あれは,あれで良いのかなPART2

世の中の様々なニュースをばっさり斬ってみます。
ブログ界の「おか上彰」を目指し、サボりながらも頑張ります!

6月7日(木)のつぶやき

2018年06月08日 04時03分30秒 | 裁判・犯罪

正解は,越後製菓!サトウの切り餅に特許侵害認めた

2012年03月26日 00時07分38秒 | 裁判・犯罪
サトウの切り餅で販売したもちの切り込み方法が越後製菓の切り込み方法と類似しているとして,特許権侵害を理由とした製造差し止め及び損害賠償等の訴訟について,知財高裁は,一審の判決を破棄し,越後製菓側の主張を認めて総額8億円近くの損害賠償請求及び製造機器の廃棄を命じる判決がくだされました。
サトウの切り餅側は,上告をしたため,舞台は最高裁に移ることになります。

「サトウの切り餅」製造差し止め=越後製菓が勝訴、賠償8億円―知財高裁(時事通信) - goo ニュース

特許技術は実に微妙

この訴訟,実は中間判決ということで,特許技術的範囲に属するか否かといういわゆる特許侵害の有無については,去年9月にでており,その段階で,第一審では範囲外という判断をひっくり返し,「切り込み方法も特許技術的範囲内に属する」として,特許権侵害に当たるとしています。
したがって,今回の判決は,それを前提として最終的に損害額を算出したということになるのです。

中間判決で今回の切り込み方法が特許技術的範囲内に属したと判断したのかという理由は非常に高度かつ複雑なのですが,ものすごく簡単に言ってしまうと,「横スジにより,もちがきれいに焼けるという点は,両社共通であり,かつそれは切り餅にとって極めて重要かつ高度な発明内容であった。そこが類似しているとなると,特許技術的範囲内であるといえる。」ということになります。
つまり,単なる切り込みであっても,それで餅がきれいにおいしそうに焼けることで,産業発展に大きく寄与するものになることから,特許として認められるものだ,ということなのです。

そして,日本の特許法は,諸外国同様「先願主義」を採用しているため,先に特許申請をした者が勝ちます。今回,越後製菓が本件について特許申請をしているため,特許権者としての権利を有することになります。
ところが,実はここにも今回は争いがあり,これまた非常に複雑な経緯があるのですが,越後製菓の特許はすんなり認められず,最終的に不服審査においてようやく認められたものでした。その間に補正や意見書を提出するという場面があったのですが,その説明の中で「横に切れ込みがあれば十分で,上下に切り込みがあってもなくてもこの焼き上がりには影響しない。」と説明していました。今回の判決では,この事実を認め,「とにかく横勝負!」っていう特許を先に越後製菓に認めたんだよ,っていう判断を下したことになるのです。

もちろん,他にも特許要件をきちんと認定していますが,サトウの切り餅側は,当然のことながら,特許要件も含め,上記の争点についてすべて争ってきたわけですが,第一審とは異なり,ほとんど越後製菓の主張通りとなったわけです。

この訴訟,最高裁に行きますが,最高裁では事実調べは行いませんから,このままではおそらくサトウの切り餅が負けます。
しかし,サトウの切り餅側の最大の言い分が残っており,それは,「知財高裁が,中間判決後に申請した証拠調べをすべて却下したのは不適法だ」ということです。
裁判所は,中間判決をした以上,特許技術に関する証拠調べをする必要はないということから「時機に遅れた攻撃防御方法の却下」をしたものと思われますが,この成否について最高裁では一定の審査を行うことになるでしょう。仮に,「いやあ,時機に遅れたとは言えないし,そのうえで証拠調べしないと,事実が異なるぞ」ということになったとしたら,破棄差し戻しになる可能性もあります。あとは重大な事実誤認ですが,その可能性は低いでしょう。
いずれにせよ,この訴訟,餅の話だけに,まだまだ伸びそうですね

なお,一つ誤解のないように補足します。
特許権侵害関係の訴訟となると,イメージとして,特許を侵害している被告が「人の権利を勝手にぱくったけしからんやつ」と思ってしまう人も多いかと思いますが,必ずしもそうしたこととは限りません。むしろ,訴訟になるケースは,「うちも独自に開発したんだ」という事例の方がほとんどです
先ほど書いたとおり,特許申請は先願主義を採用しているため,先に言ったもの勝ちなのですが,多くの企業は,ほぼ同じ時期に開発を行っているため,それが先に出るかどうかは紙一重なんです。しかも,開発思想が微妙に違うことから,結果が似ていたとしても,「うちはコンセプトが違うから特許侵害にならない」と胸を張って言えるっていう感じになっているのです
だから,「先後の問題」はあまり争いにならず,「違う特許だ!」という技術的範囲の問題が非常に大きな争いになるのです。しかも,被告には「ぱくった」という意識は0なのです。
決して,中国の知的財産のようなあこぎな手法を訴訟で避難しているわけではないのです。この点だけは,ぜひとも誤解のないようにお願いします。

特許権は奥が深いです。

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衆議院議員選挙,このままでは違憲よ!

