ウィトラの眼

無線業界のニュースについての意見・感想を書きます

じぶん銀行

2008-08-28 05:34:48 | Weblog
KDDIが三菱東京UFJ銀行と共同で「じぶん銀行」を設立した。携帯電話で様々なお金の決済ができるようにするそうである。

私はかねてから携帯電話事業者がこのような事業をすると成功すると思っていた。その理由は一つには現在の銀行が競争体質になれておらず、脆弱な感じがする点にある。

銀行の難しさはお金を貸すことにあり、「この相手は本当に返してくれるか」という判断をしつつ適正な金利で貸す点にある。この点は素人がやってもうまくいくとは思えず、銀行にかなりのノウハウの蓄積があると思われる。東京都が始めた銀行がうまくいかなかったのもこの点にあると思っている。

その一方で預金者に対するサービスは悪く、大いに改善の余地があると思う。銀行の窓口は10時から3時までしか開いていないなどはその典型だと思う。その点に目をつけてセブンイレブンなど何社かがすでに参入している。

しかし、考えてみると携帯電話事業者はこの種の事業をするのに適した資産を持っている。まず、膨大な加入者数を持っており、それぞれの個人から毎月料金を徴収している点である。携帯電話に加入するときには本人確認をするのでその時点で個人の特定ができている。更に毎月料金を徴収していることで、加入者の懐具合もある程度特定できる。

もうひとつ重要な点は3000万人という膨大な顧客データベースを持っている点である。加入者が給与振込先として「じぶん銀行」を指定し日々の支払いはその口座から行う、ある程度預金がたまったら三菱東京UFJに移して運用を行う、というのは便利そうに思える。運用は難しいので三菱東京UFJに任せることになるだろう。しかし、気がついてみると巨大な預金額の銀行が出現しているということになりそうな気がする。

携帯電話の本人確認の仕組み、セキュリティなどはかなり技術が進歩している。さらに今後は電子マネーの普及が進むであろうし携帯電話には常に最先端の技術が搭載されるので、本人確認も通常の預金口座よりもむしろ安心できるものになる可能性がある。ドコモは金融に進出するのにiDというクレジットカードで入ったがこれは不正解で、今回のKDDIのアプローチが正解だと思う。

今後の動きを注目してみていきたい。