あれは,あれで良いのかなPART2

世の中の様々なニュースをばっさり斬ってみます。
ブログ界の「おか上彰」を目指し、サボりながらも頑張ります!

防犯カメラを増やそうか,それともプライバシー守ろうか

2006年04月02日 22時35分32秒 | 地震,雷,火事,親父
川崎市のマンションからの児童突き落とし事件の容疑者が逮捕されましたが,これは防犯カメラが決め手になったようです。
その他にも,栃木女児殺人事件についても,容疑者の足取りがHシステムという道路上の監視カメラである程度明らかになったり,コンビニの防犯カメラがコンビニ周辺の事件解決につながり,さらにはペンタゴン近くのガソリンスタンドにある防犯カメラが,9.11のペンタゴンへのジェット機突入の瞬間をとらえていたりする(同時に疑惑も残している)など,防犯カメラがあらゆる方向で活躍しています。
さらに,商店街などでは,治安維持のために防犯カメラを設置するなど,防犯カメラを設置する動きもかなり活発になっています。
一方で,プライバシーの侵害や,カメラの死角で犯罪が起こりうるなど,防犯カメラに対する消極意見も多く寄せられています。

防犯の基本は人力です

まず,防犯カメラ信者の方に言いたいのは,「防犯カメラを設置しても必ずしも犯罪は減らない」ということです。
防犯カメラは,あくまでも「人間の目の補足」に過ぎません。もし,防犯カメラで犯罪を撲滅するのであれば,それこそ1メートル間隔にカメラを設置して,死角を0にするほか,不審な動きを直ちにチェックするシステムを構築すればよいでしょうが,それは非現実的です。
防犯の基本は,人の力です。地域が一体となって防犯活動をしている街こそ,犯罪抑制につながります。人間は,人の顔を覚えますが,カメラは人の顔を覚えません。もっといえば,覆面をした人が街を歩いていたら,人間ならばすぐに「不審者」と警戒します。しかし,カメラの場合,それは淡々と映しているだけで,結果的に顔も分からないため,犯人の特定が困難となります。
よって,防犯カメラさえあればいい,という発想は短絡過ぎます
ただ,現実的には,地域社会が淡泊になっているため,そういう点からすればある程度防犯カメラ頼みになるのは,致し方ないのかもしれません。ただ,あくまでも人力,っていう点は絶対に忘れてほしくありません。

逆にプライバシーを理由に消極派の方々ですが,基本的にはプライバシーの保護は絶対的に確保されなければなりません。
しかし,治安悪化が叫ばれている今,人命とプライバシーとはどちらが優先するでしょうか。やはり死んでしまっては,プライバシーも何もありません。むしろ,被害者になってしまうと,報道等によって逆にプライバシーがずたずたに切り裂かれてしまうのが現状です。
もっといいましょう。プライバシーといっても,防犯カメラは公道,公園やマンションの廊下などといった「パブリックスペース」です。つまり,人がうろうろしている場所です。そこで果たしてどんなプライバシーがあるでしょうか。せいぜい,「不倫相手と一緒にいるところを見られたくない」等という程度の話ではないでしょうか。とすると,なおさらプライバシーの侵害というのは理由が弱いと思います。
したがって,プライバシーの尊重よりも,やはり人命尊重を考え,防犯カメラの設置はやむを得ないのではないでしょうか。
もちろん,プライバシーに無配慮というわけではありません。例えば,撮影テープは完全非公開とし,犯罪発生時のみ警察が見るというように厳格な運用をすることで,プライバシーの確保は図られます。これに違反した人がいた場合は,現在は刑事罰はありませんが,民事上の損害賠償を請求すればよいわけです。

ただ,プライバシー保護派の懸念は分からないこともありません。それは,犯罪が発生していない段階から,警察や権力者により撮影テープのチェックがされ,行動監視されないかという懸念です。これは絶対的に保護しなければなりません。さもなければ,権力者は,自己に不利な者の行動を四六時中監視していることになりかねないからです。
したがって,この点は防犯カメラに関する運用をしっかりと法制化し,権力者は犯罪発生時以外には撮影テープを見ることができない,どうしても他の事件の捜査のために必要であれば,裁判所の令状が必要であるなど,相当に厳格な要件を課するようにすることで対処可能ではないかと考えます。