2011年03月25日 00時51分44秒 | 裁判・犯罪
2009年に行なわれた衆議院議員選挙について,議員一人当たりの有権者格差が最大2.3倍となった区割りは,投票価値の平等に反するとして選挙無効を求めた訴訟について,最高裁は選挙無効の請求は棄却したものの,現行の区割り制度が違憲状態であり,直ちに是正すべきと言及しました。
これにより,国会は,区割りを含めた選挙制度の見直しを求められるのは必至の状態となりました。

09年衆院選は違憲状態=1人別枠方式「平等に反する」―廃止要請・最高裁大法廷(時事通信) - goo ニュース

最高裁はいよいよマジで警告した

これまで,一票の価値に関する裁判はいくつも行われており,違憲判決も出ているものの,いずれも「事情判決」にとどめ,国会での早期是正を期待する程度の判決内容になっていました。
しかし,今回は,一歩進み,「今度こそやらないと次は選挙無効にするかもしれないぞ」という強力な内容になったのです。

判決内容ですが,ざっくり言うと次の通りです。
1 衆議院議員選挙小選挙区の区割りは,まず各都道府県に1議席を配分したうえで,残りを人口割りするという「一人別枠方式」を採用している。この趣旨は,人口の少ない県に居住する国民の意思も十分に反映させることを目的としている。
  だけど,議員は「地域代表」ではなく「全国民の代表」だから,地域性を理由に一票の格差をゆがめる理由はない。むしろ,この制度が,一票の格差を2倍以上に広げる要因となっている。
2 この一人別枠方式は,そもそも中選挙区から小選挙区に移行する際に,急激に議員が減少する地域を避けるための措置だったので,あくまでも一時的なものに過ぎない。とすれば,新制度が定着すれば,もはやこの制度は合理性を失う。
3 前回の訴訟(2005年の選挙についての2007年最高裁)時点では,まだ新制度の移行期であり合理性があるといえるので,合憲としたのは理由があるが,2009年の選挙では,それから十分検討する時間もあり,選挙もある程度やったから,もはや合理性がある制度とは言えない。
4 ただし,2007年に合憲判決がでていることを踏まえると,合理的期間内に是正されなかったとまでは言えないので,選挙無効にはできない。
5 だけど,一票の価値を平等にするため,これから合理的期間内に,一人別枠方式を廃止し,速やかに是正すべきである。


こんな感じです。
ものすごく分かりやすく言うと,「選挙制度変えるので移行措置として一人別枠方式を採用したのは悪いとは言えないが,もう移行期間終了したから,さっさと直せ」ということなのです。
そして,今までの判決との違いは「合理的期間」に制限を付けたことです。これまでは,「合理的期間」というキーワードを使いながら,それがどの程度なのか明確にしませんでした。しかし,今回の判決では,「今からできるだけ速やかに」という点を明確にしたのです。すなわち,合理的期間のストップウォッチのボタンは押されたということになります。
だとすると,場合によっては,次回の選挙までに是正されなければ,今度こそ本気で「選挙無効判決」を出すかもしれないと最高裁は警鐘を鳴らしたと言えます。

さてさて,国会は,いよいよ本気にならなければいけません。
今,メインは震災復興関係の議論だとは思いますが,だから選挙制度の議論はやらなくていいっていう問題ではありません。一票の価値は民主主義の根幹にかかわるテーマですし,震災復興を本気で進めるとしたらなおのこと「有権者の声を忠実に反映する国会」にしなければなりませんから,これは同時並行的に処理しなければならないテーマとなります。
選挙無効にされないためにも,下手な党利党略による選挙区割りを考えるのではなく,ある程度客観的,機械的に区割りをして一票の価値を平等にしなければならないでしょう。
判決でも歌っているように,憲法の大原則は,「国会議員は全国民の代表」なのですから,ある程度地域制は希薄になっても仕方がないでしょう。

ちなみに,この裁判ではあまりニュースになっていませんが,もう一つの論点があり,それは「政党所属の候補者と無所属候補者とでは,選挙運動の範囲が異なるので不平等だ」という点ですが,これについては,「政党政治を基本とすれば,合理的理由はある」として請求棄却されました。
とはいえ,やはり選挙制度はある程度抜本的見直しが必要な時期に来ていると言えます。今回の統一地方選挙でも,震災の影響から選挙カー自粛などをしていますが,選挙カー自体がもはや時代錯誤な代物ですし,今の選挙制度では,実は「政策を訴えにくい」という選挙の根幹を揺るがしかねないものですから,「もっと政策を訴えやすくする」という方法に転換していくべきと言えます。
国会において区割りを検討するのであれば,こうしたそもそも論も含めてきちんと,かつ早急に見直しをするべきです。

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http://itoh-blog.at.webry.info/201212/article_18.html

課税は刑罰と同じなので,主観で処理しちゃいけません

2011年02月20日 18時42分41秒 | 裁判・犯罪
武富士の元会長が贈与税回避の目的で住所を海外に移転した場合に,転居当時課税できないとされていたときでも課税処分を科せされるかどうかという点が問題となった行政処分取消訴訟について,最高裁は,原告の武富士側の主張を認め,国に対して課税処分の取り消しを命じる判決を言い渡しました。
これにより,国は還付金を含めて約2000億円を武富士元会長側に還付することになりましたが,利子分だけでも400億円近く支払うこととなることから,物議を醸しています。

追徴課税の取り消し確定=2000億円還付へ―武富士元会長贈与訴訟・最高裁(時事通信) - goo ニュース

租税法律主義を厳格に解釈した判決

この問題,主観的には,ほとんどの方々が「そんなの課税して当然。返すなんてありえない。」なんて思われたかと思います。
事実,主観的には,武富士会長側も贈与税回避の目的もあった点自体は争っていませんし,裁判長が補足意見で「ものすごい不公平感があることはよーく分かる。」などと言っていますから,そうであれば,なおさら「最高裁の判決っておかしいんじゃないの?」なんて思われたのではないかと思います。
しかし,最高裁判決は,感情論を抜きに考えると,実は「憲法を厳格に解釈した」といえるのです。いわば,「国だから何をやっても許されるわけではない」という警鐘をならしたといえます。

