ウィトラの眼

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日本の情報通信産業の行方(2) 将来への懸念

2008-08-08 08:48:12 | Weblog
日本の情報通信産業の世界的地位は下り坂であると書いた。

私はこの傾向に歯止めがかからず、どんどん下っていくのではないかと心配している。その理由はソフト開発力の弱さである。情報通信産業におけるソフトウェアの比重はどんどん高まってきており、ソフトウェアの力がないとうまく事業を回せない状況になってきている。この傾向は将来一層顕著になると思われ、それにつれてソフト開発力の弱い日本の情報通信産業の地位は下がっていくと感じるのである。

なぜ日本のソフトは強くなれないと感じるか?
それはソフトウェアが、英語に近い言語だからである。現在日本人の英語力は世界で相当下のほうである。インドはおろか、中国や韓国よりも下である。世界で日本人より英語力の低い国を探すのが大変なくらいである。この傾向は変わらないし、英語力が低い以上、ソフト力で上位に来れるとは思えない。

もちろん日本人にも英語の得意な人はいるし、ソフト開発の得意な人もたくさんいる。従って、少人数(50人いかくらい)で開発できるソフトなら勝ち目はあるだろう。しかし、1000人以上が関わる大規模ソフトになると、優秀な人材を集めきれない。海外にアウトソースするにしてもコミュニケーション能力が劣っているとうまく使いきれない。国全体のソフト力という意味では落ちていくのは避けられないように思う。
2020年頃には日本のソフト産業は現在のイギリスの製造業のような地位になっていると思う。日本人向けのソフトのために要求条件を出すような仕事は残るだろうが、開発は大幅に縮小するのではないかと思っている。

ではどうするか?
①英語が下手でもソフトに強くなれる仕組みを考える
②大規模ソフトが勝負の中心にならない産業構造を考える
③日本人の英語力を底上げする方法を考える

などが考えられるが、私は①は無理だと思っており考える気にならない。
②と③について考えてみたいと思っている。