ただ,なんだかんだいっても,やはり「防犯カメラがなくても安心して暮らせる街にする」ということが一番重要なのですが・・。

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TB先一覧
http://blog.goo.ne.jp/menthol7171/e/68de6118e90bf5bf401c20c860e198f2
http://blog.goo.ne.jp/crofts/e/9fee370244bd099412bd5f9f3ca81565
http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__1818737/detail
http://blog.livedoor.jp/yswebsite/archives/50750509.html

自信がなければ運転しない,地震があっても運転しない

2006年02月02日 21時33分19秒 | 地震,雷,火事,親父
1日夜関東地方で発生した震度3の地震の影響で,JR東日本のダイヤが大幅に乱れ,特に東海道線や京浜東北線などは4時間ほど運転を停止して,安全確認を行っていたようです。
これに対して,「なんでもっと早く走らせないのか」等という苦情が殺到したとのことでした。

去年の脱線事故は,もう他人事ですか?

確かに,仕事帰りの時間帯に4時間も電車が止まった日には,怒りたくなる気持ちは分かりますし,私自身も切れてしまうかもしれません。
しかし,テレビのコメンテーターが寄ってたかって「もっと早く走らせることができるぞ」とJR東日本を批判するのはいかがなものかと思います。

批判の論拠は次の2点になるかと思います。
1 たかだか震度3の地震でなぜ4時間も止めるのか。
2 他の私鉄線は通常どおり運転していたのに,なぜJRだけは止めていたのか。


たしかに,たかだか震度3の地震では鉄道にはさしたる影響は与えないと「思い」ます。しかし,あくまでも「思う」であって,本当に無影響なのかは断言ができません。
逆に,震度3だからいいやあと思って運転させたところ,予想外の被害が発生しており,結果大事故になったとしたらどうでしょうか。誰1人「仕方ない」とはいわないでしょう。
安全を追求するためには,「たかが震度3,されど震度3」という対応をしたJRの方がむしろ正しかったのではないかと思います。
「他は動いているからJRだって大丈夫」という論拠も,全く同じことです。よそはよそ,うちはうちなのです。絶対安全とは言い切れません。
従って,これらの論拠を理由に批判をしているコメンテーター達は,明らかに「去年の事故のこと,もうお忘れですか。」といわざるを得ません。

では,JR東日本の今回の対応は,本当にすべて完璧といえるでしょうか。
実はJR側も,対応の悪さは認めていますが,JR側にも問題があるといえます。
安全性の追求はもちろん必要です。しかし,過度に安全性を強調してしまうと,逆に迅速性という点がおざなりになってしまい,結果的に顧客のためにならないということがあります。
今回の場合,120キロメートルに渡る区間を安全点検を人力でしかも徒歩や自転車のような専用車で行ったようです。一見すると丁寧な点検でよいのですが,これでは当然時間がかかってしまいます。
「たかが震度3」の論拠と若干矛盾することなのですが,経験則上,地震の震度と被害の大きさというものは,ある程度推測がつきます。そして,多くの論者がいうとおり,確かに震度3程度では,通常大きな損害は発生していないと推測されるでしょう。
従って,このような地震の場合は,安全点検を迅速に行える体制やシステムを導入しておくべきだったのです(安全点検を手抜きしろという趣旨ではありません。)。
例えば,軌道の安全性確保であれば,軌道車(電動やディーゼル機動のもの)を用いるなどして,ずれの有無を確認しながら,軌道車上から周囲の状況を目視することや,徐行運転による運転士がみた安全確認,さらにはポイントや踏切の異常の有無を一元的に把握できるシステムを備え(既にあるかもしれませんが),その上で,念のため再点検をするなどすれば,まだまだ迅速に安全点検が可能であったといえます。

今回の件から推測できることは,JR東日本には,災害時の点検マニュアルがワンパターンしかないのでは,ということです。震度7の場合と震度3の場合とは全く同じである必要はなく,それぞれに応じたやり方があるのではないかと考えます。そういう意味からすれば,まだまだ危機管理マニュアルに甘さが目立っているのではないでしょうか。
JR東日本側も,体制の不備を認め,今後は専用車を増設するなど検討するようですが,あわせて「危機管理マニュアル」も見直してほしいと思います。

すべては乗客の安全のため,という今回のJR東日本の発想については,私は賞賛の拍手を送りますが,一方で,危機管理マニュアルが単純一元化しているのではないか,という点については,今後さらなる改善を行い,迅速な公共交通の確保という視点も忘れないでほしいと思います。

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震度見るのがしんどい

2006年02月01日 23時19分39秒 | 地震,雷,火事,親父
今日,関東地方でちょっと大きな地震があり,横浜や埼玉の一部では震度4ということでした。

特に被害がなくて何より!