今回の事件のキーワードは「租税法律主義」です。先ほどの裁判長の補足意見も,その続きがあって,「不公平感は分かるけど,租税法律主義からは仕方がない。」と言っているのです。
租税法律主義とは,憲法84条に定められた規定で,税金を課すには法律がなければだめ,というものです。これは,憲法83条の財政民主主義を受けた規定で,要するに「一部の官僚の独断で国民に対して税金という負担を課してはならず,必ず民意である国会による議決を経なければ課税してはならない」という国民主権の思想をベースにしている規定なのです。

さて,今回のケース,これを踏まえてもう少し具体的にいいましょう。
今回のケースのポイントは,ざっくり言うと次の点があげられます。
1 海外転居時に法律で非課税とされていたことを,後で適用したり,通達の解釈だけで課税したりできるか。
2 転居の事実が主観的に課税回避であった場合,それをもって居住地は海外ではなく国内であるとみなし認定してよいか。


これについては,次のとおりとなります。
まず,1については,最高裁判決では具体的に触れていませんが,前提として,「通達による課税は,法律で明確に枠を決めている場合以外はまかりならん」とされていますので(ぱちんこ事件),当然,海外転居時に法律がなければ,あとからさかのぼって税法を適用させるということはもちろんのこと,通達で法律にない解釈を加えて課税処分をすることも租税法律主義に反することになります。
それを踏まえて,2の問題が出てきました。
高裁では,税法の直接適用はできないという前提において,「住居」という解釈で課税処分を有効にしました。すなわち,課税逃れで海外に住所を移した場合,実際日本での生活がメインであれば,「住居は日本」という主観から判断したのです。
ところが,最高裁は,税法を厳格に解釈しました。すなわち,課税逃れ目的か否かという主観は排除し,「実際の生活スタイルがどうであったか」という客観的事実だけで判断することとしたのです。そして,本件では,会長の生活スタイルとして,財産も家財道具もある程度海外にあり,実際結構な日数海外にいたと言えるので,客観的な事情から「住居は海外」と認定したのです。
これは,「法律の不備を感情だけで国民に押し付けてはならない」ということで,租税法律主義を厳格に守るという最高裁のスタンスだと言えます。

この判決に対する批判として,前述の感情論が挙げられると思います。
しかし,感情で課税の範囲を通達などで変えられてしまうとなると,逆に国が国民に対して事実上の増税を簡単に行えるということになりかねません。なので,ここはやはり「民主主義たる立法によるコントロール」が必須となるのです。たとえ,悪質であったとしても,その当時,法律がない以上,これはもはやどうにもなりません。
また,「還付金を税金で返すのはおかしい。せめて,元本還付でよいのではないか。」という意見もあります。
しかし,これも気持ちは分かりますが,アンバランスです。追徴課税などするときは利息を付けている訳ですから,それを返す時は利息を付けるというのが筋ですし,逆に自分たちが不当な処分を受けた場合のことを考えると,還付金には相当の利息をつけて然りということになります(ただし,一定の制限を設けるという考え方はありかもしれませんが,これも現状では立法がない以上,仕方ありません。)。

そう考えると,やはり租税に関する立法というのは,相当大胆かつ慎重に行なわなければならないといえます。そして,前述のとおり,最高裁も,この判決について「めでたし,めでたし」とは言っておらず,むしろ「国会や官僚,しっかりしろ!」というニュアンスの内容が含まれている訳ですから,これを受けて「一部の金持ちが得をしない税法」を改正していくべきです。
消費税増税等だけが議論の対象となっていますが,まずは「逃げ得を許さないような制度」をきちんと築き上げることが大切なのではないでしょうか。今回の最高裁判決は,そうした視点ももった内容であったと言えます。

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致死罪の因果関係は結構難しいんです

2010年09月19日 22時47分55秒 | 裁判・犯罪
押尾被告に対する保護責任者遺棄致死罪等事件について,東京地裁は,懲役2年6月の判決を言い渡しました。この中で,保護責任者遺棄罪は認定したものの,致死罪については認定しませんでした。

押尾学被告実刑 裁判員にかかった大きな負担(読売新聞) - goo ニュース

プロの裁判官だけの裁判でも結果が分かれる事案でしょう

今回,芸能人に対する裁判員裁判ということで注目されましたが,結果的には妥当というか,なるべくしてなった判決だと思います。
この判決に対して,「甘い」とか「押尾被告のけしからん行為を評価していない」などと一部マスコミから批判を受けていますが,大前提として,裁判は「人を裁く」のではなく「事件を裁く」のです。したがって,被告人が普段からどういう言動をして,どういう性格なのかっていうことは全く度外視して当該事件について考えなければならないものなのです。押尾被告の言動が気に障ることばかりだから罪を重くしてやれっていうのは,むしろ筋違いなのです。
そういう意味では,一般人である裁判員は,実に冷静に判断したと思います

