~Agiato で Agitato に~

再開後約20年になるピアノを通して、地域やほかの世代とつながっていきたいと考えています。

ワラはつかめたか?

2007年10月29日 13時52分07秒 | レッスン&セミナー
十分練習も積んで、音もしっかり頭と手に入っているのに、ミスが多いとかうまく弾けないという場合、なにかが間違っていることがある。
本番が近づくと、きっとテンポの取り方がまずいのだろうと、やたらメトロノームをかけたくなったり、確実に音を押さえようとゆっくりの練習をしたくなったりするのだけれど、それでもどうにもならないことがある。

私に関していえば、テンポをあげた時点で
1.頭で奏でているテンポと指先に伝わるテンポに誤差が生じている。

というテンポ上の問題がまずあり、それと同時にテンポをあげるための基礎的な指先の修練がもう一段階必要で、これができてないので、テンポを上げるのは危険だということも発覚した。

次にイメージしている音に近づけようとした時点で
2.イメージしている音がかならずしもイメージしているタッチから生み出されるわけではない。

というタッチ上の問題も出てきた。こういうことは実はたびたびあることなのだけれど、軽やかにコロコロと耳に届くような音でも、実はタッチとしてはコロコロしているわけではなく、指先をしっかり使って手首を下げて安定したポーズでないと出しにくかったりする場合もないわけではない。


ここのところ練習で人前で弾いてみて、「鍵盤の底が感じられずに弾いた気がしない」という、非常に気分の悪い状態が続いていて、いろいろ考えてみた結果、このふたつをまずなんとかせねばと思うに至った(いまさら・・という感じもするのだが)。

1については、弾きたいテンポと弾けるテンポをしっかり一致させなければないない。器用な人ならどんなテンポでも本番いけるのかもしれないのだけれど、私は「これしかありえない」というくらいに突き詰めていかないとまずうまくいかない。弾くたびに違うなどというフレキシブルなことはできない。

2について、ない知恵をしぼって考えつつ昨日の朝練習していたところ、当日午前に某所で、「演奏を生かすも殺すもタッチ次第」という指導者向けのセミナーがあることを思い出し、担当である友人にメールを送ってみたら、「今からでも入れます」ということだったので駆けつけた。

講師は、中部地方の有名なピアノの先生(男性)だったのだが、ご自分が長年考え続けてこられたタッチについて大きく11に分けて名前をつけ、それを実演しながら、楽曲の中での使い方を示すというものだった。
私は、さまざまなピアニストの映像を<師匠>と思ってよく見るのだが、この先生も巨匠や現在活躍中のピアニストの例をあげながら、説明してくださったので、漠然と「こういうタッチかなあ?」と考えつつ自分にフィードバックしていた私としては、大変楽しく勉強になる時間だった。

この先生、ショパン国際コンクールの予選から決勝まですべてのコンテスタントの、椅子の高さ、タッチの種類、選んだピアノの種類を書き込んでこられたそうで、このオタク度(失礼???)が私にはたまらなく、ぜひ機会があればもっともっとそのあたりのお話をきかせていただきたい、と思ったことだった。


二時間お話をきいて、少し「ワラをつかんだ」気分になり、イメージトレーニングに励んだのだが(タッチを変えるときは、いきなりは弾かないことにしてます)、少しは弾けるような気になってきた。
今日、友人とコソ練をしてきたのだが、表れる音としては今までと大差ないとしても、「弾いた気」が全然違う。
今回のステップに間に合うか合わないかは別として、昨日のセミナー、1000円ポッキリで(ある会員なので、そういう料金になってます)、私にとってはなかなか有益だった気がする。