私も家にいたのですが,ちょうど掃除をしていたので,地震に気が付きませんでしたが,これがもっと大きな地震だったら,私も危なかったかもしれません。

ところで,ちょっと気になる点がまたありました。
NHKや多くの民放では,ニュース速報を流していましたが,その中で市町村単位の震度が表示され,かつNHKではご丁寧に市町村名をすべて読み上げていました。
確かに,震度計が各市町村単位に設置され,その情報が瞬時に集まることになったため,このような情報を即座に提供できる状態にあります。そのこと自体は,防災対策としては有用でしょう。
しかし,今回のような地震の場合,震度3程度ですべての市町村の震度を読み上げるのは,どうなのでしょうか。かえって,全体が分かり難いような気がします。震度3程度であれば,従前のような「埼玉県北部」とかいう程度で十分なのではないでしょうか。
震度3の市町村を読み上げるだけで,5分くらい使っていましたが,その時間を使えば,もっと別の有益な地震対策情報を提供できるはずです。
正直,私の街の震度がいくつだったのか,聞き漏らして分かりませんでしたが,周辺の情報から,「うちも震度3だったのか」と予測がたちました。最初から「多摩地方,震度3」と言ってもらった方が,よっぽど分かりやすかったです。

災害情報は何でも垂れ流せばよいというものではありません。何が有益で,何が瞬時に理解しやすいのか,何に一番注意するべきか,それを分かるように伝えること,それが災害情報にとって最も有益といえるでしょう。
市町村別震度情報が不要だ,というわけではありません。むしろ,震度5を越えるような地震の場合は,市町村別の発表も有益であるといえます。
これらの使い分け,それを今後しっかり考えてほしいと思います。

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勝手に今週を「防災週間」と設定

2005年09月17日 13時15分25秒 | 地震,雷,火事,親父
昨日の夕方,東京上空を何気なく見ていたら,いわゆる「地震雲」のようなものが数本見られました。
地震雲とは,飛行機雲のようにまっすぐ筋上の雲なのですが,飛行機雲との違いは,筋がぼやけている点と,雲ができる高度が違うという点にあります(飛行機雲は上空1万メートルに対して,地震雲は上空3000メートルくらい)。
また,今日は外が不気味なくらい静かです。確かに秋に変わりましたが,この時期はラストスパートのセミがちょこっと鳴いていたり,またトンボなどが飛んでいたりするはずなのですが。

なんとなく,地震の臭いがする。

もっとも,地震雲自体がそもそも科学的な根拠に乏しいこと,層雲と見間違えやすいことなどから,「直ちに地震が来る」とまではとても断言はできません。
また,外が静かなのも,単に季節の変わり目だからという理由の可能性だってあります。

以上を踏まえて,私からの提案は,「今週を防災週間にしよう」ということです
身の回りに地震で倒れそうなものはないか,防災用品は準備してあるか,本当に地震が起こったときの避難場所はどこか等を是非確認してください。
もちろん,地震が来なくてよかったね,となるに越したことはないのですが,逆に言うと地震はいつ起こるか分かりませんから,防災対策は確認をするのに越したことはありません。
べつにこの数日間のためではなく,今後のためにもなりますので,是非とも確認や準備はしておきましょう。

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他人事ではない,カトリーナ

2005年09月05日 22時50分25秒 | 地震,雷,火事,親父
アメリカで発生したハリケーン「カトリーナ」は,ニューオーリンズを中心に想像を絶する損害を与えた模様です。犠牲者の方に対し,哀悼の意を表明したいと思います。
ところで,日本でも,決して他人事ではありません。
先日も,防災計画についていろいろと記事を書きましたが,やはり大規模災害に対しては,まだ対応が不完全ではないかと思われます。