さて,この裁判,実は争点がたくさんあるので,ここではあえて「致死罪の成立」についてだけ解説したいと思います。
今回,保護責任者遺棄致死罪が認められず,単に保護責任者遺棄罪のみが認められました。
この両者の罪の違いですが,ものすごくざっくりいうと,「助けるべき人が助けなかった」のが遺棄罪,その結果死亡したら致死罪になるのですが,ここでいう「その結果」っていうのは,「放置したことと死亡したこととの間に因果関係があること」が求められるのです。そして,その因果関係とは,「助ければ十中八九助かったであろう」という程度で十分であるという判例があります。つまり,「助ければ確実に死ななかった」までは求めていません。
一方で,「疑わしきは被告人の利益」という大原則があります。これは,罪となるべき事実の証明責任は検察官に負わせていますが,証拠が不十分であれば,被告人は無罪としなければならないっていうことになります。この規定について批判をする人がいますが,「疑わしきは有罪」っていうことにしたら,どこかの国のように,「気に入らない人を捕まえて,適当に裁判して,即刻処刑」が可能になってしまいますから,これは私たちが安心して生活するためには極めて重要な原則なのです。

でもって,今回の押尾事件の場合,被害者女性の死亡と押尾被告の救助活動をしなかったこととの間に因果関係があるかどうかっていう点が争点となりました。
検察側は,医師の証言などから「急変してすぐ救急車を呼べば十中八九助かった」という点を主張立証しました。
一方,弁護側は,別の医師の「助かる確率はかなり低かった」という医学的見地からの証言や,救急車の現実的な運行時間等から,「十中八九助かったとは言えない」っていう反論をしてきました。
今回,裁判所(裁判員)は,弁護側の医師の証言も一理あり,それが直ちに否定される理由もないこと,だとすると,検察側が主張する「十中八九助かった」という点について,立証されたとは言えないということから,致死に関する因果関係の証明不十分として,致死罪について否定をした,っていうことになります。
決して,「芸能人だから」とか「一般人の感情論」っていう事実認定ではありません。これは,プロだけの裁判官でも非常に悩む事案であったといえるからです。むしろ,この結論に至る評議では,裁判官も裁判員も相当悩み,議論をしたと思います。

ただ,プロの裁判官だけの裁判であれば,医師の証言について,どちらの証言の信ぴょう性が高いかを判断して結論を出したかもしれません。その判断いかんでは,当然,弁護側の主張が認められず,検察側の主張立証が認められたとして致死罪を認定したかもしれません。

さて,舞台は高裁に移ります。今のところ,被告人から控訴が出されていますが,おそらく検察側も控訴してくるものと思われます。
そうすると,高裁で再び全面対決となります。そして,保護責任者遺棄致死罪についても,検察側は立証の補強をしてくるでしょう。それに対して,高裁はどのような判断をするか,注目です。
ちなみに,審理不十分として地裁へ差し戻すとなると,再度裁判員裁判となります。もっとも,本件では事実認定は十分されていますので,その可能性は低いかなあ,って思います。

押尾被告の言動には,まだまだ目が離せませんね。

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http://blog.goo.ne.jp/tenjin95/e/82406c342e3ef93a112f31e20ee4c9ae
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市有地を神社へ無償提供することに違憲判決,どうなる全国の神社

2010年01月20日 22時25分58秒 | 裁判・犯罪
北海道砂川市が,市有地を神社に無償提供したことが憲法で定める政教分離の原則に反するとして神社の撤去などを求めた住民訴訟について,最高裁は,市有地を神社に無償提供したことは憲法89条等に違反すると認定し,ただし違憲状態の解消方法についての審理が不十分であるとして札幌高裁に差し戻す判決をしました。

神社への市有地無償提供に違憲判決 最高裁(朝日新聞) - goo ニュース

全国にこうした神社は1000以上ありますから,これから大変かも

今回の判決,ものすごくざっくりいうと次のとおりです。
1 砂川市が空知太神社(ただし宗教法人としての神社ではなく,住民らが氏子などになっている団体)に土地を無償提供した。
2 空知太神社では,年数回,神主がいろいろ活動する例大祭などパッと見神道行事が行われている。
3 裁判所としては,憲法の政教分離の判断基準として,一般人基準(宗教施設の性格や無償提供の経緯と態様,これに対する一般人の評価などを考慮し,社会通念に照らして総合的に判断する)を用いて考えることにしよう。
4 本件で3の基準を当てはめると,神社で神道みたいなことをやる氏子集団がいれば,そりゃあ一般人は「宗教活動だよね」って思うだろうし,そこにただで土地をあげたとすれば,神社という宗教に特別の便宜を図り,援助しているとしか思えないだろう。だからこりゃ違憲。
5 でも,「違憲だから即神社撤去」ていうのはどうなの?この点,違憲状態を解消するにはいろんな方法があるけど,その点について高裁で審理してないよね。だから,違憲状態の解消方法について札幌高裁でもう一度考えておいで。


大雑把にこんな感じです。実際の判決文はもっと大量にありますし,補充意見や反対意見もあるなど,結構読み応えのある内容になっています。
今回の判決の特徴は,これまで政教分離判断ではベタ基準といわれた「目的効果基準」を正面切って使わず,一般人基準で判断したということです。ただし,決して判例変更という訳ではありません。結局,これまで目的効果基準は,いわば「一般人基準を導くための基準」でしたので,むしろこれまでの判例路線を継承していると言えるのです。ただ,今回は目的効果基準を用いずに,単に総合判断というざっくりくくりにしたのです。
もっとも,この判決,仮に目的効果基準を用いたとしても,おそらく同様の違憲判断になったものと思われます。すなわち,「行為の目的が宗教的意義をもち,その効果が宗教に対する援助,助長,促進又は圧迫,干渉等になる」という基準であるところ,本件では,神社が宗教法人であるか否かに関係なく,普段の活動を踏まえると宗教団体といえるといえ,そのうえで,土地の無償譲渡で神社の建設や神社の活動を容易にするということになり,結果神社に対する援助や助成になるといえるという当てはめになるものと思われます。
それを今回あえて目的効果基準を採らなかった理由は何でしょうか?これは推測ですが,おそらく,最高裁は,「今後はレモンテスト並の厳格な基準にシフトしようかなあ」っていう判断基準自体を厳格モードにしていこうという意思表明だったのかもしれません。言い方を変えると,「全国的にあるなあなあな状態については,これから訴えが来たら厳しくみますよ」という警鐘であったのかもしれません。

