あれは,あれで良いのかなPART2

世の中の様々なニュースをばっさり斬ってみます。
ブログ界の「おか上彰」を目指し、サボりながらも頑張ります!

治水対策は政争の具ではなく安全第一で

2019年10月22日 16時26分48秒 | 災害・危機管理
台風19号は各地に大きな傷跡を残していきました。特に各地で水害が発生し,多くの方が亡くなるなど被災者が多数発生してしまう状態となってしました。

治水は簡単な話ではない

まずは,被災者の方々に対し,震災お見舞い申し上げます。
ところで,ここで述べたいのは,今回の台風19号に対する治水対応について言われている様々なことです。前向き,建設的な意見はもちろんきちんと議論してもらえればいいのですが,若干ずれているものや,水害を政争の具として使おうとしている節が見受けられましたので,その点を中心に少しだけコメントしたいと思います。
なお,前提として,私はこの内容を政争の具とはしたくないので,特定の政党の政策だけを批判または支持するつもりは全くありませんので,その点は誤解のないようにお願いします。

1 ダムの緊急放水の是非
  台風19号の雨で,ダム湖が満水になり,緊急放水を余儀なくされるという事態が各所で発生しました。
  これに対し,一部の方から「だからダムは無駄だ」とか「ダムがなければ緊急放水しなくて済んだので,下流で水害の危険がなかったはずだ」,さらには「緊急放水による洪水は明らかに人災だ」などという批判があります
  しかし,それは少し違います。そもそも緊急放水は,読んで字のとおり,「緊急の放水」です。すなわち,非常に危険な状態であった前提です。非常に危険とは,「ダム自体の崩壊」の可能性です。
  ダムが損壊したら,それこそ大損害が発生します。え,ダムの周辺だけが水害になるって?全然違います。ダムが崩壊したら,それこそ,ダム湖全部が一気に流出します。それは緊急放水の比ではありませんから,下流は問答無用に大水害になります。また,ダムのコンクリートなどが大量に流れていくため,それで下流域の河川施設損壊にもつながりかねません。
  そもそも,緊急放水とは,ものすごく簡単に言うと,「降ってきた雨量分をそのまんま流す」ということです。すなわち,その限りで一時的にダムとしての機能を失わせるものになります。
  「なーんだ,やっぱりダムが無駄なんじゃないか。」などと思うのはその点なのかもしれませんが,そこが大きな誤り。
  もしダムがなかったら,そもそも最初から雨水はたれ流しです。すなわち,下流は急激に水量が増して,洪水リスクが高まります。また,何よりも,時間差がなくなるため,避難の呼びかけや避難をする時間すら稼げません。
  ダムがあることで,当面は水量調整が可能であり,緊急放水だって相当前に予告をしますので,避難をする時間を稼ぐことができるのです
  なので,緊急放水する=ダムは無駄,っていうことではないのです  もちろん,設計段階でのダムの貯水量が妥当だったのかなどという点は検証する必要があるのかもしれませんが,ダム自体の機能もいろいろありますので,それも一概に小さいからダメだともいえないでしょう。
  ただし,今後考えるべきことは,「利水部分の事前放水」です。今回の緊急放水では,「事前に分かっていたからダムを空にしておけばよかった」という批判があります。それは,一理あります。ただし,ダムは治水だけではなく,農業,工業,飲料水等さまざまな利水目的で作られています。そして,利水権はかなり強いものとなっています。
  したがって,事前に利水部分を放流するのは相当面倒な作業になり,それが事前調整できているダムはごくわずかにすぎません。
  この利水権の災害時の調整というところは,今後十分検討していくべき課題といえるでしょう。