特に,一番心配な点は,「治安維持」です。

ニューオーリンズでは,略奪や強奪などが相次ぎ,警察も治安維持を放棄し,軍が治安維持に当たっているそうです。
日本の場合,ニューオーリンズと事情が違うから大丈夫,と余裕をかましているコメンテーターがいましたが,首都圏で大災害が発生し,食料などが不足してくると,人間何をするか分かりません。
地域防災計画は,災害が発生したときの対応等については十分に記載されていますが(それでも問題点があるというのはこちらの記事のとおりです),防犯に関する記載は全くありません。おそらく,警察がどうにかしてくれる,という前提で考えているのだろうと思います。
しかし,大災害が発生した場合,警察もさまざまなことで手一杯になっています。
つまり,警察側としても防災計画を作成しておいて,いざというときに迅速に対応できるような体制を整えておく必要があるのではないでしょうか。

さらにいうと,誰が防災の担当で,誰が消防の担当で,誰が治安の担当で等という縦割り行政ではなく,すべてを把握できる横のつながりを確実にしておくことも重要な要素ではないでしょうか。
今回のアメリカのケースでも,様々な問題点が露呈してきました。これを決して他山の石とせず,自らの問題として十分に研究し,日本の災害対策に役立ててほしいものです。

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防災の日にちなんで,防災を考える

2005年09月01日 23時57分01秒 | 地震,雷,火事,親父
今日9月1日は防災の日です。言うまでもなく,関東大震災が発生した日です。
あちこちで防災のための訓練が実施されました。防災意識を高めるという意味では,訓練を重ねることは重要です。
一方で,防災に関しては,これまでにも何回か書いていますが(例えばこちらの東久留米市の地域防災計画に関する記事を参照してください),ここで改めてまとめて問題点や気になる点を指摘したいと思います。

1 防災=地震ではない
  訓練を見ると,大半は大地震が想定されています。これは,決して間違いではなく,大地震を想定する訓練は重要です。
  しかし,アメリカでのハリケーンのニュースを見ておわかりのとおり,災害には風水害もあります。また,電車の事故や工場火災などの事故も災害といえます。さらには,地域によって土砂災害,噴火など様々なものが考えられます。
  少なくとも,地震と風水害とでは,避難方法や避難場所,救助体制などが全く異なります(そもそも地域防災計画ではそこもごっちゃにしている市町村もあるが,これは危険きわまりないといえます。)。
  とすれば,やはり訓練も,毎年大地震を想定するのではなく,風水害なども想定したものとするべきでしょう。

2 訓練=儀式ではない
  防災訓練に住民の方々が積極的に参加しています。これは何度も言うように重要なことです。
  しかし,訓練の場所に行くと,必ずと言っていいほど不思議な光景を見ます。胸に花を付けた来賓です。具体的には地元の議員や有力者等です。
  はたして,彼らは本当に災害の時にも,花を付けて防災本部に来るつもりなのでしょうか。っていうか,来賓レベルになれば,逆にいざ災害の時に,積極的に何かするような役職に就いているはずであり,このような人こそ積極的に訓練をしなければ,指揮系統が崩壊しかねません。
  バカみたいにテントの下で人様の訓練の様子を見ているくらいなら来ない方がましです。

3 想定外の災害は絶対に発生する
  訓練は,防災計画に則って行われます。したがって,計画どおりの訓練をすることで,防災計画に従った行動がやりやすくなります。そして,防災計画は,科学的根拠に基づいて災害の発生状況などを把握した結果作成されているため,避難ルートなどもおそらくは実際の災害時にでも十分確保されたものであろうと思われます。
  しかし,自然災害は,必ず想定外のことが起こります。とすると,訓練においても,想定外のことも体験する必要があるでしょう。特に,指揮監督する首長レベルが的確に動けるのか,訓練をしておく必要性が高いのではないでしょうか。
  ところが,現状では,想定外訓練はほとんど行っていません。せいぜい,予想外の場所から出火,という程度のことしかやっていないと思います。
  首長に内緒で想定外災害を発生させる訓練は絶対に必要です。

4 使えなかった防災無線
  新潟中越地震では,17市町村で,防災無線が使用できなかったそうです。原因は,発電機等への接続ミスや,無線が入った部屋がつぶれてしまったことなどによるそうです。
  防災装置は,何が起こっても大丈夫なようにするため,重複整備をする必要があります。ところが,予算の関係でしょうが,重複整備を行いません。
  住民の命を守るためにも,防災装置は,重複整備をするべきでしょう。

