡のドキュメントに遭遇。 ’60年代後半と最近の様子を対比させながらの構成、お二人ともお元気で、昔と同じ調子で歌っておられるのが面白かった。 高石ともやサンの方が5歳以上年上のはずだが、高田渡サンの方が老けている様に見えた。 そして、渡サンはその後直ぐ亡くなられた、と聞いた。

ドキュメントでは高田渡の最近の様子を記録した映画も紹介していた。それはDVDになっていて、これも偶然、近所の駅のそばのショッピング街2Fにある、CD屋サンで見つけた。 店じまい前のセール品コーナーにあった。 色んな共演者とのコンサートの様子など、中々楽しく、充分ノレる内容。 フォークと言うより黒人のオジサンがギター1本で演ずる古いブルース、それにバンジョーやマンドリンが加わるとブルーグラスとなり、エレキギターが加わってロック、凄いなと思ったのは、フリージャズで有名なサックス奏者まで共演していて、 要はブルースから始まる現代音楽全てを良いノリでやってはる。 歌の内容は庶民の生活と心情、こちらは吟遊詩人。 共演者の中に、息子さんがいてスチールギターを弾いていた。才能は引き継がれるンですね。そう言えば、長谷川きよしサンの娘さんもフルート奏者、バックで吹いてはります。 どちらも偉大な父親。

本の最後の節は、「パタンと死ねたら最高!」となっていた。 全国各地から呼ばれ、演奏旅行を続けていたらしいが、’ 05年北海道でホントにパタンと亡くなられた様だ。 本を読んだ後、気が付いたらAmazonのサイトを開けて ’ 70年から ’ 80年代のCDをオーダーしていた。 

そして、この数日間、チョット昔へ散歩してます。Imgp2082

ところで、浅川マキさんも今年、演奏旅行中に亡くなられましたね。 ナムアミダブツ。