2 スーパー堤防なら水害が発生しなかった
  今回,多数か所で堤防が損壊,越水しました。これを受けて,一部の方から「旧民主党の事業仕分けでスーパー堤防事業を廃止したから水害が発生した。」などと批判されています。
  しかし,これは完全にミスリードです。
  確かに,スーパー堤防自体は,限りなく損壊,越水する可能性は低いため,水害は防げます。ただし,その場合,「上流から下流まで全流域でスーパー堤防が完成している」という前提です
  そして,スーパー堤防事業は,完成まで100年以上かかるものであり,かつ事業範囲は,実は大きな主要河川の下流部分にすぎません。
  したがって,今回水害で被災した地域のほとんどが,そもそもスーパー堤防事業対象外の場所であり,かつ仮に対象地域だとしてもとてもとてもこの数年で完成したところではないため,仮に事業仕分けでスーパー堤防事業が廃止されなかったとしても,残念ながら水害が発生した可能性が極めて高いと言わざるを得ません。
  そもそも,今回の水害の多くは,大雨の状態であったが下流域が満潮になるなどして川の流れが滞留してしまったことから,水が逆流するというバックウォーター現象が発生したことや,ボトルネック等堤防の弱い部分や整備未了部分が損壊してしまっております。なので,スーパー堤防とは因果関係はありません
  したがって,旧民主党を責めるのは筋違いなのです。
  では,旧民主党は責任がないのかというと,そうとも言えません。スーパー堤防事業を事業仕分けするのはいいのですが,その際に,代替策としての治水対策についての議論がほとんどされておらず,結果,スーパー堤防は金食い虫,っていうだけの話に終始してしまいました。この時に治水対策も真剣に議論をしておけば,今回の水害は一部防ぐことができたかもしれません。そういう意味では,責任はあります。
  でも,それは今の政権与党も同じ話。もちろん,さまざまな治水対策は講じていたのでしょうが,手付かずの部分も多かったということが反省点であろうと思います。
  したがって,今回の水害は,どこの政党が良い悪いということではなく,各党全体が責任を強く感じ,次に向けた対策を真剣に考えていくべきです。特に治水は国民の命にかかわるものなので,政争の具とはせず,党派を超えた対応を考えていくべき重要な政策なのです

3 ハザードマップの情報公開
  これは一言だけ。一部自治体では,非公開にしていたようですが,その理由は,「混乱を招く」,「地価が下がる」などという大人の理由だったようです。
  でも,それは根本的に発想が違うなあ,って思います。自分が住んでいる場所が安全か否かを事前に知っておくことは,命を守るためには大変重要なものです。

治水は昔から人類が悩まされてきた大きな課題です。だからこそ,これを揚げ足取りの道具にしないで,「本当に安全を守るにはどうするべきか」ということを真剣に考えて,それを実行していくべきでしょう。もちろん,他にもいろいろ問題があり,単純に解決できるものではありませんが,だからこそもっと前向きな議論と実行をしていくべきなのです。
あと,当然ですが,被災者支援も忘れないでほしいです。