ただ,この審理,高裁に差し戻されます。もちろん,ここで合憲にすることはほぼあり得ないでしょうが,ここでは,「より現実的な違憲状態の解消方法」について審理されます。おそらく,「神社を壊すのはさすがにやりすぎでしょう」ということから,「お金で解決したらどうなの」という形での解決策を検討していくものと推測されます。この辺りは,市がどういう主張をするか,注目です。

しかし,全国には今回の裁判同様に市町村が神社等に土地を無償提供しているところが1000カ所以上あるようです。しかも,今回同様,すべて宗教法人ではなく,自然発生的神社も含まれているようです。もちろん,この違憲判決の効果がすべての神社に及ぶわけではありませんが,妥当性も含めてあり方の見直し等という動きが出てくるかもしれません。そうなると,全国的な混乱も予想されるところです。
「昔からこうだから」とか「神社っていっても宗教っぽくないから」などという言い分が通らない時代に入ったと言えるのでしょうね。今回,最高裁は,こうした「なあなあの解消」に警鐘を鳴らしたといえるかもしれません。つまり,「神社の事業仕分け」判決だったのかもしれません。

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市長にはむかうとクビ?

2009年10月24日 22時15分21秒 | 裁判・犯罪
何かと話題の多い阿久根市長が張り出した職員の総人件費を破った職員を懲戒免職としたことについて,その職員から懲戒免職無効の地位確認等訴訟があり,その前提の地位保全決定について,鹿児島地裁は職員の主張を認め,懲戒免職は無効で職員としての地位保全の決定(懲戒免職の効力停止)をくだしました。
この職員の身分については,今後,本裁判(行政訴訟)を通じて判断されることとなります。

阿久根市長の張り紙はいだ職員、懲戒免は効力停止(読売新聞) - goo ニュース

ポイントは「やったことと処分の大きさが比例しているか」

この決定はあくまでも仮の決定に過ぎませんので,正式決定ではありません。しかしながら,一定の判断基準ははっきりと示されたものと思われます。
すなわち,職員は「懲戒免職は一番重い処分なので,掲示を破っただけで懲戒免職は処分が重すぎ,裁量権の逸脱」を主張しました。一方,市長は,「市長の指揮監督権の範疇」と主張しました。
これを受けて,裁判所は,「市のこれまでの懲戒免職基準は犯罪行為や長期欠勤など結構重たいものに対してであり,張り紙を破る程度では,この基準からすると逸脱していて不適法の可能性が高い。」などとして,懲戒免職の効力を停止させました。

今回,裁判所は,「比例原則」をベースに判断したと思われます。比例原則とは,簡単にいえば,「やったことの悪さの重さに比例して処分の軽重も決めるべき」というものです。一番分かりやすい例は「刑法」で,犯罪の内容に応じて死刑から罰金まで様々になっています。ガム1個盗んで死刑はあり得ないのは,まさに刑法が比例原則で法制化されているからです。
今回のケースは,比例原則から言うと,懲戒免職になるのは犯罪行為(しかも信用を失墜させるような横領や背任,収賄など)や,長期欠勤など仕事やる気0の場合であり,それより軽い行為であれば,懲戒免職では重すぎるため,それより軽い処分に比例するということになります。そして,張り紙を剥がす行為は,市長に対する背信行為であるため,処分対象になり得ますが,著しく信用を失墜させるような犯罪行為とはいえないであろうということで,懲戒免職処分に比例しないということになります。おそらく裁判所もそのような発想で決定を下したのでしょう。
ちなみに,最近よくでている「公務員が酒気帯び運転したら懲戒免職」という事例で,実際に懲戒免職された職員からの地位確認等の訴えが相次いで認められる判決がでているのも,この比例原則をベースにしていると思われます。

ただし,比例原則に関しては,「行為と処分が比例しているかどうかの明確な基準がない」ということに問題があります。また,そもそも論として,「比例原則以前に,民間企業でも,社長の方針に従わない社員はクビになるから,公務員だって市長の方針に従わないなら当然クビだろう」などという意見も聞かれます。
したがって,本裁判では,おそらくこの辺りの問題,すなわち「比例原則で考えるのであれば,基準の明確性」が争点となり,また「比例原則の話ではなく,市長の方針に従わなければ即時クビということでよいのか。」という点も争点となりうるでしょう。

私見としては,そもそも「社長に逆らったらクビ」という発想自体も実はおかしな話ですから(そしたら,経営方針の議論なんか恐くてできません。),やはり「比例原則をベースに考えるべき」でしょう。その上で,懲戒処分の各処分の実績を主張させ,その中から一定の基準を導かせることで,懲戒免職となりうる基準を作り,この事例をその基準に当てはめていけば自ずと判決になると思います。そして,やはり,張り紙を剥がす程度では,少なくとも懲戒免職にはなり得ないでしょう。

