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あれは,あれで良いのかなPART2

世の中の様々なニュースをばっさり斬ってみます。
ブログ界の「おか上彰」を目指し、サボりながらも頑張ります!

やどかり市役所

2006年12月20日 00時36分31秒 | 地方自治
私が従前から「経費削減」と「防災対策」の両面を充たす市役所庁舎新設方式として構築していた方法を,本当に青森県むつ市が実現することとなりました。

市役所老朽化…一石二鳥の“ヤドカリ移転” むつ市

ナイスプランです

むつ市では,ショッピングセンターが開いてしまっているため,その空き店舗対策を考える上で,ショッピングセンターを市役所にするというアイデアが生まれてきたようです。ちょうど,現在の庁舎は耐震性にも問題があるが,建て替えとなると莫大な費用がかかるところ,この方式だと大幅に費用が削減できるということもあり,まさに「一石二鳥」であると言えるわけです。
私は,従前この手法を主張してきました。特に,市役所庁舎は「災害発生時の本部」となる場合が多いことから,耐震性に問題のある庁舎については,早急に耐震補強をするか建て替えをする必要があります。一方で,建て替えるにしても,普通に作ったら100億円近い費用がかかります。財政削減が叫ばれている今日において,このような支出を市民がよしとしないでしょう。
そうなると,結局「八方ふさがり」となってしまいます。
そこで,考えられる手法,それが「既存施設の活用」なのです。特に商業施設については,駅前を中心に大型スーパーが撤退している場合が多く,その建物は基本的に昭和48年以降の建築である場合が多いことから,耐震性には問題がない場合がほとんどです。しかも,未だに空き家になっている場合が多いです。さらに,スーパーはワンフロアであることから,改築工事も「壁を作る」という程度(もちろん,細かい改修は必要ですが)で対応可能となります。
とすると,相当少ない費用で市役所は建設できるのです。

もちろん,問題点もあります。たとえば,立地場所の問題や,耐久年数の問題(その次の建て替え),市役所規模とフロア面積の相関関係(絶妙な大きさであるとは限らない)などです。
ただ,ここは発想の転換です。例えば,「市役所は1棟である必要はない」とすれば,機能を分散させても良いでしょう。耐久性については,ヤドカリ方式を継続することも考えられます。
ようは,財政削減とは「アイデア」でもあるのです。アイデアと実行力があれば,不可能と思われる行政課題も実はあっさり解決できる場合があるのです。
今回のむつ市長は,非常によいアイデア力があり,かつ実行力があったといえるでしょう。しかも,おそらく「土木業者の応援を受けない選挙」であったのではないかと推測されます。
今後,第二,第三のむつ市が現れることを期待したいものです。

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インセンティブ交付税?それとも国のいうなり交付税?

2006年12月20日 00時05分06秒 | 地方自治
総務省は,来年度の予算から,「頑張った自治体」に対し,交付税を増やすという政策を打ち出してきました。予算規模としては,約3000億円程度になります。

頑張る地方に2700億円 首相提唱の応援プログラム(共同通信) - goo ニュース

もともと交付税は削ってますからねえ

この政策,まず第一弾として,頑張りたい自治体は,来年5月頃までに成果目標を定めます。これだけで,総額500億円の特別地方交付税交付金が交付されます。
次に,7月頃に総務省が評価基準を策定し,それに応じてその基準を満たした自治体,いわゆる「頑張った自治体」には総額2200億円の普通地方交付税交付金が交付されます。
評価の例として,新ブランド化,少子化対策,企業立地,定住促進などです。
全体として,1市町村当たり約3000万円程度になると見込んでいるとのことです。

なるほど,一見すると,「市町村のやる気を引き出すのにはよい制度で,まさにインセンティブにふさわしい」とも思えます。
しかし,よく考えてみると,くせ者がいくつかあります。
まず,「目標定めただけで交付税がもらえる」という部分です。いわゆる,名乗りあげをした場合にその支度金を上げるという趣旨だとは思いますが,実際にはこの部分はいつもの「総務省準則」どおりの目標を各自治体が適当に作るだけで終わってしまうのではないかとの懸念があります。いってしまえば,今年の3月にほとんどの自治体で作成した「集中改革プラン」と同じようなことになるのではないでしょうか。

次に,中身についてですが,総務省では客観性を図るため,いくつかの基準を策定するとのことですが,その内容の多くは「国策」でもあります。っていうことは,国策を下請けするためにこのような制度を活用しようとしているのではないか,と邪推せざるを得ません。

さらには,5月に目標策定して,7月に評価するということになります。すなわち,「わずか2ヶ月」ですべて判断されるということになります。ところが,当然のことながら,2ヶ月程度で成果の出る施策なんてありません。
となると,この制度は現実的には,「目標に向かって努力する自治体の支援」ではなく,「もう結果が出ている自治体」に対する追認的措置になってしまうのではないでしょうか。

そのうえ,自治体独自の諸問題に対する解決策については,全国共通性という客観基準を満たさないことから,おそらく評価の対象になりません。ところが,自治体独自の問題をしっかり解決させる方が住民としてはありがたい場合が多いはずです。にもかかわらず,こういうがんばりはここでは全く評価されないことになってしまいます。
とすると,この制度は,「国のいうことを聞いている自治体を優遇します」といっているに過ぎないのではないでしょうか。「国のいうことを聞けば,削った交付税を少し戻しましょう」といっているように聞こえてなりません。

もちろん,インセンティブを有効に活用すれば,魅力的な自治体が増えることは事実です。そして,それは結局住民生活に換言されることになるため,地域住民にとっても極めて有用です。
しかし,その運用を間違えると,猛毒に変わります。総務省としては,その点を十分踏まえた上で,この制度について引き続き内容の調整作業を進めてほしいものです。
あくまでも,地域のため,そして地域住民のため,という基本的に視点は忘れないでほしいものです。

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