よろしければ1クリックお願いしますm(__)m人気blogランキングへ


10月4日(木)のつぶやき

2018年10月05日 04時07分09秒 | 災害・危機管理

7月9日(月)のつぶやき

2018年07月10日 04時09分58秒 | 災害・危機管理

1月14日(日)のつぶやき

2018年01月15日 03時57分07秒 | 災害・危機管理

9月7日(水)のつぶやき

2016年09月08日 03時00分45秒 | 災害・危機管理

記録だけではなく記憶すら塗り替えた東日本大震災,絶対に忘れてはならない

2012年03月11日 22時29分21秒 | 災害・危機管理
東日本大震災から1年が経ちました。

冥福祈り、政府が追悼式=首相「復興が歴史的使命」―東日本大震災から1年(時事通信) - goo ニュース

この惨事を後世に伝え,二度と同じ惨劇が起こらないようにすることが私たちの使命

地震や津波は必ず発生します。しかし,事前の備えと事後の的確な行動で,被害は最小限に食い止めることも可能です
今回の大震災についても,>決して他人事に考えることなく,犠牲者の方々の心の叫びをきちんと受け止め,同じような災害が発生しても被害を必要最小限にとどめる努力を日本全体で行うことこそが大切なのです。
想定外の災害だからしかたない」とか「そっとしておくことが被災者に対する礼儀」などという意見もありますが,それは違います。もちろん,三流週刊誌みたいに適当なことを言ってあおったり傷つけたりするのは愚の骨頂ですが,そうではなく,純粋に「今回の災害については,どこにどういう問題があったのか」という点を客観的に分析し,それに対する対応策を検討していくことが大切なのです。
そして,こうした災害を風化させないこと,それが大切です。原爆の恐怖が徐々に薄れていますが,広島と長崎では今なお語り継がれることにより,「核兵器廃絶」を強く心に刻み込まれていることと同じようなこと,それをやっていくべきなのです。それこそ,犠牲者の方々に対する弔いにもなるのです。

ところで,今回の大震災では,どうしても「原発事故」が大きくクローズアップされていました。もちろん,これが今回,今なお大きな被害をもたらせている要因であることは言うまでもありません。
ただ,いわゆる犠牲者が多かった被害は,やはり「津波」なのです。原発事故も,津波が招いたものであるといえます。
日本の技術は飛躍的に向上し,地震の揺れ自体に対する対策はいろいろと講じられていますし,多くのご家庭でも揺れに対する対策はそれなりに講じていると思います。
しかし,「津波」に対しては,あれだけの被害があったにも関わらず,意外とまだ認識を改めていない方々が全国の沿岸部で多いという調査結果も出ています。津波対策,これは絶対に侮ってはいけません。
津波は,ふつうの水害と異なり,物理的に封じるのは非常に難しいです。実際,防潮堤も見事に破壊されてしまいました。
政治家はどうしても「物を作る」という利権が絡む発想での防災対策しか考えませんが,津波対策の基本は,「迅速な情報」と「素早い避難」です。もちろん,これをハード面でフォローする必要もありますが,なによりも一番大切なのは,「人々の防災意識」にあります。
震災1年を機に,ぜひともこのあたりの考え方についても今一度地域全体で意識してみたらいかがでしょうか。

また,自分が沿岸部に住んでいないとしても,たまたま旅行や仕事等で沿岸部に来ているときに津波が襲ってくる,ということも普通に想定されます。なので,津波が来た場合の心構えというのは,「日本の全国民」が有しておくべきことなのです。
のみならず,沿岸部のみならず,河川や湖周辺でも実は被害が出る場合があるという調査結果も出ています。海がないから他人事,などと考えないことも大切です。

この1年,いろいろありました。正直,政治は機能不全であったことは否めません。永田町では,これまでの習性で,災害すら政局にしか見えない,という発想しかない人たちの集まりだからです。
次の選挙では,こうした習性しかない議員は首にしましょう。それができるのは,選挙に行くこと,それだけです。選挙に行くこと,これも立派な「震災対策」になりますし,それが「自分や家族の生命身体財産を守る」ことにもなります。
一方で,政治に頼らない震災対策も各自講じましょう少なくとも,「避難グッズ確保」「室内の安全確保」「家族の連絡方法の確保」ということは誰でも出来ますし,大震災の時は,行政機関もこのあたりのフォローが事実上できない状態になりますから,自分たちできちんとやっておくこと,これが大切です。

改めて,被害者の方々に心からお悔やみ申し上げます。そして,絶対に被害者の方々のことは忘れませんし,忘れてはいけません


よろしければ1クリックお願いしますm(__)m人気blogランキングへ
blogram投票ボタン


防災から減災へとは,すなわち「他力本願」から「自己責任」への移行でもある

2011年09月11日 02時06分40秒 | 災害・危機管理
10日に,CXで池上彰さんの特番がありました。
その中で,「防災から減災へ」という話が出ていました。これは従来から私も主張していた部分ではありますが,そもそも,地域防災計画の在り方自体も大きく変わる話でもありますので,それをうけてもう少し補足したいと思います。

