あれは,あれで良いのかなPART2

世の中の様々なニュースをばっさり斬ってみます。
ブログ界の「おか上彰」を目指し、サボりながらも頑張ります!

選挙経営学(第5章:なぜ議会に庶民の声が反映しないのか)

2011年08月13日 22時02分57秒 | 裏選挙マニュアル・選挙経営学
  いよいよ最終回になりました。
  今や総選挙というと,衆議院議員の選挙ではなく,AKB48の方を思い浮かべる人の方が多いかもしれません。それ自体,かなりやばい国家の姿かもしれませんねwww。
  そのAKB48の総選挙ですが,これはいわゆる普通の選挙と異なり,ざっくり言うと,買ったCDの枚数分だけ投票権があるということになります。つまり,一人で数百もの票を持つことすらできるのです。イメージとしては,株主総会における株主の議決権行使と同じことになります。
  このやり方について,ファンやAKB内部からも批判が出始めているところですが,一方で,優子やあっちゃんなどは,「それはファンの声だから,いいんです。」という感じのことを言ってます。まあ,秋元商法としては,この手法は十分に意味のあることだろうと思います。
  ところで,このAKB総選挙の手法ですが,一見すると,本物の総選挙とは無関係のように思われるかと思います。そりゃ,そうですよね,本物の総選挙は「一人一票」ですし,「資力に関係なく行使できる」わけですから,資力,すなわちCDを買ったという財力に応じて「一人数百票」も行使できるようなAKB総選挙とは真逆の関係にあるといえます。すなわち,本物の総選挙こそ,本来は「もっとも公平な多数決に基づく民主主義」なのです。
  しかし,もっとも公平な多数決で選ばれているはずの政治家が集まっている国会や議会では,なぜか民意と大きくかけ離れたことばかり行われており,「政治に民意が反映されない」という感覚をお持ちの方も多いのではないでしょうか。いわば,そうした感覚が「政治不信」の原因になっています。
  では,なぜこうした現象が起こるのでしょうか。ここには,実は民意による選挙とは大きくかけ離れた「選挙経営学」が働いているのです。そして,その構造は,実はAKB総選挙とかなり類似している実態があるのです

  「そんなこと言ったって,一人数票持っている人なんかいないよ。」と思われるかもしれません。そりゃそのとおりです。でも,選挙経営学においては,実は,「一人一票狙い」では手間がかかるので,濡れ手で粟の票を取るため,一人数票に類似した「1団体数百票」を狙うのです。そうです,「組織票」と呼ばれるものです。
  前回も書きましたが,選挙では「士農工商」と呼ばれる団体を押さえた候補者が圧倒的に優位に立つといわれています。いずれも大きな組織票を持っているからです。それゆえ,組織票を狙うためには,選挙経営学的には,その組織をターゲットにゴマをすればいいわけです。っていうことは,「民意ではなく,団体の意向第一」ということになります。
  しかも,士農工商団体自体も結構しがらみが多いため,団体内部でも必ずしも民意が反映されているとは限らず,むしろ「団体や理事らの利益第一」という場合が多かったりします。そうすると,こうした団体の組織票がほしい候補者は,団体や理事の利益第一という政策を中心に実行することになるのです。
  一方で,団体側は,構成員に対し,「うちは**候補を支援するので,投票するように。」とコールします。多くの構成員は,あまり政治に興味も関心もないことから,盲目的にその候補者へ投票します。これが組織票の実態。
  なので,選挙経営学に徹した候補者からしたら,「一人一票」を狙って草の根運動なんていう非効率的な作業は敬遠し,徹底した組織固めを行うことで,「1団体数百票」を狙うわけです。
  そう考えると,先のAKBで例えるなら,組織固め=CDの大量買いのようなものなのです。ってことは,今の選挙の実態とは,AKB総選挙のように「CD大量買いのトップオタを押さえると上位に行ける」という構造にきわめて類似していることになります。

  しかし,組織票といっても,所詮は「一人一票」ですから,本来はいくら組織を押さえても,最後には民意が反映されます。ところが,政治離れ等により,一般の有権者が投票に行きません。投票率が50%切るというのが普通になってきています。一方で,組織票たる団体構成員は確実に選挙に行きます。
  ってことは,投票総数の中で組織票が占める割合というのがめちゃくちゃ高いってことになるのです。
  もうお分かりですね。もはや今の選挙は,「純粋な多数意思による民意」ではなく,「特定団体や特定の理事の多数意思」しか国会や議会に反映されていないのです。いわば,AKB総選挙のごとく「トップオタの多数意思」優位と同じような状態になるのです。
  もちろん,組織固めが一律に悪いという訳ではありません。自分の考え方に賛同し,または自分の考え方に近い組織とタイアップすることで,よりよい政策が実現できるという効果や,多くの方に自分の政策をアピールすることで,その是非を意見交換することができるなどという効用も期待できますから,組織固めをするという事実だけを見て,直ちに「アカン政治家」とはいえません。
  しかし,選挙経営学だけで考えている候補者や政治家は,とにかく「票があればいい」っていうことになりますから,自分の主義主張を伝えることよりも,おいしい飴や逆に恫喝するなどして,とにかく団体を仲間にし,選挙の時だけでも宣伝してもらいます。団体構成員と意見交換をするなんてもってのほかなのです。

  選挙経営学を行使している政治家や候補者であるか否かの見分け方は,「チラシや駅前などでの街頭演説を行っているか否か」というのが一つポイントになります。普通の政治家や候補者なら,自分の考えを伝える草の根運動と並行して組織固めも行いますが,選挙経営学に徹するのであれば,とにかく「濡れ手で粟」ですから,こんな面倒な草の根運動なんかしません。身近にそんな人いますか?

  議会に民意が反映されない,と嘆いているあなた,はたして選挙に行っているでしょうか?議会が民意を無視して意味不明なことばかりやっている背景には,「選挙で民意を反映させていない」というのが実は最大の理由なのです。
  組織票も,投票率90%超えれば無意味ですから

今日のまとめ
 今の選挙は「組織票メイン」となっていることから,民意とかけ離れた政治が行われている。特に,選挙経営学の政治家は,この「組織固め」だけに終始するため,なおのこと民意とかけ離れた政治を平然と行えることになる。組織選挙とは,結局のところ,AKB総選挙同様,一人一票ではなく,力のある人がまとめて票を投じる構造に近いことから,ますます民意とかけ離れてしまう。
組織選挙による弊害を解消するには,組織ではない投票を増やすしかない。すなわち,投票率が100%に近付けば,それだけ民意が反映されやすくなるはずであり,必然的に政治不信は解消に向かうはずである。


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選挙経営学(第4章:なぜ農業は優遇されるのか)

2011年08月04日 23時31分09秒 | 裏選挙マニュアル・選挙経営学
これまでの話から,今回の話もオチが見えていると思いますが,そのとおりです。以上!

