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てすさび日誌

哀しき宮仕えを早期リタイアし、“サンデー毎日”のomorinが生活の一コマや雑感を認めた日誌です(2005/4/20~)

教科書から消えた唱歌

2009-10-26 16:42:00 | ビジネスと社会
 来る11月8日の文化祭における演奏曲の一つがバロック風“七つの子”であり、目下ギタークラブではその仕上げに余念がない。

 そんな中、最近バス旅行をした際、ガイド嬢から気になる話を耳にした。曰く「教科書から消えた唱歌に“七つの子”がある。その理由はカラスは多くても4~5個の卵しか産まないから、七羽の子は現実にはあり得ないので…」。

 尤もこれは彼女一流のジョークであり、原体験コラム集「七つの子」によれば、『野口雨情作詞で知られる童謡“七つの子”とは、七羽の子(幼鳥)なのか? それとも七才になる子(幼鳥)の意なのか?二説あるが、息子の野口存爾氏の言葉を借りれば七才になる子のことで、しかも可愛い人間の子とカラスの子を重ねたやわらかで情感豊かな童謡である』と解釈しておられる。

 こちらは一件落着だがもっとショッキングなことは、教科書から消えた唱歌・童謡のことである。「教科書の歌」(川崎洋著、いそっぷ社)によれば、1970年代以降、多くの唱歌・童謡が教科書から消えたというのである。
 すずめの学校、七つの子、黄金虫、おもちゃのマーチ、うぐいす、月の砂漠、かあさん、春よ来い、羽衣、村まつり…。一部の教科書に復活した歌があるかもしれないが、消えた歌はこのほか数え切れないそうだ。

 教科書から消えた理由は定かではないが、唱歌・童謡といえば幼いころの実体験、家族や友達との思い出などと結びつき、その後の人生を彩ってくれる。
 小欄「2007/1/15 庶民文化の華」でも少し触れたように、人々に愛唱されてきた歌には移りゆく世相を反映しており、常に我々の心を慰めてきた。悲しい時、辛い時、嬉しい時、楽しい時、いつもそこには歌があった。まさしく歌は“庶民文化の華”であろう。
 童謡・唱歌こそは、世界に誇れる日本ならでの文化ではないかと思う。とかく心の豊かさが見失われ、殺伐とした世の中だからこそ、もっと大切に歌い継ぎ、広めてもらいたいと願うばかりだ。