そもそも,地域防災計画とは,行政視点で地域の防災方針をまとめたものです。すなわち,災害時の組織体制はもちろんのこと,避難場所の整備や備品の準備,さらには防災としてのインフラ整備などを規定します。いわば,「行政から与えられる防災対策」なのです。
雑に言うと,「災害対策はすべて行政で準備しますから,住民の皆さんは,とりあえず安心して暮らしてください。そして,行政から「災害だよ」って言われたら,お客さん気分で避難所に来てくれれば,あとは最低限の生活はできますよ。」っていうレベルの計画なのです。
これは,住民からしたら確かに楽です。言ってしまえば,何も気にせずに日常生活が送れるし,自分自身で防災のことを考えなくてすむからです。ある意味,理想的な内容とも思えます。
しかし,この防災計画,大きな弱点があります。それは,「計画にないような想定外の災害には対処できない」ということです。地域防災計画は,大前提として,「このとおりインフラ整備したから,災害は起こらない。でも,仮に起こったとしても,さくっと避難所に逃げてくれば,すべてが落ち着く数日間程度生活できるよ。」という内容になっています。ところが,想定外の災害が発生した場合,例えば,避難所が被災したり,街全体が孤立して救援物資が届かなかったり,さらには住民以外の人たちがたくさんいる(いわゆる帰宅難民)場合などには歯が立たないのです。
実際,東日本大震災や,先の台風12号の被害などでは,行政機能自体がマヒしたり,災害があまりに想定外だったことで,結果,地域防災計画どおりの動きができず,大きな被害が発生してしまったのです

そこで,近年では「減災」という発想が出てきました。基本的には,番組でも説明してように,「災害を0にするのではなく,減らすという発想」ですから,インフラ整備等がテーマになっています。
しかし,減災とは,インフラだけの話ではありません。住民自身が,「実際に災害にあうという前提で生活を考えよう」という意味合いもあるのです。
端的に言うと,「基本インフラは行政が整備するけど,本当に未曾有の災害が発生した時は,自分の判断で災害からの被害を最小限に食い止めましょう」ということになるのです。
これは,言葉を悪くいうと,「行政を頼るな」ということになりますが,良く言うと,「行政がやるべき災害対策と,自分自身で行なえる災害対策の役割分担をきちんとしましょう」ということなのです。すなわち,これまでのような「お客様的防災対策」という他力本願ではなく,「やるべきことは自分でやる」という自力避難的発想に転換しなければならないのです。

具体的には,実は簡単なことです。行政サイドとしては,災害に応じた避難場所の整備充実やインフラ整備を図ることは当然ですが,住民サイドでは,「非常食は基本3日分程度自分で常時用意しておく」ことから「避難場所の複数確認」,さらには「危ないと思ったらすぐに避難」ということ,そのうえで,「行政が準備する災害訓練だけではなく,自治会単位等での災害訓練や担当者の確立」などが必要となります。最後の部分は,都会のように人間関係が疎遠な地域では難しい話かもしれませんが,こういうところは行政がフォローできるような相互体制(少なくとも,今までのような一方通行的なものではない)を構築することが大切でしょう。

防災対策に限りませんが,これからの時代は,「自己責任」です。他力本願だけではまともな生活ができなくなりつつあります。当然のことながら,こうした様々な政策を考える政治家を選ぶことだって,自己責任です。政治家を選ぶことを他力本願にしすぎたために,今の政治がダメダメになっているのですから。
いずれにせよ,災害対策に想定外という逃げ道を作ってはいけません。こうした逃げ道を作ることは「死」を招くだけです。だからこそ,「自分がやるべきことは自分で準備する」という考え方を徹底するべきなのです。命を守るのは,最後は自分です。

よろしければ1クリックお願いしますm(__)m人気blogランキングへ
blogram投票ボタン


地域防災計画の見直しは,緩すぎても厳しすぎても無意味なので,「減災」を考えよう

2011年05月22日 23時05分09秒 | 災害・危機管理
東日本大震災の影響を受けて,各自治体において地域防災計画を見直す動きが出てきています。
また,各企業でも,BCPの改訂等が急務となっています。