 っていうのは,あまりに乱暴なので,きちんとお話をしましょう。
 皆様の中には,なんとなく感じている人もいませんか?「なんか,農業って,後継者不足とかいう問題があるけれど,一方で,農業に対する補助とかフォローってかなりあるよね。」っていうことを。
 もちろん,農業とは,食生活を支えるきわめて重要な産業であり,有事のことを考えると,食料自給率は高めておく必要があります。したがって,農政というものは,かなり国民的レベルで真剣に議論し,そして政策的に様々なフォローをしていくべきテーマであるといえます。
 しかし,現状は,ほかの産業と比較すると,明らかにばらまき的な施策が存在するほか,様々な法規制により,事実上新規参入ができない状態となっているなど,相当な保護政策が貫かれています。のみならず,TPPにおいても,商工業界は積極であるのに対し,農業界は消極であるがために,未だに進展がないという状態です(もっとも,そもそもTPP自体に対する是非論がありますが。)。
 このように農業政策が特に優遇される背景のひとつとして,実は選挙経営学があるのです。農業だけあって,まさに「票田」なのです。


 選挙経営学においては,「士農工商」という格言があります。いわゆる,これを押さえたら絶対に勝てるという団体です(ちなみに,士とは地元の大物政治家や官僚です。)。農業関係には,それくらい強い力があり,政治家とてここには足を向けて眠れません。なぜでしょうか?
 それは,農業人口が日本の人口で結構多くの割合を占めていること,農協という強力な組織で基本的に意思統一が取れていること,農村部の団結力は半端なく強いためまず裏切られることはないこと,そしてその団結力により投票率がかなり高いことなどがあげられます。
 したがって,農業,もっと端的に言うと,農協を押さえれば,選挙では勝ったも同然なのです。まさしく,選挙経営学では,「JAの建物が票の束に見える」という感じになるのです。
 そうなると,当然ですが,農業,特に農協に逆らうことはできません。まして,農協の意向に反するような施策を行うことなんてまず無理です。そうすると,論理必然的に,新規参入を抑制したり,輸入農作物に対する強い規制を設けたりするなどという保護政策になります。
 したがって,例えば外国との強い競争力を持たせるためには,国内での競争力を高め,大規模農業の展開や,農作物販売の自由化など,新規参入を容易にするなどというような施策を言おうものなら,一発で農協に嫌われ,その瞬間,票が0になります。
 それゆえ,選挙経営学においては,濡れ手で粟の票確保のため,「とにかく今の農業を守るだけ守りましょう。そのためにも農協さんのためにがんばります。」という保護政策メインとなるのです。
 もちろん,保護政策のすべてが悪いとは言いませんが,選挙経営学に徹すると,純粋な農業振興や食料問題などという観点を抜きに,「単に農協を守る」ということしか考えないのです。しかも,それを長期ビジョンや全体構想という観点で検討しているならまだしも,単なる「票を取る」だけの理由に過ぎないのです。
 結果,時には過度のばらまき施策になったり,農業優遇と見えたりしてしまうのです。のみならず,農協メインの発想となるため,本来あるべき農業の姿や農家の実情等とは大きく乖離してしまう可能性すらあるのです。

 冒頭でもふれたように,日本の農業には実は大きな悩み,問題点が数多くあります。これを真剣に解決するためには,いろんな視点で検討し,時には改革するなどして実現していくことが本来は必要なのですが,選挙経営学メインで「票田」という発想が強い政治家が多い以上,農業関係については,単なるばらまき的な施策と単純な保護主義だけが続くことになってしまい,農業に関する多くの問題が改善されていくという道は遠いことでしょう。
 選挙経営学によらず,自由な議論を通じて,よりよい農業政策が国民全体的な議論にならない限り,日本の農業は国際競争力に負け,農業人口も減少し,そしてやがて食糧難に陥るかもしれません。農業問題も実は他人事ではないテーマなのです。農業問題をきちんと分析して,現状の是非を論じる候補者をしっかり見極めて,農業従事者はもとより,消費者たるすべての有権者が「これからの食料政策」という観点で判断して選挙にでも行かない限り,近い将来,食料問題に関してはリアルに大変なことになるでしょう

今日のまとめ
 選挙経営学の政治家にとって,農業とは,「単なる票田」としかみていないため,うわべだけで既存の農業(特に農協)を保護することしか考えない。しかし,中身がないため,結果的に日本の農業を崩壊させ,食料事情を悪化させるおそれもある。選挙経営学によらず,真剣に農業問題を考える候補者に農業従事者のみならず消費者たるすべての有権者も選挙によりリアクションを起こさなければ,深刻な食糧難等が起こるかもしれないだろう。


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選挙経営学(第3章:なぜ教育改革はいつも場当たり的か)

2011年07月30日 22時47分32秒 | 裏選挙マニュアル・選挙経営学
 前回,投票率について年代別の切り口で説明しましたが,今回は,投票率というものについて,別の切り口から説明します。

 教育制度は,ここ十数年,猫の目のように変わっています。つめこみはけしからんということで「ゆとり教育」を始めましたが,学力が低下したのはゆとり教育が悪いということで,今は再び脱ゆとり教育になっています。反面,学力低下,学級崩壊,モンスターペアレンツ対策,教師のスキル問題などなど,教育問題は解決すべき問題が山のようにあります。
 教育とは人材育成であり,ここがしっかりしなければ日本の未来は真っ暗です。なので,教育をきっちりやることこそ,国家としての基本であるといえます。
 ところが,教育問題を最重要課題として掲げる候補者はあまりいません。もちろん,広く浅くの選挙公約の中に載せている候補者はたくさんいますが,「まず,教育改革だ!」という候補者はあまり見かけないのではないでしょうか。また,仮にいても,その方が当選しているということも案外少ないのではないでしょうか。
 一方で,「道路作る」「建物作る」という候補者は,比較的多く当選しています。しかし,いざ道路や建物ができると,「なんで無駄なものを作ったんだ!」などという批判が発生することが多々ありませんか?
 実は,ここにも選挙経営学が大きく働いているのです。端的にいうと,教育<土木なのです。
 前回,若年層の投票率が低いから,子供関連施策については,なかなか話が進まない旨説明しました。教育問題がなかなか解決しない背景には,実は「選挙経営学では,教育では票が取れない。」という実情があるのです。