5 頑張れコンビニ
  帰宅困難者に対する支援を行うことになりました。
  このような支援業者がどんどん増えればよいですね。
  問題は,情報がこのようなコンビニ末端にまで届くかどうかです。この情報発信についても訓練をする必要があるでしょう。

以上ですが,一言で言えば,「いろんな訓練をしておきましょう」ということです。
もちろん,災害に強い町を作ること,助け合える地域コミュニティを作っておくことなどは言うまでもありませんが,やはり何かあったときに迅速かつ的確に対応できるよう,行政も住民も普段から考えておくことが大事ですね。

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減災につながる緊急地震速報システム

2005年08月20日 12時09分14秒 | 地震,雷,火事,親父
永田町界隈では,今も毎日激震が走っていますが,ここではそっちの地震ではなく,本物の地震について見ていきたいと思います。
先日宮城県で発生した大地震,幸いにも死者が発生しなかったものの,重軽傷者やプールをはじめとする家屋損壊の被害が発生しました。
ところで,この地震,地震波が到達する14秒前に「地震が来るぞー」という情報を流しているシステムがあることが判明しました。それが,「緊急地震速報システム」です。
(ニュースソースは朝日新聞産経新聞zakzakより)

使えるなー,これ

このシステムの詳細は,下記のHPを参照してもらえればよろしいかと思いますが,簡単に言うと,中学の理科で勉強したように,地震にはP波(ドーンとくる縦波)とS波(ゆらゆらとくる横波)の2種類があります。そして,P波は秒速7キロ,S波は秒速4キロという違いがあることから,P波を探知することで「地震だー,フー」(レイザーラモンHG風に)と反応し,そこからS波の到達時間を計算し,受信装置に「まもなく激しく揺れますよー,フー」という情報を伝える物だそうです。
そして,今回の宮城県での地震では,S波(いわゆる地震発生)の14秒前に,「地震発生」の情報が伝わっていたそうです
ちなみに,このシステム,まだ試験段階であることから,全国約140程度の大学や施設にあるだけですが,改良が進み,実用化が見込まれれば,受信装置設置場所はもっと拡がり,将来的には,携帯メールなどへの配信も可能となるらしいです。
ただし,永田町の激震は,予知できないそうです(当然!!) さて,このシステムの話を聞いて,おそらく次のような疑問が発生した方がいるのではないでしょうか。

1 14秒で何ができる?
2 徒に混乱を招くだけではないか?
3 100年に1回程度の地震のためにこれを全国に備える必要があるか?


1については,確かに,14秒はテレビCM1つ分程度の時間なので,たいしたことはできないと思うかもしれません。しかし,このシステムは,「防災」ではなく「減災」の役割を持っているのではないか,と私は考えます。
つまり,14秒前であっても,この情報が受信された時点で,ガスの火を消す,避難路確保のために玄関を開けておく,非常袋を手にしておく,タンスや冷蔵庫の側から離れるなど,地震発生前のこの中の例え一つでも実行ができれば,地震に対する被害は少しは減少するはずです。こうすることで,「より地震の被害を少なくする」ことが可能となるでしょう。
むしろ,避難訓練のやり方を変えることで,この14秒を有効に使えるようにしておくことが大事かもしれません。今の訓練は,当然ながら「地震が来た後」をベースにしたものですが,これからは,「10秒後に地震が来る」ことをベースにした訓練を実施しておくのです。そうすれば,より減災効果は高くなるといえるでしょう。
ちなみに,大地震が想定される東海沖地震では,S波が東京に到達するまで60秒程度あるそうです。つまり,このシステムを導入すれば50秒位前には「地震だ」情報が配信されることになります。50秒あれば,さらに準備が可能となるでしょう。

2については,システムの信用性が高まれば混乱は防げるでしょう。
そういう意味では,個人配信(携帯メールなどへの配信)はある程度信用性が高まるまでは逆に抑えた方がよいかもしれません(システム自体への負荷により肝心な情報が配信できないという問題もありますし。)。
ただ,一方で,個人個人にこの情報が届かなければ意味がありません。この点は,まず国あげてのPR活動を行うより仕方がないでしょう。誤報くらい気にするな,と乱暴に言ってしまうと,やがては狼少年にもなりかねませんから,この点は,慎重かつ大胆なシステム検証活動が大切だと思います。