14世紀に東南海・南海地震連動…伊勢神宮史料(読売新聞) - goo ニュース

基準が難しい

今回の大震災,過去の記録からみると,まさに「1000年に1度の災害」であったと言えるかもしれません。それくらい,凄惨な災害であったと言えるでしょう。
それを踏まえて,まずは災害想定範囲を見直そうというのが,防災計画改訂の第一歩になります。それ自体は,正しい発想です。
ところが,「それなら1000年に1度災害が発生するエリアまで網羅しよう」っていう厳しい計画を考えてしまうと,実は,結構微妙でして,いわゆる「狼少年現象」を発生させ,結果的に無用の長物になりかねないというリスクもあるのです。
分かりやすく言えば,1000年に1度災害が起こるエリアには,999年間,災害は起こらない訳ですから,毎回避難警報等を出しても,やがて信用されなくなり,警報自体が無視されてしまいます。そうなると,1000年目の大災害が本当に起こっても,避難活動をしない人が多数発生し,結果,被害がでてしまうというリスクが起こりうるわけです。
反面「じゃあ,現状で」ってすると,これまたやはり,1000年に1度の災害に対処できない訳ですから,やっぱり甚大な被害が発生してしまうのです。
したがって,このバランスが非常に難しいのです。

そこで,防災計画の改訂はもちろんのことですが,同時に「減災」のまちづくりをきちんと見直すことも必須となります。
ただし,ここで注意するのは,「なんでもかんでも作ればよい」っていう訳ではありません。いろんなバリエーションを検討する必要があるのです。
例えば,「スーパー堤防」がまさに1000年に1度の洪水に対応できるなどとして整備していますが,これはまさに「バランスを考える」べき事例です。スーパー堤防があれば,おそらく1000年に1度の洪水に対応できるでしょう。しかし,それにはべらぼうな予算がかかります。また,少しでも工事が終わっていないエリアがあれば,そこが切れます。さらに,川の洪水は守られるかもしれませんが,逆に雨水を河川に排出できず街中にたまってしまうリスクや河口付近で大潮状態になりうるなどというリスクも想定されます。そもそも,堤防が切れる雨量や河川の水量がどの程度なのかという客観的データを集積し,それに対応するべき手段がスーパー堤防以外にもあるかなどという点も検討に値します。
したがって,「スーパー堤防」が本当に妥当か否かについて,さまざまな条件を踏まえてきっちり考えていくことが求められます(決して,スーパー堤防が無用だとは言いません。)。

ところで,こうした計画を見直すにあたっては,今回の大震災の検証作業が必須となります。それは時には被災者の心情を逆なでしかねいない場面も出てくるかもしれませんが,決して誹謗中傷目的ではなく,将来の再発防止のためというものなので,ここは変なバイアスをかけることなく,時間をかけてでもきちんと検証をするべきです
検証ポイントは,いくつかありますが,私は亡くなった被災者のジャンル分け」を行なうことを推奨します。ざっくり言うと,次のような感じです。

1 絶対的被災者(どのような対策を講じても避けられない被害)
2 相対的被災者(想定外の対策を講じれば,避けられたかもしれない被害)
3 物的保全可能被災者(想定内の対策がきちんと講じられていれば避けられた可能性が高い被害)
4 人的保全可能被災者(被災者自身の行動や防災計画の周知徹底等により避けられた可能性が高い被害)


もちろん,複合するものもありますが,このあたりの割合が把握できれば,次にやるべきことが見えてくるでしょう。計画の見直しなのか,徹底なのか,減災のまちづくりなのかなどなどです。