 もう少し具体的に言いましょう。例えば,「道路を作る」という公約の場合,その道路の利用者は,沿線住民等広範囲に及び,道路は歩行者から自動車まで使えることから,利用する年代も幅広くなります。すなわち,道路を作ることで恩恵を受ける人は多いのです。恩恵が多い=選挙で票がとりやすい,っていうことになります。
 建物建設も同様です。さらに,農工商業振興策だって,産業従事者はかなり幅広い年代なので,恩恵を受ける人はかなりいます。
 つまり,これらの施策は,有権者全体の7,8割等,かなり幅広い人たちからの支援や投票が期待できるのです。
 ところが,教育問題はどうでしょうか。教育を受ける子供たちは有権者ではありませんから,選挙経営学でいうと,「子供に媚び売っても,それは票をどぶに捨てるようなもの。」という発想になります有権者ベースでみても,教育関係で恩恵を受けるのは,直接的には,子供を学校に通わせる世代,すなわち,20代後半から40代までなのです。しかも,これを公立小中学校限定とか,高校限定などとしたら,その中からさらに恩恵を受ける世代は減少します。
 さらに,教育問題とは,必ずしも親御さんにとって都合のいい話ばかりではありません。人材の育成という長期プランでみると大変有益な教育方針や施策であったとしても,場合によっては,親御さんに対する費用的精神的負担(将来的には大きな還元につながるものではあるのですが・・。)になることも多いため,その世代すら賛同を得られるとは限らないのです。
 つまり,教育問題というものは,一般に,有権者のごく一部にしか賛同してもらえない話であるばかりか,逆に多くの敵(もちろん,実際は誤解や偏見に過ぎないものなのですが)すら作りかねない内容なのです。となると,選挙経営学的には,「教育問題を一生懸命やっても,全体の有権者に対して,票を入れてくれる有権者の比率は少ない。」っていう発想になるのです。

のみならず,特にこの世代は,前回のお話のとおり,投票率が低いので,ますます票につながらいっていうことになってしまうのです。まさに,「どぶに票を捨てている」の典型的な発想ということになります。さらに,逆に有権者に敵まで作ってしまうとなれば,選挙経営学的にはそりゃあ,かえって有害っていう発想にすらなりかねません。

 選挙経営学を駆使して当選したいのであれば,公約に教育を掲げるにしても,メイン公約はもっと票をがっぽり稼げる土木建設関係や農工商業振興というテーマにしておき,かつその実績を中心にアピールするに限る,ということになります。
 むしろ,選挙経営学的には,教育問題をネガティブ戦術として活用することで,教育とは無縁の世代の票をがっぽり稼ごうという方法も十分取れますので(べたな事例は,「とにかくゆとり教育はだめだ」みたいな感じです。),ポリシーのない政争の具とされやすくなります。
 さらに,政治家が教育問題についてはしっかりしたプランをもって官僚と議論しない以上,教育問題に対するチェックも働かなくなってしまいます。
 結果,教育問題というのは,人材育成という壮大なプランは無視され,逆に場当たり的な方針になりやすいのです。

 教育をないがしろにする国は,いずれ必ず滅びます。官僚はもちろんのこと,政治家が選挙経営学によらずして,きちんと壮大なプランを有権者に示すとともに,それを受けて教育を真剣に考える世代がもっと選挙に行き,これからの教育の在り方についてもっと国民的な議論とならない限り,教育問題をメインとして当選する議員はなかなか増加しないでしょう。だとすると,教育問題は,今後もまだまだ場当たり的な状況が続かざるを得ません。そうなったら,日本の未来はwow*4(古い!)です。
 もちろん,そもそも,選挙経営学を駆使している議員や首長が撲滅されれば,こうした心配も減少するでしょうが・・。

今日のまとめ
 選挙経営学重視の政治家は,できるだけ幅広い世代からうけるような施策にしか興味関心がない。したがって,教育問題のような本来は日本の将来に直結するようなテーマであっても,直接負担を受ける世代はもちろんのこと,恩恵を受けない人たちに対してもきちんと説明して理解を求め,一票を入れてもらうという面倒な運動はしないで,がっぽり票が稼ぎやすい土木や産業支援などをメインにしてしまうため,重要問題にもかかわらず,なかなか思うような解決策が見いだせないということになってしまう。選挙経営学によらずして,たとえ手間がかかってでも,きちんとプレゼンし,国民的議論にしようと政治家等がたくさん誕生しなければ,日本の教育はますます崩壊し,いずれ日本という国自体が崩壊するだろう。これを阻止するには,まずは全世代が,これからの日本の在り方をきちんと考えるべきであり,その第一歩としては,特に教育で直接に恩恵を受ける若年世代を中心に,積極的に選挙に行くしかない。


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選挙経営学(第2章:なぜ待機児童は減少しないか)

2011年07月28日 22時04分09秒 | 裏選挙マニュアル・選挙経営学
 今回は,少々耳の痛い話かもしれません。
 世の中いろんな社会問題があり,候補者はすべてのジャンルについて選挙公約を掲げています。
 その中に,例えば多くの自治体で社会問題となっている「待機児童問題」なども掲げられていると思います。当然,これもその地域の候補者は,ほぼ全員選挙公約にしているはずなのです裏選挙マニュアルにも書いたように,公約は広く浅くというルールもありますので。)。
 ところが,この問題が大きく改善されたという話はあまり耳にしません。なぜでしょうか?
 もちろん,法規制の問題や縦割り行政の弊害,場所や人の確保や予算問題などいろんな問題点があるテーマなので,そう簡単に進まないというのも理由としてあげられるでしょう。
 しかし,一方で,同様の問題を抱えている高齢者福祉施設は意外と早く建設されるなど,さくっと進んでしまうような施策も結構あるのではないでしょうか。
 もっというと,こども手当」について,ばらまきだなどといわれてものすごい反対意見が殺到し,事実上止める縮小する方向になりつつありますし,また母子手当なども削減する方向に進んでいますが,一方で,高齢者向けの給付金については,あまりそんな激しい議論が発生していませんし,後期高齢者医療制度は早速に改善する方向で検討されているようですし,自治体によっては,いろんな名目で給付金の増額すら検討しているところが多いのではないでしょうか(もちろん,これらの検討や実施が悪いという意味ではありません。誤解のないように。)。
 なぜ,待機児童問題が解決しないのか,また,こども手当等のような子育て支援施策方面だけ批判の矢面になり,どんどん削られてしまうのでしょうか?
 もちろん,政策それ自体に問題があるという点も否めませんが,ここが実は選挙経営学が大きく絡んできている話なのです。