さてさて,阿久根市長,裁判ではどのような主張を展開するでしょうか。また,どのような判決を下すでしょうか。注目です。

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泥棒をかばうバカ親たち

2009年09月27日 22時15分37秒 | 裁判・犯罪
最近は,子どもが万引をしたことで保護者に通報すると,保護者が「なんで万引する前に諭さない。」とか「万引しやすいところに置く方が悪い。」さらには,「金払えばいいんだろう。」など食ってかかってくるモンスターペアレントが増えてきているそうです。警察も,「親が万引を安易に考える風潮があり,これが大きな犯罪の助長になりかねない。」など懸念しているようです。

万引現場にもモンスターペアレント 「捕まえる前に諭せ」「届く場所に置くな」(産経新聞) - goo ニュース

万引は死刑台への入口

このニュースを聞いて,なんか情けなくなりました。子どもが犯した罪は,まず親が責任を取り,そして親が子どもに指導し,諭すべきものです。しかし,ごく一部だとは思いますが,このニュースに出ているような親は,完全に親としてやることを放棄しているとしか思えません。じゃあ,子どもの責任を誰が取るのでしょうか?仮に,被害者を恫喝してそれで終わればそれで万事解決になるのでしょうか。

そんなはずない,ってことは皆様も感じられるでしょう。もし,これで許されれば,子どもは「なーんだ,泥棒しても大丈夫なんだ。」と思い,次々に犯罪を重ねるでしょう。のみならず,泥棒は,一歩間違えると「強盗」に発展し,強盗は一歩間違えると人を死傷させる「強盗致死傷」にまで発展しかねません。もし,子どもが人を殺めてしまったら,それでも「盗まれる奴が悪い」とか「命の金払えばいいんだろう」とでもいうのでしょうか?

そもそも,「万引」自体に対する社会の認識がまだまだ甘いと思います。以前も書きましたが「万引」ではなく「窃盗」と呼べばよいのです。
そして,さきほども書きましたとおり,窃盗は,強盗や強盗致死傷に化けやすく,法律上も「事後強盗罪」など,窃盗から成長することを想定しています。そして,強盗致傷で逮捕される事例の多くは,実は,「万引見つかって殴って逃げた」などというものなのです。
さらに,万引見つかったので,ナイフで刺殺して逃げたなどという痛ましい事例もありました。強盗致死になると,死刑か無期かのせめぎ合いになります。
つまり,「安易な万引ゲーム」のつもりなのかもしれませんが,このゲーム,一歩間違えると「死刑台」が待っているのです。18歳未満であったとしても,相当長期の刑務所暮らし(人が死ねば,もはや少年院ではないでしょうね,おそらく。)が待っているのです。
のみならず,民事上の責任だって負います。盗んだものの賠償責任はもちろんのこと(もちろん,民事と刑事は別なので,盗んだものの金を払えば刑事は免責,っていうことはありません。),人を怪我させたり死亡させた場合は,多額の損害賠償が請求されます。特に死亡させたら,億単位になるでしょうし,当然保険なんかありませんし,損害賠償は破産しても免責されませんから,一生涯支払続けなければなりません。

こうしたことを,まずこうしたバカ親自身,自覚してほしいものです。あなたの甘い一言が,やがて子どもを死刑台に送り,そして,一生かけても払いきれない程の多額の損害賠償の責任を負うことになることを認識してもらいたいです
「たかが万引」ではありません。「万引も,立派な窃盗。だから,一生を台無しにする」くらいに思った方が良いでしょう。

そして,このことを社会全体で自覚することが大切です。世間が「万引くらい」と思った瞬間,日本は無法地帯になります。だって,「自分の金を盗まれてもしかたがないよね。」って言っているのと同じなのですから。
もっとも,最近,多くのお店に「万引を発見したら,即警察に通報します」などと書かれておりますが,それで当然だと思います。自分の財布を盗まれたどう思うか考えてみたら,言うまでもないでしょう。
とにかく,「万引」は「窃盗」なのです。窃盗の子どもをかばって良いことは何一つありません。

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マンモスかなピ~,でも違法薬物は絶対ダメダメ

2009年08月08日 10時21分59秒 | 裁判・犯罪
今週はいろんなニュースがありました。ブログで書きたいことはたくさんあったのですが,こっちはこっちで今週は,あっち行ったり,こっち来たり,ラジバンダリな状態で,まともにネットに書き込む余裕すらありませんでした。
さてさて,そんな中,今週まるまる尾を引いているのが,のりぴーでして,最初は夫が逮捕されたことに伴う傷心から失そうといわれて捜索願が出ていましたが,その後,彼女に覚せい剤取締法違反(所持)で逮捕状が発付されたようです。

酒井法子容疑者に覚せい剤容疑で逮捕状(読売新聞) - goo ニュース

違法薬物には絶対に手を出してはいけません

一応無罪推定の法則がありますので,断言はしませんが,警察が逮捕状を請求した根拠としては,夫の供述と,それを裏付ける証拠物が家宅捜索で発見されたことと,警察として今は発表できないプラスアルファの証拠によるものと思われます。
ところで,一部ネット上では「夫が逮捕されれば,妻も逮捕される」といわれておりますが,それは誤解でして,日本はそんな単純な連帯責任主義を取っておりません(もし,そんな単純な法理を使えるのであれば,お塩さんちの和田アキ子みたいな名前の方も逮捕されちゃいますが,当然,それはなかったですよね。)。必ず,「その人個人に対する疑惑」で逮捕,起訴されます。もちろん,単純に「夫が自供した」だけでは逮捕状請求はしないでしょう。なぜなら,証言翻されたら,裁判で有罪にできないからです。ある程度,客観的な証拠が必要なのです。
また,夫逮捕時に出頭や尿検査を拒否した点について,「ここで警察がちゃんとやっておけば」という意見もあります。でも,れらは逮捕状が出ていない人についてはあくまでも任意捜査ですから,強引に警察がやることはできません。それこそ,令状が必要となります。これが「令状不要だ」なんていうことになったら,警察は手当たり次第好き勝手に警察に連れて行ったり,無理矢理採尿したりできてしまうという恐ろしいことになってしまいます。
もっとも,この任意捜査をうまくやるように誘導するのが,警察官の腕の見せ所なのですが,今回は,おそらく「芸能人だから逃走しないだろう」ということで,強く説得をしなかったものと推測されます。