それと,話は少し飛びますが,今回の災害では,長期間町ごと避難という状況を余儀なくされました。以前書きましたが,このようなリスクは原発だけではなく,火山や米軍基地などでも発生しうる話です。
しかし,それ以外の市町村によっても実は,ミニチュアではありますがこうした状況が起こりうる可能性があります。しかも,そのことにほとんどの市町村が対応策手づかずです。
それは,「水道・下水道・ゴミ処理」の施設崩壊です。特に,下水処理場の施設崩壊という災害が発生した場合,実はかなり甚大な被害が発生します。施設周辺住民は,相当期間避難を余儀なくされる可能性が高く,また下水道の広域処理が進んでいるため,使用不能時の下水処理対応は,浦安市のそれを数倍超える相当大変なことになってしまいます。
これも災害によるリスクの一つと言えますので,もしこのあたりのリスクを検討していない市町村があれば,早急にリスク対策や避難対応などについて検討するべきでしょう。

防災計画,作るのはかなり大変ですし,日本中100メートルの堤防でくるむような計画は確実にナンセンスですから,ある程度現実路線で検討しなければなりません。このあたりのバランス,非常に難しいと思いますが,住民の安全確保のため,きっちり見直してもらいたいものです。
そして,一番大切なこと,それは「周知徹底」です。防災計画は実践されてなんぼですから,作っただけで満足しては,単なるアリバイ作りに過ぎません。住民の全員が知っていること,そしてその市町村に来ている人が避難場所等を把握できるようにしておくこと,これが一番大切なのです。極論ですが,今の防災計画をほとんど見直さなくても,この周知を100%行なえれば,実はそれだけでも災害の被害を最小限にすることができるのです。それくらいの内容が網羅されているのです。

みなさんは,自分の避難場所,ご存知ですか?学校や職場にいるときの避難場所はご存知ですか?非常用の食料や水等はどのくらい備蓄していますか?このあたりが全く分からない場合は,もしかすると,「アリバイ作りだけの防災計画」の市町村っていう可能性もあり得ます。そうなると,本当の災害の時,まったく計画どおり動かないっていうリスクもありますので,すぐにでも非常食等の確保や自分の避難場所等を確認しましょう。きっと,市町村役場の配給はあてになりませんよ。
逆に,きっちり把握していれば,ある程度安心して生活していても大丈夫でしょう。


よろしければ1クリックお願いしますm(__)m人気blogランキングへ
blogram投票ボタン


今だからこそテロル対策の強化も忘れずに

2011年05月09日 00時42分33秒 | 災害・危機管理
ビンラディン氏を米軍が殺害したことをうけて,アルカイーダとみられる団体からアメリカやパキスタンに対して,報復テロをほのめかす声明を発表しました。
アメリカでは,報復テロを警戒するべく,警備を強化しているとのことです。

アルカーイダ?報復声明 サイトで「米攻撃続ける」(産経新聞) - goo ニュース

日本もアメリカの手下と見られているならかなりやばい

今日本は,言うまでもなく東日本大震災の対応に向けてすべての機関や人がそっちに集中しています。自衛隊も多くの部隊が救援活動などに追われています。当然,こうした活動を停止させるわけにはいきません。
一方で,国防や治安維持にも十分注意しなければならないでしょう
もっとも,国防といっても,いつも言っていますが,今の時代は,突然他国が航空機などで攻めてくるような「20世紀型戦争」が起こる可能性は低いです。なぜなら,今の日本に対して,国として宣戦を布告しようものなら,米軍はもちろんのこと,すぐに国連決議により国連軍も応戦するとともに,その国は世界的批判の矢面に立たされ,世界中から経済制裁を受けることになるからです。
それゆえ,隣国からの脅威は,今時点では多少緩和されていると考えても大丈夫です(もちろん,脅威が0という意味ではありませんし,領土問題等が消えてなくなるわけでもありません。)。