3については,地震関係のシステムとは,「保険」です。100年に1回であっても,無防備にしていたら,その時の被害ははかりしれません。また,機械物は日々進化しています。1回も使うことなく機械を更新することは無駄だ,という発想があるかもしれませんが,地震の被害に比べれば,機械の更新費用なんて微々たる物です。これを税金の無駄遣いというならば,世の中,もっと無駄遣いが山ほどあるでしょう。

いずれにしても,ここで私が言いたいことは,「例え試作品であったとしても,どんどん全国の公共施設や人が集まる場所に広げていこう」ということです。
もちろん,システムの問題点も山ほどあります。それは,実際の運用の中でどんどん改善していけばよいでしょう(実際,このシステムを受信している小学校の一つは,パソコンがフリーズして情報が入らなかったというオチがあります。)。
人の命はお金では買えませんが,お金をかければある程度は守ることができます。公共施設への整備や,この情報をいかに多くの人に即座に配信できるようにするかなど,この問題は個人レベルの話だけではなく,行政レベルでも本腰入れて検討するべき事項であるでしょう。

参考
気象庁のこのシステムについての説明
リアルタイム地震情報利用協議会

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宮城県で震度6弱の大地震発生

2005年08月16日 22時47分59秒 | 地震,雷,火事,親父
東京にいましたが,実に気持ちが悪い揺れ方でした。横揺れが激しくて,まるで船に乗っているようでした。
とはいえ,今回の地震,震度やマグニチュードが大きかった割には,被害も最小限に済んだようで,かなり安心しました。
しかし,新幹線をはじめとする交通機関は,やはりかなり乱れたようです。帰省ラッシュに拍車をかけてしまったのではないでしょうか。

ところで,今回の地震で,スポーツセンターのプールの屋根が崩れたそうですね。映像を見ましたが,完全に「手抜き工事」にしか見えませんでした
建築会社の皆様,地震が来て壊れた場合,必ず「手抜き,杜撰工事」といわれます。心当たりのある会社の方は,早速補修にかかることをお奨めします。
また,自分たちが住んでいるビルや建物,本当に安全なのか,これを機に確認をしてみましょう。最近では,そのような検査を専門に行う業者も増えていますよ。

あと,これを機に,もしまだ防災用品や防災対策を取っていない方がいましたら,是非とも準備することをお奨めします。とにかく3日間持つ程度用意しておけば十分です。最近では,ようやくスーパーなどでも防災用品を売り出すようになりました。とりあえずはそれで十分です。
自分の身は自分で守る,これが防災の鉄則です。

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首都圏は地震に弱い!

2005年07月23日 23時33分54秒 | 地震,雷,火事,親父
千葉県で震度5強の地震が発生しました。私の自宅もかなり揺れ,そうとうビックリしました。
自分なりに防災対策を取っていながら,あまりの揺れに決定的な致命傷的ミスを犯してしまい,反省しています(具体的には行ってはいけないタンスの下に移動してしまいました。倒れたら死ぬぞ!)。
さて,首都圏では,その後交通機関がかなり麻痺しており,現在(23日23時時点)でも,まだ影響が残っているようです。

首都圏の交通網って,脆弱だなあ・・。

今回の地震で,首都圏の鉄道はほとんど停止しました。これ自体は,安全を重視するという観点から,決して避難できる話ではなく,むしろ地震に迅速に対応できる体制を整えた鉄道会社はすばらしいと評価できます。
しかし,その後の対応はどうでしょうか。

まず,電車に乗っている乗客に対し,地震発生した旨と運転停止した旨を放送しているものの,その後その放送の繰り返しだけであり,何らの対応策を採っていない電車が大半でしょう。しかし,乗客にとって関心があるのは「いつ動くか」「動かないならばどうすれば目的地に早く行けるか」です。とすれば,鉄道会社としては,運転再会の見込みを伝えるべきでしょう。仮に,めどが立たないのであれば,その時点で「運転中止」を明言し,乗客の車外誘導を促すことが先決ではないでしょうか。
乗客も暇ではありません。乗客は,大きな災害でなければバスなどの代替手段に切り替えるという選択をすることができ,また大きな災害であれば,一刻も早く避難する,家族の元に早く戻るなどの措置を講じるべく最大限の努力をするはずですから,いずれにしても電車内に缶詰にしておく必要性はありません。むしろ,情報が乏しいことにより車内で暴徒化するおそれがあり,結果大惨事にもなりかねません(さらにいうと,トイレに行きたい人は,長距離電車でもない限り,車内にトイレがない以上,それはそれで大惨事が発生しかねません。)。
せめて,各電車は可能な限り最寄りの駅までは行くような体制を整えるべきではないでしょうか(安全性については,司令室の指示を元にして,最徐行で行くなどして対応すれば可能と考えます。)。