 政治家の選挙公約は,幅広く主張はしていますが,それはあくまでも見てくれだけの問題です。当然,中身がなければ活動はできません。のみならず,政治家のもう一つの活動として「後援会挨拶」があります。ここを固めないと当選しないからです。とすると,後援会受けする話を中心に政治活動をしていかなければなりません。
 また,現実的な問題として,議員は体ひとつなので,たくさん公約を主張しても,実際行動できるものは限られていますから,当然,優劣をつけざるを得ないことになります。

 では,どういう優劣を議員はつけるのでしょうか?
 建前は,「重要課題」なので,まっとうな政治家であれば,現状分析などをきちんと行ったうえで,必要性を吟味して重要課題の優劣をつけることになります。ところが,選挙経営学のみに基づく残念な政治家の場合,単純に「いちばん票が取れるものから取り組む。」という発想になるのです。そして,一番票が取れる施策というのは,端的に言うと,「誰が選挙に行っているか?」という点に尽きるのです。もっと言うと,選挙経営学では,選挙に行かなそうな人に対して,いろいろやってもそれはどぶに捨てるに等しい,っていう発想になるのです。
 そこで,「票が一番取れる施策」は何かという点をさらに素因数分解してみると,それは「どんな人が一番投票に行っているのか」ということになるのです。選挙に行く=票だからです。よって,選挙経営学からすると,候補者はそこを重点的に狙えばがっぽり票を稼げるから,一番選挙に行く人たちメインに重要施策を考えればよい,っていうことになるのです。

 それらをふまえて,今の投票の実情をみると,投票率が高い年代は50代以上になります。逆に,20代30代は極端に投票率が低いです。また,後援会に所属している方々の大半は,やはり50代以上ということになります。
 ってことは,濡れ手で粟の大もうけをするには,「50代以上の有権者にこびを売れば十分」っていう発想になるのです。これこそ,選挙経営学鉄板の手法!
 なので,高齢者関連に関しては,非常に関心もあり,かつ50代以上の人がたくさん投票してくれるということから,必然的にそっちの活動を優先する訳です。それで票が十分取れるからです。
 逆に,待機児童問題や,少子化対策,教育問題などといった主に20代30代の方々が困っている問題については,どーせがんばっても,選挙行かない人たちだから,票にならないことはやーらない!」っていう発想になり,活動は劣後債権になるのです。
 すると,必然的に,子ども手当や母子手当など子ども関連施策は,「どうせ削っても,ネガティブ票にすらならないから大丈夫!」ってことで,ある意味やりたい放題になるわけです。
おそらく,究極の選択として,「高齢者と児童,手厚く守るのはどっち?」というカードを見せられたとしたら,まっとうな政治家はいろんな要素を考慮してどちらかを選択するでしょうが,選挙経営学を駆使する政治家は,迷わず「高齢者!」を選択するでしょう。そっちの方が圧倒的に票が取れるからです。

「でも,施策を計画するのは官僚では?」という疑問を抱く方も多いと思います。そのとおりなんですが,官僚も人の子ですから,政治家からプレッシャーがかかれば,当然,そっちを重点的に実施せざるを得なくなります。まあ,建前として,憲法上は,民意を反映した議員や首長の施策を実現させるのが官僚の役割ですから,当然といえば当然です。
 また,実際問題としては,官僚としても,どこかの国の鉄道省同様,自分の施策を推進して予算をたくさんもらうということが実績になりますので,政治家がそっち方面にシフトしているなら,むしろそうした政治家を利用して,その施策を実現させていくのです。逆に,バックに政治家がいない施策は,どうしても財務省等企画財政サイドで削られやすくなるため,施策推進が困難になるのです。
 こうした事情から,政治家が重点的に行っている施策に官僚は追従する(またはその逆に官僚に政治家が追従する)ことになるのです。

 誤解のないように言いますが,決して高齢者福祉施策にシフトすることがけしからんという意味ではありません。これは重要施策であることは当然なので,いろいろな検討を加えて推進していくことは非常に大切です。ただ,その判断基準が,「票が取れる」という選挙経営学だけであるという点が,民意を反映していないといわれる元凶になりうるのです。

 選挙経営学の議員が皆無になるか,または20代30代の投票率が50代以上の人以上の投票率にならない限り,日本中の待機児童問題等子供に関する諸問題が完全に解決するということはないでしょう。

今日のまとめ
 選挙経営学重視の政治家は,選挙に行く人しか主眼に置かないため,投票率の低い20代30代の意向というものが政治に反映されにくい。のみならず,若年層を犠牲にする施策が進む理由も,票にならない人に対してであれば痛くも痒くもないため,何でもあり,っていうことになるからである。選挙に行かない若年層については,他の世代並みに選挙に行く状況にならない限り,自分の意向が政治に反映されることはなく,いくら声だけあげても改善は進まないのである。


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選挙経営学(第1章:なぜタレントは選挙に強いのか)

2011年07月24日 22時02分35秒 | 裏選挙マニュアル・選挙経営学
 今回は,比較的イメージのわきやすいテーマから本質を浮き彫りにしてみます。
 国会や地方議会を問わず,いわゆる「タレント議員」という方々は結構多く存在しています。ここでいうタレントとは,「テレビ等で知名度がある人」を指します。
 では,タレント議員はなぜ選挙に強いのでしょうか?
 おそらく,多くの方は「そりゃ,知名度があるから」と答えるでしょう。そのとおりなんです。以上!