では,国防を考える上での脅威は何かというと,国ではなく個人による攻撃,すなわち「テロ活動」です。彼らは,世界各国からの批判というものは屁とも感じません。むしろ,ポイントは「注目させる」ことと「相手に精神的なダメージを与える」ことにあります。
だとすると,今の日本,実はテロルらにとっては狙い目なのです。警備が手薄になり,アメリカとの一定の関係があり,そして何よりも今世界中から震災により注目を集めている状態ですから,テロルにとっては,ここでやれば自分たちの主義主張存在を強くアピールできるとともに,日本に対する相当なダメージを与えられ,それがアメリカとの互恵関係等にも影響を与えかねないことになるのです。
したがって,こんな時だからこそ,むしろ逆に「厳重なる警備」が求められるのです。

当然,政府は空港等を中心に警備を強化していますが,おそらくテロルは既に国内に潜伏している可能性が高いわけですから,国内での活動を未然に防ぐことも視野に置かなければなりません。
ところが,現行法では,実は国内のテロルに対する対応については,あいまいな部分が多いです。具体的には,自衛隊と警察との役割です。
基本的には,警備やテロルの逮捕等捜査は警察が行ないます。しかし,警察は小火器しかないため,テロルの反撃や応戦には対処できません。そうなると,武装力ある自衛隊の力が必要となります。
ところが,現行法では,「何か大きな損害が発生しないと自衛隊は動けない」状態にあります。言い方を変えると,大きな損害が発生しないと,自衛隊は動けないのです。
もっというと,テロルが活動して何らかの損害を住民に与えた場合,その後の避難等について,一応有事立法もどきがあるものの,実質的には災害時と同じなので,一義的には市町村の防災計画に基づく避難を行なうことになります。
しかし,市町村からすると,謎の爆発など意味不明な事故が発生したということしか分からないため,防災計画に基づいて住民を避難させるタイミングや,そもそも避難所が無事なのかということが全く分かりません。すなわち,「国からの情報がないと,避難所が本当に安全か分からない」というまさに今の原発事故に近い混乱が発生することが想定されるのです。
こうした連携については,今回の原発事故でも不十分であったことが露呈されていますし,市町村の防災計画でテロル等の有事を想定しているものは少ないはずですから,今回の原発事故以上の大混乱が発生します

したがって,警備強化は当然の話ですが,こんな大混乱な状態である今こそ,こうしたバックヤードの法整備や連絡体制の見直し,市町村における防災計画の見直しなどを早急に行うべきでしょう(市町村の防災計画については,それ以外にも見直すべき点がありますが,それは日を改めて。)。

ちなみに,テロルが日本を狙うとしたらどこに攻撃をかけるでしょうか?
以下は完全に私見ですが,まず空港や原発はすぐに思いつくと思いますが,反面,警備が厳重なので,なかなか実現し難いでしょう。注目を浴びればよいということを考えると,場所は東京,大阪,名古屋等の大都市となります。そして,インパクトを与えることを考えると,目に見える即効性が必要ですから,バイオテロやネットテロなどよりも,シンプルに爆破テロということになるでしょう。そうすると,ターゲットは,「大都市の大きなビル」を1つ爆発させれば十分ということになります。
したがって,高層ビルについても,相当な警備が必要となります。
ちなみに,「スカイツリーの爆破」は,確かにインパクトはあるものの,ある面では「あーあ」という感情くらいしか出てこないし,世界的なアピールという点からも不十分なので,おそらくここは大丈夫かと思います。

政府も,自衛隊も,警察庁も,自治体も,東日本大震災のことで頭がいっぱいであることはよーく分かりますが,冒頭でも書きましたように,「だからこそテロルが狙っている」という点を意識し,そうした観点での対策も強化するべきでしょうもちろん,まずは「テロ活動がそもそも起こらない」ように平素からの警備を緩めることなくきちんとやることはいうまでもありません。

なお,テロル活動には,模倣犯もいますので,こういう点にも注意しましょう。具体的には,「国内の反政府組織」です。

よろしければ1クリックお願いしますm(__)m人気blogランキングへ
blogram投票ボタン