さて,のりぴーについてですが,一部噂では,既に警察は居場所はつかんでいるが,どうしても踏み込めない大人の事情があるなどと言われています。ただ,噂はともかく,彼女の今後の芸能活動(もし有罪となった場合は,相当期間後の復帰も含めて)に対する影響を考えると,強引にどこかに乗り込んで逮捕するよりも,自発的に警察に出頭する方がよいでしょう。

ところで,ここ最近,芸能界での違法薬物による逮捕が話題となっていますが(まあ,芸能界は古くから違法薬物による逮捕者は多数いますが。),そもそもなぜ覚せい剤や大麻,麻薬などの所持や使用を重く処罰しているのでしょうか?理由は主に次の3点です。
1 自分自身の健康をだめにする
2 幻覚作用などが発生し,それにより他人に危害を加えるおそれが高い
3 違法薬物のバイヤーは暴力団がほとんどなので,暴力団の活動資金源になってしまう


1については,何度も覚せい剤使用で逮捕されている清水健太郎さんが,自身の講演会で話していましたが,彼の話では,「歯は全部差し歯や入れ歯,骨はぼろぼろで死んで火葬すると粉にしかならない。CTで脳萎縮も認められたので,痴呆が早く発生しやすい。」などと言ってました。違法薬物は,確実に自分の体をダメにします。
2は,通り魔事件などで犯人が覚せい剤中毒だったなどという話を耳にすることがあると思いますが,違法薬物の特徴に「幻覚,幻影」があり,多くは「人から攻められり,殺されそうになる気がする」という症状が出るようです。その結果,理不尽な殺人行為などが起こってしまいかねません。
3は説明不要でしょう。このとおりです。

とにかく,違法薬物,まさに「百害あって一理なし」ですから,絶対に手を出してはいけません。ささいな興味本位で使ったとしても,それにより一生をダメにしかねません。まさに「ハイリスク,ノーリターン」なのです。

ちなみに,違法薬物の捜査手法の中には,今回ののりぴー夫の逮捕のように,「職務質問」というケースが結構ありますが,逆に,皆様の中で,日中,普通に町を歩いていて,いきなり警察官から職務質問を受けた経験がある人いるでしょうか?ほとんどいないのではないでしょうか。
っていうことは,実は,「職務質問」をする前提として,「内偵捜査済み」っていうことなのです。もっと言うと,バイヤーから購入した瞬間を,すでに警察に抑えられている可能性も高いのですし,バイヤーが逮捕されたことから足がつくということも普通にあり得ます。
「ばれてないだろう」と思っているのは本人だけ,っていうことなのです。
そういう点からも,絶対に違法薬物に手を出すのは止めましょう。逮捕されてから「マンモスかなピ~」と思っても,手遅れです。

【8月9日追記】
のりぴー,出頭して逮捕されました。逮捕時の供述では所持について大筋で認めており,使用についてもほのめかしているとのことですが,この1週間の足取りについては黙秘しているようです。
確かに,彼女をかくまっていた人も犯人ぞうとく罪等で処罰される可能性があるので,黙秘する気持ちも分かりますし正当な権利でもありますが,反省度合いを示すためには,正直に供述するべきかもしれません。

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福岡飲酒事故,高裁は危険運転を認定

2009年05月16日 14時58分50秒 | 裁判・犯罪
2006年に飲酒運転の上で前方の自動車に追突させ,結果3名が死亡したいわゆる福岡飲酒事故の控訴審判決が福岡高裁で出され,業務上過失致死などとした一審判決を破棄し,危険運転致死罪を認定した上で懲役20年を言い渡しました。
弁護側は重大な事実誤認と判例違反等を理由に上告しましたので,この審理は最高裁で判断されることになります。

危険運転罪適用し懲役20年 追突3幼児死亡は飲酒の影響(共同通信) - goo ニュース

やはり判断が難しい危険運転致死

今回の控訴審では,一審の事実認定それ自体を破棄し,「飲酒行為に要因がある危険運転それ自体が事故の原因である」と認定し,危険運転致死罪の成立を認めました。詳細は後述しますが,やはり「時速100キロ以上出しながら10秒以上脇見運転をするという認定には無理がある」ということのようです。
一方で,以前から主張しているように,危険運転致死罪は明確性に欠けるので,やはりもう少し基準をはっきりさせる必要があると思います。
そういう意味では,弁護側が上告したことで,最高裁で一定の基準を示すと思われますので,その判例に期待したいものではあります。ただ,本来はやはり「立法のお仕事」だと思います。

ところで,この判決,評価はかなり高いですが,その理由は「感情論」かなあ,って気がします。とはいえ,事実認定を高裁が大きく変えたというのは非常に興味深い点ではあります。
そこで,感情論を別にして法律論としてこの判決について検証したいと思います。ただし,判決文自体はまだ見ることができませんで,あくまでも報道ベースの判決内容から,一部推測を含めて論じます。