次に,駅に待つ客については,やはり情報がないことにより,電車を待つべきか,代替措置を講じるべきか判断ができないことになってしまいます。駅周辺で人が山のようになってしまうのは,明らかに情報が欠如しているからです。それに,可哀想なのでは,ホームなど現場の最前線にいる駅員です。情報がない以上,客はとりあえず身近な駅員に情報を聞きます。しかし,当然情報が来ていない以上,「分からない」という回答をするしかありません。結果,客も紳士淑女ばかりではないため,そのような駅員に対してキレる場合も多いと思われます。

いずれにしても,ここで一番にいたいことは,「危機管理マニュアルが存在している以上,そのマニュアルに乗っ取って,迅速に情報を提供するべきである」ということです。
東京駅では,情報モニタがありながら,実際に映っていたのは,全国の天気予報やテレビ放送(ニュースではなく,通常番組)であり,一番必要な情報はまったく提供されていなかったそうです。これでは,何のための情報提供モニタか分かりません。

首都圏の交通網は,5センチ程度の雪でも完全に麻痺してしまいます。安全を軽視してまで走れとは決していいませんが,せめて情報だけは迅速かつ確実に提供できる体制だけは整えてほしいと思います。

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地域防災計画について考える

2005年05月22日 18時44分33秒 | 地震,雷,火事,親父
ずいぶん前に「東久留米市地域防災計画」を読んだ旨の記事を書きましたが,その中で気になった点についていくつか指摘したいと思います。
なお,東久留米市の名誉のために,最初にお断りしますと,この計画,全体的には問題はないと思いますので,有事の時にはこの計画通り動けば,私たちは安心して行動ができる代物であると思います
また,計画書を熟読したわけではないため,私の指摘点は実は他で記載済みであるとか別の要綱等が作成済みであるという可能性もあります(つまり織り込み済みである可能性がある。)。
さらに,今回指摘したい点は,東久留米市だけの問題ではなく,おそらく多くの市町村で作成された地域防災計画共通の問題点ではないかと思う点を中心に記載したつもりです。したがって,ここでの指摘は,東久留米市だけではなく,全市町村を対象にしているという前提でお読みいただければと思います。

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第1 災害本部の活動について
 1 設置基準が不明確である。

  災害本部は「大きな災害があり,市長が認めるとき」に設置するとあります。
  これは,イメージ的には分かりますが,大きな災害の定義が実は曖昧です。
  したがって,大きな災害について,具体的な基準を設けるべきです。
  例えば,「震度5強以上の地震が発生した場合」等と明記するべきです。
  実際に災害がなければ,本部は解散する条項が盛り込まれているため,実際に被害がなければ,すぐ本部を解散すればよいだけのことです。もちろん,逆に基準以下の災害でも大きな被害が発生した場合は,これまでどおりその時点で本部を設置すればよいわけです。
  これは,住民がいつ避難場所に行くべきか,避難場所に行ったけど,その後誰も来ない等という問題を回避するためにも重要ではないかと思われます。
 2 市長に権限が集中しすぎる
   本部設置後,基本権限はすべて市長にあります。これは,当然なのですが,市長権限の代行は,「市長に事故ある時」に限られています。
   つまり,市長に事故がない限り,市長がすべての最終判断を有することになります。
   ところが,災害の場合,即座に市長と連絡が取れるとは限りません。また,偉い順に市役所に人が集まるとも限りません。一方で,即座に災害に対する対応を取らなければならない場合もあり得ます。その時に,「まだ市長と連絡が取れないので,判断できません。」では通用しません。
   そこで,市長に事故ある時という部分をもっと緩やかにして,本部にいる一番偉い人がその都度判断ができるようにするべきです。もちろん,この偉い順は,何らかの形で決めておく必要があります(実際は,例規上で序列が決まっているので,それに従えばよいと思われます。)。
 3 現場責任者の権限を拡大する
   災害現場では,予想以上の被害や混乱が想定されます。時には,現場での判断が最善策であることも想定されます。
   そこで,現場責任者の権限を拡大します。具体的には,避難用品の他の避難所への分配数量や病人のランク付けなどです。
   もちろん,最高責任者はあくまでも市長なので,事後報告を行うことはいうまでもありませんし,場合によってはその時点で市長が責任者に対して是正命令などを出せばよいわけです。
   ここで注意したいのは,すべての市長は防災対策に対して有能であるとは限らない,ということです。机上の空論(場合によっては無能もありうる)よりも,現場責任者の方が,防災対策について詳しいことは十分あり得ます。   
 4 死傷者情報の把握が不十分である
   尼崎での脱線事故の際も問題になりましたが,死傷者がどこにいるのかを一元的に管理している人がいませんでした。したがって,被害者の家族は,病院を転々として初めて確認できるということになりました。
   災害時は,交通網の寸断などにより,病院を転々とすること自体が困難になると思われます。また,個人情報保護法により,入院患者の氏名をすぐに明らかにしない病院なども出てくる可能性があります。
   そこで,これらの情報を本部が一元的に管理し,本部に来れば死傷者の氏名や入院先が分かるようにします。もちろん,個人情報保護との調和は考える必要があります。