 だと,これで話が終わってしまうので,もう少しこの点を深くつっこんでみます。
 知名度があるといっても,全員当選するわけではありません。当選するタレントと落選するタレントとの間にある違いがあります。それは,「イメージ」なんです。
 具体的には,「軽い,ちゃらい,信用できない」っていうイメージのタレントは,落選しやすいのです。逆に言うと,当選しやすいタレントは,こうしたイメージを持たせないだけなのです。
 そうなんです。タレント議員の当落の本質,それは「イメージ」だけなのです。
 ただ,単純なイメージや知名度だけではありません。当選しやすいイメージを持たせる,すなわち「軽い,ちゃらい,信用できない」というネガティブなイメージを持たせないことが大切なのです。そして,そのためには,「抽象論でいいから,もっともらしいことをいう」ということなのです。
 「あれ,あのタレント議員はなんか具体的な公約を言ってたよ!」という反論があると思いますが,実はそこがキモ!
抽象論だけでは意味不明になりやすいので,イメージをわかせるために具体的な施策も主張します。でも,それは,非常に分かりやすい身近な問題について1,2個で十分なんです。なぜなら,「有権者はそんなに公約を覚えられない。」からなのです。キーワード的な抽象論を掲げながら,ものすごくイメージがわきやすい身近な具体的なテーマを1つ公約にして主張する,ただそれだけなのです。とにかく,「イメージ」なんです,イメージ。
 それをメディアで繰り返せば,「なるほど,この人タレントの時のようなちゃらちゃら感はないから信頼できそうだなあ。」っていうイメージが作られます。のみならず,有権者の感情としては,「今の日本,誰が政治家になっても同じ。ならば,タレントのこの人ならよく知ってるし,一応まともそうだから,こいつでいいや。」っていう発想になりやすく,それで投票する傾向が強いです。だから,タレントは当選しやすいのです。

 ちなみに,落選しているタレント候補者の多くは,「タレントのイメージだけ」を強調する傾向にあります。昔の自分の持ち歌を歌ったり,一発芸を披露したりするなど,とにかく「過去の栄光」だけに任せようとします。さすがに,有権者もバカではありませんから,こういう活動をすると,いくら知名度があっても,「こいつで大丈夫か?」というネガティブイメージが働いてしまうため,当選できないのです。

 さて,この応用です。タレントに限りませんが,地元で知名度のある議員という人は結構多いと思います。二世議員となると,なおのことです。ここも,こういう議員らの多くも,実はこのタレント議員と同じことが言えるのです。
 結局は「イメージ」だけ。しかも,公約はもやっとしたものに,イメージがわく具体的な小さな施策を1,2個掲げるだけ。知名度があるから,これで十分有権者からの支持を得られるのです。
 でも,二世議員の場合,親の七光りのみという残念な場合もあることから,中身がない場合や,さらには利権にしがらみになっている場合が多いなどというのが,こういう候補者の特徴だったりします。「中身がない,しがらみが多い=民意が反映されない」ので,ふたを開けてみたら,政治不信の元凶になるのです。


今日のまとめ
選挙に勝つためには「イメージ」がメイン。ある程度知名度があれば,イメージのわく小さな話を1つすれば,それで十分勝負になる。しかし,そういう候補者は実は壮大なプランは持っていない。だから,政治と民意と離れやすい。
イメージ戦略も大事だが,有権者としては,イメージだけで投票することなく,その候補者の中身がどういうものかをきちんと把握することが大事である。


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選挙経営学(序章)

2011年07月23日 01時24分01秒 | 裏選挙マニュアル・選挙経営学
 統一地方選挙も終わり,また国会が混迷を極めていることから,人の迷惑顧みず衆議院議員選挙をやるか?などとささやかれ始めています。
 ところで,そもそも選挙ってどういうものでしょうか?憲法上の建前としては,「議員とは有権者の代表」ですから,選挙において候補者は主義主張(公約)をプレゼンし,それを聞いた有権者が「この人は私の代表にふさわしい」と判断して一票を投じることを想定しています。そして,選挙結果は多数決で決められますから,自分たちの多数意見たる民意を反映されていることになり,それが議会運営や政策等に反映させられることから,結果的に自分たちの生活に戻ってくる,っていう流れになります。この一連のサイクルを構築させるためにも,選挙は重要なアイテムであるとしているのです。
 しかし,現実には,国会や地方議会等において,必ずしも民意が反映されていないと思われる方々も多いのではないでしょうか。なぜでしょうか?多数決で決めているはずなのに,なぜ多数意見たる民意とは異なることが多いのでしょうか?

 そうなんです。実は,選挙の現状が,理想とは全く逆なんです。すなわち,「公約を主張して選んでもらう。」というのではなく,「当選するためには,何を主張すれば一番票を取ることができるのか?」というアプローチから選挙公約や選挙運動を行っているのです。一見すると,それはそれで当然のようにも見えますが,しかしこの「一番票が取れる」っていうのがくせ者なのです。ここに多くの候補者が執着するため,本来の民意が見えない(反映されない)選挙結果になりやすいのです。だから,民意とのずれが出てきてしまうのです。
もっとストレートに言うと,「真意の公約なんかいらない。なんでもいいから政治家になればこっちのもの。」っていう貧相な発想しかない政治家が結構多かったりするのです。
 勝つための手段については,以前「裏選挙マニュアルシリーズ」でいろんな手法を紹介しましたが,今回は,それ以前に,なぜ議会や行政において民意が反映されないのかという観点を,候補者の「一番票が取れる方法は何か?」という発想方面からアプローチしようと思います。こういう発想の候補者は,選挙とはすべて損得勘定でのみ動くので,こうした発想を便宜「選挙経営学」と名付けました。

 なお,当然の話ですが,選挙経営学を駆使して当選している議員や首長は,ごくわずかだと思います。多くの議員や首長は,本来の選挙スタイル,すなわち真摯にこれからのあり方を考え,単なる自己の損得勘定ではなく,真にあるべき姿を有権者に示し,そして政策論議をきちんとして初めて当選して活動している方のはずです(少なくとも,私のブログでごひいきにしている議員等の方々については,自信を持ってそうした方であると断言できます。)。
ただ,私たち有権者としては,「まっとうな候補者」なのか,それとも「選挙経営学を駆使している残念な候補者」なのかを見極める必要があることから,これからの記事は,投票の際に,こうした候補者を見分けるひとつの参考としてご活用いただければありがたいです。

今後のテーマですが,次の内容の予定です(ただし,勢い等により,若干,変更があるかもしれません。)。

1 なぜタレントは選挙に強いのか(選挙の本質)
2 なぜ待機児童は減少しないか(投票率と若年層)
3 なぜ教育改革はいつも場当たり的か(公約に対する有権者比率)
4 なぜ農業は優遇されるのか(票田)
5 なぜ議会に庶民の声が反映しないのか(組織票)
まとめ なぜ政治不信は解決しないのか


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不景気かつ政治に無関心な人たちが多いとはやりそうな犯罪かも

