ウィトラの眼

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日本の情報通信産業の行方(5) 情報通信産業の分類

2008-08-11 08:43:37 | Weblog
日本の情報通信産業と一言でいっても極めて幅広く、必要とされる能力も広がっている。ソフトウェアがその中心的位置にいることは間違いないが、もう少し細かく見ていくと具体的処方箋が見えてくる可能性もある。細かく見るために、情報通信に関わる産業を眺めてみると以下のような分野がある。

1. コンテンツ作成事業
映画や音楽、アニメ、書籍などを作成しそれを販売する事業である。広告代理店、出版社、その他クリエータがこの事業になる。ゲーム事業は、コンテンツからソフトウェア、ハードウェアまで幅広く関連しているが、以下はコンテンツ事業の一環として考える。

2. コンテンツ配信事業
作成されたコンテンツを消費者に送り届ける事業である。放送局がこの代表であるが、インターネットを活用したYou Tubeなども台頭してきている。

3. ソルーション事業
企業などの社内システム(コンピュータと通信を組み合わせた情報通信システム)の構築を手助けする事業である。「こういうシステムが欲しい」というと打ち合わせを重ねて、それを実現するソフトウェアとハードウェアを買ってきて組み合わせ、実現する。コンピュータや通信システムが一般人には使いこなすのが難しいのでこれが大きな産業になっている。一般にはなじみが薄いが業界では大きな事業分野であり、注目されている。IBMや富士通、NECなどが大手である。

4. ソフトウェアサービス事業
ソフトウェアを作ってサービスを提供する事業である。ヤフーやグーグルがこの代表であるが、それ以外にも大小含めて様々な会社がある。ミクシーなどのソーシャルネットワーク提供者を含めて、いわゆるプロバイダーはこの範疇に入れる。

5. ソフトウェア作成事業
ソフトウェアを作成してそれを売る事業である。マイクロソフトがその代表であるが、それ以外にも多数の会社がある。なお、他の会社からの委託を受けてソフトウェアを開発し納入する、いわゆるソフトハウスもこの範疇に入れる

6. コンピュータ事業
パソコンやサーバーなどのコンピュータを作って販売する事業である。Dellなどのパソコンメーカーがその代表である。

7. 通信サービス事業
NTTやドコモに代表される通信サービスを提供する会社である。この種の会社には自分で通信設備を用意してその設備の利用料を徴収する、いわゆる第1種通信事業者と、自分では通信設備を持たず第1種通信事業者から回線を借りてサービスを提供する第2種通信事業者があるが、第2種通信事業者はソフトウェアサービス事業との重なりが大きくなってきており、ここでは第1種通信事業者のみを通信サービス事業者と考える。

8. 通信機器事業
携帯電話がその代表であるが、基地局などの通信インフラ事業もこの範疇で考える。

9. 部品事業
プリンタ、ディスクなどの周辺機器から、半導体、アンプなど様々なレベルがあるがそれらをひっくるめて部品事業ととらえたい。ただし、おもな用途がコンピュータと通信機器となる部品を考え、テレビなどの家電品の部品が主な用途となるものは別と考える。

これらの事業は必ずしも独立しているわけではなく、一社で複数手掛けている会社があったり、インターネットの普及で境界があいまいになってきたりしている。それでも現時点では必要とされる能力がかなり異なっていると考えている。それぞれについての将来展望をこれから考えてみたい。