第2 避難場所のあり方について
 1 広さと収容人口がアンバランス

   これは,物理的にやむを得ない点があります。駅前には空き地が少なく,郊外には空き地が多いため,当然避難場所も郊外の方が大きくなります。
   しかし,駅前もかなりの避難人口がいるわけですから,可能な限り彼らを収容する方法を検討しなければいけません。
 2 避難用品がアンバランス
   避難用の食料などが豊富にある避難場所と少ない(全くない)避難場所があります。一応,多くある避難場所から他の避難場所にこれらを配布するという想定になっていますが,実際,それが十分機能するかは疑問があります。
   やはり,各避難場所にはそれなりの用品を備えるべきでしょうもちろん,住民一人一人が平素から防災用品を備えておくべきであることはいうまでもありませんが。)。
 3 避難場所担当者が職種別になっている
   実際,避難場所に行く職員が,防災担当職員となっています。しかし,仕事中の災害であればまだしも,休日や夜間の災害の場合,そもそもその職員が避難場所に行ける保証がありません。
   避難場所の担当者は,基本的にはその地域又は近隣に住む職員にするべきでしょう。
   なお,他の市町村に住む職員については,大規模災害時には,一時的にその町の職員と共にそちらの市町村で災害対策の活動をするという協定を結んでおくと,なお良いかと思います。例えば,東久留米市の職員が西東京市に住んでいる場合,災害時には,西東京市で災害対策の活動を行うということにします。もちろん,逆もあります。

第3 想定外災害の対応について
 1 道路が使えない場合の輸送ルートについて

   地震では,道路の陥没などにより,交通網が寸断されることが想定されます。
   そこで,各避難場所への非常食などの運搬ルートについては,複数想定しておく必要があります。
   また,前述の避難所間での融通を円滑にするため,自動車以外での大量運搬方法も検討しておく必要があります。
   例えば,リヤカーなどは,一見馬鹿にしてそうですが,道路の寸断でもある程度対応ができ,それなりに輸送力があるため,有用ではないでしょうか。
 2 避難訓練に「想定外」の内容を加える
   避難訓練は,地域防災計画通り行動できるかを確認する意味で,非常に重要なものといえます。
   しかし,やはり何が起こるか分かりません。
   そこで,どっきり企画というと不謹慎ですが,「想定外災害」を訓練時に加え,適切に行動できるかを確認することが大事でしょう。
   そのためには,この想定外訓練の内容については,ごく一部の担当者以外は,例え市長であっても知らないで行うべきでしょう。

以上になります。とにかく必要なことは,迅速かつ適格に職員が行動できるか,住民一人一人が災害時の行動内容を把握して,混乱なく行動できるかが大切です。そう言う意味では,これは市役所任せではなく,私たちも熟知しなければならないでしょう。
皆様も,災害時の行動について,今一度確認,検討をされてみたらいかがでしょうか。