2009年02月05日 01時07分17秒 | 裏選挙マニュアル・選挙経営学
2月1日に実施された北九州市議選において,偽物の投票用紙が63枚含まれていたことが判明しました。また,投票人数と投票総数もあわないため,警察では選挙違反の疑いがあるとして捜査を始めたようです。

北九州市議選 偽投票用紙63枚 本物とすり替え持ち帰る?(西日本新聞) - goo ニュース

買収が行われた可能性が高い

以前,裏選挙マニュアルで買収の手法について説明しましたが,このニュースを聞いた瞬間に,「買収の香りがする」と思いました。それは,偽装投票用紙を正規の投票用紙とすり替えることにより,「直接代金を支払う」という買収方法が過去に横行したからです。
具体的にはこんな感じです。

1 1人(Aさん)が偽装投票用紙を持っていき投票に行きます。その際,交付される正規の投票用紙を隠して,変わりに偽装の投票用紙を投票箱に入れます。当然,足がつかないようにするためにこの偽装投票用紙は「白紙」または「対立候補者の氏名」を書いておきます(自分の陣営が捜査対象にならないためです。K党候補者の氏名を書いているケースもあります。)。
2 Aさんは白紙の正規投票用紙を第2後援会事務局に持っていきます。そして,事務局で,その白紙の正規投票用紙と引換に現金をAさんに渡します。
3 白紙の正規投票用紙に,自分たちが支持している候補者の氏名を書きます。そして,それをBさんに渡します。
4 Bさんはそれをもって投票所に行きます。ここで,正規の白紙投票用紙が交付されますが,それを隠して,変わりに事務局から渡された名前の書かれた投票用紙を投票箱に入れます(これは外見は正規投票用紙そのものなので,正式に1票としてカウントされます。当然,警察の捜査ではこの投票用紙までたどり着くことはほぼ不可能です。)。
5 Bさんは白紙の正規投票用紙を第2後援会事務所に持っていきます。これにより,事務局は「Bさんは投票をした」と判断できますので,白紙の正規投票用紙と引換にBさんに現金を渡します。
6 以下,3以下のことを繰り返し行います。
7 すると,結果的には「1枚の偽装投票用紙で,数十枚の選挙違反投票が可能となる」ということになります。

以上のようなからくりなのです。当然,効率的に行うためには,「正規の投票用紙の入手枚数を増やす」必要がありますので,実際は,偽装投票用紙を複数用意して,より多くの買収投票を実施するのです。

この手法のメリットは,なんといっても「買収結果が100%票につながる」ということと「警察の捜査でも足がつきにくい」という点です。
一方で,デメリットとしては「あまり大々的にやると,買収を受けた投票者からの内部告発」が起こりうるということです。
もっとも,それを回避するために,「投票権自体の買収」を行い,支援者がその人になりすまして投票する「なりすまし投票」を併用する場合もあります。

ただ,いずれにせよ,これは文句なしの選挙違反です。民主主義の根幹を揺るがす行為ですし,そもそも買収選挙というものは「金のあるものが強い」というまさに格差社会の典型例ですから,そんなひとが政治家になったとしても住民のために政治をするはずがありません。
今回の北九州市の問題が買収なのかどうかはまだ分かりませんが,確実に不正が行われた以上,警察の捜査結果を待ちたいと思います。

しかし,一方で気になることがあります。選挙の投票率が低いことや,不景気で収入が減少している点などを踏まえますと,場合によっては,「自分の投票権を1万円くらいで売っていい」とか「どうせ誰に投票しても同じだから,白紙の投票用紙もらってきて1万円もらった方がいい」などと考える人が増えてしまうのではないかという点です。
もちろん,まだまだ日本人は良識をもっているため急増することはないと信じていますが,不景気だからこそ「お金で選挙を解決」という利害関係が一致すると,結構恐いなあっておもいます。
仮にこのような話が来ても,絶対に断ってください。当然,これも立派な選挙違反になり,もらったお金以上の損害(罰金,身柄拘束,社会的信用の低下など)が確実に発生します。つまり,「全く割に合わないバイト」になってしまいます。
だいたい,買収に応じた時点で,「その候補者の奴隷」になったに等しいです。あとで,「この政策はおかしい」などと思っても,それは1万円くらいで奴隷になった自分の責任です。わずかなお金のために心まで売っても,本当に何の得もありません。
逆に,こういう話が聞こえてきたらすぐに警察に教えてあげましょう。そして,二度とその候補者が政治の世界に出てこないようにしましょう。それが有権者としての責任といえます。

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選挙裏マニュアル利用候補者の見抜き方(ついに最終回)

2007年03月18日 00時49分56秒 | 裏選挙マニュアル・選挙経営学
これまで裏マニュアルについて説明してきました。
冒頭でも説明しましたとおり,内容不十分なところが多いのは否めませんが,実際今でもこれに近いような姑息な手法で選挙を乗り切っている候補者,さらにはそれで当選して政治家面している人は結構います。
しかし,裏マニュアルをご覧頂きお分かりのとおり,はっきり言って裏マニュアルだけで当選するような候補者は,政治家として不的確ですし,むしろ有害です。
そこで,今回は本当の最終回として,「裏マニュアル利用者の見抜き方」について説明したいと思います。
もちろん,絶対的な基準とまでは言い切れませんが,一つの目安になると思います。ただ,何よりも「本当に中身のある人か否か」を見抜く一つのポイントになるのではと思います。

1 後援会主催のパーティーが多い
  後援会は基本的に「資金集め」と「関連組織へのアピール」の場です。後援会にだけ目を配っている候補者は,第2後援会の配下におかれている可能性が高いです。

2 後援会主催の政治報告会に動員要請が来る
  政治家はいろんな形で自分の政治報告会を行います。それ自体は正しいスタイルです。そして,通常は,「自発的に行く」ものです。
  ところが,そのような報告会に動員要請が寄せられる場合があります。これは,動員要請を依頼される組織が存在する,という意味です。
  分かりやすくいうと,「各組織にノルマが存在している」ことを意味します。つまり,「かなり深いつながり」があることの現れなのです。

3 一般有権者向けの報告会をしない
  2に関連しますが,後援会関係者だけに報告すれば十分という意味と,有権者に報告できる中身がないという意味があります。
  つまり,組織力だけで十分,ということの現れなのです。

