アルツハイマー病の進行を遅らせる効果が認められた初の新薬「レカネマブ」の承認が、厚生労働省の専門家部会で了承された
2023年8月22日 (火)配信読売新聞
アルツハイマー病の進行を遅らせる効果が認められた初の新薬「レカネマブ」の承認が、厚生労働省の専門家部会で了承された。年内にも治療に使える見通しとなり、「困難だった認知症治療の転換点になる」との期待もある。投与対象となる早期患者に適切に治療を届けるには、副作用に対応できる医療体制の整備とともに、市民や医療者への正しい情報提供が求められる。(医療部 東礼奈、影本菜穂子)
進行を抑制
「新しい薬を待ち望んでいた。承認されたら最優先でお願いしたい」。妻(77)が早期アルツハイマー病と診断された東京都の男性(84)は、切実に訴える。
妻は「自分では悪くなっているか分からない。ただ、食事の用意も面倒になってきた」と話す。男性は「妻の症状は徐々に進んでいると感じる。新薬で悪化を抑えられれば」と期待する。
主治医で「アルツクリニック東京」の新井平伊院長は「新薬は、認知症を診る医師にとって画期的な武器になる。困難だった認知症治療を大きく変える可能性がある」と語る。
レカネマブは、病気の原因とされるたんぱく質「アミロイドβ(ベータ)」を脳内から取り除くことで、病気の進行を遅らせる効果が初めて認められた薬だ。
アリセプトなど従来の認知症薬は、脳内の神経細胞の活動を活性化して一時的な症状改善を狙うもので、作用の仕方が全く異なる。
21日の専門家部会では、新薬を1年半投与した集団で症状の悪化が27%抑制されたとする臨床試験結果が評価され、承認が了承された。エーザイは「認知症の進行を7か月半遅らせることに相当する。より長く使えば、中等度への進行を3年程度先延ばしできる可能性がある」と説明する。
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