1 一審判決(福岡地裁)の超概要
  まず,前提として,一審判決はどのような認定をしたのかを大雑把にいうと(詳細は私の以前の記事を参考にしてください。),「事故の原因はあくまでも脇見運転の過失。飲酒行為自体が直接の危険性を招いたとは認定できない。」ということから危険運転致死罪の成立を認めず,業務上過失致死罪の成立に止めました。

2 高裁での争点
  一審判決により,大きな争点が「事故原因」に絞られてきました。
  つまり,検察側は「完全なる飲酒行為が原因とする危険行為」とし,弁護側は「被告人の脇見運転と被害者の居眠り運転という両者の過失行為が重なった不意打ち的な事故」として,両者の言い分を高裁でぶつけ合ってきたと思われます。

3 高裁での審理(完全なる推測)
  以上の争点を踏まえて,検察側は,控訴審において,「事故原因としての危険性の立証」を中心に論じていたと思われます。
  この点は推測ですが,高裁判決から逆読みする限りにおいて,検察側の立証内容は,「道路構造」「事故当時の周辺道路の見通し」「被害者側の事故直前までの状況(居眠り運転の可否)」「被告人の飲酒の程度」について,精査な立証を行ってきたものと思われます。
  一方,弁護側は,一審判決の事実認定それ自体はほとんど争いのない状態にありましたので,検察側の主張立証に対する反論を繰り広げてきたのではないかと思われます。当然,その中で,「被害者の過失」についても一審同様の論述を繰り返してきたものと思われます(これだけをもって直ちに「被害者に対する思いやりがない」と論じるのは,少々弁護人に対して可哀想に思います。もちろん,論じ方については被害者に対する一定の配慮を考える余地はあるものの,弁護人としては今回の事故原因を真っ向から争うという立場にある以上,被害者側の過失について言及することはやむを得ないと思います。当然,ここは大博打になりますので,被害者の過失が認定されないと,被告人の情状にはマイナスになります。したがって,もし,完全情状勝負のみで行くとなれば,当然被害者の過失について論じなかったでしょう。)。

4 高裁の判断
  まず,危険運転における「正常な運転が困難」の定義付けを行い,一審とほぼ同じ内容の「現実に道路交通状況に応じた運転操作を行うことが困難な心身の状態にあること」としました。
  そして,今回の事故原因をこの定義に当てはめて,検討します。
  すると,一審で認定した脇見運転については,その後の検察側の立証を踏まえると,「道路傾斜もあることからすれば,一般常識として,ハンドル操作による微調整が必要。」とし,その上で「そうだとすると,一般常識として10秒以上脇見運転をしながらまっすぐ走るなんてあり得なくねー?」として脇見運転事故説を否定しました。
  そして,「被害車両に気がついたのが本当にギリギリだったのはなんでだろう。」として,他の証拠を踏まえると「被害者側は居眠り運転していたとはいえず,過失はなかったね。そうだとすると,やはりそれは酒の影響だ。」とした上で,さらに「酒の影響で前の車両に気がつかなかったなどとすれば,それはとても交通状況に応じた運転ができたとはいえないなあ。」ということで,正常な運転が困難な状況にあるとして,危険運転致死罪が成立すると判断しました。

5 一審との違いがでた理由(私見)
  高裁での検察側の立証活動がものをいったという点もあるとは思いますが,それよりも,ほぼ同じような危険運転の定義を立てながら,判決が変わったのはなぜでしょうか。
  それは,「一審は飲酒後の運転行為全体を考察」したのに対し,「高裁は事故直前の運転行為を部分的に考察」した点にあると思われます。
  つまり,一審では,「酒飲んでしばらく運転していたが,細い路地なども普通に運転していた。もし,飲酒運転でらちあかない状態なら,もっと前に接触事故など起こしているはずだ」などということで,「ならば事故の時は飲酒以外の原因があるだろう。」ということから,脇見運転を認定したと考えられます(もちろん,飲酒行為が事故の誘発要因であり,ものすごいけしからん行為だということは当然認定していますし,それが一審判決にもにじみ出ています。)。
  一方,今回の高裁判決では,あくまでも「事故前後だけで判断すればよい。」ということで,それまでちゃんと運転していた点については,参考にすぎないとしたのではないでしょうか。そうすると,事故原因についても,当然,「事故直前から細かく精査する」ことになりますから,道路の傾斜云々から脇見運転には無理があるなど決め細かな認定が行えたのではないかと思います。

6 最高裁での争点
  検察側が控訴するかどうか分かりませんが,最高裁で検討するであろう争点は次のあたりかと思います。
 (1) 量刑(弁護側は無罪又は執行猶予を主張)
 (2) 事故原因が飲酒行為か,その他の過失行為か
 (3) 危険運転における「正常な運転が困難」の定義,判断基準は何か

  ちなみに,(2)に疑義が生じた場合,高裁か地裁に差し戻される可能性があります。
 いずれにせよ,危険運転致死罪に対する最高裁の一定の判断が期待されるところです。

以上が私見を交えた今回の判決の検証です。もちろん,被害者の悲痛な叫びを判決において考慮したことはいうまでもありませんが,やはり証拠を吟味した上で「飲酒運転それ自体危険である」という一般常識を事実認定の基礎にしている点は高く評価できると思います。
一方,弁護側は,危険運転を否定するためには,「危険運転の定義を厳しくする」ことと「とにかく普通の過失の交通事故だ」という点を主張立証することになります。被害者感情を逆撫ですることなく,この点をいかに主張できるかが今後のカギとなるでしょう。 
最高裁の判断を待ちましょう。

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