4 駅前等でビラ配りをほとんどしない
  3同様浮動票が必要ないからです。つまり,「組織力で勝てる」ということと,「人様に言えるような公約がない」ということの現れなのです。
  ちなみに,選挙直前になって急にビラ配りを始めた「一夜漬け議員」の場合も,同様に「組織任せ」の人が多いです。

5 一般人からの要望は受け付けない
  現職の場合,政治事務所の敷居がやたら高いところがあります。これは,「住民代表」ではなく「支援組織代表」に過ぎないからです。実際,議会などでも住民の声を届けることは全くありません。

6 大事業の公約がある
  もちろん「大事業=悪」ではありません。ただし,本当に必要なのかどうかよく分からないような大事業を公約としていると,背後にその事業により利権を得る者がいる可能性が高くなります。

7 選挙事務所の応援ポスターに企業のものが多い
  選挙事務所には,「必勝**」等のポスターが貼られます。
  これをよく見ると,地元の企業,さらには士農工商団体が出しているものが見受けられます。この数が多ければ多いほど,組織力に頼っている場合が高いです。
  ただし,最近ではこのような批判を回避するために,あえてポスターを出さない場合がありますので,「ポスターがない=健全」とも言い切れません。

8 選挙事務所に作業服の人が多い
  これは,企業応援団,すなわち「桃太郎」です。どうせやるなら,犬,猿,キジのかっこして歩けばよいのに,と冗談で思ったりします。

9 事前ポスターが貼ってある
  これは政党所属者の場合がありますが,無所属新人であれば,このようなポスターは貼れませんから,何らかのしがらみが想定されます。

10 公約がやたら抽象的
  以前説明したとおり,なにしろ「広く浅く」の公約と,裏公約を隠すという二つの要素を満たす必要があるため,公約はできる限り曖昧にする必要があるのです。
  ちなみに,今回の統一地方選挙の場合,「第2の夕張にしない」「談合をなくすための入札制度を見直す」「財政健全化を図る」などというお題目だけを掲げて,その具体的な中身が全くない候補者の場合,かなりの注意が必要です。

11 チラシには有名人の写真や自慢話しかない
  自信を持って説明できる公約がない以上,はったりだけでもかます必要があります。そのために,「自分はこんな人と親交があるんだ」等という自慢話や写真だけを並べておきます。これは「ハロー効果」といって,有名人と親交があると,それを見た一般の人たちがあたかもその人も有名人であると思いこんでしまうという効果があります。
  中身がない人ほど,ハロー効果を多用します。

12 町の噂がある
  「火のないところに煙は立たない」という格言どおり,影の市長の存在や,その交友関係というものは,町の噂になりやすいものです。特に裏マニュアルは地方で多く利用されることからするとなおさらの話です。
  もちろん,特殊工作員の工作活動などもあり,また「噂を信じちゃいけないよ」という山本リンダさんの格言(!)もありますので,鵜呑みにするのは危険ですが,町の噂は一つの参考にはなるでしょう。

以上が見分けるポイントとなるでしょう。これを踏まえて,統一地方選挙やその後の参院選などで「本当の候補者」を見抜いてください。そして,「本当の候補者」の中から,自分が望む候補者を選んで投票してください。
今回,中途半端な裏マニュアルをあえて公開した趣旨は,まさにここにあるのです。
そして,最後までおつきあい頂きましてありがとうございました。

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選挙裏マニュアルその8(正しい選挙期間中の運動方法)

2007年03月11日 02時47分50秒 | 裏選挙マニュアル・選挙経営学
今回で裏マニュアルは最終回です。
今回のテーマは,「正しい選挙期間中の運動方法」です。選挙運動は,公職選挙法で厳しく制約されていますが,すれすれのところを進み,時には完全に違法行為を行うなど,いろんな手法により選挙運動を行うやりかたについて説明します。

1 選挙違反は普通に行う
  公職選挙法を守ったら,選挙運動はできません。従って,平然と選挙違反を行う必要があります。
  当然ですが,運動員にはスパイも紛れ込んでいますから,あまり露骨にはできません。
  そこで,「どっちにもとれる違法行為」を行うのです。

2 運動員はできる限り外注(桃太郎の活用)
  まず,運動員は直営ではなく,支援企業の人間を使います。いわゆる,「桃太郎」の活用です。
  桃太郎のメリットは,自腹を切らなくてよいこと,選挙違反が発覚したときは切り捨てられること,人手が簡単に集まることです。
  当然ながら,当選時には桃太郎を用意した企業に対する見返りは用意しなければいけません。それが絶対的条件となります。

3 戸別訪問は禁止,だけど個別訪問はグレー
  次に,選挙期間前及び期間中は「個別訪問」を行います。
  あれ,「戸別訪問」は禁止されているはず。そうです,よーく字を見てください。禁止されているのは「戸別訪問」で,「個別訪問」はグレーなのです。この違い,それは前者は「無差別に一軒ずつ回ること」で,後者は「特定の支持者を中心に回ること」です。つまり,できる限り「個別訪問」を行うのです。しかも,これは,選挙期間前の方からちゃんとやっておきます。
  また,個別訪問でも「投票依頼」をすると,「戸別訪問」となってしまいます。そこで,挨拶の際は「今,困っていることは何でしょうか」とか「何か行政にいいたいことはあるでしょうか」などのご用聞きを行うのです。公職選挙法では「投票依頼の戸別訪問」を禁じているに過ぎませんから,これは厳密にはグレーですが,一応OKなのです。

4 第二後援会の宣伝カー
  選挙カーは通常1台しか使えません。しかし,確認団体は,政治活動として街宣車を使用できます。
  そこで,第二後援会も宣伝カーを用意します。もちろん,実質は「選挙カー」です。
  ただし,内容は微妙に変えます。すなわち「こちらは**団体です。我が団体は,今度の選挙で**候補者を支持することにしました。」ということを宣伝カーでいいます。
  これで実質的に2台の選挙カーを確保できたことになり,より効率的に回ることができます。

5 飲食物の提供は禁止だけど・・
  公職選挙法では,飲食物の提供は禁止されています。また,運動員への供与も禁止しています。
  そこで,これも「第二後援会」が供与するのです。厳密には,これも禁止行為です。しかし,第二後援会は,あくまでも「自分達の勉強会」などの名目で後援会支持者を集め,そこで飲食物を振る舞うのです。
  分かりやすくいうと,「あれ,今選挙期間中だったの,いやあ,偶然だねえ。自分達の勉強会もちょうど今頃だったんだなあ。」みたいなノリでやるのです。
  もちろん,運動員に対する裏報酬もこの第二後援会から支給します。

