外見ケアで心に元気を 富大病院がん患者支援へ専門チーム
■脱毛、肌の変色...セミナーで経験者助言
富山大病院(富山市)は、がん治療で外見が変化した患者の苦痛を和らげるため、専門の医師や看護師ら多職種でつくる「アピアランス(外見)ケアチーム」を今月発足させた。メイクやウィッグなどの助けを借りることで、見た目がどれだけ変わるかを知ってもらおうと、アピアランスケアをテーマにした初のセミナーを十二日、同市舟橋北町の県教育文化会館で開いた。 (平井剛)
日本では二人に一人ががんにかかるとされ、医療技術の進歩などで治療を受けながら働く人は珍しくなくなった。ただ、治療に伴う脱毛や肌の変色、爪の変形などの外見の変化は、患者に大きな苦痛をもたらし、社会復帰の妨げにもなる。そこで近年は、こうした変化に対するケアの重要性が高まっている。
セミナーでは、乳がんを克服し、がん患者向けにメイク指導を行っている美容ジャーナリストの山崎多賀子さんが講演した。抗がん剤治療で脱毛を経験した山崎さんは、外見の変化が周りの人に与える影響は大きいと指摘し、「がんを隠さなければならないのと同時に、脱毛も隠さなければならないのは大きな負担だった」と振り返った。
心細い自分を守ってくれたのはウィッグ、帽子、メイク。「がんになってもきれいでいよう、とは言わないが、外見を装う手段を知っておくことは損でない。(外出などの)必要な時は化粧でどんどん変わっていい」と述べた。
元気に見えるためのアドバイスとして、「肌は夜よりも朝に保湿をする」「唇が荒れていると疲れて見えるので、リップやグロスを塗る」「たまには好きな色のネイルを塗る。指先に目がいくたびに気持ちが上向きになる」と述べた。
講演後、松井恒志チーム長らアピアランスケアチームの医師や看護師らが参加者からの質問に答えた。松井チーム長は、院内のがん相談支援センターが窓口となって相談に応じることを説明し、「(外見の変化に不安を抱く)男性患者も気軽に声を掛けてほしい」と呼びかけた。
セミナーには会場とオンラインの併用で約百二十人が参加した。
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