6 ポスターは早めに貼る
  選挙用ポスターは選挙期間中以外に貼ることは禁止されています。
  しかし,確認団体や政党の広報ビラであれば許容されます。そこで,これを活用して,早めに選挙用ポスターを貼ります。
  ポスターは,ほとんど選挙用と変わりません。ただ,違うのは,「作成者は確認団体又は政党」であることと,「個人演説会の場所と日時を小さく書いておく」こと,この2点です。
  これにより,普通の広報ポスターになります。
  また,事前運動とされないために,キャッチコピーにも注意します。「**議会議員候補」とは書けませんので,例えば「**議会に新しい風を」とか「市の長期計画見直し」と書いて「市」と「長」だけをやたら大きい文字にする等,うまいこと工夫をしておきます。

7 最後は組織力
  これは裏マニュアルです。今までの部分は,裏マニュアルとまでは言えません。結構,多くの候補者が普通に行っています。
  本当の選挙期間中の運動,それは「影の市長」の鶴の一声で決まりです。簡単に言えば,「落ちたら,お金が戻ってこないし,仕事も来ないよ」の一言で,スポンサー企業や士農工商団体は一気に総力戦になります。最後は,これらの組織力なのです。
  また,影の市長は公明党も押さえている場合が多いため,公明党に対しだめ押しをしておきます。場合によっては,3か月以上前から「民族大移動」を依頼します。これで有権者を増やしておくのです。
  「公明党を制するもの,選挙を制する」は,国政のみならず地方の場合にも当てはまるのです。

以上が選挙期間中の運動方法です。
そして,これで選挙裏マニュアルは終わりです。これを実践すれば,当選は保障されたも同然です。是非,活用してください。
次回は,「影の市長」もあっと驚く,「裏マニュアル使用候補者の見抜き方」について説明します。

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選挙裏マニュアルその7(正しい対立候補者のつぶし方その4「公約勝負回避」)

2007年03月09日 02時04分17秒 | 裏選挙マニュアル・選挙経営学
今回は,選挙本番の話を中心に説明します。
ダミー候補者も擁立できず,いよいよ一騎打ちとなった場合の戦い方です。
あとは,「公約勝負」で行くしかないのですが,裏マニュアル候補者の公約は,前述のとおり「影の市長が儲かる公約」に過ぎず,基本的に中身はありません。
従って,真っ向勝負でいっても,とうてい説得力がありません。
そこで,公約をうまく作っていく必要があります。

1 まずは「裏公約」ありき
  とにかく,裏公約だけは絶対に確保する必要があります。しかし,これをまともにだすと,多くの有権者からは反発を食らいます。
  そこで,裏公約をオブラードに包みます。
  例えば,「福祉会館建設」が裏公約にある場合は,「高齢者と障害者に優しいまちづくり」をメインテーマにしておき,補助制度,医療制度の改善などをふれながら,その中に「福祉拠点としての施設の建設」をさりげなく入れておくのです。

2 対立候補者の公約をパクる
  次に,対立候補者が結構鋭い公約を持ってきた場合,それで勝負をされたらたまったものではありません。そこで,公約勝負を避ける必要があります。
  具体的には,「類似公約を出す」ということです。つまり,公約をパクるのです。
  こうすることで,その公約での勝負を回避できます。もちろん,裏公約に抵触する場合はパクれませんが,それ以外の場合は好きなだけパクっていいのです。
  公約をパクることで,勝負を回避することができると共に,対立候補者の票を分けることができるのです。
  ちなみに,この公約パクリ,何も対立候補者がいる場合に限らず,通常の議員選挙のようにたくさん候補者がいる場合にも,「自分を有能に見せるため」だけの理由でパクるという事例もかなりあります。

3 公約は,対立候補者よりも広く浅く
  一番理想的な公約,それは「いかように解釈できるもの」なのです。つまり,当選後に公約に縛られないものがベストなのです。
  そこで,まず「抽象的,一般的内容」とすることが求められます。
  その上で,対立候補者と公約で戦うためには,「広い範囲をカバー」する必要があります。中身なんかなくていいのです。とにかく,広ければそれで十分なのです。
  例えば,「人に優しいまちづくり」「働く人を守る」「産業の発展」「人を育成する」「安全と安心のまちづくり」「財政再建」,この程度言っておけば,ほぼ全部網羅できていますし,中身は当選後幾らでもいじれます。

4 張りぼて肩書き
  公約で戦いを回避するためには,相手から攻められにくい抽象的公約とする必要もあります。
  それを裏付けるために,候補者の肩書きも「それなりの名前」を付ける必要があります。
  例えば,前述の公約を例にすると「福祉制度研究会」「労働問題調査委員会」「経営者懇談会」「教育制度検討委員会」「家庭問題研究会」「防犯対策協議会」「市民オンブズマン」位の肩書きを付けておくのです。これで,公約の裏付けもできますし,対立候補者からの攻撃にも適当に回避できます。
  当然,これらの組織はすべて「架空組織」で十分です。ようは,張りぼてなのです。

5 対立候補者にちょっとでも不利な公約があれば,そこだけ攻める
  それでも公約の違いが現れてきた場合,なにしろこちらには中身がないわけですから,真っ向勝負では勝てません。
  そこで,対立候補者の少しでも不利と思われる公約を徹底的に突っつきます。それは一つでも構いません。とにかく突っつきまくるのです。やくざの交渉術にもあるように,「小さな非を大きくする」のです。
  例えば,対立候補者が「ごみ有料化」を打ち出したとします。これは,実質はともかく,ぱっと見は「新たな負担」に見えます。すると,この公約について集中的に食いつくのです。有料化とは負担をかけるだけだ,負担かけて何が変わるんだ,今のままでも十分やっていける,有料化で得をするのは誰だ,など,時にはあることないこと織り交ぜながら,とにかくそこだけ追求していくのです。
もちろん,腹の中はどう思っていても構いませんし,論破しようとする必要はありません。とにかく,「攻撃している」と見せればよいのです。
  こうすることで,有権者は「政策論議をしている」ような錯覚を招くのです。しかも,これで,他の公約が争点になりません。

以上になります。つまり,中身のない公約を用意すると共に,時には相手の公約を拝借することで,公約真っ向勝負をできる限り回避するのです。あとは,組織力勝負ということになります。
以上で,対立候補者のつぶし方シリーズは終わります。
次回は,「正しい選挙期間中の運動方法」について説明します。

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